
VDIとDaaSの違いとは?双方の特徴も含めてわかりやすく解説します!
昨今、新型コロナウイルスの感染拡大を避けるためのリモートワークが一般化し、オフィス外でも業務を行う機会が増えています。しかし、デスクトップPCを使用している場合、いざ職場の外で仕事をしようと思っても、仕事環境を持ち出すのに手間がかかります。リモートワークとオフィス勤務を混合で行いたいと思っても、そのたびにPCを運ぶことは現実的ではないでしょう。
業務に必要なデータをGoogle DriveやDropboxなどのストレージで共有し、自宅のPCからアクセスすることはひとつの解決策となります。しかし職場で利用しているPCと自宅PCのOSが異なったり、デスクトップ環境が異なったりといった要因で、業務効率が悪くなってしまう可能性も考えられます。
そのような課題を解決し、デスクトップ環境をまるごとインターネット上に再現する技術が、VDI(デスクトップ仮想化)やDaaSと呼ばれる手法です。この手法を用いることで、好きな場所、好きな端末から常に同じデスクトップ環境を利用できるようになります。それぞれの特徴を解説します。
目次
VDI(デスクトップ仮想化)とは

VDIとは、「Verual Desktop Infrastructure」の略称で、日本語では「デスクトップ仮想化」と呼ばれています。仮想化とは、「Windowsマシン上でMacOSが動くように環境を構築する」など、本来そのマシンでは動かないはずのソフトウェアを動かせる「仮想の」環境を作り、その上で動作させることです。
VDIの場合は、ユーザーが個人の端末上で使っていたデスクトップ環境を、サーバー上に移植・再現することで仮想化しています。もともとは個人の端末にそれぞれ保存されていたデスクトップ環境がサーバー上に移行したことで、ユーザーは固有の端末に縛られることなく、どの端末からでもサーバーにアクセスしてデータを呼び出し、従来どおりのデスクトップ環境を利用することが可能です。
VDIを利用すれば、利用端末が自由になるだけではなく、各クライアントPC(個人が利用する端末)が受け持っていたデスクトップ環境構築のためのリソースを、サーバー側が受け持つことになります。そのため、クライアントPCが行うのはごく簡単な入出力処理のみとなり、要求されるマシンスペックの最低ラインを大幅に引き下げることが可能です。
マシンのスペックが下がれば、マシン構築にかかるコストも下がり、数年ごとに必要になるマシンの更新費用を削減することにつながるでしょう。
DaaSとは
DaaSとは「Desktop as a Service」の略称です。VDIと同様にデスクトップ環境をサーバー上に仮想化する技術の一種ですが、DaaSの場合、クラウドサーバーを利用しています。クラウドサーバー上にPCを動かすためのデータが保管されていることで、クライアントPCにOSをはじめとするソフトウェアをインストールすることなく、デスクトップPCとして機能させることが可能です。
DaaSは、環境構築に利用するクラウドサーバーがインターネットのどこに置かれているかによって、大きく3種類に分けることができます。
ひとつは「プライベートクラウドDaaS」です。こちらは、サービスを利用する企業が独自に構築したクラウドサーバーを利用しています。
2つ目は「バーチャルプライベートクラウドDaaS」です。こちらは、DaaSサービスの提供業者が管理している仮想環境上にデータを配置しますが、環境自体はプライベートクラウドDaaSと同様に利用者ごと切り分けられています。
3つ目は「パブリッククラウドDaaS」。こちらは、利用者全体が同じリソースを共有するクラウドサーバーにデータを配置するものです。プライベートクラウドDaaS、バーチャルプライベートクラウドDaaSに比べるとリソースを共有している分、セキュリティ性が低いといえるでしょう。
VDIとDaaSに違いはあるか?

いずれも、デスクトップ環境をサーバー上に仮想化するという意味では共通した概念であり、DaaSはVDIの手法のひとつということもできます。前述の通り、狭義のVDIはデスクトップ環境を物理サーバー上に仮想化するのに対し、DaaSはクラウドサーバーを利用します。この点が2つの大きな違いです。クラウドサーバー自体、サーバー筐体を並列化しサーバー機能を仮想化した技術であり、仮想環境に仮想環境を構築するという入れ子構造となっていると言うことができます。
VDIとDaaSそれぞれを利用するメリットには、たとえば次のようなものがあります。
VDIを使うメリット
VDIは、自社でサーバー筐体を用意し、仮想環境を構築します。そのためメンテナンスがしやすく、ハード面・ソフト面のカスタマイズの自由度が高いことが特徴です。また、自社で利用しているクライアントPCのスペックや、業務内容などを考慮した構成が可能で、管理法やルールなども、自社の都合に合わせて自由に決めることができます。要求されるスペックが特殊であったり、自社内でサーバー管理ができるエンジニアがいたりする場合には活用しやすいでしょう。
DaaSを使うメリット
DaaSは基本的にサービス提供者がサーバー環境を用意するため、自社で筐体を購入する必要がなく、導入コストが低いことが大きな特徴です。その分、使用料が定期的にかかりますが、サーバーメンテナンスなどの環境維持もすべてサービス提供者に任せていることを考えると、非常にリーズナブルであるといえるでしょう。物理サーバーを持たないため、たとえば社員数が増えるといった社内環境の変化に合わせて、あとからサーバー構成を拡張・縮小しやすいのもメリットのひとつです。大きな設備投資が必要なく、まずは最低限のスペックで始められます。事業の成長に合わせて拡大も可能なので、今後における臨機応変さが必要な場合は、DaaSを選ぶのがよいでしょう。
VDI・DaaS自社の状況に適した方法を利用する
VDIもDaaSも、「サーバー上に仮想化したデスクトップ環境を構築する」という原理は変わりません。個人のPCにすべてのデータを置き、基本的にはひとり1マシンで同じ端末を使い続けるという従来のデータ管理に比べ、利便性は高くなります。好きな場所、好きなマシンから常に同じデスクトップ環境を利用できるのは、人との物理的な接触を極力避けたい新型コロナ情勢下においても、大きな利点となるでしょう。
ただし、ネットワーク環境がない場所で利用できないという点には注意が必要です。現在は、ポケットWi-Fiやスマートフォンでのテザリング、Wi-Fiスポットなどが発達しているため、完全にインターネットから切断されることは滅多になくなりました。とはいえ、通信障害が起きたり、電波の弱い場所に行ったりする可能性はゼロではありません。社内サーバー、クラウドサーバーの別にかかわらず、仮想化されたデスクトップ環境にはインターネット経由で接続する必要があることを、あらかじめ認識しておく必要があります。
デスクトップ仮想化を進める企業が、VDIとDaaSのどちらを導入するかは、自社の特性や重視したい要素を考慮して決定しましょう。導入時のカスタマイズ性ならVDI、将来的な拡張性や導入コストの低さを重視するならDaaSが適しているといえそうです。
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