
オプトインとは?オプトアウトとの違いや個人情報保護法との関係性を解説
企業がメールやLINEで情報発信をする際、「ユーザーからの同意」はどこまで必要か、迷ったことはないでしょうか。とくに近年は個人情報保護の意識が高まり、オプトインの対応を誤るとトラブルや法的リスクに発展する可能性もあります。
本記事では、そもそもオプトインとは何かをわかりやすく解説します。オプトアウトとの違いや、個人情報保護法との関係性、オプトイン取得方法や注意点などの実務に役立つ知識も紹介しています。ぜひ参考にしてください。
目次
マーケティングにおける「オプトイン」とは?

マーケティングにおける「オプトイン」とは、企業がユーザーに対して広告・宣伝メールなどを送る際に、あらかじめ本人の許可を得ることを意味します。とくに個人情報を活用するメールマーケティングでは、法律的にも必須です。
なお、登録フォームでの簡易的な承認となる「シングルオプトイン方式」と、仮登録・本登録の2段階承認による「ダブルオプトイン方式」の2種類があります。
どちらの方式を採用するかは目的や業界によって異なりますが、ユーザーとの信頼関係を築く上でも、明確な同意プロセスは非常に重要となるでしょう。
オプトインとオプトアウトの違い

オプトインとオプトアウトの違いは、ユーザー側・企業側どちらに主導権があるかという点です。
オプトインは、あらかじめユーザーから同意を得た上で、メール配信などを行う方式です。一方のオプトアウトは、企業が先に情報を配信し、ユーザーが後から配信停止や受信拒否を選べる仕組みです。
2025年現在では、個人情報を取り扱う場合のオプトアウト方式は法律で禁止されています。
オプトインに当てはまるもの
オプトインは、ユーザーが「情報を受け取ってもいい」と事前に同意した上で行われる配信方法です。以下のようなケースが代表的です。
- メルマガ登録
- キャンペーン応募
- LINE公式アカウント登録
- 会員登録時のチェック項目
これらのケースでは、配信前にユーザーの同意をしっかり取得することが、法的にも信頼構築の面でも重要です。
オプトアウトに当てはまるもの
オプトアウトは、企業が先に情報を送った上で、ユーザーがあとから配信を停止できる形式です。以下のようなケースが該当します。
- Googleストリートビュー掲載
- 既存顧客への営業メール
- 名刺交換後の連絡
- Cookie広告(配信停止リンク付き)
ただし、個人情報保護法に触れるおそれがあるため、企業側はオプトイン方式を採用しておいたほうが無難です。
オプトインは個人情報保護法で義務化

個人情報保護法では、「企業が個人情報を第三者に提供する場合は、原則として本人の同意が必要」と定められています。これにより、マーケティングにおいてもオプトインは義務とされています。
迷惑メール対策として制定された「特定電子メール法」でも、ユーザーが承諾していない段階での広告メール配信(オプトアウト方式)は禁止されています。
個人情報を含むかどうかにかかわらず、企業側はオプトイン方式を採用しておくのが無難でしょう。違反した場合は、罰金や懲役といった刑事罰の対象となることもあります。
法律の対象になる情報とは
以下は、オプトインが必要とされる代表的な個人情報です。
- 氏名
- メールアドレス
- 電話番号
- 住所(都道府県以降)
- 生年月日
- クレジットカード情報
- 会員IDやログイン情報
- 端末IDやCookieによる識別情報
- 購買履歴や閲覧履歴などの行動データ
- 位置情報(GPSによる現在地など)
個人を特定できるであろう情報が1つでも入っている場合は、オプトイン方式を採用しておきましょう。
法律の対象外になるケースもある
自ら個人情報を手渡した場合や、ネット上に公開されている連絡先に関しては、法律の対象外となります。
- 既存の取引先に送る仕事メール
- 名刺や署名などで連絡先を取得
- WebサイトやSNSなどからの問い合わせ
ただし、これらはあくまで「明確に本人の意思で情報を提供した」ケースに限られます。
企業側が一方的に取得した情報や、用途が限定されていない場面での利用は、個人情報保護法の対象となる可能性があります。例外に該当する場合でも、オプトインの考え方を取り入れておいた方がリスクは少ないでしょう。
オプトインの重要性

マーケティングにおけるオプトインの重要性は、以下の通りです。
- ユーザーからの信頼性が上がる
- 開封率・反応率が高くなる
- リストの質が向上
- マーケティング施策の精度が上がる
- 法令順守でリスクを回避できる
それぞれについて簡単に解説していきます。
ユーザーからの信頼性が上がる
オプトインは、ユーザー自身が「情報を受け取ることに同意した」という前提で成り立っています。無断で配信されるメルマガやDMに比べて、企業姿勢として誠実さが伝わりやすく、ブランドイメージの向上にもつながります。
また、配信停止などのクレームが起きにくくなるため、長期的なファンとの関係構築にも効果的です。「ちゃんと許可をとってくれる企業だ」という安心感は、ユーザーとの信頼関係を深める大きな武器になります。
開封率・反応率が高くなる
オプトインしてくれたユーザーは、自ら進んで情報を受け取る意思を示した“関心層”です。興味のないユーザーに無差別で配信する場合と比べて、メールの開封率やリンクのクリック率が圧倒的に高くなります。
とくにメルマガやLINE配信などでは、オプトインリストの精度が成果を大きく左右します。配信件数が少なくても、高反応を得られることで、運用コストも抑えつつ効果的なアプローチが可能です。
リストの質が向上
オプトインで集めた顧客リストは、「情報提供に前向きなユーザー」で構成されているため、リードの質が非常に高いという特徴があります。精度の低いリストを使った一斉配信では、開封されずに終わることが多く、労力やコストも無駄になりがちです。
一方でオプトインリストは、後々のセグメント配信や顧客育成にも活用しやすく、商談や購買といった次のアクションに繋がる確率も高まるでしょう。
マーケティング施策の精度が上がる
ユーザーがオプトインする際に得られる情報(属性・関心・行動履歴など)は、マーケティングの精度を大きく左右します。収集したデータをもとに、セグメントやパーソナライズ配信を行えば、よりユーザーに響くメッセージが届けられます。
とくにMA(マーケティングオートメーション)やステップメールとの相性は抜群で、個々の関心に合わせたタイミングでアプローチできるのが大きな強みです。
法令順守でリスクを回避できる
先述した通り、個人情報保護法や特定電子メール法では、同意のない状態での配信(オプトアウト方式)が原則禁止とされています。万が一、違反と見なされた場合には、企業イメージの失墜だけでなく、罰金や懲役といった法的制裁を受けるリスクもあります。
そのため、法律に抵触しないためにも、オプトインを前提とした情報配信を徹底することが企業の責任となります。とくにBtoC領域では監査や通報の対象になりやすく、早めの対応が安心です。
オプトインの正しい取得方法

オプトインでユーザーに事前に同意を得る方法は、主に以下の4つのようなものがあります。
- フォーム入力でのオプトイン
- ポップアップ・バナーでのオプトイン
- キャンペーン応募によるオプトイン
- メール・LINEでのリスト獲得
それぞれについて解説していきます。
フォーム入力でのオプトイン
お問い合わせや資料請求、会員登録などのフォームは、最も一般的なオプトイン取得手段の一つです。入力時に「メールを受け取る」「お得な情報を希望する」などのチェックボックスを設けて、ユーザーに明確な選択をしてもらうことが大切です。
チェックがデフォルトでONになっていると、誤認されやすくトラブルのもとになるため、ユーザー自身に意思表示させる設計が推奨されます。情報提供の範囲や頻度についても、わかりやすく記載しておきましょう。
ポップアップ・バナーでのオプトイン
サイト訪問時に表示されるポップアップやバナーを使ったオプトインも効果的です。タイミングや表示場所を工夫すれば、自然な形でユーザーの関心を引き、同意を得る導線を作ることができます。
ただし、押しつけがましい演出や閉じにくいUIは逆効果となるため注意が必要です。目立ちすぎず、自然に目に入る設計にすることで、コンバージョン率にも良い影響を与えます。
キャンペーン応募によるオプトイン
プレゼント企画や抽選キャンペーンなどに参加してもらうことで、楽しみながらオプトインを得られる手法です。ユーザーにとって「参加するメリット」が明確なため、獲得率も比較的高くなる傾向があります。
この場合も、応募時に「情報配信に同意します」といったチェック欄や利用目的の明記が必須です。一時的な関心ではなく、継続的なコミュニケーションにつなげられる設計がポイントです。
メール・LINEでのリスト獲得
既存顧客やイベント来場者などにメールやLINEでオプトインを促す方法もあります。メッセージ内に配信登録フォームのリンクを添えるなど、アクションの導線を明確にすることで獲得率を高められます。
ただし、連絡手段を利用する際も「事前の接点がある」ことを前提にし、スパム扱いされないよう注意が必要です。ユーザーの信頼を損なわずに誘導するために、文面のトーンや頻度にも配慮しましょう。
オプトインの注意点

オプトインを取り入れる際の注意点をまとめました。
- 同意の表示はわかりやすく
- 配信の目的・内容は明確に
- 頻度や個人情報の扱いに注意
注意点について、もう少し解説していきます。
同意の表示はわかりやすく
オプトインを取得する際は、ユーザーが「自分の意思で同意した」と明確にわかる表示にすることが大切です。チェックボックスを用いる場合は、初期状態を未選択にし、文言も曖昧にならないようにしましょう。
同意の確認をフォームの一番下や目立たない位置に置くと、見落とされやすくトラブルの原因になります。誰が見ても「ここで同意するんだな」と理解できるUI設計が重要です。
配信の目的・内容は明確に
オプトイン時に「何の情報が、どのように届くのか」を伝えておくことで、ユーザーの不信感を防げます。たとえば「週に1回のセール情報をお届けします」など、配信の頻度や内容を具体的に明記しましょう。
目的が曖昧なまま登録させると、後になってから「こんな情報聞いてない」とクレームになることもあります。事前にきちんと説明しておくことで、離脱やトラブルを減らすことができます。
頻度や個人情報の扱いに注意
いくらオプトインを得たとはいえ、過剰な頻度でメールを送ったり、個人情報の管理がずさんだと、ユーザーの信頼は簡単に損なわれます。無理のない配信設計と、セキュリティ対策はセットで考えるべきです。
とくに長期配信を行う場合は、配信停止の導線やプライバシーポリシーの整備も忘れずに。ユーザーが安心して情報提供できる環境を整えることが、良好な関係を築く第一歩です。
オプトインに関するよくある質問

オプトインに関するよくある質問をネット上で集めてみました。
- Q1.名刺交換した相手にメールを送るのはOK?
- Q2.オプトアウトの導線って何を設置すればいい?
- Q3.シングルオプトインは法律的に問題ない?
- Q4.オプトインの有効期限はあるの?
- Q5. オプトインしてもメールが届かないことはある?
それぞれについて、簡単に解説していきます。
Q1.名刺交換した相手にメールを送るのはOK?
名刺交換などで相手が連絡先を自ら提供した場合、一定の範囲内でのメール送信は認められています。
ただし、継続的な情報配信を行う場合は、明示的なオプトインを得ておいたほうが安全でしょう。
Q2.オプトアウトの導線って何を設置すればいい?
メールフッターなどに「配信停止はこちら」などのリンクを設置すればOKです。ユーザーが簡単に配信停止できることが法令上も求められています。
Q3.シングルオプトインは法律的に問題ない?
基本的には問題ありませんが、同意の証明が難しい場合もあります。確実な同意を残したい場合は、ダブルオプトインがおすすめです。
Q4.オプトインの有効期限はあるの?
法律上は明確な期限は定められていませんが、1年以上反応がないリストは注意が必要です。再同意の取得やリストの整理を定期的に行ったほうが良いでしょう。
Q5. オプトインしてもメールが届かないことはある?
迷惑メールフィルターやアドレスの誤入力などが原因で届かないことがあります。確認メールや再送案内など、適切な導線を用意しておくと安心です。
まとめ

オプトインは、ユーザーの信頼を得ながら情報発信を行うために欠かせない仕組みです。とくに個人情報を取り扱う場面では、法律面でもマーケティング効果の面でも重要な位置づけとなっています。
シングルオプトイン・ダブルオプトインの使い分けや、取得方法の設計、頻度や目的の明示といった細かな配慮が、配信後の成果を大きく左右します。正しい手順で同意を得ることで、長期的な顧客との関係構築にもつながるはずです。
法令順守とユーザー視点の両立を意識しながら、自社に最適なオプトイン施策を整備していきましょう。
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