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投げ銭で貯めたお金

投げ銭とは?YouTube、Twitterなどのアプリで人気のシステム

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動画コンテンツにおける新たな収益源として注目を集めているのが「投げ銭」と呼ばれるシステムです。

単なる金銭支払いツールの域を超え、配信者と視聴者双方をつなぐ手段としても大きな役割を果たしています。その現象はYouTubeなどのライブ配信サービスで目に見えて顕著です。

本記事では、さまざまなアプリで人気を博すこの「投げ銭」について解説します。

投げ銭とは?

投げ銭システムを利用した動画配信

元来、投げ銭は、路上での大道芸や演奏を楽しんだ観客が、パフォーマーへの応援と感謝の意を伝えるために金銭を投げ入れるものでした。

そして現代。一般的に(インターネットコンテンツにおける)投げ銭とは、動画配信者に対して視聴者が自ら指定した金額をオンライン送金することを指します。

普及しているサービスを挙げるならば、YouTubeのライブ配信サービスに備わっているスーパーチャット(スパチャ)がお馴染みではないでしょうか。

金額は、配信サイトの画面上で指定可能。いつでも好きなタイミングで配信者に送金できるため、物理的な壁を超えて(配信者と)つながりを感じられる視聴者は思いのほか多い印象です。

YouTube以外でもその盛況ぶりは確認できます。たとえば、17LIVEやツイキャスといったサービスは以前から投げ銭サービスを実施しています。また、段階的ではありますが、Facebook、Twitter、Instagramといった定番のSNSも投げ銭機能の実装を進めている状況です。

オンラインで行う投げ銭システムの特徴やメリット

オンラインで行う投げ銭システム

最近では、スマホやパソコンを通じて気軽に動画配信を行える環境が整いやすいため、有名・無名問わず、誰もが不特定多数の人たちへ自らのパフォーマンスや言論を披露できるようになりました。

そうしたライブ配信機能に投げ銭のシステムが組み合わさることで、多くの配信者は(金銭はもちろん)支援を得られる機会が増えています。

また、視聴者やファンの目線からいうと、投げ銭によって自身の名前付きでコメントを配信者へ届けられるため、(自身の)存在を認識してもらえる喜びが生まれます。

この仕組みは、まさにWin-Winの関係です。

さらに視点を広げると、投げ銭機能は、イベントやコンサートが感染症対策などで制限される昨今の状況においても一役買います。ここで浮かび上がるのは、イベンターやアーティスト、企業側のメリットです。

たとえば、オンラインでのライブ演奏においては、チケット代の収益以外に投げ銭が収益の柱となることも少なくありません。その結果、観客制限のデメリットを補ってなお、余りある成果を上げるケースも珍しくないのです。

加えて、オンラインの場合、会場確保や設営のコストを抑えることができます。そうなると、投げ銭の結果次第では、非常に採算性の高いイベントにもなり得ます。

もちろん、音楽や演劇といった表現の場においては、生のふれあいこそ価値であり貴重だという向きもあるでしょう。ただその一方で、(アーティスト側にとっては)投げ銭システムが少なからず救いの手になっていることも無視できないと考えます。

日本のオンライン投げ銭事情

日本のオンライン投げ銭事情

YouTubeの各種データを集計している「Playboard」のランキングによると、2020年は、データスパチャで最も多くの金額を稼いだアカウントの上位10名の内、9名が日本勢でした。

このように日本だけでなく世界中で根付いている投げ銭システムですが(スパチャにより大きな収入を得ている動画配信者は世界的に散らばっています)、そうした状況下で目の当たりにした事実からは、日本人が投げ銭行為に対して過剰にのめり込みやすい性質を有していることがうかがえます。

したがって、配信内容に夢中になりすぎたり、配信側に煽られたり、オンライン決済であるがゆえに投げ銭に浪費してしまう怖さは、一人ひとりの視聴者が自覚すべき注意点ともいえるでしょう。

また、日本のスパチャ獲得上位層の顔ぶれから、世界的には実に珍しい傾向を確認することができます。それは、アカウントが顔出しをせずに配信、もしくは、架空のキャラクターに扮して配信している点です。これには、YouTubeのアジア太平洋エリアを統括するレフコウィッツ氏も「ユニーク」と認めています。世界基準とは相反する日本特有の興味深い表現方法といえるかもしれません。確かに、以前から普及していたTwitterでも、海外アカウントは暗黙の了解と感じるほど本人写真の使用率が高いですが、日本のアカウントを見るとガラリと事情が変わり、物やイラストの写真で代用しているケースが大半です。こうしたSNSで見られた日本特有のアピール方法が、動画配信の場面でもそのまま継承されているのではないかと捉えることができます。

YouTubeの投げ銭機能、スーパーチャットについて

YouTubeの投げ銭機能、スーパーチャットについて

本章からは具体的に、主要メディアの投げ銭機能について紹介します。

まずは繰り返しお伝えしている、日本で人気のYouTubeの投げ銭、スーパーチャット、そうスパチャについてです。

スパチャの魅力はなんといっても、投げ銭を通じて配信者と視聴者のコミュニケーションが深まる仕組みでしょう。

スパチャが実行されれば、「誰が」「いくら」投げたのか、配信とともに分かりやすく表示されます。その際、投げ銭を行った方々に対して配信者は、直接名前を呼びお礼を伝え、質問への回答など律儀に対応してくれることがほとんどです。一方向の視聴という関係性を超えた相互コミュニケーションの実現こそ、スパチャの本懐であり、多くの人を虜にしている所以なのだと考えます。

なお、支払う金額はコメント表示時間に比例するため、多くを費やす方も珍しくありません。

スパチャの条件

誰もが無条件でスパチャを受けられるわけではありません。配信者に必要なのはチャンネル登録者数が1,000人以上、直近12カ月の総再生時間が4,000時間以上のアカウントです。また、原則、配信者は18歳以上でなければなりません。加えて、配信内容が限定公開コンテンツや子供向けコンテンツの場合、スパチャの利用対象外です。

その他知っておきたいこととして、スパチャで送られるお金は、YouTubeへの手数料やアプリ内手数料が差し引かれます。結果、5~7割が配信者の手取り額です。そもそもYouTubeから実際に振り込んでもらえるのは、スパチャの報酬額が8,000円を超えてからになります。あらかじめ気をつけておきましょう。

Twitterの投げ銭機能、Tip Jar(ティップジャー)について

Twitterの投げ銭機能、Tip Jar(ティップジャー)について

Twitterでは2021年5月より、独自の投げ銭システムTip Jar(ティップジャー)の試験的導入が開始されました。同機能での送金は、iPhoneかAndroidの最新アプリを使用する英語設定ユーザーのみに限られます。

さらに、投げ銭(Tip)を受け取れるのは英語設定のクリエイター、ジャーナリスト、専門家、非営利団体といった一部に限られているのが現状です。投げ銭はオンライン決済サービスを通じて支払われ、指定されているサービスのなかでは、PayPalのみが日本国内での利用に対応しています。新機能が実装されたアカウントには、アカウントプロフィールのフォローボタンの横にTip Jarアイコンが表示され、基本操作の延長線上で気軽にチップを送れる仕様です。

現段階では、送金された金額よりTwitter側から手数料が差し引かれることはないと発表されています。いずれにせよ、日本語ユーザーにとっては未導入のサービスです。といっても気になる方は多いと思われます。とりあえず今後の動向に注目です。

Facebookの投げ銭機能、スターについて

Facebookの投げ銭機能、スターについて

「スター」とは、Facebookのライブ配信サービスです。このサービス内で視聴者は投げ銭を実行できます。

送金自体をスターと呼び、また、投げ銭単位としても扱われます。1スターに相当するのは0.01ドル(約1円)です。

スターを受け付けているアカウントの場合、コメント記入欄の横には星マークが表示されます。投げ銭を行う場合は、タップすれば手続き開始です。

スターの条件

スターによるストリーミングの収益化を開始したいアカウントは、Facebookレベルアッププログラムの審査を通過する必要があります。

合格のためには、以下の条件を満たさなくてはなりません。

  • 18歳以上であること
  • ゲーム動画クリエイターページを有すること
  • 同ページ作成より14日以上経過していること
  • 同ページのフォロワー数が100人以上であること
  • 14日間で同ページからゲームコンテンツを2回以上配信していること、かつその期間で同ページからゲームコンテンツを4時間以上配信していること

大前提、現状ではゲームコンテンツ配信者のみがスターを受け取ることのできる対象者です。受け取った月から約30日を数えた後にスターの精算は行われますが、スター残高が100ドル(約10,000円)を超えていなければ、原則、支払われることはありません。

上記からもお察しの通り、スターの投げ銭機能はまだまだテスト段階です。条件含め、システムの拡張などは引き続き様子を見ていく必要があるでしょう。

Instagramの投げ銭機能、バッジについて

Instagramの投げ銭機能、バッジについて

Instagramの投げ銭機能にも注目が集まっています。そう、バッジです。

バッジはインスタライブの配信者に対して、視聴者が送ることができる定額制の投げ銭です。YouTubeのスパチャなどは1円単位で自由に金額を指定できますが、バッジではあらかじめ(日本円にして)120円、250円、610円の3種類が用意され、1回の配信につき視聴者は1つだけ購入します。こうした制限が設けられているため、投げ銭で浪費する心配はありません。

バッジを購入すると、自分のアカウント名の横にバッジアイコンが表示されます。もちろん、配信者側からも確認可能です。

バッジ機能は一部のクリエイターが対象ですが実は日本でも始まっています。状況如何によっては、全面導入する日が近々やってくるかもしれません。

Instagramから派生した動画アプリ「IGTV」

IGTVとは、Instagram(以下インスタグラム)から派生したライブ配信サービスです。

IGTVはインスタグラムと親和性が高く、さながら姉妹アプリのように位置付けられています。

インスタグラム上の動画関連サービスを、より充実した機能で楽しむことが可能です。具体的には、最長60分の長尺動画の配信、一時停止のみならず早送りや巻き戻しボタンの搭載、ライブ配信後の動画保存といった特長が挙げられます。

そうしたなか、ビジネス面で期待されているのがIGTV広告です。

その仕組みからして、次世代プラットフォームで台頭する予感がビシビシします。

説明すると、動画視聴を始めると最大で15秒間の広告(IGTV広告)が流れるのですが、そこで発生する収入の内、最低でも55%は配信者側の収益として認められます。

これはYouTube配信での利益配分率とほぼ等しいものです。将来的にInstagram版YouTubeとして提供される動きの一端とも考えられています。

日本ではまだ導入されていません。米国などのクリエイターや企業を対象にテスト運用が行われている段階です。

なお、IGTV広告にもバッジを付与することは、すでに(プロトタイプの開発時)発表されています。

その他、投げ銭システムが採用されている主要プラットフォーム

投げ銭でも使えるAmazonギフト券

上述のライブ配信アプリ以外にも、投げ銭システムが導入されているプラットフォームは存在します。もしかすると、あなたが普段何気なく使うサービスのなかに含まれているものもあるかもしれません。

以下、あわせてチェックしてみてください。

note(ノート)

有料コンテンツの販売でお馴染みの「note」ですが、クリエイター支援の目的で実は投げ銭機能も用意されています。
アカウントを持っている方から「サポートをする」ボタンを押してもらうことで成り立つ仕組みです。

Amazonギフト券

Amazonギフト券の購入画面から自身のアドレス宛に該当するコードを送ってもらうのも、いわば投げ銭の一種です。また、Amazonギフト券を「ほしい物リスト」に追加し、購入してもらう方法もあります。

PayPal.me(ペイパルミー)

PayPal.meのサービスで投げ銭のやり取りを行うためには、まずPayPalアカウントを作成します。そこで投げ銭用のリンクを発行。そのURLをバナーなど用意し、運用するブログに張れば完了です。発信者だけでなく、支援する側にとっても使いやすいメリットがあります。

OFUSE(オフセ)

株式会社Soziの運営する「OFUSE(オフセ)」は、ファンレターがクリエイター側に金額として還元されるシステムです。投げ銭というよりはまさしくお布施。作品に対する評価よりも、純粋に応援したい気持ちを届けたい方々中心に利用されているプラットフォームであることが特徴的です。

「OFUSE」のほか「Skeb」「pixivFANBOX」などクリエイターを支援するサービスを紹介

投げ銭システムに関して注意したいこと

投げ銭システムで課金する少年

投げ銭が注目を集めるなか、新規サービスとしてシステムの導入を検討される企業や個人で挑戦したい方が続々と出てくることは、なんら不思議ではありません。

しかし、安易に手を出してしまうのは禁物です。

投げ銭は仕組み上、資金決済法によって規制される為替取引に当たる可能性があります。仮に該当する場合、サービス提供にあたって事業者は、資金移動業の登録が必要です(無免許でこれを行うと刑罰が科される恐れがあります)。

サイト内で利用可能なマネーポイントをあらかじめ購入しやり取りする「前払式支払手段」や、サービスの対価を支払う際に事業者が売主に代わって買主から代金を受領する「収納代行」など、資金決済法の規制から免れる方法は確かにありますが、今後も保証できるかは分かりません。仮に配信停止に追い込まれてしまっては、プラットフォーム構築に掛けたコストが大きな損失として残ります。

いざ取り組むのであれば、随時、関連する情報を収集しながら、慎重にアプローチすることが肝要です。

また、未成年が膨大にお金をつぎ込んでしまいトラブルに至ったケースも深刻な問題として挙げられます。にもかかわらず過剰に課金を煽る配信者、発信者がいるのもまた事実。

仮に視聴者や受け手を焚きつけ収益を一時的に多く上げられたとしても、それは当然褒められた話ではなく、そうした輩は、えてして信頼を失いリカバーできないまま撤退を余儀なくされることでしょう。

つまるところ、投げ銭システムの健全な構築には、クリエイターの良心とファンの節度が非常に大切なのです。

投げ銭の普及はまだ序章?今後さらに高まる期待

投げ銭システムで使うための写真を撮る女性

動画コンテンツにおける圧倒的な収益源として頭角を現してきた投げ銭機能。しかし、あらゆるビジネスの現場を見渡した時、本格参入はまだまだ始まったばかりともいえそうです。

さまざまな媒体がどのように進出してくるのか。はたまた思いもよらない場面で恩恵を受けるきっかけが生まれるのか。

投げ銭を有効活用できるチャンスは今後、より広がっていくに違いありません。各種コミュニケーションツールのアップデートとともに、投げ銭システム自体についても目が離せない状況が続くと思われます。

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この記事を書いた人

ヒゴ
無知、無能、無粋、無才、無点法……。SEOやアクセス解析に腐心しつつも、それらはまるで逃げ水のように追いかけては遠く離れ、ようやく掴んだと思った矢先にはシビアな現実を突きつけられる有様です。あるいはライターとして名を連ねることに気後れしながら、日曜大工のスタンスで恣意的かつ箸にも棒にもかからない駄文をまき散らしています。隠し切れない底意地の悪さ。鼻持ちならない言い回し多数。どうかご容赦ください。

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