Google広告の入札戦略とは？おすすめのタイプや設定・変更方法を解説！

Google広告で成果を効率的に最大化するためには、入札戦略の活用が効果的です。手動での入札管理には限界があり、担当者の負担や判断のばらつきも生じやすくなりますが、入札戦略なら自動で24時間調整してくれます。

そこでこの記事では、入札戦略の種類や仕組み、目的別の使い分け、メリット・デメリットを解説します。日々の運用フローに活かせば、広告成果の安定と向上につながるでしょう。

入札戦略を使いこなして広告運用を効率化したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

Google広告の入札戦略とは

Google広告の入札戦略とは、重視したい目標や要素に応じて自動で入札単価を調整する、Google広告の入札方針のことです。コンバージョン獲得やクリック数の増加といった重視したい目標・要素と、検索・ディスプレイ・動画などの掲載場所に合わせて、11種類の方針から最適なものを選択できます。

Googleの入札単価の調整は、広告範囲が広がるほど大きな負担になります。特に検索以外にも様々な出稿方法が増えた今、一つひとつを細かく管理しようとすると細かなミスや機会損失が発生するリスクもあるでしょう。

その点、自動入札戦略を活用すれば担当者は細かな数値の調整業務から解放され、本来注力すべき分析や企画といった業務に集中しやすくなるのです。

ただし、自動入札は過去のデータを元にして調整されるため、アカウントに十分なデータが蓄積されていない段階では運用が不安定になるケースもあります。そのため、開始直後は調整が安定せず、運用成果が一時的に悪化するリスクがある点には注意しましょう。

Google広告における入札戦略の仕組み

Google広告の入札戦略は、過去の配信データやリアルタイムのシグナルを基に、GoogleのAIが入札単価を自動で調整するものです。AIが判断材料とするシグナルは多岐にわたりますが、代表的なものとして次のような条件が連動します。

上記のようなシグナルをもとに「目標を達成する可能性が高いか」を瞬時にスコアリングし、スコアに応じて入札単価の強弱を決定します。さらにリアルタイムに調整してくれるため、入札戦略は多くの運用担当者に活用されています。

コンバージョン獲得を目的とした入札戦略の種類

コンバージョン獲得を目的とした入札戦略は、以下の4つの戦略が用意されています。

4つを目的に応じて使い分けられると、より効率的な運用が可能となるでしょう。それぞれの特徴や活用のポイントを、それぞれくわしく解説していきます。

目標コンバージョン単価制

目標コンバージョン単価制とは、1件のコンバージョン獲得にかけられる費用を設定し、その範囲内でコンバージョン数が最大になるようAIが自動で入札単価を調整する入札戦略です。過去のコンバージョンデータが十分に蓄積されている場合、Google広告から目標コンバージョン単価の推奨値が提示されるケースもあります。

コンバージョンの可能性が高いとAIが判断した場合には、設定した目標単価を一時的に上回る価格で入札を行う場合もあります。費用対効果が低いと見込まれるオークションでは入札を抑制し、キャンペーン全体で見たときに目標単価に収まるようにバランスを取っているのです。

ただし、目標単価が市場の相場と比べてあまりに低いと、コンバージョン獲得は困難と判断し、広告がほとんど表示されなくなる可能性がある点には注意が必要です。

目標広告費用対効果

目標広告費用対効果とは、広告費に対する回収率（ROAS）の目標値を設定し、投資効率を高めながら売上を最大化させる入札戦略です。目標コンバージョン単価が全てのコンバージョンの価値を等しく評価するのに対し、目標広告費用対効果はコンバージョンごとの回収率まで評価する点に大きな違いがあります。

目標広告費用対効果を利用する上での絶対的な前提条件は、売上額を計測できるトランザクション別のコンバージョン追跡を設定しておく点です。この設定がなければ、AIはコンバージョンごとの価値を判断できず、戦略そのものが機能しません。

特に、様々な価格帯の商品を扱うECサイトのように、コンバージョンごとに得られる売上額が異なるビジネスに最適な戦略と言えるでしょう。

コンバージョン数の最大化

コンバージョン数の最大化とは、設定した1日の予算をすべて使い切ることを前提に、コンバージョン数が最大になるように調整する入札戦略です。

コンバージョンする見込みが高いと判断したユーザーやタイミングを見つけ出し、予算を効率的に配分することで入札単価を最適化します。

ただし、CPAを直接コントロールする機能がないため、想定以上にCPAが高騰するリスクがあります。そのため、あくまでも市場の可能性を把握するための一時的な手段と考え、得られた平均CPAなどのデータを基に目標コンバージョン単価のような、費用対効果を管理しやすい戦略へ切り替える流れが推奨されます。

コンバージョン値の最大化

コンバージョン値の最大化は、設定した1日の予算内で総売上が最大になるように調整する入札戦略です。目標広告費用対効果戦略と同様に、コンバージョンごとの正確な価値を計測できるトラッキング設定が欠かせません。

コンバージョン値の最大化で注意したいのは、あくまでも目標が予算内でのコンバージョン値や売上の最大化であり、利益率の最大化ではない点です。場合によっては広告費が売上を上回り、採算が合わなくなる可能性も把握しておく必要があります。

この戦略は、新商品のローンチや大型セールといった、短期的に利益を度外視してでも、とにかく売上規模を最大化させたい特別なプロモーションで特に効果を発揮します。また、市場シェアの獲得やブランド認知向上のために、積極的な投資を行いたいと考えているユーザーにとっても有力な選択肢となるでしょう。

クリック数を目的とした入札戦略の種類

クリック数を目的とした入札戦略は、広告の露出を増やし、自社サイトへの訪問者数を最大化する戦略です。基本は「クリック数の最大化」となるため、その役割や機能は非常に明確です。

クリック数の最大化

クリック数の最大化とは、設定した1日の予算内で広告のクリック数が最大になるように調整する入札戦略です。クリック数が増えれば、それだけ自社のサービスやブランドが多くの人の目に触れる機会が増えるため、認知の拡大に繋がりやすいと言えるでしょう。

クリック数の最大化では、上限クリック単価を設定できます。1クリックあたりに支払う費用をコントロールできるため、予算が少ない場合にすぐ消化してしまうリスクを抑えられます。

ただし、クリックの質までは考慮されないため、コンバージョン率やCPAなどの指標が悪化するリスクには気をつける必要があります。

インプレッション数を目的とした入札戦略の種類

インプレッション数を目的とした入札戦略では、広告の表示回数を増やし、狙ったユーザー層への認知度向上を目指します。主に、以下の二種類が用意されています。

それぞれ、解説します。

目標インプレッションシェア

目標インプレッションシェアは、広告が検索結果やディスプレイの表示機会に対して目標とする割合を維持するように調整する入札戦略です。「検索結果の最上部」や「検索結果の上部」のように、広告を表示させたい場所の指定も可能です。

良くも悪くも目標とする位置への掲載を最優先するため、競争の激しいキーワードでは、クリック単価が想定以上に高騰する可能性もあります。それでも、新商品や新サービスのローンチ時など、まずは多くの人にブランド名やサービス名を覚えてもらう必要がある場合には、非常に効果的な戦略と言えます。

視認範囲のインプレッション単価制

視認範囲のインプレッション単価制は、広告がユーザーの画面で実際に見える位置に表示されたときだけ費用が発生する入札方式です。「Google広告ヘルプ」では広告面積の50%以上が画面に表示され、ディスプレイ広告なら1秒以上、動画広告なら2秒以上の継続再生があった場合に「視認可能」であると定義されています。

その上で、1,000回行われるごとに支払う入札単価を設定し、インプレッションの最大化を目指します。また、支払う費用の上限（上限vCPM）を設定し、コストが想定を超えて高騰するのを防ぐ調整も可能です。

目標インプレッションシェア戦略と同様に、クリックやコンバージョンは目的とはしていません。そのため、ウェブサイトへの流入や売上増加を主なKPIとするキャンペーンには不向きですが、メッセージを視覚的に伝えるYouTubeなどの動画広告とは非常に親和性が高く、その効果を発揮しやすいでしょう。

Google広告のポートフォリオ戦略とは

Google広告のポートフォリオ戦略は、複数のキャンペーンや広告グループに共通の自動入札戦略を適用し、全体の成果を底上げする手法です。

キャンペーン単位での入札調整とは異なり、関連性の高い広告を一つのグループにまとめるため、Googleの機械学習はより多くのデータを横断的に分析できます。

ポートフォリオ戦略を活用するメリットは、単独ではデータ不足に陥りがちなキャンペーンにも、他のキャンペーンの豊富なデータが活用できる点にあります。そのため、AIの学習期間を短縮し、早期に安定した成果を得やすくなるのです。

どのキャンペーンを同じグループに含めるかは非常に重要です。ターゲットやコンバージョンの価値が大きく異なるキャンペーン同士を含めると全体の最適化精度が低下するリスクがあるため、配信目的やコンバージョンのキャンペーンでまとめるようにしましょう。

ポートフォリオ戦略の設定方法

ポートフォリオ戦略の設定は、Google広告の管理画面から比較的簡単に行えます。基本的な手順は次の通りです。

これだけで共通の自動入札戦略が反映されます。

ポートフォリオ戦略を活用すると、複数のキャンペーンデータをまとめて学習できるため、最適化のスピードが上がりやすいでしょう。一方で、個別のキャンペーン単位で細かく調整しにくくなる面もあるため、効果を観察しながら慎重に戦略を微調整してみてください。

Google広告の入札戦略を変更する方法

Google広告では、管理画面から簡単に入札戦略を切り替えられるため、状況に合わせた柔軟な運用が可能です。ここでは、以下の4つの手順に沿って、入札戦略を変更する方法を解説します。

操作がややこしいので、画像と共にもう少し解説していきます。

1．メニューから「キャンペーン」をクリック

まず、Google広告管理画面にログインし、左側メニューの「キャンペーン」をクリックします。ここで、入札戦略を変更したい対象キャンペーンの一覧が表示されます。

2．変更するキャンペーンの設定（歯車）をクリック

次に、対象キャンペーンの行にある「設定」または歯車アイコンをクリックします。設定画面に移動すると、入札単価や配信に関する詳細項目にアクセスできます。

3．単価設定で「入札戦略を変更」をクリック

設定画面内の「単価設定」セクションを開き、「入札戦略を変更」をクリック。この操作により、現在適用中の戦略が表示され、新しい戦略の選択画面に進むことができます。

4．希望する入札戦略を設定する

最後に、運用の目的に合わせて希望する入札戦略を選びます。設定を保存すると反映され、Googleのシステムが新しい戦略に基づいて入札を最適化し始めます。

導入直後は入札調整の学習期間が発生するため、数日から1週間程度は成果の推移を観察し、必要に応じて調整すると良いしょう。

Google広告の入札戦略を設定するメリット

入札戦略を自動化すると、広告運用の効率と精度は大きく向上します。ここでは、入札戦略を導入する主なメリットを3つ解説します。

それぞれ、くわしく解説します。

属人化のリスクを抑えながら精度を高められる

Google広告の自動入札戦略は、リアルタイムのデータや高度な機械学習を活用するため、属人化のリスクを抑えながら精度を高められる点がメリットの1つとして挙げられます。

手動運用では、キーワードごとやキャンペーンごとの細かな調整に膨大な時間がかかり、調整の遅れやうっかりした人的ミスでせっかくのチャンスを逃す心配もあります。自動入札ならリスクを抑えつつ、競合状況やユーザーの属性、時間帯、デバイスなど多様なシグナルをもとに入札価格を最適化し、運用精度を高めてくれます。

特定の担当者に業務が偏らないため人事異動や外部委託時にも成果を維持しやすく、担当者によって成果が左右されない点が魅力といえるでしょう。

人的リソースをより重要な業務に集中できる

人的リソースをより重要な業務に集中できる点も、Google広告の入札戦略を導入する大きなメリットです。

日々の運用では、手動で入札額を調整する作業やパフォーマンス確認に多くの時間が割かれてしまいます。入札戦略を活用するとルーティン作業に追われる状況から離れ、広告クリエイティブの改善や新規キャンペーンの企画、マーケティング戦略の立案といった付加価値の高い業務に注力できます。

担当者が戦略的な業務に集中できれば、施策の質が向上し、結果として広告効果やビジネス全体の成長にもつながります。効率的なリソース配分を実現できる点は、入札戦略を導入するうえで見逃せない魅力といえるでしょう。

24時間365日リアルタイムで対応できる

24時間365日リアルタイムで対応できる点も、Google広告の入札戦略が持つ大きな強みといえるでしょう。

入札戦略を活用すれば、昼夜を問わず市場の変化に合わせた運用が可能になり、見込み顧客へのアプローチチャンスを取りこぼしません。とくに、全国や海外を対象に広告を配信している場合や季節イベントや短期キャンペーンを展開している場合に、このメリットは強く表れるでしょう。

休むことなく市場環境に対応できる仕組みを整えられるのは、安定した広告成果を支える大切なポイントです。

Google広告の入札戦略を設定するデメリット

便利な自動入札戦略にも、注意しておくべきデメリットがあります。ここでは、入札戦略を利用した際に起こりうる主なデメリットを3つ挙げます。

自動化による効率化の一方で、思わぬリスクや制約が発生する場合があるため、導入前に理解しておきましょう。一つずつくわしく解説します。

最適化が行われるまで学習期間が必要

最適化が行われるまで学習期間が必要な点は、Google広告の入札戦略を導入する際に避けられないデメリットのひとつです。

自動入札は過去の配信データをもとに成果を最適化しますが、導入直後は十分なデータが蓄積されておらず、入札判断が安定せず成果が伸び悩む場合があります。新しいキャンペーンを開始した直後は、クリック数やコンバージョン数が変動しやすく、広告費に対して効果が見えにくくなる場面も発生します。

学習期間を経てはじめて入札戦略の自動調整が本領を発揮しやすくなるため、早期に結果を求める運用には不向きです。十分なデータを蓄積させる前提を持ち、焦らず運用を続けることで、狙い通りの広告効果を得られるようになるでしょう。

突発的なトレンドやイベントに対応できない

突発的な市場変化やイベント発生時には、入札戦略の自動調整がすぐに追随できない点も大きな課題となるでしょう。自動入札は過去のデータを基に最適化を進めるため、急な検索需要の変化や予想外のトレンドには反応が遅れやすい傾向があります。

季節イベントや話題性の高いニュースが出ると、一時的に特定キーワードの検索量が急増しますが、学習が完了するまでは変化に対応できません。また、瞬間的なトレンドの変化にも関わらず、データを学習して変化が落ち着いた後にも影響がでてしまうリスクもあります。

短期間で大きく変動する市場では、状況に応じて手動での調整も検討しましょう。

担当者にスキルやノウハウが溜まりにくい

自動入札を採用すると、担当者に運用スキルやノウハウが積み上がりにくくなる点にも注意が必要です。

入札作業の多くをシステムに任せるため、手動で調整を行えば身につくはずの判断力やデータを読み取る力を養う機会が減ります。さらに、キーワードごとの入札結果を確認しながら試行錯誤する場面が少ないと、市場の急変や競合の動きに対して柔軟な対応がしにくくなります。

経験が不十分な状態では、改善策を検討するときも選択肢が限られ、運用の幅が狭まるリスクがあります。短期的には作業効率が上がる反面、長期的な人材育成や組織としての運用力を考えると、このデメリットには対策が必要でしょう。

Google広告の入札戦略に関するよくある質問

Google広告の入札戦略は便利な反面、疑問や不安がつきものです。ここでは、入札戦略に関してよく寄せられる3つの質問を紹介します。

それぞれの回答を見ていきましょう。

Q1．予算が少ない場合はどの入札戦略が良い？

予算が限られている場合は、無駄なクリックを抑えながら成果に直結する入札戦略を選ぶ必要があります。

限られた費用で幅広くクリックを集めようとすると、広告費が分散し、期待した成果が見えにくくなるリスクが高まります。費用対効果を意識するなら、目標コンバージョン単価やコンバージョン数の最大化といった成果重視の戦略が有効でしょう。

購入や問い合わせなどの明確なコンバージョンポイントを設定し、学習期間を経て広告の精度を高める運用を続けると、限られた予算でも無駄を減らせます。少額予算のときは、狙うポイントを絞った運用を心がけてみてください。

Q2．ポートフォリオ戦略を使うタイミングは？

ポートフォリオ戦略は、複数のキャンペーンや広告グループをまとめて管理し、全体として成果を高めたいときに役立ちます。複数の広告が同じターゲットに向けて配信されている場合や、限られた予算をできるだけ効率よく使いたい場合に向いています。

ただし、キャンペーンごとに狙う成果や役割が大きく違うときは、まとめてしまうと効果が見えにくくなるケースがあります。まずは個別の運用で成果が安定してから、全体を一つの戦略にまとめる流れを意識すると良いです

Q3．入札戦略を活用して運用が悪化しない？

自動入札戦略は便利ですが、設定した直後は成果が揺れやすいため、運用が悪化しないか不安になる場面もあるでしょう。とくに学習期間中は、クリック単価やコンバージョン単価が安定せず、数字が日ごとに変わることも珍しくありません。

運用成果を安定させるためには、戦略を切り替える前に十分なデータを集め、短期的な変化には慌てず構える姿勢が大切です。加えて、広告文やターゲティングの精度を高めておくと、学習中のブレも抑えやすくなります。

また、成果を定期的に確認しながら、必要に応じて入札上限や目標を調整できると安心です。自動入札は万能ではないため、人の判断も交えて見守るような感覚で運用すると、リスクを避けつつ着実に効果を引き出せるでしょう。

Google広告の入札戦略を活用して運用を効率化しよう

Google広告の入札戦略は、広告運用の効率化と成果向上を同時にかなえてくれる頼もしい手段です。目的に合わせて多彩な戦略が用意されており、適切に戦略を選べば手作業では難しい入札調整も自動でこなせます。

さらに、ポートフォリオ戦略を使えば、複数のキャンペーンをまとめて最適化し、予算を無駄なく配分することも可能となるでしょう。反面、自動入札は学習期間が必要で、急なトレンド変化には対応しにくい面もあるので注意が必要です。導入時は定期的に成果をチェックし、必要に応じて手動で微調整すると安心です。

入札戦略の特徴を理解し、自社の目標に合わせて活用していけば、広告運用はより効率的かつ戦略的になります。今回紹介した内容を参考に、自社に合う戦略で成果最大化を目指してみてください。