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5Why(なぜなぜ)分析とは?キホンのやり方やコツを解説!

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経営状況や職場環境を改善するためには、現状の問題を把握し、整理することが欠かせません。

現状把握に役立つ分析フレームワークにはさまざまなものがありますが、とくに「問題の原因」を突き止める際に有効な手法として、「5Why分析(なぜなぜ分析)」が挙げられます。

この記事では、マーケティングから生産工程、営業から事務作業まで、幅広い領域で改善のヒントを与えてくれる5Why分析について、概要や具体例をふまえ、実際のやり方やコツを解説していきます。

5Why分析(なぜなぜ分析)とは

5Why分析とは、自社が抱える問題の「根本原因」を突き止めるために、問題となっている事象に対して「なぜ?」を5回繰り返していく手法です。「なぜなぜ分析」という呼び方でも知られており、何度も問いを重ねていくことで、本質的な原因まで考察を深めていくことを目的としています。

5Why分析は、もともと「トヨタ式生産方式」におけるフレームワークの1つであり、製品の品質管理や工程におけるミスの予防、業務効率化などを目的に取り入れられてきました。同方式が世界的に広まった現在では、生産現場に限らずマーケティングや営業、制作など、幅広いシーンで問題解決のために活用されています。

5Why分析の基本的なやり方

まずは組織やチームが抱える問題(以下「A」)を分析の対象にします。さしあたりAは、「売上が伸びない」や「作業ミスが多い」など、現時点で表面化している大枠としての問題で構いません。

そして1回目の「なぜ?」によって、Aの直接的な原因Bを考察していきます。たとえば「A:売上が伸びない」に対して「B:Web上の集客施策が成功していない」というように、段階を追って原因を掘り下げていきましょう。

次に2回目の「なぜ?」を通じて、Bの原因Cを検証します。上の例でいえば、「C:Webサイトから顧客との接点を作れていない」など、問題の所在を少しずつ絞り込んでいくことがポイントです。

さらに「なぜ?」を繰り返し、原因D、原因Eと進みながら、問題を具体化していきます。最終的に「問い合わせページまでの導線がわかりにくい」など、対処しうるレベルにまで問題を掘り下げることができたら、分析は終了です。その後、明らかになった原因に対して改善策を講じていきましょう。

なお、問題を十分に具体化・明確化できれば、問いの回数は5回である必要はありません。回数を固定するのではなく、「その問題に対し、どのような対処を取ればよいのか」をはっきりと把握できるまで問いを繰り返していくことが重要です。

5Why分析を実施する意義とメリット

5Why分析は、「現時点で表面化している問題」の原因を掘り下げることで、その根本にある「本質的な問題」を明らかにするためのフレームワークです。根本原因を突き止めることにより、目に見える問題への場当たり的な対処ではなく、より効果的な解決策を導出しやすくなるでしょう。

加えて、問題の原因を徐々に具体化していくことで、「実際の行動によって対処可能なレベル」にまで課題を落とし込める点も有用なポイントだといえます。適切に「なぜ?」を深めていくことで、「これから何をすべきか」が見通しやすくなるはずです。

5Why分析は特別な準備をせずとも取りかかれるため、ミーティングや個人の振り返りなど、実にさまざまなシーンで実践できるでしょう。「なぜ?」の問いを習慣化することで、日頃から原因を究明する態度が身につき、さまざまな問題に対して「根本的な対策」を導き出そうとする姿勢が生まれるなど、副次的な効果にも期待ができます。

5Why分析の例

5Why分析はきわめて汎用性が高いフレームワークであり、業界や業種を問わず、さまざまなシーンで活用されています。以下では具体的に、いくつかの業種において5Why分析を取り入れられる場面を例示していきます。

生産現場における5Why分析の例

たとえば生産現場において「製品の品質にバラツキが生じている」という問題がある場合、5Why分析を以下のように進めていくことが考えられます。

生産現場における5Why分析の例

まずは問題の実情を把握するため、それぞれの工程において具体的な不良率を確認。その結果、「生産ラインの特定のポイントで不良が頻発している」ことが明らかになりました。

さらに、勤務時間の後半になるにつれて不良率が高まっていることから、「同一の作業者が一定時間以上作業した際、品質を維持できなくなる傾向」を見出します。その後、作業者への聞き取り調査を通じて、「長時間の作業により指先や手首の痛みが生じる」場合があることを把握しました。

これにともない、作業のフローを見直した結果、「問題の工程でとくに複雑な手先の動きが必要とされる」ことが原因として浮上。この分析で判明した原因に対しては、「作業工程を細分化し、負担を分散する対策」を講じることなどが考えられるでしょう。

Webマーケティングにおける5Why分析の例

たとえば「サイトのコンバージョン率が低い」という問題について考える場合、次のような原因の掘り下げ方が考えられます。

Webマーケティングにおける5Why分析の例

まずアクセス解析を通じて現状をデータ化した結果、「商品購入ページまでは進んでいるのに、支払い情報の入力画面で多くの離脱が生じている」ことが大きな原因として判明しました。

その後、チーム内で入力フォームを見直し、「入力作業に時間がかかる」という問題を特定。さらに具体的なポイントとして、「入力する項目の多さ」「住所入力の面倒さ」という課題が浮き彫りになりました。

この原因に対しては、入力を求める必須項目を最低限に絞ったり、郵便番号から住所を自動で入力できる機能を組み込んだりといった対策が考えられるでしょう。

営業活動における5Why分析の例

BtoB事業において、「新規顧客の獲得に苦戦している」という問題を抱えている場合、たとえば次のような分析の流れが考えられるでしょう。

営業活動における5Why分析の例

まず、現状の顧客リストなどを見直した結果、「一度接点をもった潜在顧客に対し、再度アプローチできていないケースが頻発している」ことが明らかに。その原因として、「資料請求や説明会など、異なる窓口から接触した潜在顧客に対するアプローチ状況を管理できていない」ことを突き止めます。

さらに、膨大な顧客データを抱えているにもかかわらず、「営業の進捗状況を統一的に管理できるシステムが存在しない」ことを根本的な原因として特定しました。この原因に対しては、「営業支援ツールの導入」といった対策が考えられるでしょう。

5Why分析を実践する際のコツ

5Why分析は手軽に実践できるフレームワークですが、適切に原因を特定していくためには一定のポイントを押さえる必要があります。以下では実践時の留意点や、取り入れたい分析のコツについて解説していきます。

既存のマーケティングフレームワークを取り入れる

「なぜ?」を掘り下げるにあたって、既存のマーケティングフレームワークを取り入れることは有効な選択肢になるでしょう。

たとえば「売上が伸びない」といった課題であれば、「Customer(市場・顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」の3つの観点について考察していく「3C分析」を取り入れることが考えられます。これにより、「競合が多く市場が飽和している」「差別化に成功していない」など、自社の立ち位置を整理しながら問題の原因を追及できるでしょう。

なお、3C分析の概要や進め方については、以下の記事で詳述しておりますので、あわせてご参照ください。

【わかりやすく解説】3C分析とは?やり方や例、SWOT分析との違いまで

その他、製品・価格・販促・流通の4つから問題を検証する「4P分析」など、状況に応じたフレームワークを活用することで、多角的に問題の所在を突き止めていける可能性があります。

4P分析についても、以下の「マーケティングミックス」の記事内で詳しく取りあげていますので、こちらもぜひご参照ください。

マーケティングミックスとは?4P、4C分析と活用事例

複数の原因があるときには個別に掘り下げる

5Why分析を実践する際は、問題の「根本原因」にピントを合わせることが重要です。分析を進めるにあたって、複数の問題を一挙に取りあげてしまうと、最終的なピントがブレてしまう可能性があります。

たとえばWebマーケティングにおいて「コンバージョンが増えない」という問題に直面しているとき、最初のステップで「導線がわかりづらく、デザインも見にくい」と複数の要素を挙げてしまうと、そこから1つの課題に焦点を当てることが難しくなります。

複数の原因がある場合は、「導線がわかりにくい」「デザインが見にくい」のそれぞれについて個別に5Why分析を進めていくなど、問題を切り分けながら考察を深めていくことが必要です。

問題の原因を「人」ではなく「構造」に落とし込む

5Why分析においては、問題の原因を「人」へと帰着させないことが1つのポイントです。

たとえば特定の工程においてミスが頻発している場合、最初の「なぜ?」において「作業者の習熟度が十分ではないこと」が直接的な原因として浮かび上がったとします。しかし、次の「なぜ?」を考える際、これを作業者の「資質」や「努力」といった個人の問題に回収してしまっては、組織としての本質的な問題解決につながりません。

原因を掘り下げていく際には、構造やシステムにおける問題を浮き彫りにしていく視点が重要です。上の例でいえば、「研修制度が十分ではない」→「研修プログラムが体系化されていない」というように、構造上の問題に帰着させることにより、建設的な解決策につながっていくでしょう。

客観性を担保する

「なぜ?」を通じて原因を掘り下げる際には、「事実にもとづく分析」をしていく姿勢が求められます。たとえば「サイトの離脱率が高い」という問題であれば、アクセス解析を通じた客観的な指標をもとに、「トップページで7割以上のユーザーが離脱している」などファクトベースで原因を考察していくことが重要です。

データが参照できないような問題についても、複数人で意見を交わすなどしながら、原因追及の方向性に偏りが生じないように工夫するとよいでしょう。

以上のように、5Why分析を効果的に進めていくには、多角的な観点や事実を示すデータが大きな意味をもちます。日常的に「なぜ?」を問う姿勢を身につけるとともに、「客観的に状況を読み取るための材料」を日頃から揃えておくことが大切です。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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