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SDGsを活用したマーケティングのメリットとは?具体的な施策や成功事例を解説

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「SDGsをマーケティングに活用するメリットは?」
「自社でもSDGsに取り組むべき?」
「実際にどういう施策を行うべきかわからない」
などの悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

近年、企業のWebサイトや広告で頻繁に目にする「SDGs」。世界的な注目度の高まりとともに、日本国内でも多くの企業がSDGsを経営やマーケティングに取り入れ始めています。

本記事では、初心者向けにSDGsマーケティングの基礎知識から取り組むメリット、具体的な施策や、成功事例、注意点までわかりやすく解説します。SDGsマーケティングに取り組むべきなのかのヒントがたくさんあるので、ぜひ参考にしてください。

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目次

SDGsマーケティングとは?

SDGsマーケティングとはのイメージ画像

SDGsマーケティングとは、企業が持続可能な開発目標(SDGs)を経営やマーケティング活動に組み込み、社会課題の解決と事業成長を両立させる取り組みです。単なる社会貢献活動ではなく、SDGsへの取り組みを通じて企業価値を高め、顧客との信頼関係を構築するマーケティング手法といえます。

近年、消費者の意識変化や投資家からの評価基準の変化により、SDGsマーケティングの重要性が高まっています。電通が実施した調査では、10代のSDGs認知率は7割を超え、全世代の32.4%が「コロナ禍を経てSDGsへの関心が高まった」と回答しました。企業がSDGsに取り組むことは、もはや選択肢ではなく必須の経営戦略となっているのです。

SDGsの意味と17の目標

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年9月に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」を指します。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として、発展途上国から先進国まで、すべての国が取り組むべき普遍的な目標です。

SDGsには17の目標と169のターゲットが設定されています。経済・社会・環境の3つの側面から世界が抱える課題を包括的にカバーする17の目標は、以下の通りです。

  • 目標1:貧困をなくそう
  • 目標2:飢餓をゼロに
  • 目標3:すべての人に健康と福祉を
  • 目標4:質の高い教育をみんなに
  • 目標5:ジェンダー平等を実現しよう
  • 目標6:安全な水とトイレを世界中に
  • 目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 目標8:働きがいも経済成長も
  • 目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 目標10:人や国の不平等をなくそう
  • 目標11:住み続けられるまちづくりを
  • 目標12:つくる責任つかう責任
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 目標14:海の豊かさを守ろう
  • 目標15:陸の豊かさも守ろう
  • 目標16:平和と公正をすべての人に
  • 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

これらの目標は独立しているのではなく、相互に関連し合っています。企業はこの中から自社の事業と親和性の高い目標を選び、具体的なアクションを起こすことが求められているのです。

▶参照:SDGs17の目標|日本ユニセフ

SDGsマーケティングの定義

SDGsマーケティングとは、17の目標のいずれかに貢献する商品開発・サービス提供・コミュニケーション活動を通じて、社会的価値と経済的価値の両方を創出するマーケティング活動です。従来のCSR(企業の社会的責任)が利益を追求しないボランティア活動だったのに対し、SDGsマーケティングはビジネスを通じた社会貢献を目指します。

具体的には、環境に配慮した商品の開発、フェアトレードの推進、ダイバーシティの促進、地域社会への貢献など、多岐にわたる取り組みが該当します。重要なのは、SDGsへの取り組みを「コスト」ではなく「投資」と捉え、中長期的な視点で企業価値を高めていく姿勢です。

SDGsマーケティングが注目される理由

SDGsマーケティングが注目される背景には、消費者意識の変化があります。特に若年層を中心に、商品やサービスを選ぶ際に「企業の社会的責任」を重視する傾向が強まっているのです。自分の購買行動が社会や環境に与える影響を考える「エシカル消費」が広がり、SDGsに積極的な企業の商品を選ぶ消費者が増えています。

また、投資の世界でもESG投資(環境・社会・ガバナンスを重視した投資)が主流となりつつあります。機関投資家は、短期的な利益だけでなく、持続可能な経営を行う企業を評価するようになりました。

SDGsへの取り組みが不十分な企業は、資金調達や人材確保の面で不利になる可能性があるため、企業にとってSDGsマーケティングは経営上の重要課題となっているのです。

SDGsマーケティングに取り組む3つのメリット

SDGsマーケティングに取り組むメリットのイメージ

SDGsマーケティングに取り組むことで、企業は複数のメリットを享受できます。単なるイメージ向上だけでなく、実際のビジネス成果にもつながる点が大きな特徴です。

  • 企業ブランド価値の向上
  • 顧客ロイヤルティの強化
  • 新規市場の開拓と競争優位性の獲得

帝国データバンクの調査によると、SDGsに積極的に取り組む企業は収益性が高い傾向にあることが明らかになっています。社会課題の解決と利益追求は対立するものではなく、むしろ相乗効果を生み出す関係にあるのです。

企業ブランド価値の向上

SDGsへの取り組みは、企業ブランドの価値を大きく高めます。ブランド総合研究所の調査では、SDGsへの取り組みが評価されている企業として、トヨタ自動車やパナソニックなどが上位にランクインしました。これらの企業は、環境問題への対応や社会貢献活動を積極的に発信することで、消費者からの信頼を獲得しています。

ブランド価値の向上は、長期的な企業価値の向上につながります。SDGsに配慮した企業として認知されることで、商品の価格競争に巻き込まれにくくなり、プレミアム価格での販売も可能になるでしょう。また、優秀な人材からの応募も増加し、採用活動においても優位に立てるのです。

顧客ロイヤルティの強化

SDGsマーケティングは、顧客との深い絆を築くことに貢献します。企業の社会的な姿勢に共感した顧客は、単なる「買い手」から「ファン」へと変化していくのです。価格や機能だけでなく、企業の理念や価値観に共感して商品を選ぶ顧客は、リピート購入の可能性が高く、口コミでの推薦も積極的に行います。

楽天が運営する「EARTH MALL」は、環境や社会に貢献する商品を集めたオンラインショップです。開設から半年で月間PV数や流通総額が順調に伸長し、SDGsのメッセージ性が消費者の共感と購買意欲を結びつけることに成功しました。顧客ロイヤルティの強化は、マーケティングコストの削減にもつながる重要な要素です。

新規市場の開拓と競争優位性の獲得

SDGsを軸にしたマーケティングは、これまで見過ごされていた市場を開拓するチャンスを提供します。社会課題の解決をビジネスチャンスと捉えることで、新しい顧客層へのアプローチが可能になるのです。デロイト トーマツの試算によると、SDGsが生み出す市場規模は目標ごとに小さいもので70兆円~大きいもので800兆円にも達するといわれています。

競合他社に先駆けてSDGsマーケティングに取り組むことで、先行者利益を得られます。特にエネルギー市場や循環型経済の分野では大きな市場が期待されており、早期に参入した企業が業界のリーダーとしての地位を確立できるはずです。SDGsへの取り組みは、将来的な競争優位性を築く戦略的投資といえます。

SDGsマーケティングが向いている企業とは

SDGsマーケティングが向いている企業のイメージ

SDGsマーケティングは、すべての企業にとって重要な取り組みですが、特に効果を発揮しやすい企業の特徴があります。自社の事業内容や顧客層、経営資源を踏まえて、適切なアプローチを選ぶことが成功の鍵です。

企業規模や業種に関わらず、SDGsマーケティングに取り組むことは可能です。重要なのは、自社の強みとSDGsの目標をどう結びつけるか、無理のない範囲で継続的に取り組めるかという点になります。

BtoC企業は特に効果を実感しやすい

消費者と直接接点を持つBtoC企業は、SDGsマーケティングの効果を実感しやすい傾向にあります。商品パッケージや広告、店頭での訴求など、消費者に直接メッセージを届けられる機会が多いためです。ユニクロの「RE.UNIQLO」やコカ・コーラの「容器の2030年ビジョン」など、大手企業の取り組みは消費者の購買行動に大きな影響を与えています。

特に食品・飲料、アパレル、化粧品、日用品などの業界では、SDGsへの取り組みが購買の決め手になるケースが増えています。環境に配慮したパッケージ、フェアトレード商品、動物実験を行わない化粧品など、具体的な取り組みを可視化することで、消費者の共感を得られるのです。

中小企業でも取り組める理由

SDGsマーケティングは大企業だけのものではありません。中小企業こそ、機動力を活かして効果的な取り組みができる可能性があります。関東経済産業局の調査では、中小企業の約3割がすでに何らかの社会貢献活動を行っていることが判明しました。これらの活動をSDGsの視点で再定義し、発信することで、新たな価値を生み出せるのです。

ロアジスジャパンは、オーガニックペットフードの販売を通じてSDGsに貢献する中小企業の好例です。社員全員でSDGsの勉強会を実施し、自社の事業とSDGsを結びつけることで、前年比20%の売上増を達成しました。大規模な予算をかけなくても、既存の事業活動をSDGsの文脈で捉え直すことで、十分な効果を得られるのです。

業界別の適性と成功パターン

業界ごとに、取り組みやすいSDGsの目標や成功パターンが存在します。製造業であれば「つくる責任つかう責任」や「気候変動に具体的な対策を」が関連しやすく、サービス業なら「働きがいも経済成長も」や「質の高い教育をみんなに」といった目標が親和性が高いです。

自動車業界では、トヨタ自動車が電気自動車の開発や水素エネルギーの活用など、環境負荷の低減に注力しています。食品業界では、味の素が栄養課題の解決に取り組み、ASV(Ajinomoto Group Shared Value)という独自の価値創造モデルを構築しました。自社の強みを活かせる目標を選び、業界特性に合わせた取り組みを行うことが、SDGsマーケティング成功の秘訣です。

SDGsマーケティングの具体的な施策7選

SDGsマーケティングの具体的な施策案を出すイメージ

SDGsマーケティングを実践するには、具体的な施策に落とし込む必要があります。ここでは、企業が取り組みやすい7つの施策を紹介します。

  • 企業理念へのSDGs組み込み
  • 商品・サービスのSDGs訴求
  • SDGsコンテンツマーケティング
  • SNSでのSDGs発信
  • SDGsイベント・キャンペーン実施
  • パートナーシップ構築
  • 社内浸透と従業員エンゲージメント向上

施策を検討する際は、自社の事業内容や経営資源、目指す姿との整合性を確認しましょう。無理のない範囲で継続的に取り組めるものを選ぶことが重要です。

企業理念へのSDGs組み込み

SDGsマーケティングの第一歩は、企業理念やパーパス(存在意義)にSDGsの視点を組み込むことです。経営トップが明確なメッセージを発信することで、全社的な取り組みとして浸透させられます。パタゴニアは「私たちは故郷である地球を救うためにビジネスを営む」という新しいミッションを掲げ、環境保護を最優先する姿勢を鮮明にしました。

企業理念にSDGsを反映させる際は、既存の理念とSDGsの目標がどう結びつくか丁寧に検討してみてください。形だけの宣言ではなく、実際の事業活動や意思決定に影響を与える指針として機能させることが大切です。

商品・サービスのSDGs訴求

商品やサービスそのものにSDGsの要素を取り入れ、その価値を積極的に訴求する施策です。環境に配慮した素材の使用、リサイクル可能なパッケージの採用、フェアトレードの推進など、具体的な取り組みを可視化することで消費者の共感を得られます。

ユニクロの「RE.UNIQLO」は、使われなくなったダウン製品を回収し、新たな製品によみがえらせる取り組みです。全国の店舗に回収ボックスを設置することで、消費者の参加を促し、循環型社会の実現に貢献しています。商品を通じたSDGs訴求は、購買時点で直接的なメッセージを伝えられる効果的な手法です。

SDGsコンテンツマーケティング

自社のWebサイトやブログ、SNSなどで、SDGsに関連するコンテンツを発信する施策です。企業がどのような社会課題に取り組んでいるか、その進捗状況や成果を定期的に報告することで、透明性と信頼性を高められます。

女性誌「FRaU」は、SDGsをテーマにした特集記事を継続的に発信し、大幅なPV数向上を実現しました。既存の読者層だけでなく、ビジネスや社会問題に関心を持つ新規ファンの獲得にも成功しています。コンテンツマーケティングは、低予算でも始められる施策として、中小企業にもおすすめです。

SNSでのSDGs発信

SNSを活用したSDGsの発信は、幅広い層にリーチできる効果的な施策です。企業の取り組みを日常的に発信することで、消費者との継続的なコミュニケーションが可能になります。特に若年層へのアプローチには、InstagramやX(旧Twitter)などのプラットフォームが有効です。

シック・ジャパンの「#BodyHairPositive」プロジェクトは、SNSを通じて美しさの多様性を尊重するメッセージを発信し、大きな共感を呼びました。ハッシュタグを活用することで、消費者参加型のキャンペーンとして展開できます。SNSでのSDGs発信は、双方向のコミュニケーションを通じてファンとの絆を深める機会となるのです。

SDGsイベント・キャンペーン実施

期間限定のイベントやキャンペーンを通じて、SDGsへの取り組みを訴求する施策です。参加型のイベントは、消費者の記憶に残りやすく、話題性も高いため、メディア露出の機会にもつながります。イオンモールでは「わたしのまちのSDGs」というプロジェクトを展開し、地域住民と協力してSDGsを実践する取り組みを行っています。

オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド型のイベントも効果的です。H&Mの「H&M Loop Island」は、バーチャル空間でサステナビリティを体験できるデジタルプロモーションとして注目を集めました。創造的なアプローチで、SDGsへの関心を高めることができます。

パートナーシップ構築

他企業やNGO、自治体などとパートナーシップを構築し、共同でSDGsの目標達成に取り組む施策です。SDGsの17番目の目標「パートナーシップで目標を達成しよう」にも掲げられているように、単独では解決できない課題も、協力することで大きな成果を生み出せます。

サラヤは、ユニセフと連携して「100万人の手洗いプロジェクト」を実施し、ウガンダにおける衛生環境の向上に貢献しました。この取り組みが評価され、ジャパンSDGsアワードで表彰されています。パートナーシップは、各組織の強みを活かし、社会的インパクトを最大化できる戦略的な選択肢です。

社内浸透と従業員エンゲージメント向上

SDGsマーケティングを成功させるには、社内への浸透が不可欠です。従業員一人ひとりがSDGsを理解し、自分ごととして捉えることで、組織全体の取り組みが加速します。ロアジスジャパンは、全社員でSDGsの勉強会を実施し、事業とSDGsのマッピングを行うことで、社員のモチベーション向上と売上増加を同時に達成しました。

社内報やワークショップ、表彰制度などを活用して、SDGsへの取り組みを日常業務に組み込んでみてください。従業員のアイデアを積極的に取り入れることで、現場からのボトムアップの施策も生まれます。社内浸透は、持続可能なSDGsマーケティングの基盤となる重要な施策です。

SDGsマーケティングの成功事例5選

SDGsマーケティングの成功事例のイメージ

ここでは、SDGsマーケティングで成果を上げている企業の事例を紹介します。業種や規模が異なる5社の取り組みから、自社に活かせるヒントを見つけましょう。

成功事例に共通するのは、SDGsへの取り組みを事業の中核に据え、中長期的な視点で推進している点です。一時的なキャンペーンではなく、継続的な活動として定着させることが重要になります。

味の素|ASVで食と健康課題を解決

味の素グループは、独自の価値創造モデル「ASV(Ajinomoto Group Shared Value)」を通じて、SDGsに貢献しています。「地球持続性」「食資源」「健康なこころとからだ」の3つのテーマを設定し、事業活動を通じた社会課題の解決を目指しているのです。

味の素の特徴は、経済価値と社会価値の両方をKPIとして設定している点です。売上などの経済指標だけでなく、「商品を通じて何人の健康を改善したか」といった社会価値指標も明確に打ち出しています。アミノ酸の研究開発で培った技術を活かし、世界各地の栄養課題に取り組む姿勢が、グローバルな評価を得ているのです。

▶参照:ASV経営|味の素

ユニクロ|RE.UNIQLOで循環型社会へ

ユニクロは「服のチカラで世界をいい方向へ変えていく」という理念のもと、「RE.UNIQLO」プロジェクトを推進しています。全商品のリサイクル・リユースを目標に掲げ、使われなくなったダウン製品を回収して新たな製品によみがえらせる取り組みです。

全国の店舗に回収ボックスを設置することで、企業の取り組み姿勢を消費者に強くアピールしています。限られた資源を有効活用することで環境負荷を低減し、「SDGsに配慮するアパレル企業」として消費者や投資家の注目を集めました。今後は対象商品を拡大する予定で、循環型ビジネスモデルの確立を目指しています。

▶参照:RE.UNIQLO

楽天|EARTH MALLで消費者意識を変革

楽天が運営する「EARTH MALL」は、楽天市場で扱う商品の中から環境・社会・経済に貢献するものを厳選したコンセプトショップです。SDGsの「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」という目標への取り組みとして、2018年に開設されました。

EARTH MALLの成功ポイントは、既存のリソースを活用した点です。新たなビジネスモデルを一から構築するのではなく、楽天市場で培ったノウハウを横展開し、SDGsの視点でキュレーションすることで実現しました。開設から半年で月間PV数や流通総額が順調に伸長し、SDGsのメッセージ性が消費者の共感と購買意欲を結びつけることに成功しています。

▶参照:EARTH MALL with Rakuten

ロアジスジャパン|社員巻き込みで売上20%増

オーガニックペットフードを扱うロアジスジャパンは、全社員でSDGsに取り組むことで前年比20%の売上増を達成しました。まず社員全員でSDGsの勉強会を実施し、その後、自社の事業活動をSDGsの目標に紐づけるマッピングを行ったのです。

このプロセスを通じて、社員は自分たちの仕事が社会課題の解決にどう貢献しているかを認識できました。ネパール産のミルクを使用したペット用おやつは、ペットの健康維持だけでなく、ネパールの生産者の雇用創出にも貢献しています。社員のモチベーション向上と事業成長を同時に実現した好例です。

▶参照: SDGs × Loasisの取組み~ 社会課題の解決へ ~

ニセコ町|地方創生とSDGsの融合

北海道ニセコ町は、内閣府から「SDGs未来都市」に選定され、地方自治体のSDGs推進モデルとして注目されています。人口約5千人の小規模な町ながら、スキーリゾートを活かした観光業と自然を活かした農業で経済的成功を収めているのです。

ニセコ町の特徴は、住民参加と情報共有を軸にした独自のまちづくりです。全国初の「まちづくり基本条例」を制定し、主体的な自治を実現しています。環境保全、雇用創出、経済促進などの取り組みをSDGsの概念と結びつけ、2030年に向けた具体的な数値目標を設定しました。サステナブルな観光都市のモデルケースとして、国内外から高い評価を受けています。

▶参照:SDGs未来都市|北海道ニセコ町

SDGsマーケティングの始め方【初心者向け】

SDGsマーケティングの始め方のイメージ

SDGsマーケティングに興味はあるものの、何から始めればよいか分からないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、初心者でも取り組みやすい4つのステップを紹介します。

  • Step①:自社事業とSDGsの接点を見つける
  • Step②:優先的に取り組む目標を選定する
  • Step③:具体的なKPIを設定する
  • Step④:社内外への発信計画を立てる

重要なのは、いきなり完璧を目指さないことです。小さな一歩から始めて、徐々に取り組みの幅を広げていくアプローチが、長続きするSDGsマーケティングにつながります。

Step①:自社事業とSDGsの接点を見つける

最初のステップは、自社の事業活動がSDGsのどの目標に関連しているかを洗い出すことです。新しい取り組みを始める前に、すでに行っている活動の中にSDGsにつながるものがないか確認しましょう。関東経済産業局の調査では、中小企業の約3割が何らかの社会貢献活動を行っていることが分かっています。

例えば、地域の清掃活動に参加していれば「住み続けられるまちづくりを」に、女性の管理職登用に力を入れていれば「ジェンダー平等を実現しよう」に該当します。既存の活動をSDGsの視点で再定義することで、無理なく取り組みを始められるのです。

Step②:優先的に取り組む目標を選定する

17の目標すべてに取り組む必要はありません。自社の事業内容や強み、経営資源を考慮して、優先的に取り組む目標を2~3個に絞るとよいです。選定基準は、無理なく継続できるか、事業との親和性が高いか、社会的インパクトを生み出せるかの3点です。

トヨタ自動車は環境問題と交通安全に焦点を当て、パナソニックはエネルギー問題に注力しています。自社が最も貢献できる分野を見極めることが、効果的なSDGsマーケティングの第一歩となるでしょう。選定後は、経営層を含めた全社での合意形成を行い、一体感を持って推進することが重要です。

Step③:具体的なKPIを設定する

選定した目標に対して、具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。「環境に配慮する」といった抽象的な目標ではなく、「CO2排出量を2030年までに50%削減する」など、数値で測定できる指標が理想的です。味の素は、経済価値KPIに加えて社会価値KPIも設定し、両方の視点で進捗を管理しています。

KPIは、短期・中期・長期の3段階で設定するとよいです。短期目標で小さな成功体験を積み重ねながら、中長期的な視点で大きな成果を目指します。定期的にKPIの達成状況を確認し、必要に応じて軌道修正することも忘れてはいけません。

Step④:社内外への発信計画を立てる

SDGsへの取り組みを開始したら、その内容を社内外に発信する計画を立てましょう。社内への発信は、従業員の理解と協力を得るために不可欠です。社内報や勉強会、ワークショップなどを活用して、SDGsの重要性と自社の取り組みを共有します。

社外への発信は、企業WebサイトやSNS、プレスリリースなどを通じて行います。最初から大規模なキャンペーンを打つ必要はありません。まずは「企業としてどのような課題を解決しようとしているか」というメッセージから始めてみてはいかがでしょうか。

取り組みの進捗や成果を定期的に報告することで、透明性と信頼性を高められます。発信の際は、誇張や虚偽のない正確な情報を心がけることが大切です。

SDGsマーケティングの課題と注意点

SDGsマーケティングの課題と注意点のイメージ

SDGsマーケティングには大きなメリットがある一方で、取り組み方を誤ると企業の信頼を損なうリスクもあります。ここでは、SDGsマーケティングを実践する際に注意すべき課題を解説します。

適切な知識と慎重な計画のもとで進めることが、SDGsマーケティングの成功には不可欠です。リスクを理解した上で、誠実な取り組みを心がけましょう。

グリーンウォッシングのリスク

グリーンウォッシングとは、実際以上に環境への配慮をアピールする行為を指します。環境問題に取り組んでいるように見せかけながら、実態が伴っていない場合、消費者や社会から厳しい批判を受けることになります。近年、SNSの普及により、企業の矛盾した行動はすぐに拡散され、炎上リスクが高まっているのです。

グリーンウォッシングを避けるには、実際の取り組み以上のことを主張しないことが大切です。小さな取り組みでも、正直に伝えることが信頼につながります。また、取り組みの進捗や成果を定期的に報告し、透明性を保つことも重要です。

短期的な成果を求めすぎない

SDGsマーケティングは、中長期的な視点で取り組むべき活動です。短期的な売上増加や認知度向上を求めすぎると、本質的な社会課題の解決からずれてしまう可能性があります。SDGsの目標年は2030年であり、10年単位での計画的なビジネス構築が求められるのです。

帝国データバンクの調査では、SDGsに積極的な企業の収益性が高いことが示されていますが、これは一朝一夕に得られる成果ではありません。地道な取り組みの積み重ねが、長期的な企業価値の向上につながります。焦らず、着実に進めることが成功への近道です。

SDGsウォッシュを避けるための実践ポイント

SDGsウォッシュとは、SDGsという言葉の響きを利用して、実態以上に社会貢献をアピールする行為です。電通が発行する「SDGsコミュニケーションガイド」では、SDGsウォッシュを避けるための注意点が示されています。

  • SDGsの目標を正しく理解し、誤った解釈でコミュニケーションしない
  • 部署間やチーム間で齟齬がないか確認し、全社として一貫したメッセージを発信する
  • 「エシカル」「サステナブル」など定義が曖昧な言葉を安易に使用しない
  • 取り組んでいる内容を偽らず、正直に伝える

SDGsウォッシュと見なされると、企業のブランドイメージは大きく傷つきます。誠実な姿勢で、実態に基づいたコミュニケーションを心がけることが、信頼されるSDGsマーケティングの基本です。

SDGsはなぜ胡散臭いと言われるのか

SDGsが胡散臭いと言われる理由のイメージ

SDGsへの関心が高まる一方で、「SDGsは胡散臭い」という声も一部で聞かれます。こうした批判的な意見が生まれる背景を理解することは、適切なSDGsマーケティングを行う上で重要です。

批判の原因を知ることで、同じ轍を踏まないよう注意できます。SDGsへの取り組みが社会から信頼されるために、真摯に向き合う姿勢が求められるのです。

見せかけの取り組みが横行している

SDGsが注目されるようになってから、形だけの取り組みを行う企業が増えました。Webサイトにカラフルなロゴを掲載するだけで、実際には何も行動していないケースもあります。こうした「見せかけの取り組み」が、SDGsに対する不信感を生んでいるのです。

また、企業の一部門だけがSDGsに取り組み、他の部門では環境破壊や人権侵害につながる行動をしているケースもあります。組織全体での取り組みではなく、マーケティングの道具としてSDGsを利用していると見なされれば、批判は避けられません。全社を挙げた本気の取り組みが求められます。

具体性に欠ける発信が多い

「SDGsに取り組んでいます」と宣言しながら、具体的な内容や成果を示さない企業も多く見られます。抽象的なメッセージだけでは、本当に社会課題の解決に貢献しているのか判断できません。消費者は、具体的な数値や事例を求めているのです。

ニセコ町のように「温室効果ガス総排出量を25,781t-CO2へ削減」など、具体的な数値目標を掲げることが信頼につながります。また、定期的な進捗報告を行い、達成できなかった場合にはその理由と改善策を明示することも大切でしょう。透明性のあるコミュニケーションが、胡散臭さを払拭する鍵となります。

信頼されるSDGsマーケティングの条件

SDGsマーケティングが信頼されるには、いくつかの条件があります。まず、取り組みが事業の中核に組み込まれていることです。マーケティングのための付け足しではなく、経営戦略として位置づけられている必要があります。

次に、成果だけでなく課題も正直に伝えることです。うまくいっていることばかりをアピールするのではなく、直面している課題や改善点も共有する姿勢が、誠実さを示します。

パタゴニアのように、時には自社製品の購入を控えるよう呼びかけるなど、利益よりも環境を優先する姿勢が、強い信頼を生むのです。最後に、長期的なコミットメントを示すことです。一時的なキャンペーンではなく、継続的な取り組みとして根付かせることが、本気度を証明します。

まとめ|総合的なWebマーケティング戦略で企業を成長させよう

SDGsとWebマーケティングで企業成長を促すイメージ

SDGsマーケティングは、企業の社会的価値を高める重要な施策です。消費者意識の変化や投資家の評価基準の変化により、SDGsへの取り組みはもはや選択肢ではなく、企業が生き残るための必須戦略となっています。ブランド価値の向上、顧客ロイヤルティの強化、新規市場の開拓など、多くのメリットが期待できるでしょう。

ただし、SDGsマーケティングだけで集客が完結するわけではありません。SEO対策、SNS運用、Web広告、コンテンツマーケティングなど、複数の施策を組み合わせた総合的なWebマーケティング戦略が不可欠です。SDGsへの取り組みを軸としながら、デジタルマーケティングの各手法を効果的に活用することで、持続可能な事業成長が実現します。

「何から始めればいいかわからない」という中小企業の方に向けて、実践的なWebマーケティング戦略ガイドをご用意しています。SDGsマーケティングを含む包括的なアプローチで、集客不足から抜け出すヒントが見つかるはずです。

集客に困っている中小企業の方へ

Web集客の施策案や改善で
困っていませんか?

本資料では、中小企業が最短で集客不足から抜け出すためのWebマーケティング戦略をまとめています。限られた予算で効果的な施策を打ちたい、具体的な集客方法を知りたいという方は、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。少しでも経営の手助けになれば幸いです。

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この記事を書いた人

小佐
不動産業界メディアの編集長を5年以上務めたのち、現在はWeb系ジャンルで執筆中。別途アウトドア記事の経験もあり。速筆&高品質(自称)をモットーにのらりくらり生きてます。オフは旅行とお酒を楽しみに自堕落生活。

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