鍼灸院の広告規制とは?掲載できる内容とNG表現をわかりやすく解説
鍼灸院の広告規制は、あはき法をはじめとする複数の法律によって厳しく定められており、掲載できる内容はあらかじめ限られています。
例えば、「腰痛に効果があります」「地域No.1の鍼灸院」といった表現は違反になることがあり、知らずに使い続けると30万円以下の罰金や行政指導を受けるリスクがあります。
本記事では、広告に掲載できる内容から違反した場合のリスク、やりがちなNG表現の具体例を解説。広告規制を守りながら最大限に魅力を伝えるコツを知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
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鍼灸院の広告で書ける内容は限られている

鍼灸院の広告は、あはき法(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律)によって、掲載できる項目があらかじめ決められています。書いてよいとされている項目以外は、原則として掲載できません。
掲載できる主な項目は以下の通りです。
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| 業務の種類 | はり業・きゅう業 |
| 施術所の名称・電話番号・所在地 | ○○鍼灸院、TEL:xxx-xxxx、○○市○○町1-2-3 |
| 施術者の氏名 | 院長:山田太郎 |
| 施術日・施術時間 | 月〜土 9:00〜18:00 |
| 予約制であること | 完全予約制 |
| 駐車場の有無 | 駐車場3台あり |
| 医療保険療養費支給申請ができる旨 | 神経痛・リウマチ・五十肩等、医師の同意が必要な疾患について申請可 |
看板やチラシなどの広告では、上記の項目以外(施術歴や実績、効果を保証する表現、ビフォーアフター写真、口コミなど)は原則として掲載できません。ホームページも広告規制の対象となる場合がありますが、厚生労働省のあはき・柔整広告ガイドラインに沿った情報提供は認められています。
あはき法が定める鍼灸院の広告規制の基本

鍼灸院の広告ルールの中心となるのが、あはき法です。広告に書いてよい内容が法律であらかじめ決められているため、それ以外の内容は原則掲載できません。
制限が設けられている背景には、鍼灸が身体に直接関わる施術であることが関係しています。誇大な広告表現が許されると、患者が過度な期待を抱き、適切な医療機関を受診する機会を逃すおそれが出てしまうからです。
また、鍼灸院の広告にはあはき法以外の法律も関係しており、掲載内容によって注意すべきルールが異なります。
| 関連法律 | 関わる内容 |
|---|---|
| 医師法・医療法 | 医療機関と誤認される表示や、医療行為・治療をうたう表現への注意 |
| 景品表示法 | 「満足度98%」「地域No.1」など、客観的根拠のない誇大な表示への注意(ステマ規制含む) |
参照:厚生労働省|第 19 回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会
参照:消費者庁|令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。
広告規制の対象になる3つの要件
発信する情報のすべてが広告として規制対象になるわけではありません。法律上、次の3つをすべて満たした場合に広告とみなされます。
- 誘引性:来院を促す目的があること(「初回無料」「今すぐご予約ください」など)
- 特定性:どの鍼灸院の情報か分かること(院名・住所・電話番号・URLなど)
- 認知性:不特定多数が見られる状態にあること(ホームページ、SNS投稿など)
※特定の患者に個別で送るメールやLINE、院内だけで配る資料などは、原則として広告に該当しません。
鍼灸院の広告でやりがちなNG表現

実際によく見かけるNG表現を3つのパターンに分けて解説します。自院の広告と照らし合わせて確認してみてください。
効果・症状に関するNG表現
施術の効果や症状について記載する際、「治る」「改善する」など効能を断定する表現は避ける必要があります。鍼灸院は医療機関ではないため、医療行為と誤認されるおそれのある表現は認められていません。
- 「腰痛・肩こりに効果的」
- 「慢性疲労が改善します」
- 「○回で痛みがなくなった」
- 「根本から治します」
- 「がん・アトピーにも対応」
- 「自律神経の乱れを整える」
ホームページなどでは掲載できる情報の範囲が広告より広い場合がありますが、チラシ・看板・リスティング広告などの広告媒体では、症状名や施術効果を強調した表現は規制対象となる可能性があります。特に「治る」「改善する」「効果がある」などの断定的な表現は、医療的な効能を保証していると受け取られるおそれがあるため注意が必要です。
実績・経歴・料金に関するNG表現
チラシや看板に掲載できるのは、法律で定められた基本情報に限られます。法律に明記されていない実績や経歴の強調、過度な安さの訴求は原則として認められていません。
- 「施術件数3万人突破」
- 「経験20年のベテラン施術者」
- 「○○大学卒業・○○学会会員」
- 「地域No.1の鍼灸院」
- 「患者満足度98%」
- 「初回限定○○円」を強調した過度な価格訴求
- 「期間限定20%オフ」
「地域No.1」「満足度98%」などの表現は、客観的かつ合理的な根拠を示せない場合、景品表示法上の優良誤認表示(同法第5条第1号)に該当するおそれがあります。また、「初回限定○○円」「期間限定20%オフ」のような価格訴求についても、実際の取引条件と異なる表示を行うと有利誤認表示(同法第5条第2号)に該当する可能性があります。
ビフォーアフター・口コミに関するNG表現
ビフォーアフター写真や口コミは、「この施術を受ければ必ず良くなる」と読者に誤認させるおそれがあるため、広告での使用には厳しい制限があります。
- 施術前後の姿勢・体型を比較した写真
- 「一度の施術で腰がまっすぐに!」などのキャプション付き写真
- 患者から許可を得た体験談の掲載(例:○○さん・40代女性「肩こりが楽になりました」)
- 「医師も推薦する鍼灸院」などの第三者推薦表現
ビフォーアフター写真は、医学的根拠がある場合を除き、実際より効果が大きく見える見せ方は避ける必要があります。口コミについては、患者自身が自発的に投稿したものは広告規制の対象外ですが、院側がホームページやチラシなどに引用・転載した場合は広告として扱われるためNGとなります。
鍼灸院の広告規制に違反した場合のリスク

広告規制に違反すると、行政からの指導や改善命令、罰金などのペナルティ、院の信頼低下といったリスクが生じる可能性があります。
あはき法違反の罰則
広告規制に違反した場合は、30万円以下の罰金が科される可能性があります。実際には直ちに罰則が適用されるのではなく、まずは保健所や自治体による指導・是正勧告が行われるケースが一般的ですが、改善が見られない場合には法的措置へ発展するリスクがあります。
参照:厚生労働省|あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師について
景品表示法違反の罰則
根拠のない優良誤認表示や有利誤認表示を行った場合は、景品表示法違反となる可能性があります。
景品表示法に違反すると、消費者庁から措置命令が出され、違反表示の取りやめや再発防止策の実施、従業員への周知徹底などが求められます。また、措置命令の内容は消費者庁によって公表されるため事業者の信用低下につながったり、違反の内容によっては課徴金納付命令の対象となったりするので、表示内容には注意が必要です。
鍼灸院の広告規制を守りながら魅力を伝える方法

広告に書ける内容が限られていても、ホームページやポータルサイト、院内POPを組み合わせれば、規制の範囲内で院の魅力を伝えることができます。
ホームページで情報を充実させる
ホームページには、患者が来院前に知りたい情報を整理しながら掲載することが大切です。施術内容や料金、院内の雰囲気、施術者の紹介など、安心して来院できる材料となる情報を盛り込みましょう。
- 院長・スタッフの経歴や資格
- 施術内容・施術の流れの詳細説明
- 院の理念・特徴
- 料金表
- 院内の雰囲気を伝える写真・動画
- よくある質問(FAQ)
ホームページも広告の3要件を満たす場合は規制の対象ですが、厚生労働省のガイドラインに沿った形であれば、安心感を与えるための詳細な情報提供が認められています。ただし、ホームページであっても「必ず治る」といった誇大表現や、加工・修正したビフォーアフター写真の掲載などはNGです。
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患者の自発的な口コミを増やす
患者が第三者サイトへ自発的に投稿した口コミは、通常、院が行う広告には該当しません。そのため、Googleマップへの投稿を促したり、院内でさりげなくお願いしたりすることで来院者の声を集められます。
口コミ投稿を依頼する際は、「口コミを書いてくれたら割引します」「無料モニターになってください」など、特典や見返りを条件として口コミ投稿を依頼する行為はNGです。また、集まった口コミをチラシなどに引用・転載する行為も広告として扱われる可能性があるため注意しましょう。
ポータルサイトを戦略的に活用する
ホットペッパービューティーやEPARK、エキテンなどのポータルサイトでは、料金・施術内容・特徴など、広告では載せられない情報も掲載できます。ポータルサイト自体のSEOが強いため、自院のホームページより上位に表示されやすく、新規患者との接点を増やせます。
ただし、ポータルサイトに掲載する情報も広告として扱われる場合があるため、誇大表現や虚偽表示がないか確認することが大切です。
院内POPで来院患者へのアプローチを強化する
院内のPOPやパンフレットは、患者に直接手渡す・院内に掲示するものであれば、広告規制の対象外になることがあります。ただし、不特定多数の目に触れる掲示方法や、誇大表現などを含む内容の場合は、広告とみなされる可能性があるため注意が必要です。
- 施術内容の説明
- ツボの図解や鍼灸の仕組み
- 鍼灸で期待できる体の変化の解説
鍼灸院は慢性的な症状への対応も施術範囲に含まれるため、院内POPで「どのようなお悩みに対応しているか」を分かりやすく伝えると、リピートやご紹介につながりやすくなります。ただし、「効果があります」「必ず治ります」のような断定的な表現は、院内POPでも規制対象になる可能性があるため避けましょう。
鍼灸院の広告規制でよくある質問

ここでは、鍼灸院の広告規制に関するよくある質問を解説します。
- Q1. 院のSNS投稿も広告規制の対象になりますか?
- Q2. 患者から届いた口コミを院のホームページに掲載してもよいですか?
- Q3. 「施術歴20年」のような経歴は一切記載できませんか?
Q1. 院のSNS投稿も広告規制の対象になりますか?
不特定多数が見られる状態にあり、来院を促す内容で院名などが特定できる場合、SNS投稿も広告とみなされる可能性があります。
Q2. 患者から届いた口コミを院のホームページに掲載してもよいですか?
患者の体験談や感想を広告として掲載することは避けるべきです。患者が外部サイトに自発的に投稿したものは問題ありませんが、院側がホームページやチラシに転載した時点で院が管理する広告として扱われます。
Q3. 「施術歴20年」のような経歴は記載できませんか?
チラシや看板などの広告には記載できません。ホームページでは、広告ガイドラインに沿った情報提供として掲載できる場合があります。
鍼灸院の広告規制まとめ

鍼灸院の広告は掲載できる項目が基本情報に限られており、知らずに違反するとペナルティを受けるリスクがあります。一方で、ルールを遵守しながらホームページや院内POPを賢く活用すれば、院の魅力を十分に伝えることが可能です。
公開済みの広告を見直す際は、以下のチェックポイントを確認してみてください。
- 効果を断定する表現(「治る」「改善する」など)が入っていないか
- 経歴・実績を強調する表現(「○年」「○名実績」など)が入っていないか
- 「No.1」「満足度○%」など根拠のない優位性表示がないか
- ビフォーアフター写真や患者の体験談を掲載していないか
- 割引・キャンペーン価格を強調しすぎていないか
- SNS投稿やホームページの誘引性・特定性・認知性を確認したか
まずは自院の広告を確認し、上記のチェックポイントに沿って適切に情報が掲載されているか見直すことから始めてみましょう。
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