TikTokもEC機能搭載!今こそソーシャルコマースの戦略を!
「TikTok(ティックトック)」はリリースからわずか3年で約15億回もDLされたショートムービープラットフォーム。当初は個人ユーザーが多く、SNSや動画をシェアするアプリという印象が強かったですが、現在はアパレルをはじめとした企業がアカウントを開設してブランディング構築に活用したり、インフルエンサーマーケティングに用いられたりするなど、ビジネス面でも注目されるようになりました。
それもそのはず、国内MAUは950万人(2019年2月発表)、海外MAUは5億人(2018年7月発表)という大規模のユーザーを抱えたコンテンツを見過ごす手はありません。特に、「アフターコロナ」とはまだ言いきれない不安定な情勢の中で、「おうち時間」は長期化する傾向にあり、スマホで気軽に楽しめるコンテンツは高い注目度をキープしています。
もちろん運営元もそんなTikTokの可能性には気づいており、今年2020年2月には満を持してEC機能の試験運用が開始されました。続けて6月には「TikTok for Business」をローンチし、それまで課題となっていた広告運用などビジネス面での活用を本格化できるプラットフォームとして再活性化を目論んでいます。
web業界におけるマネタイズの手段というと、広告、EC、ゲームと主に3つの手段が考えられますが、ソーシャルコマースは今後どのように成長していくのでしょうか。
目次
TikTokのEC機能
TikTokからECサイトに誘導したり収益化させたりするには、以前は広告を掲載するしか方法がなかったのですが、現在は投稿から直接ECサイトに遷移できる機能をテスト運用しています。まだ一部ユーザーのみでの展開ですが、ゆくゆくはより多くのユーザーに活用されるようになるのではないでしょうか。
Instagramにも投稿からECサイトに遷移し購入することができるShop Now機能がありますが、大まかには似たつくりだと考えてよいでしょう。投稿だけでなく、プロフィールページにもリンクを貼ることができ、「商品ウィンドウ」「ビデオショッピング」「ライブショッピング」のいずれかを表示させ、ECサイトに誘導します。
中国版TikTokにおけるEC機能の効果
実は中国版TikTok「Douyin(抖音・ドウイン)」ではもっと早くからEC機能が実装されています。2018年3月にタオバオとの連携をスタートさせ、6月には100万人以上のフォロワーを持つ「視頻達人」と呼ばれるインフルエンサーのプロフィールページに「ショッピングカート機能」を追加。12月までに6万人以上がこの機能の利用を申請、実装完了しており、一般ユーザーにも対象を拡大しています。
なお、同年11月11日「独身の日」の大型セールにおいて、たった1日で10万アイテム、約3,000万ドルの売り上げを記録したそう。まだ全ユーザーにショッピングカート機能が搭載される前の時点でこれだけの成果が上がるということは、今後実装アカウントを増やせば増やすほど、より多くの売上貢献が見込めるでしょう。
○参考:中国紙・毎日経済新聞
なお、中国ではライブコマースも十分に生活に浸透しており、SNSマーケティングにおいてかなり進んでいるといえますが、Douyinがタオバオと連携したのは自社ECプラットフォームを完成させるための試験的なものだったかもしれないという見方もできます。
というのも、このEC機能を適用させた動画コンテンツや商品カテゴリー、フォロワー数の少ない投稿者に何度も制限が設定されており、なにかしらの調整がなされていることは明らかで、いずれはタオバオとの連携を廃止し、自社ECシステムの構築に注力していく可能性があるといわれているのです。
TikTokはInstagram化する?
TikTokのEC機能はまだ日本では実装されていませんが、今後追加されたら、よりビジネスアカウントも増えていくことでしょう。さまざまな企業が参入することで話題性も高まり、多くのユーザーがEC機能を利用して商品やサービスを購入することが見込まれるので、ますますその存在感は多くのSNSアプリの中でも発揮されていくでしょう。
特に、ほかのSNSではフォロワー数が多くても「いいね」やシェアなどアクション率が高くないユーザーも存在しますが、TikTokは比較的フォロワー数とアクション率も比例している傾向にあるため、注目されればされるほど活性化していくことがわかります。
母数が増えることでAIもより細かくユーザー層を分析できるようになるので、細分化したターゲットにマッチしたレコメンド配信も可能になり、結果的に滞在時間を長く伸ばすことにも繋げられるでしょう。
数年前からInstagramはGoogleのように検索エンジンとしても使われるようになってきています。ハッシュタグだけでなくスポットやユーザー名でも検索できるため、トレンドの言葉、商品、スポットなどを検索し、場合によってはそのまま購入するという使い方がされているということです。
特にZ世代においてはそれだけでなく、DMをチャットとして利用することで、Instagram=連絡ツールとしても活用しており、今や「LINE離れ」ともいわれています。GoogleやLINEの代わりとして活用できるということはつまり、ただの写真・動画を投稿、視聴するアプリというよりも一層生活に寄り添ったものになっているということ。
TikTokはそれまでショートムービーを投稿、閲覧するエンタメ要素が強いアプリでしたが、EC機能が搭載されれば、Instagram同様に用途が拡大していくかもしれません。それはつまり、TikTokの可能性の開拓にも繋がることになり、SNS市場が再活性化されることで、ほかのSNSの成長にも繋がる可能性があります。
ますます有効化するソーシャルコマース
日本だけでなく世界を軸に見てもSNS利用ユーザーは増え続けています。そしてそれに伴い、EC市場も拡大化し続けています。2016年ではありますが、10~40代の女性の約半数がSNSを見て商品を購入した経験があると答えている調査データもあり、今やSNSとECは切り離せない関係性になっているのです。
また、15~19歳の女性を対象に2020年5月に行われた「外出自粛による10代女性とSNSへの影響」に関する調査では、半数以上が外出自粛期間中にネットショッピングを利用したと回答しています。
○参考:「外出自粛による10代女性とSNSへの影響」に関する調査
外出自粛自体は今後、状況次第で完全に撤退される、あるいは再度実施される不確定要素が強いため、判断材料に含めるべきではないですが、外出自粛をきっかけに人々の働き方や生活様式は大きく変化したはずです。
新しい生活をより快適に過ごすための便利なツールもたくさん生まれました。それらによって今後も不必要な外出は減り、ネットショッピングの機会が増える可能性はおおいにあります。
日本ではあまり浸透していませんが、WhatsApp(ワッツアップ)にもカタログ機能が導入され、約500万もの企業が取り入れているといいます。ライブコマースも活発になっている今、より大きな収益化を狙うのであれば、いち早くあらゆるSNSのアカウントを開設し、集客を図るのが一番の近道なのかもしれません。
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