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サスティナブルファッション

サスティナブルファッションとは。エシカル消費時代のアパレル低迷期脱却法

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「サスティナブル」や「エシカル」という言葉は今の時代、頻繁に聞かれるようになりました。特にファッション業界においては、トレンドがすぐに移り変わるため、大量の在庫廃棄が免れないこと、製造にあたって多くのエネルギーを消費する必要があることなどから環境へのダメージが大きいことはかねてより注視されているところです。

2015年9月の国連サミットにてSDGsが採択されたことで、よりその意識は強くなりました。なお、SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

特に低迷期が続くアパレル業界においては、その脱却を図るためにも、他社ブランドとの差別化を試みた目を引くデザインやトレンドだけを追い求めたマーケティングではなく、自社自身が「持続可能」であるように社会問題に目を向けることが余儀なくされているといっても過言ではないかもしれません。

サスティナブルファッションとは

サスティナブルファッションとは

「サスティナブル(sustainable)」とは「持続可能な」という意味で、同じ文脈でよく聞かれる「エシカル(ethical)」は「倫理的な」という意味を持つ単語。「SDGs」もよく耳にする今の時代、「エシカル消費」という自発的に地球環境を尊重しようとする消費者ニーズを表す言葉が生まれたことも象徴的に思います。

そして「サスティナブル(サステナブル)ファッション」とは、環境省によると下記のとおり。


サステナブルファッション:
衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのことを言います。


引用元:環境省,サステナブルファッション


アパレル分野において、原材料調達から製造段階までに排出される環境負荷の年間総量は、二酸化炭素が約90,000kt(500mlペットボトル約255本製造分)、端材等が約45,000t(衣服約1.8億着分)、水消費量が約2,300リットル(浴槽約11杯分)。

▶参考:環境省,サステナブルファッション

また、靴やバッグ、コートやマフラーなどを生産する際、レザーやファーを扱う製品であれば、当然ながらそれは動物の犠牲のもと製造販売されていることになります。

昨今ではエコファー(フェイクファー)やエコレザー(フェイクレザー)といった、動物を搾取しない製品も増えており、それらは「クルエルティフリー」と呼ばれ、今後より普及していくと考えられています。

クルエルティフリー(cruelty free)は、日本語では「残虐性(cruelty)から解き放たれた(free)」と訳せるのではないでしょうか。

「サスティナブルファッション」と聞くとリサイクル素材を利用していたり、ヴィンテージなど過去のコレクション作品をそのまま取り入れた製品が真っ先に思いつくかもしれませんが、「持続可能=捨てないこと」ではないのです。

もちろん素材にこだわった商品を展開することも含まれますが、今後の地球環境や労働環境などを見据えて製品企画・製造にあたるという「サスティナブル」を包括的に捉えられているかどうかがポイントになります。

サスティナブルファッションブランドの実例

実際にサスティナブルを実現させているファッションブランドは既に多く存在しています。

たとえばSTELLA McCARTNEY(ステラ マッカートニー)はその代表格。創業者のステラ・マッカートニー自身がヴィーガンということもあり、設立当初の2001年より動物由来のファー、レザー素材は一切使っていません。ブランドアイコンとして知られるバッグ「ファラベラ」ももちろん例外ではなく、表にはエコレザー、そして裏地にはペットボトルのリサイクル素材が使われています。

ハイエンドブランドの中でいち早くサスティナブルファッションの重要性を認識し、実際に推し広めているメゾンのひとつといっていいでしょう。

▶参考:Stella McCartney JP, Sustainability

GUCCI(グッチ)も2017年にリアルファーの使用を廃止。また「Culture of Purpose」という独自のサスティナビリティ戦略を打ち立て、ダイバーシティと向き合い、ジェンダー平等を促進、2025年までに2015年相対値40%の環境負荷の削減を目指すといった活動を行っています。

▶参考:Gucci Equilibrium

日本ではまだそれほどサスティナブルファッションは広まっていないように感じますが、それでもいくつかその活動を示しているブランドは存在します。

たとえばPeople Tree(ピープルツリー)は、「フェアトレード専門ブランド」として、アジア、アフリカ、中南米など18ヵ国約145団体とともに、オーガニックコットンをはじめとする天然素材を用い、その土地に伝わる伝統技法を生かした手仕事による商品を企画開発・販売。

世界フェアトレード連盟(WFTO)の認証も受けており、今まで約30年に渡ってエシカルでサスティナブルな製品づくりにこだわり続けています。

世界には技術があっても労働の機会に恵まれない方々がたくさんいます。自身の手を使って生み出したものを適切な対価と引き換えにビジネスとして成立させる、それもまた今後の持続性を見据えた生産の在り方でしょう。

▶参考:People Tree

アパレル市場の近年の動向

アパレル市場の近年の動向

アパレル業界は低迷期だといわれて久しいですが、たしかに1990年以降、国内衣料品市場は減少の一途を辿っていたものの、実は2009年ごろからほぼ横ばい状態が続いています。

▶参考:METI/経済産業省, 参考資料同, アパレル・サプライチェーン研究会報告書について内)

そもそも衰退が始まった1990年代はじめといえば、ユニクロのフリースブームが起こり始めたころ。また、海外ファストファッションブランドも多くは2000年代進出ではありますが、GAPやZARAなど徐々に90年代から日本上陸を始めていました。その人気にあやかって多くのブランドが低価格帯競争を始め、結果として海外での大量生産の末、需要よりも供給量が上回ってしまったというのが大きなダメージとなったといわれています。

そして近年それにストップがかかり始めたのには、やはりEC化率上昇の影響が第一に考えられるでしょう。今やInstagramなどSNSの投稿から掲載商品の購入もできるようになり、実店舗とオンラインショップの紐づけは必須とされ、在庫は常にリアルタイムで全店共有されるのが常になったため、余剰が発生する機会も減りました。

同時にIoTなどテクノロジーの導入も進み、RFIDタグ(商品に直接触れずにデザインや価格、素材、在庫管理などのデータが共有できる電子タグ)も普及しています。

先に挙げたユニクロでいうと、先般2021年10月にアプリまたはスマートフォンサイトから注文後、最短2時間で店舗にて当該商品を受け取ることのできる「ORDER & PICK(オーダーアンドピック)」というサービスが開始されました。

オンラインとオフラインの垣根を取っ払い、よりよい顧客体験が生み出せるOMOの概念が進むことは、長らく低迷していたアパレル業界の今後において希望の光になりえるかもしれません。なおOMOについてはこちらの記事をご参照ください。

ファッション業界における今後の課題

今後アパレル市場が上向きになるのか、あるいは再び右肩下がりに戻ってしまうのかは今考えられる業界内の課題をどれだけクリアできるかにかかっているでしょう。


ファストファッションブランドの台頭

先にも少し触れましたが、90年代~00年代は海外ファストファッションブランドが席巻していました。10年代後半よりそのブームも落ち着き始め、Forever21やTOPSHOPなど日本撤退するブランドも続出しましたが、ZARAやH&Mなど今なお高い人気を誇るものも少なくなく、国内ブランドではユニクロやGUも幅広い年代に長らく支持され続けています。

特にユニクロは時代に合わせて洗練されたイメージにリブランディングしたことが功を奏しており、また、今生き残っているファストファッションブランドの多くがそれまでの「安かろう悪かろう」路線から高品質化にシフトしていることが特徴的です。

加えてZARAにおいてはサステナブル・アパレル連合が繊維部門の環境および社会的影響を評価するために開発したHIGG INDEXに基づき、独自に「JOIN LIFE基準」を定め、リサイクル素材など持続可能な原材料を使用したり、水消費量やCO2排出量を削減する技術、プロセスを導入したりして生産した商品を積極的に発表しています。

▶参考:ZARA 日本, JOIN LIFE

ユニクロ、及びそれを展開するファーストリテイリングも「Made For All」という理念を掲げ、2019年アジアのアパレル企業として初めてUN Women(国連女性機関)とパートナーシップを結び、ファッション産業における女性の地位向上に向けた環境づくりに取り組み始め、大きな話題を呼びました。

▶参考:ユニクロ, UN WOMENとのグローバルパートナーシップ


プロパー消化率の減少

ファッション業界では今プロパー消化率の低さも問題視されています。その理由のひとつにはフリマアプリの普及が考えられるでしょう。

自身が着なくなった服をただ捨てるのではなく、ほかの人に譲るというのは、それ自体がサスティナブルの流れを汲んでおり、決して悪い側面ばかりではないのですが、業界においては正規価格よりも安価で商品が流通することになるので、新しい製品を売り出してもニーズが高まりにくいという問題点と隣り合わせにあります。

昨今では自身が不要になった際に売れるかどうかを条件のひとつに新しい衣服を購入するというユーザーも増えているといわれています。CtoCのやりとりが一般化したことで、「服にはお金をかけなくてもよい」という認識が広まりつつあるのは事実といえるでしょう。

また今の時代は「風の時代」とも呼ばれ、そもそも「モノに執着しない」のがスタンダードになってきています。それまでDVDやCDを購入して占有していた娯楽はサブスクリプションサービスに取って代わられ、資料などの共有もクラウド上で賄うのが常、そしてファッションにおいてもレンタルサービスが登場しました。

金銭と引き換えに服を所有するという感覚が古くなるということはまだ考えにくいですが、「今買う必要がある」あるいは「この服を買う理由がある」と思わせることができないブランドは衰退していく一方かもしれません。

課題に向き合っていくためには

課題に向き合っていくためには

飽和状態にあるファッションブランドの中から頭角を現すには、そのほかと比較しても確固たる存在感を築けるブランディングが欠かせないでしょう。

今後長期に渡って支持され続けるには、必要な原材料の確保、労働環境の整備が必要です。つまり、地球規模でこの先を見据えた「持続可能」なビジネスの展開が求められているということです。

特にEC化率が拡大し続ける今、個人で始めたブランドであっても海外への進出は容易であり、より多様性に富んだ世界で通用するには社会問題への取り組みが注目されるのは大前提といえるのではないでしょうか。

実際に、先述した「エシカル消費」という言葉が存在するとおり、消費者自身もサスティナブルファッションを選ぶ傾向にあることがわかっているのです。

繊維専門商社の豊島株式会社による全国の15歳~49歳の男女1,000名を対象にした2021年の「ファッションの環境意識調査」によると、ファッションにおける環境配慮の意識が「高まっている」と3人に1人が回答し、昨年2020年よりも5.3%も上昇しています。

さらに「価格が高くても環境・社会にいいものを選ぶ」という消費者も2020年の40.4%に対し、2021年では46.3%と5.9%も増加しており、意識が既に行動に結びついていることがうかがえるのです。

また、そういった思想は一過性のトレンドだといわれることもありますが、「これからも環境保全に配慮した取り組みに対する意識は高まる」という意見も全体の7割を超えているため無責任にそう判断することも難しいでしょう。

▶参考:豊島株式会社, ファッションの環境意識調査

消費者のニーズがこれだけ高まっている以上、生産する企業は責任をもってサスティナビリティに取り組む責任があります。

サスティナブルファッションとは、持続可能なファッションということ。テレワークなど外出の機会が減ったとはいえ、おそらくほとんどの方が毎日着替えるという行為を行っていると思います。自身の好みや理想、そして思想までも体現できるファッションというものを今後もありのまま持続させるためには、選ぶ者、着る者だけでなく作り手も健康的でなければいけません。

関わるすべての人、動物が無理をせずにいられること、環境を壊さないこと、それが「サスティナビリティ」という言葉の軸だと考えられます。コストを天秤にかけると難しい面があったり、あるいは求めているデザイン性に届かなかったりすることもあるかもしれませんが、少しずつ行動で示していくことがこの先の成功に続いていくと考えたいですね。

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この記事を書いた人

浦田みなみ
元某ライフスタイルメディア編集長。2011年小説『空のつくりかた』刊行。モットーは「人に甘く、自分にも甘く」。甘いものといえば、ねことクリームソーダが好きで趣味でサイト運営もしています。

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