家庭教師の開業方法！始め方から必要な準備、成功のポイントまで解説

「家庭教師として開業してみたいけれど、何から始めればいいの？」

そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

家庭教師は、教室を構える必要がなく、比較的少ない資金で始められるため、副業から独立まで幅広い働き方を実現できる仕事です。一方で、準備不足のまま始めてしまうと、集客や契約でつまずいてしまうケースも少なくありません。

本記事では、家庭教師の主な開業方法から、開業までの具体的な準備手順、必要な資格や費用、安定して生徒を集めるための成功のコツまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

家庭教師の開業方法

家庭教師として開業する方法には、大きく分けて「派遣会社を利用する方法」「個人事業主として独立する方法」「オンライン専門で活動する方法」の3つがあります。

それぞれ、初期費用のかかり方や集客のしやすさ、収入の伸ばし方、働きやすさに違いがあるため、自分の目的やライフスタイルに合った開業スタイルを選ぶことが大切です。

ここでは、家庭教師の代表的な開業方法について、それぞれの特徴や向いている人のタイプを分かりやすく解説します。

派遣会社を介して開業する

個人で広告宣伝を行う手間やコストをかけたくない場合は、派遣会社を介した家庭教師の開業がおすすめです。指導経験や資格がある方であれば、派遣会社に登録するだけで集客や生徒とのマッチングを会社側が代行してくれるため、初期費用をほとんどかけずにスタートできます。

安定して案件を紹介してもらえるので、副業として家庭教師を始めたい方にとっても継続しやすく、収入につなげられる開業方法となります。

個人事業主として開業する

しっかり収入を得たい、自由な働き方をしたい場合は、個人事業主として家庭教師を開業する方法がおすすめです。個人で開業する場合は、指導料金や授業内容を自分で決められるため派遣会社に支払う手数料がかからず、売上をそのまま収益にできます。

また、難関校受験対策など、専門性の高い指導ができる場合は、時給5,000円以上の料金設定も可能です。生徒数が少なくても安定した収入を見込めるため、スキルや実績に自信があり、高収入を目指したい方に向いています。

オンライン家庭教師として開業する

オンライン家庭教師は、インターネットを活用して自宅から授業を行うスタイルです。パソコンやタブレット、ビデオ通話ツールがあれば開業できるため、教室を構える必要がなく、初期費用を抑えて始められます。

また、全国の生徒に対応できるため、地域にしばられず生徒募集の幅を広げられます。自分のライフスタイルに合わせて働くことも可能なので、働きやすさと集客効率の両方を重視したい家庭教師にとって、オンライン開業は非常に相性の良いスタイルといえるでしょう。

庭教師開業までの流れ・準備５ステップ

ここでは、家庭教師開業までの流れ・準備ステップを5段階に分けて分かりやすく解説します。

一つずつみていきましょう。

ステップ1：ターゲット・料金体系を設定する

家庭教師として開業する際は、まず「どんな生徒に、どんな指導をするのか」「いくらで教えるのか」を明確に決めることが大切です。対象があいまいなままでは、他の家庭教師との差が伝わらず、生徒に選ばれにくくなってしまいます。

教える学年や担当科目、指導スタイルを決めたら、同地域やオンライン指導の相場を調べ、無理のない授業料を設定しましょう。指導レベルに見合った適正価格を意識することが、継続して受注を増やすためのポイントとなります。

ステップ2：指導方法を決める

次に、どのように指導を行うかを具体的に決めましょう。指導方法は、生徒の自宅へうかがう対面指導にするのか、オンライン指導にするのかを決め、使用する教材や授業の進め方、授業後の報告方法なども整理しておきましょう。

指導方法をはっきりさせておくことで、サービス内容が伝わりやすくなり、契約後のトラブル防止や満足度アップにつながります。

ステップ3：開業届を提出する

家庭教師を個人事業主として始める場合は、税務署へ開業届を提出する必要があります。開業届は、最寄りの税務署での書面提出、またはe-Taxを利用したオンライン提出が可能で、どちらも手続きは簡単です。

開業届は事業開始後1カ月以内の提出が定められているので、家庭教師として開業したら早めに手続きを済ませておきましょう。

参考：国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」

ステップ4：お試しレッスンと契約の流れを決める

生徒と契約する前に、お試しレッスンの実施方法や、契約までの流れをあらかじめ決めておきましょう。ルールがはっきりしていないと、料金や指導期間、キャンセル対応などをめぐってトラブルが起こりやすくなってしまいます。

また、特定商取引法の対象となる場合、サービス内容をまとめた書面や契約書を交付し、クーリングオフ制度についても事前に説明する必要があります。生徒や保護者に安心して利用してもらうためにも、法律を守ったうえで、分かりやすい契約手続きを整えておくとよいです。

ステップ5：宣伝を行う

家庭教師として開業した後は、生徒を集客するための宣伝を行いましょう。特に個人で開業する場合は、あなたの存在を知ってもらう必要があるため、自ら積極的に情報発信を行うことが必要です。

宣伝方法としては、Webサイトで指導実績や専門分野を紹介したり、SNSや地域情報サイトで日々の指導の様子を発信したりする方法があります。できるだけ早く宣伝を始めることで認知が広がり、生徒からの問い合わせにつながりやすくなるので、開業と同時に行動を始めるとよいです。

家庭教師の開業に必要な資格・許可

家庭教師として開業するために、特別な国家資格や許可は法律上は必要ありません。ただし、生徒や保護者から信頼を得るためには、資格や学歴が大きな強みになります。

例えば、教員免許、TOEICの高スコア、有名大学の卒業といった実績は、指導力や専門性を分かりやすく伝える材料になります。必須条件ではないものの、自身の資格や経歴を積極的にアピールすることで、ほかの家庭教師との差別化ができ、選ばれやすくなるでしょう。

家庭教師の開業にかかる資金

家庭教師の開業時に必要な資金としては、「初期費用」「運営資金」の2つが挙げられます。以下では、それぞれの資金の目安について解説します。

初期費用

家庭教師の開業にかかる初期費用は、約15〜100万円が目安です。家庭教師は、教室を構えたり高額な設備を用意したりする必要がほとんどないため、学習塾などと比べて初期費用を抑えやすいことが特徴です。

個人で開業する場合でも、主な費用はWebサイト制作やチラシ作成などの広告宣伝費が中心となります。多額の資金を用意しなくても始められるため、他業種に比べて低リスクで開業できます。

運営資金

家庭教師の開業後にかかる運営資金には、Webサイトの維持費や広告費、生徒宅訪問のための交通費、オンライン指導用の通信費などがあります。

中でも、サイト維持費や通信費は毎月数千円〜数万円程度に収まるケースが多く、大きな固定費は発生しにくいです。さらに広告費は売上に応じて柔軟に調整できるため、資金繰りの負担を抑えながら、無理のないペースで事業を進められます。

家庭教師の開業を成功させるコツ

家庭教師として安定して成果を出すためには、生徒の満足度を高める指導姿勢に加え、実績の見せ方や専門性の打ち出し方などの選ばれるための工夫が欠かせません。

ここでは、家庭教師の開業を成功させるために押さえておきたいコツを紹介します。

生徒の目標達成に注力する

家庭教師の開業を成功させるためには、生徒一人ひとりの目標に合わせた指導を行い、成果につなげることが大切です。成績アップや志望校合格といった結果が出ることで、保護者からの信頼が高まり、紹介や口コミにつながります。

そのためには、最初の面談で学習状況や苦手分野を丁寧に確認し、生徒ごとに「どこを・いつまでに・どう伸ばすのか」を明確にしたうえで指導を進めていくとよいです。授業では理解度を細かく見ながら内容を調整し、学習の進捗や成果をこまめに保護者と共有することで、安心感と納得感のある指導を行えます。

合格実績や生徒の声をWebサイトで公開する

開業後のWebサイトには、合格実績や生徒・保護者の声を積極的に掲載しましょう。具体的な体験談があることで、家庭教師を探している人に指導内容や指導の効果、人柄が具体的に伝わります。

また、「〇〇大学合格」「定期テストで20点アップ」といった実績や、「家庭教師のおかげで苦手科目を克服できた」といった声を掲載すれば、指導のイメージがより明確になり、申し込み前の不安が軽減されます。

専門性の高い分野に特化する

競争の激しい家庭教師業界で生き残るためには、専門性の高い分野に特化してターゲットを絞ると良いです。たとえば、「理系特化型」「医学部受験専門」など、ニッチな分野に焦点を絞ることで、ターゲットとなる生徒から選ばれやすくなります。

科目を広く扱いすぎると埋もれてしまい、特徴のない家庭教師として指名されにくくなります。だからこそ、得意分野をはっきり打ち出し、この分野ならこの家庭教師と認識してもらえる状態をつくることが成功を目指すうえで大切です。

家庭教師の開業まとめ

家庭教師の開業は、派遣型・個人事業主・オンラインなど、ライフスタイルや目標に合わせた方法を選べるのが大きな魅力です。

開業にあたっては、ターゲットと料金設定、指導スタイルの決定、開業届の提出、契約手続きの整理、そして集客活動という流れで準備を進めていきましょう。

特別な資格は必須ではありませんが、自身の学歴や実績、専門分野を明確に打ち出すことで差別化が可能です。初期費用や運営資金も比較的抑えられるため、低リスクで始めやすい事業といえます。

今回紹介したポイントを押さえながら準備を進めれば、初心者でも安心して家庭教師としての独立・開業を目指せるはずです。自分に合った開業スタイルを見つけ、安定した家庭教師ビジネスを実現してみてください。