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エコシステムとは?ビジネスにおける意味や事例をわかりやすく教えます!

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近年、先進的なビジネスモデルを理解するうえでのキーワードとして、「エコシステム」という言葉を耳にすることが増えています。

ビジネスの構造を把握する際に便利な言葉ですが、そこに含まれる領域は非常に幅広く、明確な意味が把握されないまま用いられている例も少なくありません。

この記事では、エコシステムの意味を基礎から解説し、具体的な事例をふまえながら今後の展開について見通していきます。

エコシステムとは

エコシステム(Ecosystem)とは、もともと生物学の分野で「生態系」を表す言葉です。多様な生物が互いに関わりあいながら、全体としての調和を保っている状態を指しています。

生態系においては、食う・食われるの捕食関係のほか、クマノミとイソギンチャクのように互いを必要としあう「共生」の関係が成立していることもあります。エコシステムと呼ばれるのは、こうした複雑な関係性が網の目のように絡み合うネットワークです。

エコシステムにおいては、それを構成する要素が1つでも欠けると、全体のバランスが崩れてしまいます。こうした性質は、ビジネスにおける関係性を描写する際に援用され、「さまざまな主体が異なる関係性を結びながら、全体として調和を織りなしている状態」を指す言葉として流通しています。

ビジネスにおけるエコシステム

ビジネスにおいて、エコシステムは「さまざまな経済主体が互いに関係しあいながら、それぞれが異なる利益やメリットを得られるような経済圏」というニュアンスで用いられます。

一例として、消費者がコメを手に入れるまでの過程を考えてみましょう。生産・流通のプロセスには、生産農家のほかにも、農具や肥料を扱う業者、配送業者や小売業者などさまざまな主体が関与し、それぞれに利益や効用を得ています。

このように、ビジネスにおいては人・モノ・金、さらには情報がたえず交換・取引されており、これらの関係性によって多様な経済主体が利益を獲得しています。つまり、経済的な関係が取り結ばれる場面ではつねに、何らかのエコシステムが形成されているといえるのです。

エコシステムの多義性

一口にエコシステムといっても、そこに含まれる範囲は実に幅広く、ことビジネスに限っても、カテゴライズが困難なほどに多義的な言葉として用いられています。

典型的なのは、企業間の協業関係や、株主と企業との関係など、経済主体間のネットワークを指すケースでしょう。つまり、異なる強みや性質をもったプレイヤーが、共通の目的に向かって協調していくモデルです。

加えて、後述するように、Googleをはじめとする巨大プラットフォーム上で展開される取引やコミュニケーションのスキームなども、エコシステムという言葉で言い表されることがあります。

さらに、一企業内で構築されるビジネスソフトウェアの統合的なシステムを指して用いられるケースも見られ、シーンに応じて多種多様な事柄が指し示されています。

このように、エコシステムは幅広い範囲に適用される言葉ですが、これらに共通するニュアンスとして、「さまざまな要素が絡み合いながら全体として安定したシステムを形成している状況」といった意味合いを挙げることができます。

エコシステムが重要視される背景

上述のように、人々の経済活動はつねに多様な関係性から成り立っており、時代を問わず、人間社会を「生態系」にたとえることは可能でしょう。一方で、近年ことさらにエコシステムという言葉が用いられている背景としては、IT化の動向を受け、ビジネスモデルが多様化・複雑化していることが挙げられます。

たとえば現在では、多くのメーカーや小売業者がEC取引を展開しています。ECプラットフォームに自社商品を出品し、その商品広告をさまざまな媒体で出稿するにあたっては、ECや広告のプラットフォーム事業者など、それまでとは異なる経済主体との取引が生じることになるでしょう。

さらに、データをはじめとする「オンライン上の情報」が取引対象となり、これまでにない価値形態が登場することにより、経済循環のありようが大きく変化していることも、エコシステムが重要視される背景にあると考えられます。

総じて、さまざまな経済主体が登場し、取引のかたちも多様化した現代では、「どのようなエコシステムを通じ、どのように利益がプレイヤーに分配されるか」という可能性も広がっています。これにより、新たなエコシステムを形成したり、参入したりすることの重要性が増していると考えられるでしょう。

エコシステムの代表的な導入方法

何らかのビジネスを展開する際には、必然的に特定のエコシステムのうちに身を置くことになります。さらに、新たにIT技術などを導入することで、自身を取り巻くエコシステムが拡張されるケースもあるでしょう。

以下では、さまざまなビジネスにおいて活用されているエコシステムの例を紹介していきます。

ECサイトを通じたエコシステム

自社の商品・サービスをオンライン上で扱いたい場合には、ECサイトを構築したり、Amazonや楽天などのECプラットフォーム上に出品したりといった方法が考えられます。いずれのケースにおいても、EC展開によって自社の関与するエコシステムには変化が生じることになるでしょう。

たとえば自社のECサイトを構築する際には、サイト制作を請け負う企業や広告代理店、広告の出稿先となるプラットフォーム事業者などとの関係が新たに生じます。

また、ECプラットフォームへ出品する際にも、プラットフォーム事業者との取引のなかで、在庫管理や出荷の方法に変化が起きることがあります。さらに、遠く離れた顧客との関係が生じることで、「顔の見えない相手に対してどうアプローチし、どう満足してもらうか」という新しいマーケティングの視点が重要になってくるでしょう。

クラウドを通じたエコシステム

現在のビジネスシーンにおいては、Webマーケティングにともなう各種解析ツールの導入や、業務効率化を目指したビジネスソフトの導入をはじめ、クラウドサービスの活用が珍しくなくなっています。

クラウドサービスの特徴は、ソフトウェア同士が機能や情報を共有するための仕組みである「API(Application Programming Interface)」を通じて、複数のツール間での連携が容易になる点です。これにより、在庫管理や受注システム、顧客管理システムなどを紐づけ、一元的に管理することも可能になりました。

このような「ツール間の連携によって構成される全体的な管理システム」も、エコシステムの一種に数えられることがあります。この用法においては、経済主体間の直接的な関係性が取り結ばれているわけではありません。しかし、「さまざまな事業者が提供するツール」の統合により、効率的な業務に欠かせない体制が構築されている点で、「要素間の全体的な調和」というエコシステムの性質が実現しているのです。

仮想通貨を軸とするエコシステム

仮想通貨は、「ブロックチェーン」と呼ばれるネットワークを通じて運用されており、そこではさまざまな主体が多様に関与し、それぞれにとってのメリットを引き出しています。

たとえば、ブロックチェーン上の取引を計算・記録(マイニング)する「マイナー」は、計算処理に対する報酬として仮想通貨を獲得しています。さらに、ブロックチェーン上でマーケットやゲームなどのプラットフォームを展開する事業者や、そこに参与する一般ユーザーも、仮想通貨を通じてアイテムなどを取引することで、収益化を図ることができるのです。

このように、仮想通貨のシステムにおいては、多くの主体が異なるかたちでネットワークに参加し、それぞれが利益を得るための土壌が形成されています。新たなビジネスモデルを創出する可能性や、多様なプレイヤーの参与する余地が大きく残されていることから、先進的なエコシステムの形成が期待される領域だといえるでしょう。

エコシステムの具体例

ビジネスにおいては無数のエコシステムが展開されていますが、近年においてはとりわけ、特定の企業が核となって巨大なエコシステムを形成する例が見られます。以下ではとくに、現代を象徴するエコシステムの事例を紹介していきます。

製品・サービスを通じて展開されるエコシステム

スマートフォンやPCは、いまや人々の活動をさまざまな面で支え、思考や行動の地盤としての役割を担っています。ここから、世界的に普及するデバイスやプラットフォームの開発を手がける事業者は、巨大なエコシステムの中核を担いうる存在だといえるでしょう。

たとえばAppleは、MacやiPhoneの開発・製造だけではなく、iTunesをはじめとするiOSに準拠した独自のアプリケーションや、Apple TVなどの互換製品を展開しています。これにより、ユーザーの行動圏において自社製品の存在感を増すことに成功しているのです。

このように、「Apple製品に囲まれた状況」を魅力的な生活環境として展開することも、エコシステムの一種に数えられるでしょう。

さらに、iOS専用のApp Storeにアプリを掲載する事業者や、iTunesに音楽を配信する事業者など、Appleの展開するプラットフォームにおいては多種多様な経済主体が利益獲得を試みており、ユーザーはそれらのサービスを通じて効用を得ています。このように、「Appleを中心とした経済圏」という側面も、現代的なエコシステムの代表例といえます。

巨大プラットフォーム上で展開されるエコシステム

Web検索のプラットフォームとして世界的なシェアを誇るGoogleは、Web施策に関わるサービスを幅広く展開することにより、人々の日常生活からビジネスまでを広範にカバーするエコシステムを展開しています。

広告出稿サービスの面だけを見ても、広告を出稿することで認知を広めたい企業や、自身の媒体に広告を掲載することで収益化を図る企業や個人を巻き込むことで、広大な経済圏が形成されています。さらに、広告代理店やWeb制作会社など、「Googleのプラットフォーム上でいかに施策を展開すべきか」というノウハウがビジネスの対象とされている点も特筆すべきでしょう。

このように、GoogleはいまやWeb上でビジネスを展開するプレイヤーたちが活動するフィールドとしての役割を担っており、非常に広範なエコシステムの地盤として世界に波及しているのです。

産学連携にもとづき展開されるエコシステム

上の例のように、WebサービスやIT関連製品の発展により、エコシステムの形態も複雑化しています。さらに、IT以外の場面でも、資金調達方法の多様化や、協業におけるマッチング制度の進展により、意外性のあるプレイヤーの間でエコシステムが形成される例も見られるようになりました。

たとえば北海道の酒蔵である上川大雪酒造株式会社は、地元の帯広畜産大学と連携し、クラウドファンディングを通じて同大学のキャンパス内に酒蔵を開設しました。大学側は発酵などに関わる実践的な知識を身につける場を得られ、一方の企業側には新製品開発にともなう研究や、次世代教育の推進といったメリットが期待されています。

このケースは、一般的な「メーカーの製品を市場に卸す」というモデルに比べ、製品開発に「教育」という要素を取り込んでいる点や、新製品開発に地方創生の希望を託すクラウドファンディングの出資者を巻き込んでいる点に顕著な違いがあります。こうした「新たな利益相関者の発掘」は、現代の多様なエコシステムの可能性を示す好例といえるでしょう。

(参照:産学官連携ジャーナル「消えた酒蔵がキャンパスに復活|2020年12月」)

社会変革のカギを握るエコシステム

上に見たように、ビジネスにおけるエコシステムのバリエーションはきわめて多様です。さまざまな可能性が発掘されつづけている現在、各国の政府においても、「産業構造の変革」を目指したエコシステムの形成が目指されています。

以下ではとくに日本政府において、どのようなエコシステムのあり方が推進されているのかを見通していきます。

イノベーション・エコシステム

イノベーション・エコシステムとは、技術革新を目指して形成される新たな経済主体間の関係性であり、その最大の特徴は「産官学の連携」にあります。つまり、大学などの研究機関において産業技術の土台を形成しながら、それをビジネス領域へと展開していくモデルを、政府が全面的に後押ししていく構図です。

たとえばドイツのフラウンホーファー研究機構は、「社会に役立つ実用化のための研究」をテーマに、ドイツ国内に76の研究機関を展開し、産業への応用を前提とする技術研究を実施しています。研究予算の30%をドイツ連邦政府および州政府から提供されており、イノベーション・エコシステムの典型的なモデルといえるでしょう。

(参照:フラウンホーファー研究機構「フラウンホーファー研究機構とは」)

スタートアップ・エコシステム

上述のイノベーション・エコシステム形成を目指した動きは、日本国内でも生じています。2019年には内閣府を中心に「スタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」が策定され、2020年には「スタートアップ・エコシステム拠点都市」として計8拠点が選定されました。こうした戦略を通じて、大学や自治体と連携したスタートアップを支援するための予算が確保されています。

各拠点においては、さまざまなプレイヤーが目的に応じて事業の共同体(コンソーシアム)を形成し、それを行政側が支援する体制が整備されています。コンソーシアムにおいては、起業を目指す学生への教育や、研究開発への投資、起業時における海外への情報発信など、さまざまな支援策がとられているのです。

(参照:内閣府「世界と伍するスタートアップ・エコシステム拠点都市の形成」)

このように、多様な経済主体にメリットをもたらすエコシステムの形成は、社会的にも大きな期待を寄せられる分野です。政府による支援などを通じて、異なるプレイヤーとマッチングする機会や、資金提供を受ける可能性が高まることで、アイデアをかたちにするチャンスも広がっていくでしょう。今後は「どのような活動が、誰にとって利益を生むか」という観点が、ビジネスモデルの構築においていっそう重要になっていくと考えられます。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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