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クラウドファンディング

クラウドファンディングのやり方!だれでも事業展開できる時代

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創造的な事業のアイディアや、それを実現する意欲を持っていても、資金がなければ実際にビジネスを開始することはできません。
従来、資金を調達するには金融機関からの借り入れなどの方法がありましたが、その際には客観的な事業計画を準備する必要もありました。

しかし、SNSなどを通じて広く情報を発信できるようになった現在では、「クラウドファンディング」による資金調達も現実的な選択肢となっています。
挑戦的な、または独自のコンセプトを打ち出せるプロジェクトなど、支援者の期待感に訴えかける案を打ち出すことで、ビジョンに先導される形でスタートを切ることも十分可能になったといえるでしょう。

この記事では、クラウドファンディングの概要や形態ごとの特性をふまえ、実際のやり方や支援を募る際のポイントについて解説していきます。

クラウドファンディングとは

資金調達

「クラウドファンディング」は、「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」という2つの単語を組み合わせた造語です。インターネットなどを介し、不特定多数に向けて自身の事業に対する資金提供を促すことを意味しています。「ソーシャルファンディング」という別称や、「クラファン」という略称が用いられるケースも多いです。

消費者庁の定義では、「インターネット上で公開した資金募集案件に対して投資者や寄付金を募る仕組みであり、 支援金で開発した商品・サービスの事前購入や、寄付先から進捗報告等の受領が可能になる」システムとされています。
起案者と支援者との関係は株式投資と通じるところもありますが、リターンが金銭的な配当に限らない点や、支援者側がプロジェクトの発展過程に深く関与できる点が、クラウドファンディングの特徴だといえるでしょう。

(引用:消費者庁「平成29年版 消費者白書(「第1部 第2章 第1節(3)フィンテック(FinTech)」内)」

クラウドファンディングの種類

money

クラウドファンディングの形式は大きく「金融型」「購入型」「寄付型」の3種類に区分されます。クラウドファンディングの市場規模は年々増加傾向にありますが、とりわけ成長が顕著なのは「購入型」です。「一般社団法人日本クラウドファンディング協会」が行った2020年上半期の調査においては、前年同期に比べ約3倍(77億円から223億円)に伸びています。
以下では、クラウドファンディングの3つの形態について概要を解説していきます。

金融型クラウドファンディング

金融型クラウドファンディングは、支援者に金銭的なリターンが発生するタイプのことを指し、基本的には法人の事業者がプラットフォーム事業者を通じて支援者を募る形式をとります。

金融型のうちにもいくつか種類があり、起案者側の事業の成果や支援者の出資額に応じてリターンが配当される「投資型(ファンド型)」、起案者企業の株式を取得できる「株式型」、仲介業者を通じて複数の投資家と融資を募る事業者を結びつける「融資型(貸付型)」に大別されます。

融資型は「ソーシャルレンディング」とも呼ばれ、投資家からの注目も高いです。「株式会社矢野経済研究所」の調査によれば、2017年のクラウドファンディング市場全体における支援額のうち、約9割をこのソーシャルレンディングが占めています。

(参照:株式会社矢野経済研究所「国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2018年) | ニュース・トピックス」

金融型は収益性を客観的に提示できるビジネスに向いていますが、支援者側は純粋に投資目的であるケースが多く、またプラットフォーム事業者は基本的に金融商品取引法の規制対象となる「第二種金融商品取引業」の登録を受けているため、その他のタイプに比べるとプロジェクト案に対する審査も厳しくなる傾向にあります。

購入型クラウドファンディング

「購入型」は、支援者へのリターンとして、商品やサービスが提供されるタイプのクラウドファンディングです。新しいコンセプトの製品や、アートやクリエイティブ領域、または地域密着型のプロジェクトなど、特定のターゲット層の期待感に訴求するものが成功を収めやすい傾向にあります。

購入型では多くの場合、プロジェクトの成立要件として、「設定金額に達しない場合にプロジェクトを中止するか、集まった額のみでスタートするか」の選択が可能です。
集まった金額が目標に満たない場合にプロジェクトを中止し、資金を返却する形を「All or Nothing方式」、集まった分のみでプロジェクトを開始する形を「All in方式」と呼びます。

支援者側の納税義務に関しては、先の「金融型」におけるリターンは課税対象となりますが、「購入型」のリターンは通常の製品購入と同様に扱われるため、特別な納税措置は不要です。

寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングでは、支援に対するリターンを設定しません。プラットフォーム事業者などを通じて、より広くプロジェクトを周知し、寄付を呼びかけることを目的としており、被災地や途上国支援、地域文化の保存など、共感を土台とするプロジェクトが多いです。

起案者側がNPO法人など特定の条件を満たす団体である場合には、支援者側の出資額が寄付金控除の対象となるため、支援者にとっては税金対策になりうる点も特徴です。

クラウドファンディングを募る流れ

増やす

実際に、クラウドファンディングで資金提供を募る際の流れについて説明します。
すでに自社のオウンドメディアが充実している場合など、仲介業者なしで開始する方法もありますが、ここでは基本的にプラットフォーム事業者を介した方法について解説していきます。

プロジェクト方針とクラウドファンディングの形態を決定

まずはプロジェクトの大まかな方向性から、どの形態のクラウドファンディングを利用するかを考える必要があります。

収益性、継続性の根拠を客観的に提示できる場合は、市場規模からして「金融型」が資金調達に有利でしょう。
現段階で収益についての明確な見通しが提示できない場合でも、コンセプトの明確さや、特定のターゲットへの訴求力に強みがあれば、「購入型」を通じて目標金額を達成できる可能性があります。
社会貢献的な側面が強いプロジェクトは、寄付型を軸に検討しながら、支援者に対する感謝を示せるようなリターンを設定するのもよいでしょう。

プラットフォームの選定

クラウドファンディングサービスを提供するプラットフォーム事業者から、自身のニーズに合ったものを選ぶ必要があります。以下では代表的なプラットフォームの特性や手数料について紹介していきます。

さまざまなジャンルに対応可能な「CAMPFIRE」

クラウドファンディングの最大手である「株式会社CAMPFIRE」は、融資型・購入型・寄付型それぞれに適したプラットフォームを用意し、プロジェクトの目的に合わせたサービスを提供しています。

プロジェクトの件数が多いのは「購入型」をメインとするプラットフォーム「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」であり、起案者・支援者の双方にとって利用しやすいインターフェイスが特徴です。
業界大手ならではのリーチ範囲も魅力で、起案者にとっては始めやすく、また支援者に見つけてもらいやすいプラットフォームであるといえるでしょう。
料金はプロジェクトが成立したときにのみ発生する「成功報酬型」で、支援額の17%が手数料として支払われます。

プロダクト系に強い「Makuake」

「株式会社マクアケ」の提供するクラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」は、購入型のプロジェクトに強みを持つプラットフォームです。なかでもガジェットや食品など、プロダクト開発の分野が充実しており、審査に通った製品は伊勢丹や蔦屋書店の実店舗に展示されるなど、魅力的なPRの機会が用意されています。

サポーターの属性分布をグラフなどで確認できるオリジナルの市場分析ツールも、起案者にとって力強い支えとなるでしょう。
手数料は支援額の20%であり、プロジェクトの成立によって料金が発生する「成功報酬型」です。

寄付型に強い「READYFOR」

「READYFOR株式会社」の提供するクラウドファンディングサービス「READYFOR(レディーフォー)」は、地域振興や環境保全、医療・福祉分野など、社会貢献領域のプロジェクトを強みとするプラットフォームです。

リターンのない「寄付型」の成立事例が多く、手数料の面でも成功報酬型で12%~と低い水準に抑えられています。
料金プランは2種類用意されており、プラットフォームの基本的な機能やメールによるサポートが利用できる「シンプルプラン」(手数料12%)、専任の担当者による個別サポートやスケジュール管理が提供される「フルサポートプラン」(手数料17%)と、ニーズに合わせた選択が可能です。

掲載ページの作成

プラットフォーム事業者にプロジェクト案を提出し、審査に通った後は、実際に掲載ページを作成していくことになります。用意されているフォーマットの中でアピールポイントを明確に打ち出していく必要がありますので、ターゲットの「期待感」に訴求できるようキービジュアルやテキストを工夫していきたいところです。

共感や納得感を喚起するコンセプトやビジョンを提示するのと同時に、具体的な事業の進行やリターンについての見通しを示しておくことも重要です。
プロジェクトの内容を今一度ブラッシュアップしながら、どれだけの資金があればプロジェクトを進行できるか、どのようなリターンを設定すれば多くの支援者を募れるか、リターン分を差し引いても十分事業を継続できる利益があるかなど、念入りにチェックしておく必要があります。

プロジェクトの周知

ページの作成が完了したら、実際に支援を募っていく段となります。この際はもちろん、どれだけ自身のプロジェクトについて広く認知してもらえるかが成否を分かちます。
購入型・寄付型において、支援者がプロジェクトを知るきっかけとなるのは「SNS」が圧倒的に多いです。消費者庁からの受託業務において「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」が行ったアンケートにおいては、「支援したプロジェクトの認知経路」という項目において「SNS (Facebook やTwitter 等)、ブログ」が55%を占めています。

>参照:消費者庁「クラウドファンディング(購入型)調査結果」
消費者庁「インターネットをめぐる消費者トラブル」

SNSを活用する際にはただ形式的な情報を発信するのではなく、プロジェクトの内容からターゲット層を明確に設定し、それに応じた形でリーチをかけることが重要です。ハッシュタグを利用してその分野に関心の高いユーザーの目に留まりやすいようにしたり、関連する領域で影響力のある人物と積極的に関わりを持つようにしたりと、特定層に対する認知を広げていく取り組みが必要でしょう。

プロジェクトの進行

プロジェクトがスタートしてからは、事業に専心することはもちろんですが、SNSやブログなどを通じた活動報告も重要です。これは株式会社でいえば「IR情報」に該当するものですが、必要なのは客観的な数値というよりも、支援者側に成長過程を共にする喜びをもたらすイメージだと考えられます。

画像や動画なども使いながら、支援者に「自分が関わった事業が今どうなっているか」を具体的に伝えていくことで、今後新たに事業資金を募る場合などにおいても信用を高めることができるでしょう。

クラウドファンディングを実施する際のポイントと注意点

ポイント

クラウドファンディングは、今なお発展段階にある資金調達の形態であり、これまでになかったようなジャンルのプロジェクトであっても、発想次第で成功に導ける可能性があります。
ここでは、主に「購入型」のプロジェクトを念頭に、支援者を募る際のポイントや注意点についてまとめていきます。

プロジェクトをアピールするための観点

出資を促すにあたっては、自身が打ち出すビジョンやコンセプトに対して「根拠」を提示することが重要となります。「面白そう」と興味を持ってもらうだけではなく、実際に「これならお金を出してみる価値がある」と思われなくてはいけません。

「根拠」は客観的な数値である必要はなく、「感覚的な部分での納得感」が鍵となります。
「なぜその取り組みが革新的か」「なぜそのプロジェクトは有望なのか」といった部分を、言葉だけではなくイメージを通じてアピールしていくことが差別化のポイントになるでしょう。

画像や動画によるイメージの伝達や、テキストの文体など、そのプロジェクト独自の世界観やストーリーに価値を見出してもらえるようなブランディングが成功につながります。

支援額とリターンのバランス

支援を募る際には、「どの程度の支援額に対し、どれだけのリターンを設定するか」という点も大きな要素となります。適正なリターンを考えるにあたり、観点となるのは「プロジェクトに対する共感や期待がどれだけあるか」ということです。

例えば、リターンのない「寄付型」においては「プロジェクトへの共感」が支援の主な動因となります。反対に、「金融型」においては「共感」の要素は少なく、出資に対するリターンが主な動因となっているといえるでしょう。
両者の中間に位置する「購入型」においては、「共感」と「リターン」の両方が支援の動因となりえます。

地域貢献の要素がある場合など、共感を強く喚起できるプロジェクトの場合には、リターンが相対的に少なかったとしても支援を期待できるかもしれません。共感や期待感に訴求できない場合には、リターンを工夫してアピールしていく必要があるでしょう。

先の「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」による調査では、購入型・寄付型における1回あたりの支援額として最も割合が多いのは「2,500円~5,000円」の25.6%です。およそ7割の支援者が10,000円までの範囲で出資しているため、ボリュームゾーンであるこの価格帯にどのようなリターンを設定するかが、幅広く支援を受けるためのポイントとなるでしょう。

>参照:消費者庁「クラウドファンディング(購入型)調査結果」
消費者庁「インターネットをめぐる消費者トラブル」

クラウドファンディングで集めた資金の税金

最後に、クラウドファンディングで集めた資金が税務上どのように扱われるかを確認しておきましょう。

まず、起案者が法人の場合には、クラウドファンディングで集めた資金は「法人税」の対象となります。
起案者が個人の場合は、資金に対するリターンの有無によって扱いが異なります。

リターンのある金融型または購入型のクラウドファンディングの場合は、「所得税」の対象です。
個人の起案者がリターンのない「寄付型」を通じて資金を調達した場合には、支援者側の法人格によって適用される税制が異なるため注意しましょう。支援者が個人の場合は「贈与税」、法人の場合は「所得税」の対象となります。

まとめ

情報発信のプラットフォームが豊富に揃っている現在、「発想」と「伝え方」を工夫することで、クラウドファンディングによる資金調達も十分現実的な手段となっています。従来に比べ、新たな事業を立ち上げる際の障壁は相当に小さくなっているともいえるでしょう。

目標金額が達成できず、プロジェクトを取り下げる場合には費用が発生しないプラットフォームも多いため、大きなリスクを冒すことなく挑戦的なプロジェクトを打ち出していける点がクラウドファンディングの魅力です。

多くの人から期待を集められるプロジェクトは、実際に需要を生み出せる可能性が高いとも考えられます。ちょっとしたアイディアも、まずは発信してみて客観的な期待値を把握するのも有効かもしれません。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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