
ステップメールとは?作り方や内容例を紹介!無料で使える配信ツールもアリ
メールマーケティングの手法の1つとして知られるステップメール。
登録者全員に一斉配信するメルマガとは異なり、ステップメールは各ユーザーの求める情報を最適なタイミングで段階的に送信できます。シナリオ設計や配信メールの作成にはある程度の時間と手間をかける必要がありますが、効果的に運用できれば、見込み客・既存顧客の購買意欲の促進が期待できるでしょう。
本記事では、ステップメールの導入を検討している方に向けて、メルマガとの違いや導入するメリット・デメリット、基本的な設計方法について詳しく解説していきます。業種別の内容例や無料で使えるメール配信ツールも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ステップメールとは

ステップメールとは、あらかじめ作成しておいた複数のメールを、ユーザーの行動や日数経過に応じて段階的に自動配信する仕組みのことを指します。
以下は、ECサイトを想定したステップメール例です。
- 購入当日:注文確認や金額について
- 3日後:商品到着確認やアフターフォロー
- 5日後:おすすめ商品やクーポンの案内
- 7日後:キャンペーンのお知らせ
このように、資料請求や会員登録、初回購入など、特定のアクションを起こしたユーザーに対して、段階的にメールを配信することで、アプローチを仕掛けるマーケティング手法となります。「シナリオメール」や「自動配信メール」と呼ばれることもあります。
ステップメールの活用シーン
ステップメールの具体的な活用シーンを簡単にまとめました。
- 資料請求後に自動フォローメールを送る
- メルマガ登録者に順番にノウハウを配信
- 無料体験後に有料プランへ誘導する
- 購入者に使い方ガイドを段階的に案内
- 新規ユーザー向けに活用方法を紹介
- ブランドの想いや実績を少しずつ伝える
- しばらく利用していない人に復帰を促す
ECサイトやオンライン講座、美容系、不動産、BtoBなど、さまざまな業界でステップメールの導入が進んでいます。
ステップメールとメルマガの違い

ステップメールとメルマガの違いは、「シナリオの有無」と「配信方法」です。
ステップメールは、先述の通り、あらかじめ作成した複数のメールをユーザーの行動に合わせて段階的に配信します。一方、メルマガは、その都度作成したメールを、複数のユーザーに一斉配信する仕組みです。
最新情報をすぐ届けたいならメルマガが最適ですが、ユーザーが段階的に知るべき情報がある場合は、ステップメールの方が効果的でしょう。
ステップメールを導入するメリット・デメリット

ステップメールを導入するメリット・デメリットを解説していきます。まずは、メリットから見ていきましょう。
ステップメールのメリット
ステップメールには、主に3つのメリットがあります。
- 見込み客の購買意欲を促進できる
- ブランド想起率の向上が期待できる
- メール配信業務を自動化できる
それぞれのメリットについて解説します。
見込み客の購買意欲を促進できる
ステップメールは、有益な情報を順番に届けることで、興味を持ったユーザーの購買意欲を自然に高められます。信頼関係の構築にもつながり、問い合わせや成約の可能性が広がります。ユーザーに合わせたタイミングと内容で接触できるのが、大きな強みです。
ブランド想起率の向上が期待できる
定期的な配信でユーザーとの接点を持ち続けられるため、企業やサービスの印象を保ちやすくなります。リピートや再訪問にもつながりやすいのが特徴です。とくに検討期間が長い商品やサービスでは、有効なアプローチになります。
メール配信業務を自動化できる
一度設定すれば、自動でメールを配信できるため、手作業の負担を減らせます。業務効率がアップし、運用の手間を大幅に削減できます。限られたリソースでも継続的なアプローチを可能にする点が魅力です。
ステップメールのデメリット
続いて、デメリットをまとめました。
- メールアドレスの収集に時間がかかる
- 配信メールの作成に工数がかかる
上記2項目について簡単に解説していきます。
メールアドレスの収集に時間がかかる
ステップメールを配信するには、まずユーザーのメールアドレスを集める必要があります。サイト訪問者が少ない場合は、SEOや広告など集客施策から見直す必要があるでしょう。
配信メールの作成に工数がかかる
自動配信の設定ができても、シナリオ設計やメール本文の作成には手間と時間がかかります。とくに複数通の内容を作り込むには、事前の準備が欠かせません。
ステップメールの基本的な作り方

実際に運用するにあたって、基本的なステップメールの作り方を解説していきます。
- 作り方①:目的とターゲットを明確にする
- 作り方②:シナリオを設計
- 作り方③:メール文を作成
- 作り方④:メールの配信設定を行う
- 作り方⑤:配信結果を分析して改善する
上から順に詳しく見ていきましょう。
作り方①:目的とターゲットを明確にする
ステップメールを作る際は、目的とターゲットを明確にする必要があります。目的やターゲットがずれてしまうと、せっかく作成したメールが読まれず効果が出ないからです。
「CV率を向上したい」「開封率を上げたい」「リピート購入やサービスの継続利用を促したい」など、達成したいゴールによって、施策の方向性を定めることが重要となります。
また、資料請求した人なのか、会員登録した人なのか、初回購入した人なのかなど、目的を達成するために最適なターゲットを選定してください。カスタマージャーニーマップなどを用いて、購買行動を細かく予想すれば成果が出やすくなります。
作り方②:シナリオを設計
目標とターゲットが明確になったら、次はシナリオの設計に入ります。
配信数や配信間隔は、扱う商品や目的によって変わります。たとえばサービスの継続利用を促したい場合は、申込から契約更新までを意識したストーリーを設計すると効果的です。申込直後のサンクスメールを皮切りに、使い方の説明やお役立ち情報などを段階的に配信。更新時期に合わせて継続利用を促す構成が理想と言えます。
どのタイミングで、どんなコンテンツを届ければいいのか。常に「ユーザーに次にどんな行動をしてほしいか」を意識して設計しましょう。
作り方③:メール文を作成
いよいよ、各種メール文の作成となります。1つのメールに盛り込む内容は、基本的に1テーマです。営業色が強く出てしまうと敬遠されてしまう恐れがあります。あくまでもユーザーに役立つ情報を届けることに重きを置きながら、その延長線上で自社の商品やサービスを紹介してください。
また、メール文面はもちろん、コンテンツ全体の読みやすさにも気を配らなければなりません。画像の配置やリンクの大きさなど、ストレスを感じないようなレイアウトを意識しましょう。
作り方④:メールの配信設定を行う
配信メールを全て作成したら、マーケティングオートメーション(MA)ツールやメール配信ツールを利用して配信設定を行います。シナリオ設計で決めた配信スケジュールに沿って条件を設定してください。
作り方⑤:配信結果を分析して改善する
ステップメールの配信を開始したら、定期的に配信結果の分析を行いましょう。最初に決めたゴールを達成できているのか、達成できていない場合はどこに課題があるのかを把握し、配信のタイミングやコンテンツの内容を改善していきます。
運用がスタートしてからしばらくの間は目に見えるような成果が出づらいかもしれませんが、効果検証と改善のサイクルを繰り返すことで徐々に効果が現れてくるので、中長期的な視点をもって取り組んでみてください。
【業界別】ステップメールの内容例

ステップメールの作り方がわかったら、いよいよ実践となります。ここでは、業界別にステップメールの配信のタイミングや内容例をまとめました。作成する際に参考にしてください。
EC・通販業界:初回購入後のリピート促進
リピート購入を促すには、購入後のフォローが鍵です。ユーザーとの継続的な接点をつくり、関係性を深めていきましょう。
通数 | 配信日 | 内容例 |
---|---|---|
1通目 | 購入直後 | 「ご購入ありがとうございます」+使い方ガイド |
2通目 | 2日後 | よくある質問・保管方法などの実用情報 |
3通目 | 5日後 | 関連商品の紹介(セット・定期便) |
4通目 | 7日後 | レビュー投稿のお願い+特典案内 |
5通目 | 10日後 | 次回使える割引クーポンの配布 |
購入体験の満足度を高めながら、関連商品やお得情報を伝えることで、自然な再購入につなげられます。
BtoBサービス:資料請求から商談化
BtoBサービスでは、資料請求後の「無反応」を防ぐ設計が重要です。段階的に信頼と興味を高める配信が効果的です。
通数 | 配信日 | 内容例 |
---|---|---|
1通目 | 資料請求直後 | 「ご請求ありがとうございます」+資料の補足情報 |
2通目 | 2日後 | 解決できる課題・よくある導入背景 |
3通目 | 4日後 | 導入事例・導入前後の変化を紹介 |
4通目 | 6日後 | 導入までの流れ・料金の考え方を案内 |
5通目 | 8日後 | 無料相談の案内+行動促進(CTA) |
導入事例や料金の考え方など、検討材料を順に提示することで、商談までの心理的ハードルを下げられます。
SaaS・ITツール系:無料トライアルから本契約
無料トライアル後に離脱されないよう、初期の利用体験をサポートするメール設計がカギになります。
通数 | 配信日 | 内容例 |
---|---|---|
1通目 | 登録直後 | 「ご利用ありがとうございます」+基本操作ガイド |
2通目 | 1日後 | よく使われる便利機能の紹介 |
3通目 | 3日後 | 活用事例や他社の導入ストーリー |
4通目 | 5日後 | 利用状況に応じた活用アドバイス |
5通目 | 7日後 | 本契約へのご案内+サポート体制の紹介 |
機能紹介や導入事例などをタイミングよく届けることで、継続利用・本契約へスムーズに導けます。
オンライン講座・教育系:無料登録から本申し込み
教育系サービスでは、ユーザーに「続けられそう」と思ってもらう導線づくりが成果に直結します。
通数 | 配信日 | 内容例 |
---|---|---|
1通目 | 登録直後 | 「ご登録ありがとうございます」+講座の魅力を紹介 |
2通目 | 1日後 | 学習の進め方・初心者でも安心なカリキュラム説明 |
3通目 | 3日後 | 受講生の成功事例や体験談を紹介 |
4通目 | 5日後 | 限定キャンペーン or 特典付き申込の案内 |
5通目 | 7日後 | 申込を後押しするQ&Aやサポート体制の説明 |
カリキュラムや成功事例の紹介でモチベーションを維持しつつ、申込みの後押しにつなげましょう。
美容・健康業界:商品の定着と継続利用
美容や健康商品は、使用を継続してもらうことで効果を実感してもらえるため、初期のフォローが重要です。
通数 | 配信日 | 内容例 |
---|---|---|
1通目 | 購入直後 | 「ご購入ありがとうございます」+使い方動画リンク |
2通目 | 3日後 | 実感できるまでの目安・ケアのコツ |
3通目 | 5日後 | 他ユーザーの口コミ紹介 |
4通目 | 7日後 | よくある悩みとQ&A |
5通目 | 10日後 | 定期購入・まとめ買い案内+割引情報 |
疑問や不安を解消しながら、リピーターにつながる関係構築を目指しましょう。
不動産・リフォーム業界:検討層の育成・来場促進
検討期間が長い不動産やリフォーム分野では、段階的な情報提供で信頼を積み重ねていくことが大切です。
通数 | 配信日 | 内容例 |
---|---|---|
1通目 | 資料請求直後 | 「資料をご請求ありがとうございます」+補足&閲覧のポイント |
2通目 | 2日後 | 施工事例・導入事例を写真付きで紹介 |
3通目 | 4日後 | よくある質問(費用・工期・保証など)への回答 |
4通目 | 6日後 | 見学会・相談会などのイベント案内 |
5通目 | 8日後 | 来場・面談予約のご案内+限定特典の訴求 |
資料や事例に加え、イベント案内や面談のメリットを伝えることで、実際の来場へとつなげやすくなります。
ステップメールで効果を出すコツ

ステップメールは配信して終わりではありません。効果測定を行い、改善を繰り返すことで成功率を高められます。できる限り短期間で効果を出したい場合は、以下の4つのコツを取り入れてみると良いでしょう。
- 開封率を高める件名の工夫
- 読者の関心を引く導入文
- 行動を促すCTAを設置する
- 配信タイミングと間隔の最適化
それぞれのコツについて解説していきます。
開封率を高める件名の工夫
どんなに中身が優れたステップメールでも、開封されなければ意味がありません。まずは件名で興味を引くことが重要です。「〇〇する3つのポイント」など具体的な数字を入れたり、「あなたは大丈夫?」「〜の裏ワザとは」など質問形式にしたりすることで、クリックされやすくなります。
読み手が「自分に関係がある」と思える話題や、読むことで得られるメリットを簡潔に示すと、開封されやすくなります。あまり長くならず、内容の信頼性が伝わる表現を意識しましょう。テストを重ねて、開封率の高いパターンを探るのもおすすめです。
読者の関心を引く導入文
メールを開封してもらえたら、次に大切なのは導入文です。最初の数行で「このメールは読む価値がある」と思ってもらえなければ、本文まで読み進めてもらえません。課題提起や共感できる一言を冒頭に入れることで、関心を引きやすくなります。
また、文章のトーンはターゲット層に合わせて調整しましょう。やさしく語りかけるような文体や、問題提起から解決策を提示する構成が有効です。ユーザーの興味を維持する導入文を心がけましょう。
行動を促すCTAを設置する
ステップメールの最終的な目的は、読者に何らかのアクションを取ってもらうことです。そのためには「無料資料を見る」「今すぐ登録する」など、明確な指示を伝えるCTA(コール・トゥ・アクション)が不可欠です。
CTAは目立つ位置に配置し、リンクやボタンはスマホでも押しやすいサイズを意識しましょう。また、「なぜ今行動すべきか」を示す一言を添えることで、クリック率アップにつながります。
配信タイミングと間隔の最適化
配信のタイミングや間隔がずれてしまうと、せっかくのメールも読まれなかったり、逆に鬱陶しいと感じられたりするリスクがあります。ユーザーの行動やライフスタイルに合わせて、配信のベストなタイミングを探りましょう。
たとえばBtoCなら夜間や週末、BtoBなら平日午前中など、業種やターゲットによって適切な時間帯は異なります。開封率・クリック率のデータを見ながら、継続的に調整・改善する姿勢が大切です。
ステップメール配信に活用できる無料ツール
無料で使えるステップメール配信ツールを4つ厳選して紹介します。
無料プランがあるものや特定の条件下であれば無料で使えるものをピックアップしたので、コスト負担なく始めたい方は、ぜひ利用を検討してみてください。
メールdeコネクト
公式:メールdeコネクト
「メールdeコネクト」は、初期費用・月額費用無料で顧客情報10万人まで登録できるメール配信ツールです。シナリオメールの設定やHTML形式のメール機能、入力フォームのカスタマイズなど、メールマーケティングに必要な機能が充実しています。
開封確認機能やクリック数・成約数の確認機能も搭載されているため、メール配信のみならず効果測定までこのツール1つで対応可能。メールのコンテンツ制作サポートも用意されているので、ステップメールを初めて実施する方にもおすすめです。
ワンステップメール
公式:ワンステップメール
「ワンステップメール」は、全ての機能を完全無料で利用できるサービスです。配信数に制限は設けられておらず、複数のステップメールを同じタイミングで配信することが可能。操作画面もシンプルなので、専門的な知識がなくても簡単に設定できるでしょう。
また、メルマガやステップメールに必ず設置しなければならない解除リンク(退会導線)が自動で挿入されるのも魅力的です。
オレンジメール
公式:オレンジメール
「オレンジメール」は、5分間の動画マニュアルを確認するだけで簡単に操作できる初心者向けのメール配信ツールです。14年間で75,000ユーザーもの運用実績があり、ノウハウも豊富。メールサポートも付いているため、運用に不安がある方も安心して利用できるでしょう。
機能面も充実しており、メルマガ配信やステップメール配信はもちろん、ABテストやクリック測定機能などのマーケティング機能も充実しています。料金プランは「無料版」「ビジネス版」「エンタープライズ版」という3種類が用意されており、半年間無料で使える「無料版」では最大で100件まで配信可能です。
Benchmark Email
「Benchmark Email」は、月間250通までなら無料で配信できるメール配信システムです。2004年の設立以来、世界50万社で利用されている実績豊富なサービスで、海外発ながら日本語にも対応しているため、戸惑うことなくスムーズに利用できます。
ドラッグ&ドロップ形式のメールエディターで簡単におしゃれなHTMLメールが作成できるため、デザインにこだわりたい方にもおすすめです。リアルタイムで効果を見られるレポート機能もあるため、スピーディーにPDCAを回せるでしょう。
まとめ

ステップメールは、見込み客の育成やリピーターの獲得を戦略的に進めるうえで非常に有効な手段です。配信を開始するまでのシナリオ設計やメール文面の作成には工数がかかりますが、一度運用を始めてしまえば、その後の配信業務を省略できます。ユーザーの行動を起点として自動でアプローチしてくれるので、大幅な効率化を図れるはずです。
ただし、ステップメールの効果を高めるためには、定期的な見直しと改善も忘れてはいけません。中長期的に取り組み、ユーザの潜在的なニーズに近づくことができれば、より訴求力の高い内容にアップグレードしていけます。最後に紹介したように、無料で導入できるツールもあるので、メールマーケティングを強化するためにも、まずは始めてみてはいかがでしょうか。
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