新聞広告を深掘り!デザインからメリット、効果、面白い事例まで
新聞広告は、インターネット広告の需要が高くなりつつある現代でも一定の需要を誇っています。それゆえ、“オワコン”と切り捨てるにはあまりに軽率です。
本記事では、新聞広告の魅力をあらためて伝えるべく、種類やデザインのポイント、マーケティング効果、メリット、ユニークな事例など幅広く紹介します。
目次
新聞広告の主な種類
新聞広告にはさまざまな種類が存在します。広告を出す際は、それぞれの目的に応じ、適切に使い分けることが必要です。以下、代表格を取り上げます。
営業広告
新聞広告のなかでは、商品やサービスを打ち出す営業広告が主流です。広告枠も大きく目立ちやすい分、反響に期待が持てます。画像掲載も相まって企業認知にもつながりやすい広告です。
記事広告
記事広告はテキスト主体の広告です。活字を読むことを苦にしない、むしろ習慣にされている方々をターゲットにした、新聞ならではの広告タイプだと考えます。「PR」の文字こそ記載されていますが、他のトピックの記事から自然に広告へと誘導できる点は、Webとはまた違った特長だといえるでしょう。
三行広告
三行広告は案内広告とも呼ばれ、その名の通り文章3行程度の情報を掲載する広告枠です。夕刊やスポーツ紙などカジュアルに読める新聞で、比較的目にすることが多いのではないでしょうか。主に映画の宣伝や求人情報などが掲載されています。
新聞広告におけるデザインのポイント
新聞広告は他の広告手段と比べて、誠実さを意識したデザインが求められます。そのため、慣れないうちは苦戦するデザイナーが少なくありません。読者に与えるインパクトと誠実さを共存させつつ、ユーザーの目に留まる新聞広告を作るには、どのようなポイントをおさえる必要があるのでしょうか。以下、具体的に解説します。
広告枠のサイズ
いうまでもなく、新聞広告枠のサイズは一様ではありません。そして、枠の大きさに比例するように掲載費も高くなります。発注側の立場で「インパクト重視なら一面広告でしょう」と短絡的に推し進めてしまうと、掛かるコストに唖然とするはずです。大手新聞社であれば一度の掲載で数千万円必要となるケースもあります。
さて、現実的かつデザイン的な話に移りましょう。
新聞の縦幅を12分割、あるいは15分割したサイズがいわゆる1段に当たります(新聞社によって規定は異なります)。
おそらく、新聞一面の下部に設けられている5段(全5段)もしくは縦5段そのままで横に二分割したサイズ(5段1/2)の枠に対しては、馴染み深い方も多いでしょう。
注意点はサイズオーバーです。
入稿前に、しっかりチェックするようにしてください。
カラー
新聞広告はモノクロとカラーから選ぶことができます。前者の場合、特に注意が必要です。新聞紙は一般的な雑誌やチラシよりも紙が薄く、しかも高速で印刷作業を行うことから、インク量の調節がカギを握ります。広告が滲んだり、かすれたりすることもあるため、鮮明な色の使用などは(乱用しないよう)気を付けなければなりません。
レイアウト
印刷技術が向上したことで、新聞広告で画像を駆使する企業が増えています。しかし、言葉(キャッチコピー)の訴求力もいまだ健在です。アピール要素によって、打ち出す配置は変わってきますが、うまくハマればインパクトの強い広告となるでしょう。
また、縦書きか横書きかも状況に応じて判断すべきです。読者の印象はちょっとしたレイアウトの妙で一変します。当然、商品との相性にもよりますが、あらゆるサンプル(経験)を積み重ね、そこから勝ちパターンを抽出していくのが最善策だと考えます。
フォント
フォントの種類もさまざまです。一般的に新聞には明朝体が使われているのはご存知でしょうか。やわらかな曲線が多く、流れるように視線を誘導しやすい点や、漢字と仮名とのコントラストが強い分、読み手からすると情報整理がスムーズといった特性など採用される所以はいくつかあります。とはいえ、明朝体以外のケースもないわけではありません。たとえば、ゴシック体はモダンな印象を与えるのに効果的です。長文を載せるのにはやや不向きですが、太さを調整するなどして対応すれば、そう支障をきたすことはないでしょう。
いずれにせよ、サービスの特徴やターゲット層に応じて、柔軟に使い分けられることが大事です。
新聞広告のマーケティング効果・メリット
インターネットが普及し、ネットニュースなどで情報を得る人が増えた結果、新聞の発行部数は年々減る一方です。しかし、冒頭でもお伝えした通り、新聞広告に魅了される層は少なからず存在しています。そのため、発信側にしても「見切りをつけるにはまだ尚早」と、注力されている様子が時折見受けられるのも事実です。
そうこう新聞広告がいまだ根強い理由は何でしょう。
そこには確固たるマーケティング効果やメリットがあります。
高齢者や富裕者層は依然ターゲットになりやすい
新聞読者は主に中高年、特に富裕層を中心に構成されています。そのため、商品の販促に新聞広告が効果的であることも決して否めません。むしろ高齢者にかけてはインターネットに慣れ親しんでいない人も多く、そうした方々が情報を獲得するのに新聞を拠り所にするのは至極当然だといえます。
商品が信用されやすい
テレビやインターネットは報道内容に運営元の思想が影響しやすく、偏向報道が問題になることもしばしば出てきますが、新聞に広告を掲載する場合は各媒体の審査をクリアしなければならないため、そうした背景を知っている方はもちろん、世間のイメージ的にも比較的、信頼を得やすい傾向にあります。読者層のメディアリテラシー云々とは別に、新聞広告は歴史ある分、どこか安心感をもたらしているのかもしれません。
地域住民に愛されやすい
新聞がターゲットに据える規模は、全国、各都道府県、各市区町村といった具合にさまざまです。とりわけ地域向けであれば親近感も相まって、しっかり読んでもらえる可能性が高まる傾向にあります。当然、掲載される広告に対しても読者が目に触れる機会は多く、興味・関心を惹きつけやすいといえるでしょう。
新聞広告のデメリット
新聞広告はメリットばかりではありません。デメリットも理解したうえでどの場面で活用すべきか慎重に検討する必要があります。以下、懸念点としてしっかりおさえておくようにしましょう。
効果測定が難しい
新聞広告のようなアナログ広告はユーザーのリアクションがわかりにくく、効果測定も困難です。「新聞を見た人は○○円引き」など成果がダイレクトに見えるキャンペーンを用意しない限り、広告による接点、インプレッションがどれ程か、なかなか把握できないかもしれません。
若年層には情報が届きにくい
新聞広告は若年層向けの商品の広告に向いていません。若年層が情報収集に使うのはスマートフォンがほとんどです。さらに述べると、若年層に限らず(情報収集のための)主要媒体はデジタル広告へと流れています。若者にも訴求するためには、デジタルと提携を図るなど、従来の新聞広告とは違った切り口、または意匠を凝らす必要があるでしょう。
コストが割高になりやすい
新聞広告は一日単位で費用が発生するため、広告が長期化すればするほど費用も高額になってしまいます。とはいえ、短期間での掲載はあまり効果が期待できないでしょう。そのため、最低一週間は掲載期間を設けたいところです。予算との兼ね合いになりますが、コスト面で頭を悩ますことは、おそらく出てくるはずです。
面白い新聞広告の事例を紹介!
広告には読者の目を一瞬で引くインパクトが求められます。新聞広告も同様。そうした優秀な新聞広告は、大抵、個性的です。SNSでも取り上げられ、メディアの垣根を超えて評判を呼び、大きな成果につながることも決して珍しくありません。
以下、筆者が面白いと思った新聞広告の事例を紹介します。
LUXが打ち出した大胆かつ示唆に富んだキャッチコピー
ヘアケア製品を展開するLUXの一時期話題にもなった新聞広告では、一面に画像を使わず、キャッチコピーを強調していました。
コピーはずばり“採用の履歴書から顔写真をなくします。”という大胆かつ示唆に富んだもの。
LUXのような美容に関わる分野の企業がこれを打ち出したことが(もちろん良い意味で)波紋を呼んだようにも思います。
海外では人種や性別による差別撤廃の一環として、履歴書に顔写真を貼り付けることを無くす動きが顕著に見られます。そこに賛同したLUXも、世界基準のダイバーシティに対して真摯に向き合っているイメージが定着するわけですが、きっかけは紛れもなく一つの広告(の力)です。
コピーのインパクトもさることながら、そこにフォーカスしたレイアウトの秀逸さも称えられるべき要素だといえるでしょう。
近畿大学のイメージを逆手に取った志願者募集
近畿大学の志願者募集に使った広告には、大きなクロマグロの画像がどかんと載っています。この時点でそう容易くは無視できません(笑)。そしてキャッチコピー。「マグロ大学って言うてるヤツ、誰や?」
見た人に鮮明な記憶を植え付けるには申し分ない広告です。
近畿大学は世界で初めてクロマグロの養殖に成功しています。それらを「近大マグロ」の名前で全国流通していることもあってか、マグロのイメージが少なからず強い大学です。しかしこの広告では、そのイメージを逆手に取っています。
近畿大学はどの学部もマグロについて勉強しているわけではありません。農学部以外の人達の目線から見えるそうした半ば自虐的な打ち出し方も、この広告の面白さにつながっているように思います。
アイデアと工夫を凝らし、より良い新聞広告を作っていこう!
新聞広告は古くから多くの企業が活用している媒体ですが、世相とあわせてニーズを鑑みるに、今後の雲行きは怪しいかもしれません。
しかし、需要が減るからといって完全に広告やマーケティング手法の選択肢から外してしまうのも考えものです。
競合が少なくなっていくことを踏まえると、アイデアと工夫次第で大きなチャンスが転がっているようにも思います。また、他の媒体からフックアップされる可能性も大いにあり得ます。光明が差すタイミングを逃さないよう、願わくは拙稿を参考に、より良いモノを作っていただけますと幸いです(書き手冥利に尽きます)。
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