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スマートシティとは?国内事例をもとに新時代を考える
2020/10/19


現在、「スマートシティ」という都市構想が、国家規模のプロジェクトとして推し進められています。

AIやICTなどの先進技術を、都市全体のインフラや施設に組み込んだ「未来都市」のイメージは、多くの方の好奇心を刺激するものでしょう。ビッグデータの活用により、効率的な街づくりを実現しようという試みは、さまざまな社会問題の解決や、個人の暮らしやすさの向上につながりうるものです。

近年では、国土交通省をはじめとする各省庁や、地方自治体、トヨタやソフトバンクといった大手企業などが連携し、まさに国家ぐるみの状態でスマートシティ導入が企てられており、未来の街を実現する取り組みが目下進行している状態です。

この記事では、現実化に向けて着々と準備が進められているスマートシティについて、国内における取り組みの事例や、2020年5月に可決された「スーパーシティ法案」の内容などを紹介しながら解説していきます。

目次

スマートシティとは

「スマートシティ」の定義として、国土交通省のサイトでは、「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」という説明がなされています。
(引用:国土交通省「都市交通調査・都市計画調査:スマートシティに関する取り組み」

概略的なイメージを述べるなら、「街全体がネットワークでつながり、居住者が便利に安心して暮らせるシステムが張りめぐらされた都市」というように描写できるでしょう。
交通、医療・福祉、防犯・防災、エネルギーなど、街づくりに関連するさまざまな領域において、IoTやセンシング技術、AIやロボットといった先進技術が導入され、ビッグデータを活用しながらあらゆるシステムを最適化していく「都市OS」のビジョンを、国土交通省の定義から読み取ることができるでしょう。

こうしたスマートシティのコンセプトは、現在の「情報化社会」に続く社会形態として内閣府が構想する「Society 5.0」の中核に位置づけられるものであり、「サイバー(仮想空間)」と「フィジカル(現実空間)」の融合した都市モデルとして描出されています。データをクラウド上で入力・参照している現在の状態から、IoT技術などにより自動的にデータが集積され、AIが自律的にそれを解析するような状態へと移行していくことで、「サイバー」の世界はかつてないほど充実していくでしょう。そのサイバー世界における情報が、形をもった「フィジカル」の世界を効率化していく社会が、内閣府のビジョンとして示されています。
(参照:内閣府「Society 5.0 - 科学技術政策」

スマートシティが推進される理由

政府がこの「スマートシティ」を推進する理由の一つに、先の定義における「都市の抱える諸課題」への対応という側面があります。具体的に国土交通省が課題として提示しているのは、「急速な高齢化」と、「多発する都市型災害」です。
(参照:国土交通省「スマートシティ官民連携プラットフォーム」

まず、高齢化の問題、またそれに伴う地方の過疎化問題に対処するには、地域ぐるみで高齢者を見守る環境や、移動手段の整備、医療・福祉システムなどを包括的に管理できる体制が必要です。さらに、都市型災害への備えとしては、老朽化している各種インフラのメンテナンスや、非常時のエネルギーや食糧供給、避難施設の情報共有システムなどが考えられるでしょう。
こうした課題を解決しうるものとして、ICT技術を全面的に取り入れた「スマートシティ」が期待されている状況があります。

スマートシティがもたらすもの

上記の「急速な高齢化」や「多発する都市型災害」以外にも、スマートシティは多方面にメリットをもたらすことが期待されています。
あらゆる分野に共通するメリットとしては、「多種多様なデータの蓄積とフィードバック」と、「自律化・自動化による人的負担の削減」、さらに「横断的ネットワークによる各領域のシームレスな連携」といったポイントが挙げられるでしょう。
一例を挙げるなら、曜日や時間帯ごとの交通量のデータを解析し、信号機が切り替わるタイミングを自動で調整するシステムです。これだけでも渋滞緩和に大きな効果を期待できますが、さらに自動運転の技術と連携が可能となれば、加減速の度合いや燃料消費率が最適化されたり、路線バスやナビゲーションの時刻予測が正確になったりと、無駄のない交通網が整備されていくと考えられます。

「データ活用」「自律化・自動化」「最適な連携」というメリットが都市のあらゆる分野にもたらされることで、住民の快適性や利便性の向上、また行政の効率化など、限りない可能性が開かれていくと言えるでしょう。

スマートシティへの移行における課題

スマートシティの実現にあたっては、公共機関と民間企業が相互に連携しうるシステムの構築が鍵となっています。具体的にはAPI(Application Programming Interface)によるオープンなデータ連携システムの設計が、スマートシティ成功のポイントとされています。
このシステムの実現に向け、国土交通省は「スマートシティ官民連携プラットフォーム」というプロジェクトを推進し、各省庁や地方公共団体、民間企業や研究機関との協力体制のもと、スマートシティのモデル構築やシステム面の検証、地域分析など多方面にわたる活動を行っています。

日本国内におけるスマートシティ事例

現在、世界各国で試験的導入が行われているスマートシティですが、日本国内においてはトヨタ自動車やソフトバンクをはじめ、各分野の大手企業がそれぞれの強みを活かしたスマートシティ構想を打ち出しています。企業の主導するプロジェクトのほか、地方自治体が主体となり各分野の専門家の協力を仰ぎながら進めているプロジェクトも存在します。
以下では、企業や地方自治体によるスマートシティへの取り組み事例を紹介していきます。

トヨタ自動車:モビリティやスマートホーム技術でつながる実証都市

トヨタ自動車株式会社は、静岡県裾野市の工場跡地を利用し、約70.8万㎡におよぶ範囲でスマートシティを実現する構想を打ち立てています。
自動運転やモビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS:あらゆる交通手段をシームレスに連携させる概念)、パーソナルモビリティ(近距離移動のための小型次世代自動車)といったモビリティ関連のシステムを整備しながら、スマートホームやAI、ロボットなどの導入により利便性の高い生活を提供する基盤を整えていく予定です。

「Woven City(ウーブン・シティ)」と名付けられたこの街の特徴は、「人とモノがストレスなく安全に移動できるモビリティ基盤」と、「トヨタのエコシステムにもとづくエネルギー効率の最適化」にあると言えます。
前者については、道路の種類を三つに区分し、「完全自動運転の車専用の道路」「パーソナルモビリティと歩行者のためのプロムナード」「歩行者専用道路」が網の目のように交差する街が目指されます。
後者については、ゼロエミッションの自動車や太陽光発電をはじめとする環境配慮型のエネルギー基盤が整えられ、持続可能な社会のあり方を模索する試みとなっています。
(参照:トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト「トヨタ、「コネクティッド・シティ」プロジェクトをCESで発表|コーポレート|グローバルニュースルーム」

ソフトバンク×東急不動産:企業と利用者をつなぐデータ活用

2020年9月、ソフトバンク株式会社が港区の「東京ポートシティ竹芝」に本社を移転したことが話題となりました。ビル内に張りめぐらされた5G回線やAR技術、AIや警備・清掃ロボット、認証システムといった先進技術の数々は、ソフトバンクのパイオニアとしての姿勢を示すものであると同時に、東急不動産株式会社と共同で行う「竹芝スマートシティ」というプロジェクトの中核を担う技術としても期待されています。
(参照:ソフトバンク「ソフトバンク新本社ビル「東京ポートシティ竹芝」が誕生。世界をリードするスマートシティを目指して - ITをもっと身近に。|ソフトバンクニュース」

竹芝エリアの約20万m²の敷地を先進的なビジネス拠点として整備すべく、大手通信事業者とデベロッパーとが共同でプラットフォームを構築していく取り組みとして注目を集める竹芝スマートシティ。その要点は、「(1)センシング技術やIoT技術を通じて収集されたデータに各企業がアクセスできるAPIの構築」と、「(2)施設の混雑状況や環境変化に合わせて滞在者に的確な行動を促すアプリケーションの配布」という二つにあります。

(1)については、たとえばエリア内の各施設における混雑状況を各企業に提供することで、企業が最適な通勤時間帯を検討したり、リアルタイムに集客施策を打ち出したりといった対応を可能とします。
(2)については、空席情報や電車遅延の状況をふまえた施設利用の提案や、センシングによる施設不具合や異常行動の早期発見など、エリア内の安全性・利便性を向上させるアプリケーションの配布が期待されています。
(参照:ソフトバンク「竹芝地区でスマートシティを共創|プレスリリース|ニュース|企業・IR」

熊本県荒尾市:住民の健康寿命向上に向けた見守り体制

熊本県荒尾市の「あらおスマートシティ推進協議会」は、「荒尾ウェルビーイングスマートシティ」というプロジェクトのもと、住民の健康管理に役立つセンシング技術や、MaaSの導入に向け体制を整えています。
住民が随時健康状態を確認できるよう、身体状況のモニター結果を鏡に映し出す「魔法の鏡」や「血流動態センサ」といったデバイスを街中の施設に組み込み、日々の体調変化を解析してフィードバックすることで健康維持を図る、というシステムの構築が目指されています。
さらに買い物や育児、介護などに役立つMaaSを確立すべく、AIのルート計算によって複数乗客を送迎する「オンデマンド相乗りタクシー」のサービスが現在実証段階に移っており、住民の暮らしやすさの向上が期待されています。
(参照:国土交通省「報道発表資料:スマートシティモデルプロジェクトを追加選定~いよいよ社会実装ステージへ~」

愛知県岡崎市:安心・安全に楽しめる地域づくり

愛知県岡崎市の「岡崎スマートコミュニティ推進協議会」は、「楽しい・快適・安全なウォーカブルシティ」「人間中心のまち」という理念に向けて取り組みを行っています。センシングデータを活かした導線解析や、観測所のデータをリアルタイムに解析する都市環境予測・水位予測など、防犯・防災面で安心できるシステムを構築していく方針です。
防犯・防災に活かる予測システムを構築するには、観測データを解析するアルゴリズムの形成や、情報を市民に共有できるプラットフォームの開発が鍵となります。
民間企業や研究機関との協力のもと、ビッグデータを適切に処理しうる体制を整えていく構えです。

(参照:国土交通省「報道発表資料:スマートシティモデルプロジェクトを追加選定~いよいよ社会実装ステージへ~」

スーパーシティ法案とは

政府は2020年5月27日に成立した「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律(通称:スーパーシティ法案)」において、指定地域におけるデータ連携基盤を整備する事業を「国家特別区域データ連携整備事業」として指定し、特例措置の対象とする旨を決定しました。すなわちこの法案は、スマートシティ化におけるプラットフォーム形成に関わる事業を、公的にバックアップしていく方針を示したものと言えるでしょう。

「スーパーシティ」とは、スマートシティの一類型であり、2018年に内閣府が「第四次産業革命を体現する最先端技術の都市」として打ち出した構想を指しています。スーパーシティの要件としては、「異なるスーパーシティ同士あるいはスーパーシティ内の複数システム間をAPIで接続し、より広域な情報集約と提供を可能とすること」が挙げられています。

(引用:内閣府「スーパーシティ/スマートシティの相互運用性の確保等に関する検討会 最終報告書」

それでは具体的に、この「スーパーシティ法案」によってどのような政府のバックアップが可能となるのでしょうか。

スーパーシティ法案によってバックアップされる事業

スーパーシティ法案により支援の対象となるのは、「(1)スーパーシティに選定された自治体」および「(2)先端的なサービスに係る事業の中でも優れたもの」とされています。
以下、首相官邸ホームページ内の「スーパーシティ解説」を参照しながら説明していきます。

(1)スーパーシティに選定された自治体への支援
政府はスーパーシティの事業を推進するうえで、「国家戦略特別区域」に関連する法律を適用しながら、該当エリア内の規制緩和・税制優遇や国費による支援を行っていく構えです。すなわち、「スーパーシティとして選定される」というのは、法律上の扱いとしては「国家戦略特別区域に選定される」ことを意味します。

スーパーシティの選定基準についてですが、まず開発される都市のタイプとして、トヨタのように工場跡地などを新たに開発する「グリーンフィールド型」と、既存の都市に先進技術を組み込んでいく「ブラウンフィールド型」のどちらも選定対象となっています。
選定において重要な要素とされているのが、「住民の合意形成」「首長のビジョンとリーダーシップ」「最新技術を実装できる企業」の三点です。技術面と行政面において、開発の土台が整えられる都市がスーパーシティとして選定されることになります。

(2) 先端的なサービスに係る事業の中でも優れたものへの支援
まず支援の対象となるのは、上記で選定された国家戦略特別区域における「データ連携基盤」の構築に貢献する企業です。APIをはじめとする連携プラットフォームを整えるにあたり、調査や設計、システム構築、円滑な運営などのため、政府による支援がなされる方針です(2020年度の予算は3億円)。

さらに、エリアに関係なく、MaaSや遠隔教育などスーパーシティ構想に貢献しうるさまざまな先進的取り組みに対しても積極的な支援を行う方針が示されており、「地方創生推進交付金」をはじめ、各事業の関連省庁による支援制度が活用できるとされています。
構想に関連する各省庁の支援施策として例示されているのは、国土交通省の「社会資本整備総合交付金」「政策投資銀行による投融資」、文部科学省の「GIGAスクール構想」「博物館クラスター推進事業」、厚生労働省の「都市部での遠隔服薬指導の解禁」、経済産業省などの「キャッシュレスの推進」、総務省などの「ローカル5G等の実現に向けた開発実証」「分散型エネルギーインフラプロジェクト」です。こうした施策のうちから横断的に、スーパーシティ構想に貢献する事業に適用できる施策をピックアップして支援を行っていく見込みです。

事業計画のスムーズな認可手続きが可能に

従来の国家戦略特別区域法においては、開発事業などの計画を政府に提案する際に、計画に関連する省庁へと別個に案を提出する必要があり、結果として調整がきかずに計画が頓挫するという事態が発生していました。
スーパーシティ法案は、こうした問題を解決すべく、事業案の提出先を内閣総理大臣に一本化することで、トップダウン型のスムーズな認可手続きを可能とすると期待されています。

まとめ

未来型都市として描き出される「スマートシティ」の構想に向け、現在官民一体となった取り組みがなされ、一部地域では実証段階へと移行しています。
各々のエリアが抱える課題やニーズに応じ、スマート化すべきポイントはさまざまであり、必要となるプラットフォームも異なるため、当面はそれぞれの領域におけるデータ活用基盤の形成が取り組みの中心となっていくと見込まれます。

防災・防犯、医療・福祉、モビリティ、エネルギー、教育、環境など、各分野にAIやIoTといった先進技術が取り入れられるだけでも、住民の暮らしやすさは大きく向上していくことでしょう。さらに今後、各分野のデータを横断的に活用できるオープンAPIのシステムが整うことで、都市のマネジメントにおける効率性は飛躍的に高まり、暮らしの利便性や安全性もいっそう高まっていくことが期待されます。
自動運転やセンシングによる健康管理、自律的な防災・防犯システムなど、想像していた「未来の街」が現実になる日もそう遠くないのかもしれません。

(本文・鹿嶋祥馬)

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