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フードロス(食品ロス)削減を応援するには?原因や対策、企業の取り組み事例まで
2021/04/02

フードロスSDGs(持続可能な開発目標)が世界共通の課題として掲げられてから、環境や格差といった問題がメディアでしばしば取り上げられるようになりました。ビジネスの場面でも、SDGsへの取り組みをCSR(企業の社会的責任)の一環として捉える流れが強くなっていくと考えられます。

SDGsにはさまざまな目標が示されていますが、そのうち「フードロス」に関連する目標は、とりわけ人々の身近な消費活動に関わるものです。それだけに、消費性向の大きな変化が促され、新たなビジネスモデルが登場してくることも予想されます。

フードロスの削減や、それにともなう消費活動の変化に対応するために、政府はもちろん民間の事業者もさまざまな取り組みを見せています。コロナ禍において「食あまり」の問題が顕在化したこともあり、廃棄されてしまいそうな食品に焦点を当てた通販サイトの存在も広く知れ渡るようになりました。

さらに、フードロス問題に取り組んでいるのは食品関連の事業者だけではありません。社員食堂のシステムを見直すといった方法で、フードロス削減に貢献し、CSRを果たす企業としてイメージを向上させている企業も見られます。

この記事では、フードロス問題の原因や現状について整理したうえで、フードロス問題に取り組む企業の事例を紹介し、ビジネスを通じてロス削減を応援できる方法を考察します。

目次

フードロス(食品ロス)とは

食べ物

フードロス(食品ロス)とは、「本来食べられるはずの食品が廃棄されてしまう」状態を指す言葉です。消費者が食品を余らせることによって生じる「家庭系食品ロス」と、事業者が生産・流通の過程で食材を廃棄する「事業系食品ロス」の2つに区分されます。

農林水産省と環境省による発表によると、日本では1年に約612万トンの食品が廃棄されています。家庭系食品ロスが284万トン、事業系食品ロスが328万トンという内訳です。この612万トンという数字を国民1人あたりに換算すると、毎日「お茶碗一杯分」に相当する量を無駄にしていることがわかります。

世界的では年に13億トンの食料が廃棄されており、生産されたうちのおよそ3分の1にあたる食料が無駄になっています。一方で、世界全体の食料援助量は400万トン程度であり、食料支援に回される量のおよそ300倍が廃棄されている状況です。
(参照:農林水産省「食品ロスの現状を知る」)

SDGsから見えるフードロス(食品ロス)の位置づけ

SDGs(持続可能な開発目標)のなかでフードロス(食品ロス)に関連する項目は、目標12の「 つくる責任 つかう責任」です。この目標には11のターゲットが設定されており、なかでも3つ目のターゲットには、以下のような記述が見られます。

2030 年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減 させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。
(引用:持続可能な開発のための2030アジェンダ|仮訳)
SDGsは、2015年の国連サミットで採択された目標。国際目標であるSDGsに記載があることを鑑みれば、フードロス(食品ロス)が世界中から重要な問題として捉えられていることが分かります。

フードロス(食品ロス)が問題になる理由

フードロスが世界的に問題とされる理由は、大きく環境面・経済面・健康面の3つの観点から挙げることができます。

まず環境面においては、食品やその梱包をゴミとして処理する際に発生する、温室効果ガスの影響があります。ゴミの埋め立てにともなう環境負荷や、生産・流通プロセスにおけるエネルギー消費も、問題として考えられるでしょう。

次に経済面について、「家庭系食品ロス」は家計負担の増大につながります。環境省の調べでは、4人家族の場合で毎年「6万円」相当の食料を食べずに捨ててしまっている状況にあり、月に5千円を無駄にしている計算です。他方、「事業系食品ロス」においても、事業者が処理しきれない在庫を抱えたり、規格外商品を廃棄したりすることによる損失は大きいでしょう。

健康面では、栄養状態をめぐる格差が最大の問題です。先進国では食料を余らせる「飽食」が進む一方で、日本においては相対的貧困の問題、世界的には飢餓の問題など、十分な栄養状態を保つことが困難な人々がいる状況は続いており、供給バランスの適正化が求められています。

フードロス(食品ロス)が発生する原因

食品ロスの原因として、環境省は「直接廃棄」「食べ残し」「過剰除去」の3つを挙げています。

「直接廃棄」は、調理されないまま食材が捨てられることを指しています。生産・製造工程において規格外の食材が処分されたり、消費者・小売業者・飲食店などが食材を過剰に仕入れたり、賞味期限の近いものを過度に回避することで廃棄処分となるようなケースです。

「食べ残し」はその言葉のとおり、作りすぎて食べきれなかったり、あるいは外食店などで頼みすぎてしまったりして、食品が廃棄される状況を指しています。

「過剰除去」は、食材のごく一部のみを利用した調理や、未発達な技術による調理の失敗が原因で生じる食品ロスです。とくに調理の失敗は、食品の保存や加工に必要な設備が十分に整っていない地域で発生しやすい問題となっています。

フードロス(食品ロス)問題への政府の対策

地球

フードロス問題に対し、政府は「食品リサイクル法」や「食品ロス削減推進法」を通じ、地方自治体や食品事業者、消費者のそれぞれが協力的に取り組んでいくことを方針として示しています。

具体的な改善策としては、「事業者による生産・流通プロセスの整備」および「未利用食品を再利用できるシステムの構築」という方向からアプローチがなされている状況です。

生産・流通面での対策

現在、事業系食品ロスの一因として指摘されている食品業界の商慣習に、「3分の1ルール」というものがあります。製造者から小売業者の手に渡るまでの期間を、商品の賞味期限の3分の1が経過する以前に済ませる、という慣習です。これによって「期限の3分の1を過ぎた商品」が廃棄されてしまうことが、問題として挙げられているのです。

農林水産省は現在、この3分の1ルールを緩和するよう食品業界に呼びかけています。納品期限に余裕を持たせることで、製造から小売までの段階におけるロス削減を促す構えです。

さらにもう1点、賞味期限が3ヶ月以上の食品の期限表記を「年月日」から「年月」表示に切り替えることを推進し、受発注や在庫管理の効率化によるロスの低減を図っています。
(参照:農林水産省「食品ロスとは」内PDF「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」)

フードバンクの推進

農林水産省は、製造・流通段階におけるロス削減のほか、未利用食品を再利用できるシステムに対しても取り組む姿勢を見せています。「フードバンク」に対する支援事業がその代表例です。

フードバンクとは、生産や加工工程などで発生した未利用の食品を、事業者から回収し、福祉施設などに提供するシステムを指しています。実際の運営は地域のNPO法人や生活協同組合が行っていることが多いものの、政府による支援対象や助成金も拡大しつつあり、制度としての普及が期待されています。
(参照:農林水産省「フードバンク」)

企業によるフードロス(食品ロス)対策事例

フードロス削減への取り組みは、需給バランスや流通プロセスなどを見直すことにつながるため、食品事業者にとってもコスト削減などのメリットをもたらすと考えられます。
さらに、「無駄なく食べきれる」ことは消費者にとっても魅力であり、商品・サービスの価値を高めることにもつながるでしょう。

以下では、食品事業者によるフードロスへの取り組み事例を具体的に紹介します。

食品メーカーによる対策

食品メーカーに見られるフードロス対策としては、梱包方法の工夫によって賞味期限を延ばしたり、使いきりサイズでパッケージングしたりすることで、「食べきれずに捨てられる」ことを防ぐ形が見られます。

よく知られたケースとしては、キッコーマン食品の「いつでも新鮮」シリーズが挙げられるでしょう。醤油のボトルを二重包装にすることで、長期間にわたり鮮度を維持でき、さらに最後の一滴まで使いきれる構造を採用しているため、消費者側のロスを予防できるパッケージングとなっています。

その他、鍋用スープの素を「1人前ごと」のブロックに分けて包装することで、消費者が利用シーンに合わせて使いきれるようにした味の素の「鍋キューブ(R)」シリーズなど、パッケージの工夫によりロスを防ぐ観点が広まっています。

食品ロスを予防する観点だけではなく、消費者側の使いやすさにも配慮しており、ロス対策と同時に商品価値を高めている好例といえるでしょう。

小売店や製造工場による対策

食品の小売店などでは、賞味期限の近い商品を割引価格で提供する形態が一般的に取り入れられており、これも一種のフードロス対策と見なすことができるでしょう。

廃棄処分が近い商品の「割安感」をさらに強く打ち出し、「訳あり商品」や「アウトレット」といった一大セールの形で過剰在庫を整理する、といった事例も多く見られ、消費者からも好評を博しています。

たとえば、信玄餅で有名な「桔梗屋」は、直営工場で規格外商品を通常よりも安く提供し、観光客を中心に連日盛況を見せています。

また、百貨店の「松坂屋」では、上野店で定期的に余剰在庫を格安価格で販売する「もったいないセール」が人気です。現在はコロナ対策のためWeb通販の形に移行していますが、開催時にはやはり注文が殺到し、高い販売効果を維持しています。

外食店による対策

外食店などでは、食べ残し対策として小ロット化を進めたり、食べきれなかった食品の持ち帰りサービスを導入したりといった形で対策が進められています。

その他、注文した商品を食べきった客に対して特典を付与するといった制度上の工夫や、通常は廃棄されやすい食材の部位を利用するなどメニュー面での工夫も見られ、さまざまな角度からアプローチがなされている状況です。

通販サイトなどによる対策

フードロス削減への取り組みとして近年存在感を増しているのが、規格外商品や過剰在庫を専門に扱う通販のプラットフォームです。

WakeAi(ワケアイ)」は、食材の生産者から卸売・小売業者、飲食店まで、処理できない在庫を抱えてしまっている事業者が、「訳あり商品」として在庫品を出品できるプラットフォーム。冷凍食品やスイーツまで幅広い食品を扱っていますが、肉や魚といった生鮮食品も多く取り扱っているのが特徴です。

KURADASHI(クラダシ)」は、品質面には問題がないにもかかわらず、規格面などの都合により廃棄予定とされている食品を、メーカーから協賛価格で仕入れ、低価格でユーザーに提供する通販サイトです。生鮮食品からスイーツ、飲料まで広く扱うほか、日用品などの販売も手掛けています。売り上げの一部は社会貢献事業に寄付するなど、公益性の高さもメディアなどで評価されているポイントです。

その他、過剰在庫などにより食品ロスになりそうな「ロス予備軍」を集め、消費者の元に提供する「ロスゼロ」や、豊洲市場の「訳あり品」を特別価格で売り出す「豊洲市場ドットコム」の特設ページなど、通販のプラットフォームを通じて生産者・卸売業者・消費者それぞれにメリットをもたらすサービスが多く見られます。

さらに、食品の廃棄が発生しそうな販売店からの情報をアプリ上で発信し、安く食品を購入したい消費者が店舗を訪れることを促すプラットフォーム「TABETE」をはじめ、通販以外にも多様なサービスが展開されており、これまでなかったビジネスの機会が生み出されている状況です。

食品業界以外の企業によるフードロス(食品ロス)削減への取り組み

自然と地球

フードロスは食品業界の問題として取り上げられますが、事業として食品を扱っていない企業であっても、フードロス削減を応援することは可能です。社内の食堂や配達弁当などのオペレーティングシステムを見直すといった形で問題に取り組むことにより、不要な経費を削減しつつ、栄養状態に対する従業員の意識を向上させるといった効果も期待できます。

実際の取り組み事例として、たとえば化粧品メーカーの「株式会社ファンケル」は、社員食堂におけるメニューごとの提供数を毎日設定し、それにもとづいた仕入れを行うシステムを取り入れています。過去の販売実績のほか、社内イベントなどの条件を考慮して算出し、ロスを抑える形です。
(参照:YOKOHAMA FOOD LOVE「食品ロス削減の取り組み|ファンケル」)

その他、「株式会社大川印刷」は、従業員が自宅に余らせている食材を持ち寄って開催する「サルベージパーティ」や、フードロス問題について学ぶ交流会といった形で、社内外にロス削減の意識を浸透させる取り組みを行っています。
(参照:大川印刷「食品ロス」)

これらの企業は、SDGsに取り組むモデルケースとして地方自治体などにも取り上げられており、社会的責任を果たす企業としての価値やイメージ向上にもつながっているといえるでしょう。

まとめ

フードロスは、環境や格差といった世界的な問題にも密接に関わるものであると同時に、企業や消費者における「選択・行動の合理化」という次元の問題でもあります。たとえば食品関連の企業がロス削減に取り組むことは、「食料の供給バランス」という大きな次元での改善にもつながる一方で、企業経営の観点からも、生産・在庫管理の適正化によるコスト削減、といったメリットをもたらすでしょう。

「フードロス削減」と「ビジネスの拡大」は、矛盾するものではありません。先に例示したように、規格外商品などを低価格で販売する通販プラットフォームは、生産者・消費者双方にとってメリットをもたらしており、公益性の高いビジネスモデルとして今後定着していくと考えられます。

食品関連の企業でなくとも、フードロス問題に取り組む意義は決して小さなものではないでしょう。社会貢献としての面はもちろん、従業員の食や健康に対する意識を高めたり、CSRに向き合う企業としてイメージが向上したりと、付随的なメリットも生じるかもしれません。

フードロス問題をはじめ、今後は「経営面での合理化」と、「社会的課題の解決」とをビジネスにおいて矛盾させることなく、相乗効果へとつなげていくことが求められる社会になっていくと予想されます。時代の変化を「見直し」や「改善」の契機として捉え、チャンスを創出していきましょう。


(本文・鹿嶋祥馬)

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