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人気ゲーム作品のシナリオ台本

ゲームのシナリオライターから学ぶ書き方、作り方、心理の捉え方

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マーケティングにおける重要な役割の一つは、ユーザー心理を的確に掴み、取り扱う製品やサービスを購入してもらえるようその心理を誘導していくということです。
どんなに優良な製品であると熱烈にアピールを繰り返しても、それが本当に必要としているユーザーのもとに届かず、仮に届いても、対象ユーザーの興味を引き付けることができなければ、マーケティングの成果としては失敗といえます。
マーティングに携わる者であれば、ユーザー心理把握能力を磨くことは、必須です。

では、具体的にどういった訓練が効果的なのでしょうか。
ずばり、筆者が目を付けたのはゲームのシナリオライターです。
意外と思われるかもしれません。しかし、ユーザー心理を把握・誘導することにゲームのシナリオライターは長けています。それをお伝えすべく、本記事では、ゲームシナリオライターのお仕事、いうなれば思考を紐解き、どのようにユーザー心理へとアプローチしているのかについて解説します。

ゲームシナリオの書き方、作り方に潜むテクニックが、ビジネスシーンでのヒントになれば幸いです。
ぜひ、チェックしてみてください。

ゲームのシナリオにみられる特徴

とあるゲームのシナリオ

ゲームのシナリオはあくまでプレーヤーの気持ちを盛り上げるためのものです。そのため、小説や漫画とは異なる観点で以て、感情の起伏の描写や状況説明を行わなければなりません。難易度に沿って盛り上げ方にアクセントをつける工夫も必要とされます。加えて、分岐点の設定も典型的な特徴に挙げられるでしょう。
そう、何をどう選択するかによってプレーヤーの見る世界、すなわちストーリーは変化します。そして、あらゆるパターンを構築するためには、さながらマーケティングビジネスにおけるユーザー行動の想定のごとく、仮説が大事です。
クリアまで長時間掛かるゲームの場合、いたるところで伏線を用意する必要もあります。
一筋縄でいかないうえに絶妙な場面で訪れる困難や障害は、おそらくゴールから逆算する思考によって配置されているはずです。
まさに、考え得るトラブルをあらかじめ計算できなければミッションをスムーズに達成できないお仕事におけるプロジェクトそのもの。

こうした特徴を兼ね備えているからこそ、ゲームのシナリオを書く側、作る側の思考にコミットすることはマーケティングひいてはビジネス全般において有効だと考えます。

ゲームシナリオライターのお仕事内容と思考ステップ

ゲームシナリオで大事なキャラクター設定

スマホアプリにおけるゲーム市場のマーケットは近年急速に拡大を続けている分野の一つです。ユーザー数の増加にあわせて、大量のゲーム(アプリ)が日々開発されています。その競争は非常に熾烈なものといえるでしょう。
そうした厳しい環境のなかで、ユーザーに選ばれ、飽きずに遊んでもらえるゲームを作り出すには、まさにシナリオがカギを握ります。
内容自体の面白さに加え、構成も大事です。そして、そこには業種問わず、ユーザーが製品やサービスを選び、リピーターと化す原理が働いています。そう、ビジネス全般においてユーザー心理へアプローチするヒントが詰まっているのです。

そういうわけで、まずはゲームシナリオライターのお仕事や思考ステップ(シナリオの書き方)について触れていきましょう。

ゲームの世界観・キャラクターの構想

世界観はそのままゲームのテーマが何であるかという要素に直結します。
とりわけ主人公はじめキャラクターの設定は非常に重要です。
プレーヤーがゲームにスムーズに入り込めるかどうかも、登場人物次第であることが多く、ターゲット次第で調整を図る必要があります。

起承転結に基づいたストーリーの骨組みを作る

ストーリーの大まかな流れを決定するとともに、ゲームに影響力のあるキャラクターが登場するタイミングやシーンの細かい設定も大事です。
ユーザーの選択肢により多数の「承」「転」が派生するケースもありますが、少なくとも「起」と「結」はしっかりと定めておくのが大前提、セオリーだといえます。
そうした形式を踏襲したうえで、シナリオライターは物語を展開させているのです。

プロットを組み本格的なストーリー展開を構想

プロットは物語の肝となる重要な出来事のまとまりです。プロットとプロットが互いにどのようにつながって、矛盾なく魅力あるストーリー展開になるかどうか、そうした物語の設計図を決定する段階であるがゆえ、決して疎かにしてはいけません。
主人公であるユーザーがそれぞれの場面でどのような心理になっているのか念頭に置きながらプロットは組まれます。このプロット設定の精度により、最終的なストーリーのクオリティ、完成度が大きく左右されるといえるでしょう。

プロットに基づき会話を作成

プロット設定が終われば、次はキャラクターの対話やナレーションの作成です。ここでもまた、ストーリー構成やプロットからキャラクター設定がずれたり、逸脱したりしていないか確認しながら慎重に作業を進めていく必要があります。
それぞれのキャラクターが、事前に割り当てられた役割を果たす立ち振る舞いができているかどうか作品全体の観点から見定めることが重要です。
対話中において、主人公=プレーヤーはどのような心理状態にあるのか。
そして、どの方向へ誘導したいのか。
感情の機微や変化を確かめながら、会話の詳細を詰めていきます。
その積み重ねによって、シナリオは完成へと近づいていくのです。

ゲームのシナリオ作成に通ずるナラティブ型アプローチ

ナラティブマーケティングでも使えるゲームの世界

ゲームシナリオライターの思考プロセスは、新規顧客へのアプローチとしても有効です。というのは、昨今注目されているナラティブマーケティングの考え方と非常に共通点が多いからです。

ナラティブとはストーリー同様、「物語」と日本語に訳すことができます。
ナラティブマーケティングが生み出す世界では、提供する広告・宣伝を見聞きするユーザーが、いわば主人公です。
彼・彼女らにさまざまな体験をイメージしてもらえる仕組みづくりがその肝といっていいでしょう。
その際、気を付けたいことは、売りたい製品やサービスはあくまで脇役として目立たせなければならないことです。
「主役の自分(ユーザー)と目の前にある製品(サービス)」というシチュエーションを疑似体験してもらうごとく、極力、アピールは控えめにします。

と、この手法に一抹の不安を感じる方もいるかもしれません。
しかし、このナラティブ型アプローチはそもそも、なんとしてでも製品を売ろうというのが第一目的ではありません。
宣伝の物語(ナラティブ)のなかで繰り広げられるような「体験」を「製品とともに」売る。これがナラティブマーケティングの本質です。

最近はユーザー側の価値観の変化も顕著で、モノそのものに対する興味関心が薄れていると、よくいわれています。
他方、自身の生活を豊かにしてくれる「より良い体験」を買う方は、案外、多い印象です。こうした状況から、売りたい製品は脇役に甘んじてでも、ユーザー心理を揺さぶるような体験を最優先事項としてアピールする手法が主流になっているともいえます。

そして、このマーケティングアプローチは、まさにゲームシナリオライターが行っているようなプレーヤー視点でのプロットやシナリオの作成、主人公の設定やその他キャラクターの扱い方などに通じているように思います。もはや、そのまま実践に生かせるはずです。

ゲームシナリオライター的マーケティング

マーケティングでも重要なゲームの主人公

繰り返しお伝えしている通り、ゲームシナリオを作成する際に最初に重要なのは主人公の設定です。そう、つまりはターゲットにすべきペルソナをあぶり出す必要があります。
どの層に向けたゲームなのか、あらかじめ念頭に置き、プレーヤーがすんなりゲームの世界に入り込めるキャラクターを考案することがまず大事です。
一方、前述したナラティブマーティングにおいても、製品に興味をもってもらいたいターゲットに応じて、物語の主役を担う人物像を決定しなければなりません。
「性別は?」「年齢は?」「既婚?未婚?」「家族構成は?」「職業は?」……等々、複数の要素を緻密に決定することが肝要です。
要するに、どのプロダクトにおいてもターゲットとするユーザーをスムーズに物語の世界に引き込み、主人公に対して違和感なく自分自身だと感情移入してもらうことが大切だといえます。
だからこそ、まずは主人公設定。この時点でゲームを始める(製品に興味を抱く)選択をしてくれるかどうか。
掴みの部分で成否が分かれるといっても過言ではありません。

加えて、ストーリー展開によってプレーヤーを虜にすることが必要です。
すなわち、飽きさせないイベントや演出の設定が欠かせません。
物語進行のどのポイントでプレーヤーに感情的揺さぶりを仕掛けていくかなど、ユーザー心理と駆け引きをしながら、その関心が離れていかないようシナリオに工夫を凝らします。

そして、この視点は、あらゆるビジネス分野のマーケティングアプローチでも有効です。
たとえば動画広告。
一般的に商業用動画の再生に関してはそのほとんどが一瞬で閉じられてしまううえ、最後まで再生してもらえるケースは極わずかに過ぎません。
それゆえ、シナリオ構築が不可欠です。
先に進めば進むほど続きが気になる展開は、まさにゲームの醍醐味そのものといえるでしょう。

ゲームのシナリオライティングに似た企業の施策事例

プレーヤーが狂喜乱舞するゲームの世界観

プレーヤーの選択により次々にストーリーが枝分かれして進んでいく作品が多いのもゲームの特徴です。
実はこのパターンもまた、ナラティブマーケティングに重なります。

たとえば、自動車メーカー「SUBARU」は、動画の視聴者自身が主人公として物語に入り込めるようなショートストーリーの動画を何パターンも公開しています。
潜在顧客が、まるで自分のことのように物語の世界に入り込み、ストーリーを追いながら最後まで動画を楽しめる構成は、非常に魅力的です。

ポイントはやはりバリエーションでしょう。
一つの動画を全てのターゲットに向けて仕上げることは難しいですが、多様性によって、いかなる境遇のドライバーでも自らが主人公となれる状況を作り出しています。

したがって、プレーヤーそれぞれの選択に応じて関心を引くシナリオを複数作成していくライティングスキルは、まさに企業の広報が求める代物なのです。

ゲームシナリオの書き方、作り方からユーザー心理を掴もう!

ゲームシナリオライティングの様子

プロのゲームシナリオライターが持つライティングや論理的思考のノウハウは、ここぞとばかりにビジネスシーンでも役立ちます。
顧客心理を綿密に把握することがマーケティングスキルに欠かせない要素だとしたら、ゲームシナリオの作成は、その訓練として有効に機能してもおかしくありません。

多様な生活背景や価値観を持つユーザーの心理をピンポイントで揺さぶることができるシナリオ構成力は、普遍性の高い技術です。

ぜひ、ゲームシナリオライターの作品を参考に、ユーザー心理の捉え方を今一度見つめ直してみることをおすすめします。

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この記事を書いた人

ヒゴ
無知、無能、無粋、無才、無点法……。SEOやアクセス解析に腐心しつつも、それらはまるで逃げ水のように追いかけては遠く離れ、ようやく掴んだと思った矢先にはシビアな現実を突きつけられる有様です。あるいはライターとして名を連ねることに気後れしながら、日曜大工のスタンスで恣意的かつ箸にも棒にもかからない駄文をまき散らしています。隠し切れない底意地の悪さ。鼻持ちならない言い回し多数。どうかご容赦ください。

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