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佐藤順之介さん

Instagramのフォロワー数は約5万人!松濤明武会の「空手教室×web」の可能性

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東京オリンピックで新たに競技種目に採用され、ますます世界中から注目を集めることになった空手。とはいえ、「競技」という言葉のもつ「優劣を争うもの」といったイメージよりも、礼節を重んじる「武道」としての存在感が強いかもしれません。

古くから日本に伝わる空手を世界中に広めるために、webを介した発信を続けている「松濤明武会(都内・千葉を中心に教室数を拡大している空手教室)」では、それまで入会のきっかけといえば口コミが主流だった空手教室において、SNSを活用することで遠方や海外からも生徒を集めることに成功。

今やInstagramのフォロワー数は4.8万人を超えています(2022年6月9日時点)。ほかにもTikTokやYouTubeもアカウントを開設しており、各SNSの特性に合わせて投稿内容を変えていますが、その運用を担当しているのは、たったひとり。

今回は、まさにその企画から発信まで行っており、当道場の代表でもある佐藤順之介さんにお話を伺いました。

(撮影時のみマスクを外していただいて取材を実施しました)

伝統派空手の流派「松濤館流」

―まず「松濤館流」という流派についてご紹介いただけますか?

松濤明武会 代表 佐藤順之介さん(以下、佐藤さん):松濤館流は、オリンピックで採用された伝統派空手のひとつで、ほかに剛柔流、糸東流、和道流といったものがあります。

いずれも公益社団法人全日本空手道連盟(全空連・JKF)という競技団体に加盟している空手道の四大流派なんですが、伝統派空手以外にもいろんな流派があります。

伝統派空手というのは、ノンコンタクトという、相手に当ててはいけない流派です。
極真会館などに代表されるような、打撃を加える流派もあり、そういうのはフルコンタクトといいます。

松濤館流は船越義珍という人が事実上の開祖で、この人自身はずっと流派を名乗っていなかったらしいんですが、彼の道場の名前に由来して「松濤館流」と呼ばれるようになりました。

もともと礼節を重んじる傾向が強い流派で、時代を経るごとにちょっとずつ変化していき、危険のないようスポーツ化が進んでいるという感じですね。

―松濤館流は世界で一番競技人口が多いとお聞きしました。

佐藤さん:そういわれていますね。
なので、海外でも空手をやっている人であれば、形の名前を言うだけで「それ松濤館だね」と、わかってくれると思います。

松濤明武会立ち上げの背景

佐藤順之介さん

―佐藤さんはいつから空手を始めたんですか?

佐藤さん:父が先生で、初めて道着を着たのは2歳のときですね。
物心ついたときにはもうやっていたという感じで記憶にはないので、写真でしか確認することができないですが。

―そこまで長く続けられていると、佐藤さんを構成するものとして、しっかり身についているって感じですね。

佐藤さん:たしかに30年くらいは続けているので、自分の軸にはなっていると思います。

―途中で辞めずにお仕事として選ばれたきっかけはありますか?

佐藤さん:大学に入ってから、監督に保育園で空手を教えるアルバイトを紹介されたのがきっかけですかね。
その卒園生が「空手を続けたい」と言ってくれて、父に東京の道場を教えてほしいと相談したら、「自分でやればいいんじゃないの?」って言われたんです。

それで土曜日など空いているときに教えるようになったっていうのが、たしか大学2年生くらいのころ。
もともと就職せずに、自分の力でなにかを始めたいと思っていたんです。
友だちとホームページを作ったりして、「起業したいね」と話してビジネスコンテストに出たりもしたんですよ。

最初はふたりでパソコンを買いに行って、イチから始めようって話していたんですが、友だちのほうはそこからハマって、アメリカにプログラミングの勉強をしに行きたい!と方向転換し、僕のほうは正直あんまり興味が持てなかったので、じゃあもともと趣味だった空手を仕事にしようかな、と。

それでまずはいろんな保育園に「空手、やりませんか?」と声をかけて、道場も広くするために調達を始めて……というのがはじまりですね。

子どもに教えるときの工夫

佐藤順之介さん

―いま生徒さんは何名くらいいらっしゃるんですか?

佐藤さん:教室には500名くらい、あと20箇所くらいの保育園でも教えているので、それを合わせると1,200~1,300名くらいですかね。

―やっぱり大人よりも子どもが多いんですか?

佐藤さん:9割以上が子どもだと思います。
親子で習っている人や、中学生くらいの子、あともちろん大人も数名いらっしゃいますが、2,3歳の子が多いですね。

―佐藤さんもそうですが、2歳くらいから始める方というのは多いのでしょうか?

佐藤さん:教室にもよるんですが、いま増えてきていますね。
まだしゃべれなくて、立って並ぶところから始めるという子が多いです。
白金の教室には特に多くて、お受験のために武道を身につけたいというご家庭が多いのかもしれないですね。

―なるほど、では躾のようなものも求められているんですかね?

佐藤さん:そうですね、むしろそういうニーズが多いと思います。

―お子さんに教える際の、大人相手とは違う工夫などはありますか?

佐藤さん:とにかく「わかりやすく」するというのは心がけていますね。
シンプルに伝えること、あとジェスチャーを大きく、子ども目線で、たまに笑いも入れたりして(笑)。

まず「空手は楽しいもの」というのを伝えていこうと思っています。
もちろん、そのなかに礼儀作法も学んでほしいから織り交ぜるんですが、ゲーム性を作ってとにかく楽しさを覚えてもらって、大きくなったときに「もっとがんばりたいな」と思ってもらえたら、と。

それで自主的に成長につながってくれるのが一番だと思っているんです。
なので、厳しいことはほとんどしないですね。

―いま教えていらっしゃる生徒さんの中で、長く続けている子の年数はどのくらいですか?

佐藤さん:道場を始めて12年くらいなんですが、10年くらい通ってくれている子がいますね。
3歳から始めて今はもう中学生です。

もうお父さんみたいな気持ちですよ(笑)。
ずっと週4,5日くらい通ってくれて、がんばっているのを見てきたので、もしかしたらお父さんよりも見ているかもしれないです。

―週4,5日を10年間見守っているのは感慨深いですね……。
そうやって継続される子は多いんですか?

佐藤さん:基本的に武道として始めるというよりも、習いごととして始める人が多いので、「黒帯を取るまでがんばる」といった子が多いですね。

期間としては、だいたい5,6年くらいですかね。
道場によっても結構違うと思いますが。
もちろん競技でやっている子もいて、そういう子たちは中高、大学まで続けていますね。

―その中で大会に出られる子はどのくらいいらっしゃるんですか?

佐藤さん:50名くらいですかね……。
強化チームというのもあって、そのメンバーは20~25名くらいです。
特に集めたりはしていないので、やりたい子はどんどん自分から言ってもらうって感じで、どんどん増えてきてはいますね。

―もともと教室の数も多いですよね。
それぞれ特性などはやっぱり違うんですか?

佐藤さん:先生も複数いるので、やっぱり違うと思います。
なるべく少ない人数に教えるようにしたくて、2~3歳だけのクラス、習いごとのクラス、競技として習うクラス、と結構分けているので、なおさら特性は違いますね。

―少人数にしたいのは、そのほうが身につきやすくなるということですか?

佐藤さん:そうです、ちゃんと一人ひとりに目が行きとどくので。
目も合わせられるし、しっかり自分の伝えたいことが伝わるという気がします。

生徒たちが空手を始める理由

佐藤順之介さん

―通い始める目的はどういったものが多いんでしょうか?

佐藤さん:「礼儀を学びたい」というのが一番ですね。
親御さんがそれで習わせたいと通ってくれるケースが多いです。
オリンピックに採用されてから空手自体の露出度も増えたと思うので、それでやってくる子もいます。

昔は空手=格闘技というイメージが強かったみたいで、自分が習っていたときは「瓦何枚割れる?」とか聞かれることも多かったですけど、印象が変わってきているんでしょうね。

すぐ走り回っちゃうような落ち着きのない子に礼儀を覚えさせたいとか、引っ込み思案の子どものために習わせたいとか、そういう親御さんが多いですね。

―たしかに心は確実に成長しそうですよね。

佐藤さん:そこが一番大事にしているところですね。
学校では教えられないようなことも、ここなら教えられる、と期待されているのは感じます。

あと空手業界自体の人数が増えています。
実際に教室の数も増えていますし、たぶんコロナ禍というのもあって、始めた方が多いんじゃないですかね。

webの活用によって世界中に可能性が広がった

松濤明武会取材風景

―なるほど、運動不足を解消したいといった目的もあるんですかね。
ということは意外とコロナウイルスによる悪影響はあまりなかったですか?
あるいは工夫された点などあればお伺いしたいです。

佐藤さん:2年くらい前ですかね、最初の緊急事態宣言のときに、半分くらいの生徒が休会してしまって、そのときはとても焦りましたね。
休会中は一切お金をいただかないので、なにかできることをやらなくちゃと思って、始めたのがオンライン。

Zoomを使ってオンライン指導を始め、あと月謝も手渡しにしていたのを振り込みにしたりPayPayを活用したり、工夫しましたね。

―オンラインでの指導はどのように行っているんですか?

佐藤さん:組手(※)はできないので、極め(※2)と形ですね。
ダンスを教えるような感じでできるので、意外とわかりやすいのかなーと思っています。

※組手:空手の練習形式のひとつで、主に二人で相対して行う。決まった手順で技を掛け合う「約束組手」、自由に技を掛け合う「自由組手」、勝敗を競う「組手試合」など。

※2 極め:空手において、寸前に置いた目標に対して最大限の力を爆発させること。寸止めとは異なる。

―なるほど。オンラインで受けられるなら遠方の方も習えるようになりますね。

佐藤さん:そうなんですよね、まさに愛知に引っ越してしまった生徒がオンラインで続けてくれています。
あとフィリピンとか、フランシスコから習ってくれている子もいて、結構いろいろできるなーと思っています。

―すごい、海外からも!
空手は海外でも人気の競技ですもんね。

佐藤さん:そうなんですよね、ヨーロッパとか、最近だと中東からも人気がありますね。

SNSの活用

佐藤順之介さん

―オンラインといえば、さまざまなSNSを活用されていますよね。

佐藤さん:今インスタ、YouTube、TikTok、公式LINEをやっていますね。

―それだけ多くを利用されていると、棲み分けも大変そうです。

佐藤さん:一応、インスタでは形を見せて、TikTokでは技を教えて、YouTubeは本当は生徒向けに「審査で合格するには、こういう練習したほうがいいよ」といった内容を上げています。
YouTubeはブログから見にきてくれている人が多いみたいですね。

―インスタのフォロワー数は4.8万人以上とかなり多いですが、増やすために意識された点などはありますか?

佐藤さん:いま9割以上が外国人ですね。
工夫といえるほどではないんですが、以前は教室での練習風景を俯瞰で撮影して「今日はこんな感じで練習しました!」と投稿していたのを、一人ひとりにフォーカスして形を打っている動画をリールで公開するという方法に変えてからバズりました。


(現在はこのように個人に焦点を当てたリールを公開しています)

佐藤さん:TikTokは最近始めたので、まだフォロワー数もそれほど多くないんですけど、インスタに人数が集まってくれたので、そこで空手の練習方法に関する質問を募集して、TikTok内でその質問に実技で答えるということをやっています。

@shoto_meibukai Instagramからの質問→形で回る時に転ばない方法を教えてください🔥#karate #空手 #蹴り #松濤館 #kata #形 ♬ Lo-Fi analog beat – Gloveity
(こちらは実際に佐藤さんが質問に答えて教えている様子)

―なるほど、実際に悩んでいる人からの質問だから、細かくてリアルなお題になっているんですね。

佐藤さん:そうですね、僕だけではお題は考えられないし、実際に存在するお悩みに答えているからササりやすいのかなーと思っています。

予約もオンラインが主軸

佐藤順之介さん

―インスタのフォロワーは海外の方が多いと仰っていましたが、インスタ経由でオンラインレッスンなどを行うこともあるのでしょうか?

佐藤さん:今まさにやりたいと考えているところです。
インスタを介した外国人向けのオンラインクラスは、実際にやってほしいという声もあるので、これは……やります!(笑)

―ニーズがあるなら集客面も安心ですね。

佐藤さん:フォロワーの1割でも来てくれれば……1割じゃ4,000人以上か。
100人でも50人でも集まってくれたらいいなぁと思っています。

―海外の方に教えるとき、言語の壁などはありますか?

佐藤さん:技の名前は変わらないので、そんなにないのかなーと思いますね。
特に僕は海外の大会に行くこともあって、試合に出て、セミナーもやったりしているんですが、結構伝わるものですよ。

―なるほど、空手の場合はボディランゲージで伝わる部分も多そうですもんね。
ところで公式LINEも運用されていますが、予約をされる方はLINEふくめSNSを利用されるケースが多いのでしょうか?

佐藤さん:今はブログを見て来ました!という方が一番多いですけど、ちょっとずつ増えているのは感じますね。
道場って基本的には、友だち同士の口コミで入会される方が多いんですけど、明武会の場合はブログを見て、そのまま予約フォームで来てくれる方が多いですね。

本当に、ホームページを作る前は口コミで来る方が90%くらいだったのが、今は逆にオンラインで予約される方が90%くらいになっていて、しかもそれで通い始めた方が友だちに紹介して……っていうこともあるので、輪がどんどん広がっているのを感じますね。

―特にこちらの教室では、道場の感覚がつかめるまで、何度でも無料で体験できるじゃないですか。
それも新しいところから飛び込んできた方にとっては、安心できる材料のひとつでもありそうですよね。

なんでも取り入れてみることが大事

佐藤順之介さん

―佐藤さんは、SNSもそうですが、柔軟にどんどん新しいことを取り入れていこうという意識が強い方ですね。

佐藤さん:いえいえ幼稚なだけですよ(笑)。
「とりあえずやってみよう!」っていうことが多いですね。
それで結果が出なくても、まぁそういうのは水物なので。
やらないよりはやったほうがいいでしょ!と思っています。

実際にwebサイトを制作したり、SNSを開設したりしたことで、特にコロナ禍になってからその効果は実感しています。

たぶん、それまでは通学や通勤していて、「あそこに空手教室があるなー」と覚えてもらっていたのが、外出する機会が減って、web上で「近くに空手教室ないかな」って調べるようになったというふうに、行動に変化があったからだと思います。

だからいま生徒さんがどんどん増えてくれているのは、webを取り入れるタイミングがよかったというのもありますね。
オリンピックで空手そのものの関心も高まって、コロナ禍で運動不足っていうのもあるかもしれないし、外出する機会が減ったっていうのもあるかもしれないし。

今まで8年間くらい生徒さんの人数ってそんなに変動なかったんですけど、ホームページを制作したり、SNSを立ち上げたりして、この2年で一気に増えているので、成長スピードとしては自分でも信じられないです。
今は1年間で150名ずつくらいですかね、やってきてくれています。

たまに「なんで急にこんなに増えてるの?」「どうやって増やしてるの?」なんて聞かれることもあるんですけど、「こういうふうにやってるよ」って言っても、やらない人がほとんどです。

―やっぱり「やってみよう」と思っても、なかなか行動に移せる人は少ないですよね。
佐藤さんはそのスピードがとても早いので、だから成功されているんだな、と思います。

佐藤さん:そこが大事なのかなと思っていますね。
できることからやっていくっていう感じです。

―でも実際に指導もして、動画も撮って、その編集をしてSNSに投稿して、ブログも書いて……って、毎日すごく大変じゃないですか?

佐藤さん:それが結構大変なんですよ(笑)。
まぁでもインスタやTikTokはアプリ内でできる簡単な編集しかしていないし、家に帰って酒飲みながらコツコツやっています。

―ほろよいくらいがちょうどいいんですかね(笑)。

佐藤さん:そうそう(笑)。
たまに朝見返して「あれ?」って思うときもありますけど(笑)。

―それは問題ですね(笑)。
でもご自身がとても楽しんでやっているという感じがします。

佐藤さん:うーん、好きですね。
結局、苦じゃないから続けられるんですよね。
それで反響があったらますます楽しいし。

昔からSNSよくやっていたんですよ、前略プロフィール(※3)とか。
mixi(ミクシィ)、Mobage(モバゲー※4)、いろいろやって……という感じなので、今も楽しんでいますね。

※3 前略プロフィール:2004年に開発され、株式会社ザッパラスによって提供されていたwebサイト作成サービス。登録すると簡単に自己紹介ページを作ることができ、掲示板などでユーザー同士コミュニケーションを取ることも可能だったため、日本におけるSNSの元祖といわれることもある。

※4 Mobage:2006年に「モバゲータウン」としてサービスを開始した、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)運営のガラケー向けゲームサイト兼SNS。日記や掲示板の作成、チャットなどによってユーザー同士コミュニケーションを取ることが可能。

―ご自身が楽しめるのが一番ですよね。
それで実際にフォロワー数が拡大していっているので、合っているんだと思います。

佐藤さん:そうですね、満足はしています。
でも、ここまで来たらもっと上を目指したいな、とも思うので、がんばらなきゃいけないですね。

練習場所も柔軟に対応

佐藤順之介さん

―いろんな場所に教室があるので、さまざまなエリアに住んでいる方が予約をされても幅広く対応できそうですね。

佐藤さん:そうですね、結構遠くからいらっしゃる方も多いですね。
教室自体は最初、引っ越しを理由に辞めることになった子がいて、でも本人はまだ続けたいと言ってくれていたので、「じゃあその引っ越し先にくっついて行くよ!」っていう感じで、どんどん増やしたという感じなんです。

―教室の増やし方も柔軟ですね。

佐藤さん:あとは、「ここでやってほしいです!」っていう依頼をもらうこともありますね。
ちょうど目の前の写真に写っているあの子も、空手経験はなくて、そういう経緯で始めた子だったんですけど、いま日本代表なんです。

日本代表選手
(道場内には生徒の雄姿を収めた写真が飾られています。
こちらはこのとき話題に上った日本代表の高田あずささん)

―えっ!未経験から代表選手に!それはすごいですね……。

佐藤さん:彼女は特別、運動神経とか才能があったんですよね。
それで僕も持っているものは全部使って教えて、海外にも行っていろんな経験をしてもらって……、そしたらさらにどんどん成長しました。

がんばれば、空手の今後を担う選手になるんじゃないかなーと思っています。

将来的には「保育園」を作りたい

佐藤順之介さん

佐藤さん:もともと空手という日本に昔から伝わる文化が素晴らしいと思って、それを広めたくて活動しているので、実際に生徒の人数が増えたり、教室の数が増えたりするのはうれしいですね。

―なるほど、だからSNSなどwebを活用した発信も積極的なんですね。
ちなみに、いま目標にしていることはなんでしょうか?

佐藤さん:生徒を年間200人ずつ増やしたいですね。
それで、2,3年後には教室の生徒だけで1,000人にしたいです。
そのためにどう動いていくかっていうのが大事になってきますね。

それから、いま生徒に世界2位、3位の子はいるんですけど、1位はまだ取れていないので、全体を底上げしてチャンピオンを育てていきたいです。

あと、保育園で教える機会ももっと増やしていきたいですね。
体操を取り入れている保育園は結構あると思うんですけど、空手はまだまだ少なくて……。
でも体操に負けないくらい、空手にもいいものがあるので、それをもっともっと普及していきたいです。

―目標も多方面に広がりますね。

佐藤さん:そうですね。
あと、将来的には自身で保育園を作りたいんですよね。

空手教室を始めたからには、日本で一番大きな教室にしたいという気持ちがあって、空手をやっている人であればだれでも知っているような知名度になれば、ひとつ形になったって思えるかな、と思うんですけど、ほかにずっとやりたいこととしては、保育園を作りたいんです。

武道、華道、茶道、書道……と、「道」のつくもののプロフェッショナルを集めて、保育園みたいにして、それぞれ古きよき伝統を守って伝えていくことをしたいと考えています。

―ええ!それ、めちゃくちゃいいですね!
そこで育った子たちが、そのあとどういうふうに成長していくのか、とても楽しみな施設になりそうです。

佐藤さん:ありがとうございます。
でも、ほかにあれこれ始めてしまって、なかなか進まず……。
もうちょっと時間とお金ができてからですね。

でも日本特有の文化って、すごくいいものがたくさんあるので、小さいうちから身につけることができれば、軸のしっかりした子になってくれるんじゃないかと思うんです。

―日本の三大芸道にふくまれる「香道(※5)」も一緒に体験できるようにしてほしいです。
最近、友人が体験に行ったらしくて話を聞いたんですが、和歌などを深く知る教養もあり、子どものころから触れていたらきっと心が豊かになるんじゃないかと……。

※5 香道:華道、茶道と並ぶ日本の三大芸道のひとつ。作法のもとに香木をたき、その香りの相違に和歌や古典文学の情景を鑑賞する。書道の素養も求められるため、学びも多い。

佐藤さん:ぜひ入れましょう!(笑)

―ありがとうございます(笑)。
いろいろと大変だと思いますが、やりたいことがたくさんあるのは素敵です。
それでは、本日はありがとうございました!

学びには「素直」な心が必要

佐藤順之介さん

教育の現場などでよく聞くのは、素直な人ほど、よく学ぶことができるということ。実際に筆者も子どものころに、「そんなの知ってる」と思いながら授業を聞いていると、その内容が全然頭に入らないという経験をしたことがあります。

そして逆に、なんでも受け入れる態勢で聞くと、頭の中で自然と整理され、どこが重要なポイントなのか見えてきたという経験もあります。

今回お話を伺った佐藤さんは、ご自身は「子どもと同じ精神年齢だから一緒に楽しみながらやっている」と笑っていましたが、当然ながら精神年齢が低いわけはなく、とても素直な人なんだな、という印象を受けました。

なんでもとにかく受け入れてやってみる、それでだめだったら、またそのときに考える……、それを実践できる人は、なかなか少ないんじゃないかと思います。

ましてや経営者となると、先のことを見越してリスクヘッジも取らないといけないので、あれこれ考えてしまって慎重になりすぎてしまう、いざ実行してもすぐに反響が得られなければ継続できなくなる、そういう人も少なくないのではないでしょうか。

またキャリアが長い人は、今までの自身の経験が、新しい考え方を受け入れようとする意識を邪魔してしまうこともあるかもしれません。

書き添え忘れましたが、素直に聞いていた授業は、とても楽しかった記憶があります。そして楽しい授業は知識が体験として身につきやすくなるので、テストでもいい点が取れ、それが成功体験として残り、次回も同じように聞こうという姿勢になりました。

残念ながら天才級の頭脳を持ち合わせることはなかったですが、勉強が楽しいものだと認識されたことで、学生時代、テストも受験も苦ではありませんでした。

佐藤さんは、子どもたちに「楽しい場」として空手を伝えているから、素直に吸収することができ、大きくなったり引っ越したりしても続けたいと思う生徒が多いのかもしれません。

また、自身も楽しんでいるからこそ、子どもたちにもそれが伝わり、より安心できる場所になっているのだと思います。

学びの機会は、一方が他方から受け取るばかりではありません。教える立場であっても、相手から学ぶことはおおいにあります。

フランスの哲学者ミシェル・ド・モンテーニュの言葉に「愚者が賢者から学ぶことよりも、賢者が愚者から学ぶことのほうが多い」というものがありますが、賢者とは、どんな者、どんな経験からも学べる素直な人だと書き換えることができると思います。

楽しみながらたくさんのやりたいことに手を伸ばし、積極的に次々に試していく姿勢には、さまざまな面で影響される部分がありそうです。

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この記事を書いた人

浦田みなみ
元某ライフスタイルメディア編集長。2011年小説『空のつくりかた』刊行。モットーは「人に甘く、自分にも甘く」。甘いものといえば、ねことクリームソーダが好きで趣味でサイト運営もしています。

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