WeChatとは?主な機能と日本で使う方法・マーケティングの活用事例も解説
WeChatは中国で普及しているスマホアプリです。日本では知名度が高くありませんが、10億人を超えるユーザーが存在する巨大なプラットフォームとして世界的に知られています。
本記事ではWeChatについて、基本機能や日本での使い方を解説します。WeChatのプロモーション活用法やマーケティング事例についてもまとめました。
WeChatの活用やプロモーション利用を検討している際は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
WeChatとは
WeChatとは、中国のIT企業テンセント(騰訊)が提供するメッセージアプリです。基本的な機能は日本におけるLINEのようなメッセージアプリですが、オンラインショッピングや決済機能、チケット予約など、日常の生活におけるさまざまな機能を搭載している点が特徴といえます。
中国ではWeChatが人気No.1のアプリであり、スマホを購入したら最初にインストールするユーザーがほとんどといわれています。また、テンセント社の調査では毎日WeChatを利用するユーザーが94%以上と高い利用率も特徴的です。
世界におけるWeChatの利用状況
中国で大きなシェアを誇るWeChatですが、世界的にみても利用者が多いアプリといえます。
WeChatは約13億人のユーザー数を誇り、世界の統計レポートを提供する「DataReportal 」によると、世界中で第5位のソーシャルプラットフォームとなっています。中国のユーザーがメインですが、中国以外のユーザーも1億人以上いると推計されます。
また、WeChat利用者の7割以上が35歳以下の若いユーザーであることも特徴的です。中国人はキャッシュレスでの決済が基本のため、オンラインショッピングや決済機能のような生活に必要な機能が搭載されていることも、WeChatが広く利用されている理由の1つといえるでしょう。
参照元:DataReportal「Digital 2023 April Global Statshot Report」
WeChatは日本で使える?利用の注意点とは
WeChatは中国の企業であるテンセント社が開発したアプリですが、日本でも使えます。またWeChatに搭載されている決済機能の「WeChatPay」は、セブンイレブンや東横INNなど、利用できる店舗が増えています。
さらに、企業としてもWeChatのキャンペーン機能やクーポン機能などを活用することで、マーケティング施策の1つとして活用できます。
ただし、クレジットカードか中国の銀行口座を保有していないと入金ができないことには注意が必要です。
WeChatとWeixinの違い
WeChatには、同じテンセント社が開発したWeixinというほぼ同じアプリが存在します。
WeChatとWeixinはほぼ同じ機能をもつアプリですが、WeChatは中国国外向けに開発されたアプリであるのに対し、Weixinは中国国内向けに開発されたアプリです。そのため、Weixinは日本では使うことができない点に注意が必要です。
また、WeChatなら日本企業でも公式アカウントを持てますが、Weixinは日本企業では公式アカウントを持てないことにも注意が必要です。WeChatとWeixinの具体的な違いは以下の通りです。
Weixin | ||
---|---|---|
対象地域 | 中国以外の国 | 中国国内 |
公式アカウント | どの国の法人でも作成可能 | 中国法人のみ |
機能 |
機能面の違いとしては、Weixinの方が利用できる機能が多く、WeChatにはないECサイトへの移動機能やクーポン機能などが実装されています。
WeChatの主な機能
WeChatの主な機能を紹介します。以下の機能がWeChatで利用可能です。
- メッセージの送受信や通話
- モーメンツ
- WeChatPayによるモバイル決済
- ミニプログラム
- QRコードのスキャン・シェイク
各機能の概要を解説します。
メッセージの送受信や通話
メッセージの送受信や通話がWeChatのメッセージアプリとしての基本的な機能です。日本におけるLINEと基本的な機能は似通っており、画像・動画の送信はもちろん、スタンプ機能に似た「ステッカー」機能も搭載されています。
ボイスチャットやビデオ会議による通話、グループメッセージなども可能です。
また、中国ではボイスチャットの利用が一般的である点は日本とは異なるポイントといえます。ボイスチャットが普及している背景として、中国ではテキストが漢字表記であり、ボイスチャットのほうが利便性が高いことが影響していると考えられます。
モーメンツ
モーメンツは他のSNSのフィード投稿に該当する機能です。LINEでは「タイムライン」機能に相当します。
友人や企業の公式アカウントの投稿をモーメンツで確認でき、シェアやコメントなどのアクションを行える点も他のSNSと同様です。企業は公式アカウントを活用して、プロモーションや情報提供を行うという目的でも利用されます。
モーメンツはWeChatユーザーにとって、友人の状態や活動を知る場所として広く利用されています。「WeChatモーメント広告」は、このフィードに広告を表示でき、WeChatユーザーに幅広くリーチできる方法です。
WeChatPayによるモバイル決済
WeChatPayとはWeChatの決済機能です。銀行口座に紐付けするだけで、オフライン・オンラインの買い物での支払いや送金ができます。
また、中国最大級のシェアを誇るWeChatのアプリ内での支払い全般に利用できることから、WeChatPayも大きなシェアを獲得しています。WeChat同士で送金が可能なため、中国国内ではWeChatPayが日常的に活用されています。
WeChatPayの利用に必要な銀行口座は中国国内のものに限られます。そのため、日本人をはじめとした外国人ユーザーは、VISAやMasterなどの国際ブランドのクレジットカードによって本人確認をしなければなりません。
また、クレジットカードで本人確認した場合、銀行口座から直接送金することはできない点に注意しましょう。
ミニプログラム
ミニプログラムはWeChatの代表的な機能で、WeChatアプリ内でさまざまな機能・アプリケーションを利用できます。
WeChatアプリ内でショッピングや公共交通機関の乗り換え案内、各種デリバリーサービスの利用などが可能です。他社のアプリをスマホにダウンロードせず、WeChatアプリで完結する点がミニプログラムの魅力といえます。
また、ミニプログラムでのサービス利用料や商品の購入代金は、全てWeChatPayに連携しているため、アプリ内での支払いが可能です。
その利便性からミニプログラムのユーザーは11億人以上であり、「WeChatといえばミニプログラム」と評価する方も多いでしょう。
QRコードのスキャン・シェイク
QRコードのスキャン・シェイク機能もWeChatの特徴的な機能です。
QRコードのスキャン機能は日本の各種アプリに搭載されている機能と同様で、QRコードを読み取ることで各種リンク先ページに移動したり、決済を行ったりします。
シェイク機能はLINEの「ふるふる」機能に似た機能で、端末を振って他のユーザーと連絡先交換が可能です。そのほか、シェイク機能を利用して、テレビの企画に参加したり、飲食店などで流れている楽曲の情報を取得したりといった多様な用途で利用できます。
WeChatはビジネスに利用できる?ビジネスアカウントの特徴
WeChatはビジネス用途での利用が可能です。企業がWeChatを利用する場合、ビジネスアカウントを開設する必要があります。
WeChatのビジネスアカウントには以下の3種類があり、目的や用途に応じたものを選択しましょう。
- サービスアカウント
- サブスクリプションアカウント
- エンタープライズアカウント
各アカウントについて説明します。
サービスアカウント
サービスアカウントは、一般的な企業向けのアカウントであり、フォロワーであるユーザーに情報発信を行うことはもちろん、ユーザーとのコミュニケーションを重視しています。
サービスアカウントで配信する情報はWeChatの一般ユーザーのチャット画面と同じ場所に表示されます。次で紹介するサブスクリプションアカウントよりもメッセージの開封率が高い傾向にある点がサービスアカウントの特徴です。
そのほか、ビジネス向けの機能が充実しているため、中国向けのビジネス展開を検討している日本企業の多くはサービスアカウントが適しています。
サブスクリプションアカウント
サブスクリプションアカウントは、個人や中小規模のメディア向けのアカウントです。
毎日コンテンツを配信できますが、通常のチャット画面に表示されないため、メッセージの開封率がサービスアカウントより低い点に注意しましょう。
一方、日常的なコンテンツ発信には適していることから、ニュースサイトのようなトレンド性が高い情報発信を行う場合に向いているビジネスアカウントです。
サブスクリプションアカウントもサービスアカウントも、ユーザーからの基本メッセージの受信・返信のAPIは利用できる点に違いはありません。
エンタープライズアカウント
エンタープライズアカウントは企業向けのビジネスアカウントです。
WeChatのメッセージ機能を社内のビジネスチャットとして利用するためのアカウントであり、日本国内で利用されるchatworkやSlackをイメージするとわかりやすいでしょう。
社内でのクローズな利用を目的としているため、プロモーションやマーケティングといった用途では使用できません。
中国ではメールの利用率が低く、チャットがメインであるため、WeChatのエンタープライズアカウントは利用のシェアを伸ばしています。
WeChatのビジネスアカウントを申請する方法
WeChatのビジネスアカウントを申請する方法を以下の6ステップにまとめました。
- WeChat公式サイトから申請開始
- アカウントの種類を選ぶ
- メールアドレスなどの情報を入力
- 各種情報・書類を提出して認証を行う
- アカウント開設の審査
- 審査完了後にIDやアイコンの設定
各種作業・承認は中国語で行う点に注意しましょう。中国語でコミュニケーションが取れる方がいる状態で手続きを進めるとスムーズです。
また、認証に必要な書類や情報は以下が挙げられます。
- 登記簿謄本に記載されている情報
- 銀行口座情報
- 運営担当者のパスポートの番号
- 登記簿謄本の画像
- 運営担当者の携帯電話料金明細(直近3ヶ月分)
審査には1ヶ月ほどかかるため、余裕を持って審査に臨みましょう。
中国語を話せるスタッフがいない、作業が難しい場合はWeChatのアカウント開設代行や運用代行のサービスを展開している企業もあります。必要に応じて上記代行サービスの利用も検討してみてください。
WeChatのプロモーション活用方法
中国をはじめとして世界中に多くのユーザーがいるWeChatで効果的なプロモーションを行うことで、新たな顧客層へのリーチが期待できます。
ここからは、WeChatのプロモーション活用法として、以下の方法について解説します。
- WeChat広告を利用する
- ミニプログラムを制作する
WeChat広告を利用する
WeChat広告はWeChatアプリ内に表示できる広告であり、他のSNSの利用を制限されている中国人ユーザーにプロモーションを行う際に有用な方法です。
WeChat広告には以下の種類があります。
- 公式アカウント広告
- モーメンツ広告
公式アカウント広告はバナー広告のような立ち位置で、ページの上・中・下部に広告を設置できます。公式アカウントのフォロー促進やアプリダウンロード、クーポン配布などさまざまな用途で利用可能です。
モーメンツ広告は、WeChatのモーメンツに表示できます。シェアが可能な点やユーザーとのコミュニケーションが可能なことから拡散性が高く、認知度を大きく高める効果が期待できる点が特徴的です。
ミニプログラムを制作する
ミニプログラムを制作する方法もあります。
ミニプログラムは他のアプリをダウンロードせず、WeChat内でさまざまな機能・アプリを利用できる仕組みです。
WeChatの利便性が高いことから、他社ECサイトを見る機会が少ない中国人ユーザーにプロモーションするためには、WeChat内のミニプログラムを制作する方法が適しています。
アプリ開発をゼロから行うよりもコストや時間がかからないうえに、中国人ユーザーに効果的にプロモーションできるため、ミニプログラムの制作を積極的に行うことをおすすめします。
また、ミニプログラムに表示できる広告もあるため、前述した公式アカウント広告・モーメンツ広告とあわせて利用を検討してみてください。
WeChatを活用した企業のマーケティング事例
日本国内でWeChatを活用したマーケティング成功例としてドン・キホーテの事例を紹介します。
中国人はキャッシュレス決済を利用することがほとんどであり、中国ではWeChat Payを利用する場合が非常に多いです。
ドン・キホーテは、中国人観光客向けに決済手段としてWeChat Payを導入し、わずか数日で予想を上回る利用が見られたことから、WeChatを活用したマーケティングに成功しています。
また、WeChat Payを利用してドン・キホーテで決済を行うと、自動的にドン・キホーテの公式アカウントをWeChatでフォローする仕組みを採用しました。顧客対応を充実させることや店舗からの情報配信の効率化などさまざまなメリットがあります。
中国で高いシェアを誇るメッセージアプリであるからこそ、WeChatの活用は中国人観光客向けのインバウンドマーケティングとして有効な手段といえます。
参照元:ケータイWatch
WeChatでインバウンドマーケティングを拡大しよう
WeChatは中国で広く利用されているメッセージアプリです。
チャット機能以外にさまざまな機能が搭載されているスーパーアプリ、オールインワンプラットフォームとして、全世界13億人ものユーザーが利用しています。
中国人向けのプロモーションにおいて、WeChatのビジネスアカウントを作成して広告を掲載する方法やミニプログラムの制作は非常に有効な手段といえます。
また、ドン・キホーテの成功事例のとおり、WeChat Payへの対応をはじめとしたWeChatを取り入れた中国人観光客向けの対応によって、インバウンドマーケティングの拡大も期待できます。
新しい顧客層や販路の開拓、インバウンドマーケティングの成功を目的とする場合は、WeChatを効果的に活用してみましょう。
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