司法書士の集客方法8選!分野別の戦略や成果を出すポイントを解説
「提携していた不動産会社からの紹介が減ってきた」「ホームページはあるのに問い合わせが全くない」「競合との差別化ができず、価格競争に陥っている」など、司法書士事務所の多くが、「集客の仕組み化」に課題を抱えています。
司法書士事務所では、相続・登記・債務整理など幅広い業務を扱う一方で、ターゲットが定まりにくく、Web施策が後手に回りがちなのが現状です。
本記事では、司法書士が集客で成果を出すための基本的な戦略や具体的な方法を解説し、さらに成果を継続させるための運用と改善のポイントも紹介しています。集客の仕組みを構築し、安定的に成果を出し続けたい司法書士の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
司法書士が集客で悩みやすい理由とは

司法書士事務所の多くは、安定的な集客の仕組みづくりに課題を抱えています。相続、登記、債務整理など、業務領域が幅広いため、ターゲットを明確に設定しづらいことが一因です。
さらに、地域密着型の業種であることから、知人や顧客からの紹介に依存した集客構造から脱却できない事務所も少なくありません。
ここでは、こうした背景と集客課題を整理して解説します。
相談内容が多岐にわたりターゲットが定まりにくい
司法書士の業務は、不動産登記・商業登記・相続・成年後見・債務整理など、多岐にわたります。この幅広さは事務所の強みである一方で、集客面では「誰に、何を」発信すべきかが曖昧になりやすい点が課題です。
たとえば、相続相談を求める個人(BtoC)と、商業登記を依頼したい企業(BtoB)とでは、必要とする情報も響くメッセージも大きく異なります。
結果として、ターゲットを明確に絞り切れず、「何でもできる司法書士」という印象に留まってしまい、誰にも強く訴求できないケースが少なくありません。
差別化が難しく、価格競争に陥りやすい
司法書士業界は、法的手続きを中心としたサービスが多く、顧客からは違いが見えにくいです。同じ業務内容でも、提供価値の差が伝わりづらく、結果として価格だけで比較される傾向が強まっています。
特にGoogle広告や司法書士ポータルサイトでは、「相続登記◯円〜」「初回相談無料」といった訴求が並び、価格競争に陥る事務所も少なくありません。
安定した集客を実現するためには、単なる手続き代行にとどまらず、「スピード対応」「専門分野での強み」「相談しやすい雰囲気」といった価格以外の魅力を明確に打ち出すことが重要です。
紹介依存・地域依存から脱却できていない
従来、司法書士事務所の集客は、不動産会社や金融機関などからの紹介や地域ネットワークに依存する傾向がありました。
しかし近年は、紹介件数の減少や競合事務所の増加により、この依存構造のリスクが顕在化しています。また、地域密着型の業態であることから、人口減少が進むエリアでは新規相談の数自体が減少傾向にあります。
今後は、地域基盤を維持しつつも、Web検索やSNSを活用して新しい相談者層を取り込む「オンライン×オフライン」両軸の集客戦略が不可欠です。
オンライン集客に不慣れな事務所が多い
司法書士の多くは専門分野に強みを持つ一方で、Webやデジタルマーケティングのノウハウが不足しているケースが目立ちます。ホームページを開設していても更新が止まっていたり、SEOやMEO対策が行われていなかったりする事務所も少なくありません。
また、広告運用の知識がないまま費用を投じ、成果につながらないケースも散見されます。
こうした背景から、オンライン施策に対して「ハードルが高い」と感じ、結果的に紹介頼みの集客体制を続けてしまう傾向があります。
安定した集客を実現するには、Web施策を正しく理解し、段階的に取り入れる体制づくりが欠かせません。
司法書士の集客で成果を出すための基本戦略

司法書士事務所の集客課題を解決するには、行き当たりばったりに施策を試すのではなく、明確な「戦略」を土台として構築することが不可欠です。
Web広告やSEOなど具体的な手法に進む前に、まずは事務所として「誰に」「何を」届け、どのような成果を目指すのかを定義する必要があります。
ここでは、安定した集客成果を生み出すために押さえておきたい3つの基本戦略を紹介します。
集客目標を明確にする
集客戦略を立てるうえで最も重要なのが、「集客目標の明確化」です。目標が曖昧なままでは、どの施策にどれだけのリソースを投入すべきか判断できず、成果を正確に測定することもできません。
「相続分野の問い合わせを月5件獲得する」「Web経由の売上を年間500万円増やす」など、具体的な数値目標(KGI/KPI)を設定しましょう。
目標を数値化することで、「月5件の問い合わせ」を得るために必要なアクセス数や広告予算を逆算し、実行計画を具体化できます。
ターゲット層を業務領域別に設定する
次に、「誰に」情報を届けるのかを明確にすることが重要です。司法書士の業務は多岐にわたるため、「相続」と「商業登記」では顧客層がまったく異なります。
たとえば「相続・遺言」であれば地域在住の50〜60代とその家族、「商業登記」であればスタートアップ経営者など、業務領域ごとに詳細なペルソナ(顧客像)を設定しましょう。
ターゲットを明確にすることで、相手がどの媒体を利用し、どのような言葉が響くのかを把握でき、集客施策の精度が大幅に高まります。
オフライン×オンラインの両方で戦略を立てる
集客には、Webサイトや広告などの「オンライン施策」と、紹介やセミナーなどの「オフライン施策」があり、どちらか一方に偏るのではなく、両軸を組み合わせて活用することが成果につながります。
たとえば、オンライン(Web)で広く認知を獲得し、オフライン(無料相談会)で信頼を構築する。あるいは、オフライン(セミナー)で獲得した見込み客に対して、オンライン(メールマガジンやLINE)で情報発信を続け、関係を維持する方法も有効です。
事務所の強みやターゲット層に応じて、最適な組み合わせを設計しましょう。
司法書士が今すぐ取り組むべき集客方法8選

集客成果を安定化させるには、限られた時間と予算の中で、効果的な施策を見極めることが重要です。
司法書士の集客施策には、中長期的な資産となるWeb施策から、短期的に反応を得られる広告、そして地域密着型のオフライン施策まで、さまざまな手法があります。事務所の目標やリソースに合わせて、優先順位の高いものから段階的に取り組むことが成功の鍵です。
ここでは、司法書士事務所が取り組むべき代表的な8つの集客方法を紹介します。
SEO対策でローカル検索を強化する
SEO対策はGoogle検索等で上位表示を目指すもので、司法書士事務所のWeb集客における基盤となる中長期的な施策になります。
司法書士業務は地域密着型の性質が強いため、「〇〇市 相続 司法書士」「登記 手続き 司法書士」などのローカル検索キーワードで上位表示を狙うことが重要です。
そのためには、ホームページ内に「相続」「登記」「債務整理」など業務別の専門ページを設け、手続きの流れ・費用・解決事例などを具体的に掲載しましょう。こうした情報は、専門性と信頼性を伝えると同時に、検索エンジンからの評価を高める効果があります。
MEO対策でGoogleマップ集客を強化する
MEO対策は、Googleマップ上での検索順位を高めるための施策です。「近くの司法書士」「地域名 司法書士」などを検索したユーザーに対して、事務所の所在地や営業時間、連絡先などを正確に表示させることができます。
SEO(検索エンジン最適化)と組み合わせることで、地域内での露出を大幅に高められる点が特徴です。Googleビジネスプロフィール上では、口コミへの返信や定期的な投稿も評価対象となるため、月1〜2回の更新を心がけましょう。
地図検索経由での問い合わせは、Web広告に比べてコストを抑えやすいのも大きなメリットです。また、相談後に満足されたお客様へ口コミ投稿を依頼する仕組みを整えることで、信頼性と集客力の双方を強化できます。
リスティング広告で今すぐ客を獲得する
短期間で成果を出したい場合には、リスティング広告(検索連動型広告)が特に有効です。
検索結果の上部に自事務所のWebサイトを表示できる有料広告で、「登記代行」「相続相談」「債務整理 無料相談」など、検索意図が明確なキーワードに出稿することで費用対効果を高められます。法務・士業系はクリック単価が高騰しやすい分野ですが、地域や業務内容を絞ることでムダな出稿を抑えられます。
広告のリンク先となるランディングページ(LP)は、専門分野や実績をわかりやすく整理し、問い合わせフォームを上部に配置するなど、最短導線を意識した設計が重要です。
SEOやMEOと併用することで、短期的な成果獲得と長期的な集客基盤づくりの両立が可能になります。
ホームページを改善して導線を最適化する
ホームページは、あらゆるWeb集客施策の“受け皿”となる最も重要な基盤です。SEOや広告でどれだけ訪問者を集めても、サイトが古かったり情報が分かりづらかったりすると、相談者はすぐに離脱してしまいます。
司法書士事務所のホームページでは、「信頼できるか(専門性・実績)」「費用が明確か」「相談しやすいか」を一目で伝えるデザインが求められます。また、スマートフォンでの閲覧を前提としたレスポンシブ対応は必須です。
「無料相談フォーム」や「LINEで相談」など複数の問い合わせ導線を設けることで、コンバージョン率(問い合わせ率)を高めることができます。
SNSで認知と問い合わせ導線を確保する
Facebook、Instagram、LINEなどのSNSは、事務所の認知度向上や見込み顧客との関係構築に有効です。
すぐに案件化しなくても、継続的に情報を発信することで、専門家としての信頼を少しずつ積み上げることができます。
相続・成年後見などの啓発コンテンツが好相性
SNSの強みは、まだ問題を自覚していない「潜在層」にアプローチできる点にあります。特に「相続」や「成年後見」などの分野は、「いつか必要になるが、よく分からない」と感じる人が多く、啓発型コンテンツと相性が良い領域です。
「遺言書の書き方」「生前贈与の注意点」「成年後見制度の基礎知識」などを発信することで、専門性を伝えながら認知と信頼を獲得できます。
法改正や制度変更などの最新情報を、分かりやすく噛み砕いて解説することも、ブランディング強化に効果的です。
LINE公式アカウントで無料相談の導線を設置
LINE公式アカウントは、一度接点を持った見込み顧客と「1対1」でつながれる強力なツールです。
電話やメールよりも相談のハードルが低く、「まずは気軽に質問したい」というニーズに応えられます。ホームページに「LINEで無料相談」といった導線を設置するだけでも、問い合わせが増加するケースは多く見られます。
さらに、定期的に法改正情報や事務所だよりを配信することで、関係性を維持・強化でき、必要なタイミングで「この事務所に頼もう」と思い出してもらえる仕組みを作ることが可能です。
ポータルサイト・口コミサイトへ掲載する
司法書士専門のポータルサイトや地域の口コミサイトへの掲載は、集客の窓口を広げる有効な手段の一つです。
これらのサイトは検索エンジンで上位表示されやすい傾向にあるため、自事務所のホームページのSEOがまだ十分でなくても、一定の露出を確保できるメリットがあります。ただし、多くのサイトでは掲載料や成果報酬(手数料)が発生し、掲載事務所間で価格競争が起こりやすい点には注意が必要です。
自分たちのターゲット層とポータルサイトの利用者層が一致しているかを見極め、費用対効果を意識した運用を行うことが重要です。
セミナー・地域イベントで認知を拡大する
地域に根ざした司法書士事務所にとって、セミナーや相談会は効果的な集客手段です。
たとえば、商工会議所の創業支援セミナーや、市民センターでの相続相談会を開催することで、地域住民との信頼関係を築けます。また、オンライン配信を組み合わせれば、遠方の相談者にもリーチできるため、参加のハードルを下げることが可能です。
セミナー後には、資料請求やLINE登録といった次のアクションを促す仕組みを用意しておくと、継続的な効果が見込めます。ローカルSEOと連動させることで、オフライン施策がWeb検索にも相乗効果をもたらします。
紹介制度・リファラルの仕組みを作る
司法書士業界では、不動産会社や税理士、行政書士など異業種との連携が、新たな集客経路として注目されています。紹介制度を仕組み化することで、安定的に顧客を獲得できる点が大きなメリットです。
たとえば、不動産登記では「売買仲介業者」、相続では「税理士」や「保険代理店」など、業務内容に合わせて専門家ネットワークを構築します。
紹介先に対して定期的に情報提供や共同セミナーを行うことで、信頼関係を深められます。
単発の紹介に頼るのではなく、双方の利益を意識した“パートナーシップ型リファラル(紹介連携)”を設計することが、持続的な集客基盤を築く鍵となります。
分野別に見る司法書士の集客成功パターン

司法書士業務は分野ごとにターゲット層や最適な集客手法が異なります。相続・登記・債務整理といった領域別に強みを活かした施策を選ぶことで、限られたリソースでも高い成果を上げられます。
ここでは代表的な3分野の成功パターンを紹介します。
相続・遺言分野はSEO×セミナー集客で信頼構築
相続や遺言の分野では、「専門性」と「信頼感」の両立が集客の鍵です。
「相続 登記」「遺言書 作成」など明確な悩みを持つ層が多いため、SEO対策による上位表示は質の高い相談獲得につながります。特に2024年4月施行の相続登記義務化を背景に、関連コンテンツの需要が増加しています。
また、公民館や商工会での無料相談会やセミナーを開催し、オンライン告知と組み合わせることで、SEO流入とリアル接点の相乗効果を生み出せます。
不動産登記分野は不動産会社との提携・紹介網が鍵
不動産登記業務では、不動産会社や仲介業者との提携が特に効果的です。
売買契約に伴う登記手続きは司法書士が必須となるため、紹介ネットワークを整備すれば安定的な案件獲得につながります。定期的な情報提供や勉強会を通じて信頼関係を深めることも重要です。
一方、Web経由では「不動産 登記代行 司法書士」など地域名を含むローカルSEOが有効です。対応スピードや専門分野の明確化を打ち出し、「依頼しやすさ」で競合と差別化を図りましょう。
債務整理・過払い金分野は広告+SNSでスピード集客
債務整理や過払い金請求の相談者は、今すぐに問題を解決したい個人が中心になります。
緊急性が高いため、最も効果的なのは即効性のあるリスティング広告です。「債務整理 無料相談」「過払い金 計算」など具体的な悩みキーワードで広告を配信し、機会損失を防ぎます。
また、WebサイトやLINEでは「秘密厳守」「匿名相談可」を明示し、心理的ハードルを下げることが不可欠です。
広告の受け皿となるLP(ランディングページ)で、解決実績や対応スピードを分かりやすく打ち出すことが、成約率向上の鍵となります。
集客の成果を出すための運用と改善のポイント

司法書士の集客は、施策を実行して終わりではなく、数値をもとに継続的に改善することが重要です。アクセス解析や効果測定を通じて成果を可視化することで、限られた時間と予算を最も効果的な施策に集中できます。
ここでは、その運用と改善の実践方法を解説します。
アクセス解析で成果指標を可視化する
集客施策の成果を正確に把握するには、Googleアナリティクスやサーチコンソールを活用したアクセス解析が不可欠です。
主な評価指標は、PV(閲覧数)・CV(問い合わせ数)・CVR(成約率)です。司法書士サイトでは特に、訪問者の滞在時間や問い合わせフォームの完了率を追うことで、導線上の課題を特定できます。
また、SEOや広告ごとに流入経路を分けて分析することで、費用対効果を正確に把握可能です。感覚的な判断ではなく、数値データに基づいて施策を改善していくことが成果最大化の鍵となります。
施策別の優先順位付けと効果測定を徹底する
成果を最大化するには、施策を増やすよりも、優先順位を明確にして実行することが重要です。
まずは「問い合わせ導線の強化」や「MEOなど費用対効果の高い施策」から着手し、段階的に拡張していきましょう。効果測定では、KPI(重要指標)を設定し、1〜3か月ごとに成果を検証します。
たとえばSEOでは検索順位やクリック率、広告ではコンバージョン単価を確認します。成果が伸びない施策は早期に見直し、予算を成果が出ている施策に再配分することで、限られたコストでも効率的な集客が実現します。
PDCAを回すために外部業者を活用する方法
PDCA(計画・実行・検証・改善)を継続的に回すためには、専門業者のサポートを受けるのも有効です。
SEOや広告運用、Web改善など、専門知識が求められる領域を司法書士自身がすべて対応するのは現実的ではありません。士業向けの集客支援実績を持つ外部業者であれば、データ分析や戦略立案を代行し、改善スピードを高められます。
さらに、定期レポートや改善提案を受けることで、事務所は本業に専念しながら安定した集客基盤を築けます。
まとめ | 司法書士の集客は専門性と施策選定が重要

司法書士の集客には、紹介依存からの脱却や競合との差別化など、特有の課題があります。
しかし、安定した事務所経営を目指すうえで、従来のオフライン施策に加え、Webサイト・SEO・広告といったオンライン集客は避けて通れません。
重要なのは、やみくもに施策を行うのではなく、まず自事務所の「専門性(強み)」を明確にすることです。その上で、「誰(ターゲット)に」「何を」届けるのかを定め、ターゲットに最適な「集客施策(Webとオフラインの組み合わせ)」を選び、戦略的に実行することが成果の鍵となります。
さらに、実施した施策の成果を数値で検証し、効果の高い取り組みにリソースを集中させることが、持続的な成果につながります。デジタル化が加速する今こそ、オンラインとオフラインを融合させた“ハイブリッド型集客戦略”が求められています。
自分たちの特性に合った方法を見極め、長期的な経営基盤づくりに活かしていきましょう。
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