設計事務所の集客方法!用途別・予算別で効果的な戦略を紹介
「紹介が途絶えると来月の案件が不安」「Webが重要なのは分かるが、何から手をつければ良いのか見えない」。こうした悩みを抱える設計事務所の経営者は少なくありません。
日々の設計業務に追われる中で集客に十分な時間を割けず、気づけば「紹介を待つだけ」の状態から抜け出せていない。今の市場環境では、この受け身の姿勢だけでは安定した集客は望めません。能動的な戦略設計こそが、事務所経営の安定に直結します。
本記事では、多忙な経営者やWeb担当者様に向けて、設計事務所の集客を「最短で仕組み化」する方法を解説します。
目次
設計事務所が集客に苦戦する3つの理由

近年は「良い建築をつくれば自然と顧客が集まる」という時代ではなくなりました。市場環境の変化により、依頼前の情報収集がオンライン中心となり、顧客の比較検討も高度化しています。
その結果、設計事務所ならではの専門性やこだわりが、かえって伝わりにくくなり、集客の壁となるケースも見られます。
ここでは、設計事務所が直面しがちな集客上の課題を、構造的な変化という視点から整理し、代表的な3つのポイントに分けて解説します。
ハウスメーカー・工務店と競争が激化している
設計事務所が直面する最大の競合は、豊富な商品ラインナップと営業リソースを持つハウスメーカーや工務店です。
彼らは「坪単価」や「標準仕様」といった分かりやすい指標で訴求し、大規模な広告投資と展示場運営によって認知を獲得しています。一方、設計事務所が提供する価値は「オリジナルの設計力」や「施主の想いをくみ取る対話力」です。
魅力が伝わるまでに時間を要するため、初期検討段階の顧客には価格や工期が明確なハウスメーカーの方が選ばれやすい状況があります。こうした情報提示の差が、競争上の課題となっています。
顧客の検索行動の変化と「失敗したくない」心理がある
スマートフォンの普及により、住宅検討者の情報収集はSNSが中心に変化し、より失敗したくない心理が強くなっています。
InstagramやPinterestには膨大な施工事例が並び、顧客はそれらを比較しながら理想像を具体化することが可能です。視覚的な基準が高くなっている一方、「家づくり 失敗」などのキーワードでリスク回避の情報も徹底的に調べる傾向があります。
設計事務所に対しては「敷居が高い」「費用が分かりにくい」といったイメージが残るケースもあり、デザイン性だけでなく費用やプロセスを丁寧に開示し、安心材料を提示することが求められます。Web上で信頼性を証明できなければ、比較段階で候補から外れやすくなります。
紹介・口コミ依存からの脱却できていない
OB施主からの紹介や口コミは、信頼関係を築きやすく非常に価値の高い経路です。ただ、紹介や口コミ依存からの脱却できていない場合、新規顧客の件数を能動的にコントロールできず、経営が不安定になりやすい側面があります。
景気や市場の変動によって紹介が減れば、そのまま売上に影響します。事業拡大やスタッフ増員を見据える場合にも、紹介だけでは供給量が不足します。
紹介は重要な資産として活かしつつも、自ら顧客にアプローチできる集客の仕組みを構築することが、持続的な経営には不可欠です。
設計事務所で集客方法を選ぶ前に決めるべき戦略

集客施策を選ぶ前に、自社がどの方向を目指すのかを明確にする必要があります。多くの事務所は、つい「どの集客手法を使うか」といった施策レベルの検討からスタートしがちです。
しかし、戦略がないまま戦術を実行しても、期待した成果は生まれません。まずは「誰に」「何を」「どう届けるのか」という3つの軸を明確にし、自社の方向性を定めることが重要です。
軸が定まっていれば、選ぶべき施策も自ずと絞られ、集客の成果に直結しやすくなります。
ターゲット(ペルソナ)を明確化する
設計事務所の集客戦略ではまず、届けたいターゲット(ペルソナ)を明確にすることが必要です。
「家を建てたい人全員」を対象にすると、メッセージが抽象的になり、刺さりません。たとえば「30代後半の共働き世帯、年収1,200万円、無垢材が好きでキャンプが趣味」のように、具体的なペルソナを設定します。
人物像が具体化すると、その人が利用する媒体(Instagram、YouTube、専門誌など)や重視する情報が把握でき、発信内容の精度が大きく高まります。
自社の強みやブランディングを言語化する
ターゲット(ペルソナ)が決まると、自社の強みの言語化をしていきます。施主がハウスメーカーや工務店ではなく、あなたの事務所を選ぶ理由を明確にします。
「デザイン性が高い」といった抽象表現ではなく、「狭小地のパッシブデザインが得意」「地元材の活用にこだわる」「北欧ヴィンテージを軸にした空間設計」など、具体的な価値を示すことが重要です。
この「言語化された強み」がブランディングの核となり、施工事例やSNS発信の一貫したテーマづくりにつながります。
認知から成約までの導線を設計する
ターゲットと強みが定まったら、顧客があなたを知ってから依頼に至るまでの導線(カスタマージャーニー)を設計します。
設計事務所の依頼は検討期間が長く、SNSで認知しただけでは即問い合わせにはつながりません。「SNSで認知 → コラム記事で比較・理解 → 家づくり勉強会で接点 → 個別相談」というように、段階的に関係性を深める流れをつくることが重要です。
熱量を高めるステップを意図的に設計することで、集客を“仕組み化”できるようになります。
用途別で異なる設計事務所の集客導線

設計事務所が扱う領域は住宅、リノベーション、店舗やオフィスなど多岐にわたります。それぞれの分野で求められる情報と意思決定のプロセスが異なるため、同じ集客方法でも成果に差が生まれます。
用途に合わせた導線を整えることで、見込み顧客が必要とする情報を適切に届けやすくなり、問い合わせ率を高められます。
ここでは、用途別の集客導線について解説します。
住宅向け(新築・戸建て)
新築・戸建て住宅の検討は、数年に及ぶことも多い「超高関与商材」です。顧客は一生に一度の買い物として、作風と人柄の両面から慎重に判断します。そのため、場当たり的に即決を促す集客は機能しません。
たとえば、「Instagramで施工事例に触れて認知し、自社ホームページで事例や設計コラムを読み込んで共感を深め、完成見学会や相談会で設計士の人柄を確認する」このような長期的な導線設計が必要です。
自社の作風や哲学に共感し、ファンになってくれる見込み客を育てることが、安定した集客の基盤になります。
リノベーション向け
リノベーションの集客では、新築以上に「課題解決」を軸とした情報提供が求められます。
顧客は「この中古物件で理想の暮らしを実現できるか」「構造や断熱は問題ないか」といった専門的な疑問を抱えており、それに応えるコンテンツが必要です。ビジュアル訴求も重要ですが、特に効果が高いのはビフォーアフター事例や費用帯ごとの施工例です。
集客導線としては、SEO(例:世田谷区 中古マンション リノベーション)で顕在層にアプローチし、専門性のあるコラムで信頼を獲得します。その上で「中古物件探し+リノベ相談会」など、次の行動につなげる仕組みを整えることが重要です。
店舗・BtoB向け(飲食/美容/オフィス/クリニックなど)
店舗やオフィス、クリニックなどのBtoB案件では、意思決定者は経営者になります。判断基準は「そのデザインが事業にどのような利益をもたらすか」であり、単なる見た目の良さだけでは不十分です。
「集客につながる外観設計」「スタッフが働きやすい動線計画」「ブランドを体現した空間か」といった観点が重視されます。住宅と異なり、オープン時期が決まっているため検討期間は短くなりがちです。
集客導線はInstagramよりも、自社サイトの施工事例やSEO(例:「美容室 設計 東京」)が中心になります。また、内装会社や不動産業者からの紹介など、BtoB連携によるルートも大きな比重を占めます。
設計事務所が取組むべきオンライン施策

顧客がスマートフォンで情報収集を行う現在、オンライン施策は集客の仕組みを構築するうえで欠かせない要素です。
住宅・リノベ・店舗のいずれの分野でも、顧客はまずWebで情報を調べるため、適切な導線を整えることで問い合わせにつながりやすくなります。
ここでは、設計事務所が取り組むべきオンラインの施策を解説します。
自社ホームページを整えて、SEOを意識する
自社ホームページは、すべてのオンライン集客の中心となる重要な要素なので、内容を整えて、SEOも意識することが重要です。
SNSやポータルサイトと異なり、設計哲学や世界観を制限なく伝えられます。特に重視すべきは「施工事例」の充実で、写真だけでなく、コンセプト・工期・費用感・設計のポイントまで丁寧に記載することが信頼獲得につながります。
また、施主が抱きやすい疑問に答えるコラム記事を継続的に発信し、SEO対策を行うことで検索流入を増やせます。あらゆる施策の受け皿となるホームページを整備することが、Web集客の第一歩です。
GoogleビジネスプロフィールでMEOを強化する
地域密着型である設計事務所にとって、MEO対策は欠かせません。
「世田谷区 設計事務所」など地域名で検索する顧客は多く、Googleビジネスプロフィールを整備することで地図検索で見つけてもらいやすくなります。基本情報や外観・施工写真を充実させるほか、口コミの積み上げが信頼性向上に直結します。
OB施主に依頼して率直な評価を集めることで、見込み客への安心感につながります。まずは地図上に表示されるための基盤づくりとして必ず実施すべき施策です。
SNSを運用してビジュアル訴求する
設計事務所の作風や価値観を伝えるうえで、SNSは非常に相性の良い媒体です。
InstagramやPinterestを活用し、完成写真だけでなく、手書きパース・模型・現場風景など、プロセスや設計士の人柄が伝わる投稿を行うとファンが育ちやすくなります。
単なる作品紹介ではなく、「どのように考え、どんな価値観で設計しているのか」を見せることで、世界観に共感するフォロワーを獲得できます。中長期でブランド力を高めるうえで有効な施策です。
Web広告で認知と今すく客へアプローチする
SEOやSNSが中長期的な施策である一方、Web広告は短期間で成果を出したいときに効果的です。
検索広告(リスティング広告)は「家づくり 相談会」など購買意欲の高い検索にアプローチでき、SNS広告は完成見学会やイベント情報を特定地域に効率よく届けられます。
費用はかかりますが、認知拡大や問い合わせ増加を加速させる手段として役立ちます。基盤となるホームページやMEOが整った段階で導入すると効果が高まります。
ポータルサイトに掲載する
建築家紹介サイトや住宅系ポータルサイトへの掲載は、初期の認知を獲得する手段として有効です。
すでに「事務所を探している」見込み客が集まっているため、効率よく接点が作れます。反面、競合が多く並びやすいため、価格や分かりやすい特徴で比較され、自社の哲学が十分に伝わりにくいという課題もあります。
ポータルサイトはあくまで入口の一つと位置付け、そこから自社ホームページへ誘導し、深い魅力を伝える導線を設計することが大切です。
設計事務所が取組むべきオフライン施策

オフライン施策は、設計の質や人柄を直接伝えられる重要な接点です。実際の空間に触れてもらうことで安心感が高まり、オンラインだけでは分からない魅力を届けられます。
地域とのつながりを深める施策と組み合わせることで、相談につながる信頼関係を築きやすいでしょう。
ここでは、設計事務所が取り組むべきオフラインの施策を解説します。
見学会やオープンハウスで実際に見てもらう
オフライン施策の中でも、完成見学会やオープンハウスは特に効果の高い方法です。
写真では伝わりづらい「光の入り方」「風の通り」「素材の質感」を、顧客が五感で体感できます。これは実際の住まいだからこそ得られるリアルな体験で、設計の細部の意図まで伝わりやすい点が魅力です。
WebやSNSで関心を持った見込み客を見学会に誘導し、設計士がその場で想いや工夫を説明することで、信頼度は大きく高まります。
家づくり相談会や勉強家を開く
「設計事務所にいきなり相談するのは不安」という顧客は少なくありません。その心理的ハードルを下げるために、無料の相談会や勉強会は非常に有効です。
「土地探しの注意点」「資金計画の考え方」「パッシブデザインの基本」など、顧客が疑問を抱きやすいテーマで開催すると参加しやすくなります。
ここでは売り込みを行わず、専門家として正しい情報を提供する姿勢が重要です。検討初期の顧客と自然に接点を持てる貴重な場となります。
地域イベントに出展する
地域密着で活動する設計事務所にとって、地元イベントへの参加は効果的な認知拡大施策です。
住宅フェアや地域のマルシェに出展し、模型や施工事例パネルを展示するだけでも興味を持つ人は増えます。さらに、子ども向けのワークショップなどを実施すれば、家族で気軽に立ち寄れる雰囲気をつくれます。
すぐに成約につながらなくても、将来の見込み客や協力業者との関係づくりに役立つ、長期的な価値の高い施策です。
口コミ・紹介を仕組み化する
紹介は非常に質の高い顧客獲得手段ですが、紹介だけに頼ると経営は不安定になります。重要なのは「紹介されやすい仕組み」を意図的に作ることです。
引き渡し後も定期点検やイベントを通じてOB施主との関係を大切にし、「信頼できるから紹介したい」と自然に思ってもらえる状態をつくります。そのうえで、紹介カードの配布やOB宅見学会の協力依頼など、紹介をしやすくする仕組みを整えることで、口コミを継続的に生み出せます。
受け身にならず、紹介してもらいたいという姿勢が重要です。
成果に直結する「施工事例ページ」の作り方

施工事例は、設計事務所にとっての「作品集」であり、同時に最も重要な「商品カタログ」と言える存在です。
自社ホームページに訪れた顧客の多くは、まず施工事例を確認します。このページの質が、そのまま問い合わせ率に影響するといっても過言ではありません。
ここでは、そのために必要なページ構成の考え方を解説します。
施工写真には必須なカットがある
顧客は写真を通じて、その空間で営まれる「暮らし」を具体的に想像します。写真の解像度が低かったり、アングルが単調だったりすると、本来の設計意図や空間の魅力が十分に伝わりません。
その上で、以下のカットを網羅することで、空間の魅力を多角的に伝えることができます。
| 外観(引き・寄り) | 街並みとの調和がわかる引きの写真と、ファサードの素材感やディテールがわかる寄りの写真 |
| 内観(主要空間) | LDKなど、その建築の核となる空間の全体像と、光の入り方や開放感がわかるカット |
| ディテールカット | 造作家具の取っ手、こだわりの床材、壁の左官仕上げなど、設計士の「神は細部に宿る」部分 |
| 暮らしのカット | 窓辺に置かれた椅子、キッチンカウンター越しのダイニングなど、生活の気配が感じられるシーン |
施工事例の価値を最大化するためにも、プロカメラマンへの依頼は必要な投資と捉えるべきです。加えて、複数の視点から撮影したカットを揃えることで、空間の広がりや質感、暮らしのシーンを立体的に伝えられます。
顧客が共感できるストーリー構成にする
事例ページは、「どのような暮らしを実現したのか」というストーリーがあるほど共感を得やすくなります。なぜそのデザインに至ったのかを、設計プロセスとともに物語として伝えることが大切です。
まずは、施主が当初抱えていた要望や課題(例:室内が暗い、収納が不足している)を提示します。次に、それらに対して設計士がどのような設計意図でプランを組み、具体的に解決したのかを説明します。
最後に、完成後に施主の暮らしがどのように豊かに変化したのかを描写することで、設計士の哲学や問題解決力が明確に伝わります。
費用や工期に対するコメントを記載する
設計事務所への依頼をためらう最大の理由は、「費用が分からない」「高額になりそう」という不安です。この懸念を取り除かなければ、問い合わせのハードルは下がりません。
施工事例ページでは、可能な範囲で費用感を明示することが信頼構築につながります。総工費を記載するのが最も誠実ですが、難しい場合は「本体工事費 2,000万円台」「坪単価 80万円〜」など、価格帯でも十分役立ちます。
さらに、設計期間や施工期間の目安も添えることで、顧客が具体的に検討しやすくなります。
関連記事や問い合わせまでの動線を配置する
施工事例を読み終えた瞬間は、顧客の関心がもっとも高まっているタイミングです。この熱量を逃さないために、次の行動へ自然に進める導線を整えることが欠かせません。
ページ末尾には、「この事例に近い家づくりの相談をする」「無料相談会に申し込む」など、明確なCTA(行動喚起)ボタンを設置します。
また、「似たデザインの事例」や「同価格帯の施工例」へのリンクを配置し、サイト内の回遊を促すことで接触時間が伸び、問い合わせ率も向上します。
予算別で設計事務所のやるべき集客

集客施策は多岐にわたりますが、最も重要なのは「自社のリソース(予算と人手)で何ができるか」を見極めることです。限られた予算で最大の効果を出すためには、施策の優先順位付けが不可欠になります。
ここでは、月額の予算別に取り組むべき施策を具体的に提案します。
月10万円以下は継続のしやすい施策を積み重ねる
月10万円以下の予算では、費用対効果が高く内製化しやすい施策に集中することが成果への近道です。
まずは、Googleビジネスプロフィールの情報整備や施工事例の更新、SNS投稿など、無料で始められる取り組みの質を高めましょう。公式サイトの基本情報や問い合わせ導線を整理しておくと、機会損失を防げます。
地域名+設計事務所などの指名検索に対応するため、MEO対策に注力するのも有効です。継続しやすい施策を積み重ねることで、少ない予算でも安定した成果を期待できます。
月10~30万円は低コストで改善効果を得やすい
月10〜30万円の予算が確保できる場合、ホームページ改善とSNS運用を軸に強化すると効果が見込めるでしょう。問い合わせが増えやすい施工事例やブログページを整えることで、検索ユーザーに必要な情報を届けられます。
SNSではInstagramを中心に世界観を発信し、サイトへ誘導する導線を整えることが重要です。Googleビジネスプロフィールも写真追加や投稿の継続により、ローカル検索の露出が増えます。
基盤が整い始める段階なので、外注と内製を組み合わせることで運用負担を軽減できます。低コストで改善効果を得やすい予算帯です。
月30~50万円は短期と中長期の成果を同時に育てられる
月30〜50万円の予算では、広告運用とコンテンツ拡張を並行して進めると集客効率が高まります。
検索広告やSNS広告を活用することで、「今すぐ相談したい」顕在層に確実にリーチできます。広告の成果を最大化するには、ランディングページの改善や問い合わせ導線の最適化が欠かせません。
施工事例の追加や専門性の高いコラムを増やすことでSEO評価も上がり、比較検討層への訴求力が高まります。広告とコンテンツの両方を強化できるため、短期と中長期の成果を同時に育てられる予算帯です。
月50万円以上は総合的な集客設計が可能になる
月50万円以上を投資できる場合、総合的な集客設計が可能になります。SEO、MEO、SNS、広告運用を一括管理し、施策同士の相乗効果を高めることで、効率的に成果を伸ばせます。
運用業務を専門家へ外注することで、制作の質とスピードが安定し、社内の負担も大幅に軽減できます。さらに、動画制作やブランディング強化など、認知向上に直結する施策にも取り組みやすくなります。
複数施策を並行運用することで、データ分析を軸にした改善サイクルを回しやすい点も強みです。戦略的投資により、再現性の高い集客基盤を構築できます。
集客効果を最大化させるためのポイント

これまで具体的な集客施策を解説してきましたが、それらの効果を最大化するには、設計事務所ならではの「伝え方」や「顧客への向き合い方」が欠かせません。
どれだけ施策を並行しても、土台となるコミュニケーションの質が伴わなければ、成果にはつながりにくいものです。
ここでは、集客を進めるうえで軸となる4つの重要なポイントを紹介します。
施工写真のクオリティには徹底的にこだわる
施工写真は、設計事務所にとって最も重要な「商品」です。
WebサイトやSNSで顧客が最初に目にする情報が写真であり、その印象が事務所の評価を大きく左右します。スマートフォン撮影では、空間の広がりや光の陰影、素材の質感といった設計意図が正しく伝わりません。
顧客は写真から「ここでどんな暮らしができるのか」を想像します。だからこそ、プロカメラマンへの依頼は経費ではなく、未来の施主との出会いを生むための重要な投資と言えます。
専門用語を避け「暮らし」をイメージさせる
顧客の多くは建築の専門家ではありません。「高気密高断熱」「パッシブデザイン」といった専門用語を並べても、違いを把握するのは難しく、魅力が伝わりづらくなります。
顧客が本当に知りたいのは、その住まいが「自分の暮らしにどんな価値をもたらすか」です。「真冬の朝でも素足で歩ける無垢床の心地よさ」「夏の日差しを遮り、風が優しく抜けるリビング」など、具体的な生活シーンを描写すると共感を得られます。
専門性ではなく「暮らしのイメージ」で伝えることが大切です。
問い合わせには素早さと誠実さで対応する
Webから問い合わせる顧客は、複数の事務所を同時に比較しているケースがほとんどです。いくら魅力的なホームページや施工事例があっても、返信が遅れれば、その時点で他社に流れてしまいます。
集客の最終局面である問い合わせ対応は、「人」の印象が決め手になります。自動返信だけで終わらせず、できる限り24時間以内に誠実な一次返信を行いましょう。
スピードと丁寧さが伝わる対応は、信頼獲得の大きな一歩になります。
内製化と外注のバランスを考える
集客業務をすべて内製化するか、外注を活用するかは、事務所の規模やフェーズによって判断が分かれます。
設計事務所の本業は「設計」であり、慣れないWebマーケティングに過度なリソースを割くと、本来注力すべき業務が圧迫されかねません。
たとえば、世界観を伝えるSNSやブログは内製し、専門性の高いSEO戦略や広告運用は外部のプロに委託するといった分担が効果的です。自社の強みを活かしつつ、外部知見を組み合わせることで、効率的かつ高品質な集客体制を構築できます。
まとめ|設計事務所は信頼の積み重ねが大切

設計事務所の集客は、単発の施策だけでは成果が安定しません。顧客が重視しているのは、「この事務所は信頼できるパートナーか」という点であり、その判断材料となる情報を継続的に積み重ねる必要があります。
施工写真のクオリティ、文章の伝わりやすさ、問い合わせ対応の丁寧さなど、細部を整えるほど選ばれやすくなります。また、オンラインとオフラインの施策を適切に組み合わせ、自社ならではの価値を伝える導線を設計することが、集客の再現性を高める鍵となります。
小さな改善を積み重ねていくことで、地域のユーザーから「この事務所に任せたい」と選ばれる存在へと成長できます。
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