
ChatGPT(チャットジーピーティー)とは?使い方・日本語での始め方レポート
最近話題のChatGPT(チャットジーピーティー)とは、「OpenAI(オープンAI)」という企業が開発したAIチャットサービスのことです。
この記事ではChatGPTの基本的な知識や使い方について、実際の画面を見ながら説明をします。ChatGPTは現状英語ベースで使うほうが性能を引き出しやすいといわれていますが、今回はあえて日本語で使用することを想定しています。
目次
ChatGPTとは「良き相談相手」になりうるAIチャット
ChatGPTとは、先述のとおりOpenAIが開発したAIチャットサービスです。人間の発話に対し、AIが答えを返すことで対話がおこなわれます。
対話のテーマに制限はなく、ユーザーの質問やリクエストに対してAIが適切だと判断した回答が返ってきます。ただしChatGPTが学習しているのは2021年末までの情報であるため(2023年2月時点のモデル)、質問によっては回答が最新のものではない可能性もあります。

「質問に回答する」という機能は、たとえばGoogleのような検索エンジンと同じように思えます。しかしChatGPTは単に知りたいことを教えてくれるだけではなく、質問に応じていくつかの選択肢を示したり、課題や懸念を伝えたり、よりよい状態に向けてのアドバイスをしてくれたりもします。
これらのまるで「専門知識を持った人間が考えているかのような回答」が非常に自然なかたちで出力されることこそ、ChatGPTが持つ大きな特徴だといえます。
とはいえChatGPTは誤った情報でも非常にもっともらしい言い方で回答してくるため、出力された内容の精査は人力でおこなわなければなりません。

なお、OpenAIにはマイクロソフト社も出資していることから、2023年2月にはChatGPT搭載モデルのMicrosoft BingやMicrosoft Edgeがローンチされ、注目を集めています。これに対抗するようにGoogleもAIチャットの「Bard(バード)」を発表するなど、AIチャット市場はにわかに活気づいているように思えます。
ChatGPTのよくある使用例
ChatGPTは文章を生成するタイプのタスクであればどのような用途にも使えますが、よくある使用法としては以下の4つが考えられます。
- テキスト生成
- 質疑応答
- テキスト翻訳
- テキスト要約
それぞれ簡単に紹介します。
テキスト生成
ChatGPTは、文書生成モデルとしても利用することができます。テキストを生成させることで、大量の文章を手軽かつ迅速につくることができます。これは、特にWebサイトやアプリケーションなどでの制作作業や、マーケティングキャンペーンなどで使用されることが多いです。この技術によって、人間の作業を大幅に減らすことができますが、生成されたテキストの質や正確性については問題がある場合もありますので、注意が必要です。
質疑応答
質疑応答とは、ChatGPTが質問に対して正確な答えを生成することを指します。この機能は、顧客サポートの代わりに使用されたり、FAQの代替として使用されたりすることがあります。この機能は、ChatGPTがトレーニングデータを受け取った後に、類似する質問に対する正確な回答を生成することができるようになります。このアプローチは、24時間365日のサポートを提供することができますが、非常に正確な回答を生成することができない場合もあります。
テキスト翻訳
テキストの翻訳は、ChatGPTを使うことで、多言語に対応することが可能です。言語モデルをトレーニングすることにより、文章を適切な言語に翻訳することができます。この方法は、人工翻訳に比べて、よりスムーズかつ正確な結果を生み出すことが期待されています。翻訳の質が向上するとともに、コストや時間の削減にもつながります。使い方は、元のテキストを入力して、翻訳したい言語を指定して実行します。
テキストの要約
ChatGPTを利用することで、大量のテキストデータから指定されたトピックに関連するキーワードを抽出し、文章を生成することができます。このような要約は、情報の一定化や要約された内容の伝達などに役立ちます。しかしながら、要約するといっても内容が正確であることを保証することはできず、現状では人間によるチェックが必要です。
ChatGPTを利用するメリットと課題
ChatGPTには人間の作業の大きな助けになる可能性がある一方、使用するにあたって注意点や技術的な課題もあります。
主なメリット
- 回答が正確
- 作業の効率化
- 簡単な操作で使用可能
主な課題
- 学習データが偏る可能性
- 不正確な情報が混じる可能性
- 英語話者対非英語話者の非対称
メリットと課題に分けてそれぞれ説明します。
メリット1.回答が正確
ChatGPTは膨大な学習データにもとづいて訓練されており、これによって高い正確性が期待されます。たとえば、ユーザーが特定のトピックに関する質問をした場合、ChatGPTはそのトピックに関する適切な回答を提供することができます。また、ChatGPTは大量の文章を学習しているため、人間のような文章を生成可能です。
メリット2.作業の効率化
ChatGPTは同じような入力に対しては同じような出力を生成するため、回答の一貫性が保たれます。この一貫性は、仕事効率を向上させる上で非常に重要です。たとえば、大量の英語データを一定のルールに則って日本語に翻訳する作業が必要な場合などは、ChatGPTを利用することで作業効率を大幅に向上させられる可能性があります。
人力で作業するよりもスピーディに作業ができるため、その分のリソースを別のクリエイティブな業務に集中させることが可能です。ただし同一の質問をしても、回答が毎回同じになるとは限らないことには注意が必要です。同じような出力が必要であれば、入力時点で形式を指定するなどの操作が求められます。
メリット3.簡単な操作で使用可能
ChatGPTは一般的なチャットと同じ感覚で使用できるため、特殊なプログラミング言語や指示方法を学ぶ必要がなく使いやすいといえます。さらには今のところAPIの公開準備中であり、近い将来、外部サービスとの連携も簡単にでき、さらに活用の幅が広がると予想されています。
課題1.学習データが偏る可能性
学習データの偏りとは、学習に用いたデータに特定のグループや地域などのバイアスが含まれている状態を指します。このような学習データにもとづいて学習させたモデルは、入力に含まれる偏りを再現する可能性があります。
実際、ChatGPTは日本語よりも英語で使用するほうが「AIの頭がよくなる」といわれています。これはChatGPTの学習に使われたデータのほとんどを英語データが占めているため、出力時に参照できるデータ量が日本語に比べてはるかに多いことが原因です。
課題2.不正確な情報が混じる可能性
メリット1の「回答の正確さ」に反するようですが、ChatGPTは必ずしも「正しい答え」だけを出力するわけではありません。たとえば先ほどの例のとおり、架空のVTuberについての説明を求められればそれらしい回答をしてお茶をにごすように、学習していない情報について正しい答えはできません。
ChatGPTは学習した情報から「もっとも適切であると判断した語の組み合わせ」を出力しているのであり、ユーザーの質問に対し本当の意味で「考えて」いるわけではないからです。
課題3.英語話者対非英語話者の非対称性
課題1で説明したように、ChatGPTの学習データの多くは英語によって書かれているため、同じChatGPTというサービスを利用しているのに、英語が使えない人はより低品質なサービスしか受けられず、英語が使える人はより大きな恩恵を受けられるという非対称性が生まれる可能性が高いといえるでしょう。
非英語話者もDeepLなどの翻訳サービスを介して英語でのChatGPT利用は可能ですが、翻訳による情報のロスや作業スピードの低下といった新たな課題も生まれます。
ChatGPTによってとても自然な日本語が書ける
実はこれまでの2段落(「よくある使用例」と「メリットと課題」)のどちらかは、ChatGPTが書いた文章です。どちらがChatGPTが書いた文章だと思いますか?
正解は「よくある使用例」がChatGPTで書いた文章です。いかがでしょうか。日本語の記事として、違和感なく読めたのではないでしょうか。少なくとも、いわれなければ「これはAIが書いた文章だな!」と看破するのは難しいのではないかと思います。


これまでに登場してきた文書生成AIの中でも、特に自然な日本語を出力できるのがChatGPTの大きな強みです。
とはいえ今回ChatGPTで生成した文章も完璧ではありません。事実と異なる点やあいまいな点、まだブラッシュアップの余地がある点を以下に挙げます。
不確定情報の出力
ChatGPTがある場面で活用されることが多いというデータはないため、「特にWebサイトやアプリケーションなどでの制作作業や、マーケティングキャンペーンなどで使用されることが多い」とはいいきれない(ちなみにnote株式会社は2月8日にChatGPTと同じくOpenAIのテキスト生成モデルであるGPT-3を使った記事作成アシスタントのβ版を発表しました)。
(参考:note GPT-3を活用した創作支援ツール「note AIアシスタント(β)」の先行ユーザーを募集!)
生成内容の重複
実は今回生成した文章には「チャットボット」という使用例もありました。しかし内容がほとんど「質疑応答」と同じであったため、筆者の判断で全体を削除しています。
このような課題はあるものの、大手金融機関のUBSが発表したデータによれば、ChatGPTはこれまでの文書生成AI史上最速でユーザー数が1億人を突破しています。
(参考:REUTERS ChatGPT sets record for fastest-growing user base – analyst note)
世界中で注目を浴びるChatGPTが、私たちの生活・仕事のしかたを大きく変えはじめているのかもしれません。
ChatGPTの始め方
実際にChatGPTを使ってみたい人のために、ChatGPTの始め方と簡単な使い方をスクリーンショットを交えて解説します。公式サイトは英語で書かれているため、馴染みのない人は少々抵抗感があるかもしれませんが、難しい作業は一切ありませんので順番に進めてみてください。

公式サイトにアクセスすると、まずこの画面が表示されます。初めて登録する人は「Sign up」を選んでください。「Log in」は既にChatGPTのアカウントを持っている人向けです。

「Create your account(アカウントの新規開設)」という画面に変わります。「Email address」の欄に登録したいメールアドレスを記入し、「Continue」をクリックします。Googleアカウントやマイクロソフトアカウントを使っての登録も可能です。

次に氏名を入力します。アルファベットでも日本語でもかまいません。「Continue」をクリックすると登録が完了します。
ちなみに下の注釈部分に書かれているのは「Continueボタンをクリックすると、ChatGPTの規約に同意したとみなされます。また18歳以上であることを確認したことになります」というような内容です。規約が気になる人は「Terms」からチェック可能です(全編英語です)。

登録が完了すると、いよいよChatGPTの利用が始まります。簡単なChatGPTの紹介が入るので、確認したら「Next」をクリックしてください。

ChatGPTの基本画面です。画面下部のチャット欄に文章を入力するだけで、適切な回答をAIが返してくれます。話題を一新したいときは、左上の「New chat」から新しいルームを作成できます。
ChatGPTはテキスト形式であれば、基本的にどんな回答でも返してくれます。たとえば資料作成に役立つエクセル関数、HTMLコード、旅行先でおすすめの飲食店など、今知りたいことを尋ねることで、検索エンジンのような使い方も可能です。
ただしこれまでに何度かお伝えしているように、回答が必ずしも正しいとは限りません。最終的な正確性のチェックは人力でおこなう必要があります。
ChatGPTは「人間の仕事を奪わない」
ChatGPTは2022年11月に登場したばかりの新たなサービスで、まだまだ開発途中の技術です。現在は不便な点もありますが、これからさらに使いやすいものにアップデートされると考えられます。
AIはあくまで人間の活動を後押しするツールです。かつては紙とペンでおこなわれていた執筆活動が、PCの登場でモニターとキーボード入力に、そしてスマホやタブレットによりスクリーンとスワイプ入力に変化してきたように、今後は強力なAIをパートナーとして活動するライターが現れることは間違いないでしょう。
この記事でも紹介してきましたが、AIはなにも完全無欠なクリエイターではありません。何を出力するのかは、人間がどのように入力するのかにかかっています。結局は人間が使いこなさなければ、AIは人間の模倣をする機械にとどまったままです。
私たちはキーボードの打ち方を覚えてきたように、これからはAIの使い方を覚える必要があります。それは一部の特殊な仕事をする人間だけではなく、これからの時代を生きる多くの人に必要なスキルになるはずです。
より詳細にChatGPTについて知りたい人は、こちらの動画が非常にわかりやすくChatGPTの基礎を解説しています。今回の記事中でも使った「深津式プロンプト・システム」を考案した、note株式会社のCXOである深津貴之氏がChatGPTの使い方について解説する無料YouTubeライブのアーカイブ動画です。実際にChatGPTを使って仕事をしたい人は特に必見です。
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