紙媒体だからできること~意味、メリット、種類、広告活用~
電子書籍やWebメディアといった電子媒体が圧倒的な存在感を示す一方、紙媒体が利用される場面も実は少なくありません。
有用性の高い宣伝効果を重視する広告界でも、電子媒体に頼りきることなく、紙媒体を上手く活用しています。効率化という観点から見れば、紙媒体は非合理な面もあるかもしれませんが、電子媒体にはない良さもあるのです。
本記事では、紙媒体を多角的に紐解きます。
「紙媒体だからできることは?」「その価値は?」
こうした疑問にも答えるべく、まずは意味に触れ、種類、メリットを細かく紹介し、さらには広告業界の今後についてまで展望します。
それでは、ご一読ください。
目次
紙媒体の意味
紙媒体とはずばり、情報が紙に印刷されたものです。それゆえ、広範囲に渡ります。詳しくは後述しますが、新聞や書籍、雑誌、カタログ、チラシなどさまざまです。
文字通りの定義とは別に、時代を経て進化してきたその歴史に思いを馳せると、何やら深い意味さえ浮かび上がる気もします。
黎明期からメディアを支え続けるその功労はやはり偉大。安心のクオリティ、バラエティに富んだユニークさは紙媒体ならではです。それゆえ、普遍的な魅力を放ちます。現代においてもその親しみやすさは健在です。
広告活用などにおける紙媒体の主な種類
繰り返しますが、紙媒体の種類は多岐に渡ります。本やポスター、新聞や雑誌に載せる広告、折り込みチラシ、ポスティング、フリーペーパー、企業広告を郵送で行うダイレクトメール……等々、挙げるとキリがありません(わかっていましたが笑)。
電子媒体が主流の今なお、依然として躍動する紙媒体。以下、いくつかピックアップします。
新聞広告
新聞広告とは、言葉そのままに新聞の紙面に掲載される広告です。大きくは営業広告、案内広告、記事広告、意見広告、社告、謝罪広告の6種類が存在します(細かくは三行広告など型で分けられるタイプもあります)。
昨今、新聞購読者数は確かに減少していますが、だからこそ、新聞を取る方はしっかり読んでくれる熱心な読者がほとんどでしょう。実際、そうした期待感から新聞広告を出す企業は少なくありません。
なお、新聞広告について深掘りしたい方はこちらの記事もおすすめです。あわせてお読みください。
新聞広告を深掘り!デザインからメリット、効果、面白い事例まで
雑誌広告
雑誌広告も、一定の宣伝力があるものとして重宝されています。雑誌は、新聞のように読み終わったらすぐ廃棄されるものではありません。愛読者が長く保存することを考えれば、少なからず持続した広告効果を期待できます。特に、表紙をめくった最初のページや裏表紙に掲載される広告は接触機会が多い分、読者の目に留まりやすいといえるでしょう。実際に、その広告を精読した人の割合は3割以上に達するという統計結果も出ています。
折り込みチラシ
新聞の折り込みチラシに読者が反応する割合は、平均するとせいぜい3%ほどですが、宣伝内容によっては著しく高い効果を生むこともあります。たとえば、デザインによるインパクトはその後のブランディングにも作用するでしょう。
また、受け手側のメリット、お得感を分かりやすく伝えることも有効です。割引クーポンの添付は最たる例だといえます。
フリーペーパー
フリーペーパーは、元々お祭りや防災活動といった地域限定の情報や生活に役立つ情報などがメインで、広告一辺倒の情報誌ではありませんでした。しかし、いつの間にか会社の宣伝や一般社団法人の広報資料として配布されるものも増え、無料で配布される紙媒体は全てフリーペーパーと呼ばれています。
フリーペーパーには、タブロイド誌・新聞拡販誌・フリーマガジンの3種類があり、それぞれ目的や用途が異なります。
タブロイド誌は、比較的上質の紙を用いて写真や文字をふんだんに載せた大きめの紙媒体です。薄いペラペラのものではなく、高級感を湛えているため、受け取った側からすると、さすがにすぐ捨てようという気にはならないでしょう。
新聞拡販誌は、新聞購読者に配布される無料の情報誌のことです。料理のレシピや上手な収納法などのお得な生活情報が載せられています。
複数のフリーペーパーを綴じたフリーマガジンは、特定地域の住民をターゲットにした情報誌です。元来的な役割を担うべく、大抵は、地域に根差した企業やイベントの情報がメインに取り上げられます。
ダイレクトメール
略してDMと称されるダイレクトメールは、郵便や宅配便を使って送られる封筒に入れられたリーフレットカタログや葉書のことです。企業から個人に直接送付される宣伝資料を指すことから、ダイレクトメールと呼ばれています。
ポスティング
ポスティングとは、自作のビラやチラシといった紙媒体を各家庭の郵便受けに入れることです。一般的に、新規独立開業した起業家は、宣伝効果の有無にかかわらず、地域と関わるうえで事業所周辺の2000世帯ほどにポスティングすることが望ましいといわれています。
ネットが発達した現代においても、郵便受けの配達物を重要な情報源としている方々(主に高齢者層)がその地域に多いのであれば、どうしたってポスティングは有効です。
他方、ポスティングにおいての注意点もおさえておきましょう。扱うビラやチラシの紙媒体はパソコンとプリンターさえあれば誰でも作ることができますが、目的や対象を明確にしなければ意味がありません。店舗の宣伝なら来客を誘導する文言を、無料相談に応じてほしいならフリーコールの電話番号を、それぞれしっかり(できれば冒頭で)アピールすべきです。
なお、体力に自信が無く自力でポスティングすることが困難であれば、ポスティング業者へ依頼することもおすすめします。
紙媒体のメリット
紙媒体が今なお愛される理由は、紛れもなくメリットが存在しているからです。種類同様、多数挙げられるなかで以下、代表的なポイントをいくつか紹介します。
紙媒体の方が記憶に残りやすい
情報の内容が同じでも、人は紙媒体で学習した方が記憶に残りやすい傾向にあります。
紙媒体にはアンダーラインを引くことや、補足説明を書き込むことも可能です。このことが大きくプラスに影響しているかはさて置き、老若男女問わず誰もが自由に扱える点は電子媒体とは一線を画す要素かもしれません。
また、パソコンやスマホを使用するケースと比較して、スクロールする負荷が無いことも、記憶に残りやすい(覚えることに集中しやすい)理由の一つなのではないかと考えます。
長きにわたって保存しやすい
捨てたり燃やしたりしない限り、紙媒体は情報が残り続けます。いささか例えが限定的ですが、納戸にしまい込んでいた古い資料などを読み返すと、新しい発見があるという体験をした人もいらっしゃるはずです。
確かに電磁的記録も、ハードディスクやUSBなどに保存すれば理論上は長期保存が可能ですが、セキュリティやコンピュータシステムのトラブルで情報が一瞬にして失われるリスクもあります。
いつの間にか、内容が更新されることも少なくありません。
紙媒体は不変です。当時の思い出までパッケージしてくれる貴重なデータです。
質感が良い
紙媒体のメリットで無視できないのが質感です。やわらかくて温かみのあるあの手触り、匂いは、電子媒体ではまず代替できません。“手にとって読みたくなる”不思議な魅力は、紙媒体の本懐ともいえるでしょう。
信頼性が高い
オンライン上から簡単に消去できる電子媒体と異なり、紙媒体は修正不可能です。
一度、印刷・配布されれば他人の手に渡った後も物証として残ります。当然、無根拠な情報は発信できません。そのため、発行前には編集や制作に関わる複数の人間が綿密なチェックを行います。結果、電子媒体以上に精度の高いテキスト、情報であることがほとんどです。発行元が明らかである点も、やはり信頼に足る大きな要素だといえます。
個人の権利を守りやすい
プライバシー侵害や名誉棄損のおそれがある場合、紙媒体なら発行前に差し止めすることが法的に可能です。裁判所に訴えて要求が認められれば発売中止などの措置を取ることができます。
電子媒体にアクセスできない人たちを支えている
世の中にはパソコンやインターネットを使わず、情報の入手を紙媒体に頼っている人も実は少なくありません。ネット環境が整備されていない地方の住民やパソコン操作が苦手な高齢者などが主に該当します。そうした実状や側面がネット社会において(仮にマイノリティーだとしても)混在しているうちは、おそらく紙媒体が淘汰されることは無いといえるでしょう。
広告業界における紙媒体の今後
紙媒体は、今後も依然として存在の意味を持ち続けるはずです。当然、それは広告業界においてもいえます。特に、一部地域にのみ有用な情報などは、広域に発信する必要が無いため、慣れ親しんだ紙媒体でも十分です。むしろ手っ取り早く、(すぐに情報が欲しい)ニーズとも合致しています。
また、紙媒体の印刷技術についても無視できません。近年、目覚ましい進化が見受けられます。長期間インク交換が不要なプリンターなど、これまた挙げればキリがないのです。
もちろん、企業広告において付加価値の面でも紙媒体が勝るケースは存在します。
たとえば、自動車や住宅など高額商品は、上質紙を使ったフルカラーのリーフレットの方が訴求しやすいのではないかといった声もあるほどです。実際、購買数に影響があったのでしょう。
上記の通り、紙媒体も捨てたものではなく、将来的にもおそらく需要は見込めるはずです。ただ、紙媒体に固執するのも勿体ないと考えます。
仮に紙媒体一択で事業を展開してきたとしても、Webのアドバンテージに目を向けることは大切です。状況に応じてうまく取り入れることができれば、打ち出す施策の幅もより広がるものと思われます。
たとえば、紙媒体にQRコードやURLを記載することは今や珍しいことではありません。しかし、こうした紙と電子の混淆型にヒントを得られる場面は、今後増えてくるかと思います。
さまざまなプラットフォームが参入していくなかでメディアプランニングが重視される今日。紙媒体もまた、一つの選択肢として大いに武器になることでしょう。
紙媒体だからできること、その価値に今後も期待!
前項で触れた通り、紙媒体の可能性は尽きないものと考えます。これまでがそうであったように、紙媒体だからできること、その存在価値は、一変化、二変化、まだまだ新たな形を見せてくれるでしょう。紙媒体を主戦場に新進気鋭のクリエイター、マーケターが各方面で生まれることも十分にあり得ます。
とどのつまり、紙媒体は、(希望的観測も加味したうえで)引き続き多くの方に重宝されるはずです。
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