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AppLovin片木智也さん

アプリ広告プラットフォームAppLovin日本事業責任者に聞く、いま伸びるアプリ【前編】

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米国カリフォルニアに本社を構える、マーケティングソフトウェアのリーディングカンパニーAppLovin(アップラビン)は、モバイルビジネスを成長させるために必要なソリューションを一気通貫でデベロッパーに提供しています。

2012年の創業より1年目で黒字化を実現、そして2015年にはForbes誌の「America’s Most Promising Companies(米国で最も成功が期待される企業)」に選出され、日本法人はその翌年2016年に設立されました。

2022年現在では世界中に19もの支社を持ち、累計110億以上ものアプリインストールの促進に貢献されています。

今回はそんな、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのAppLovinの日本事業責任者、片木智也さんに現在の日本のアプリ市場のトレンドや今後「伸びる」と予想されるアプリの特徴についてお伺いしました。


(当取材においては、撮影時のみマスクを外していただいて実施いたしました)

AppLovinとは

AppLovinとは

―まずは貴社の事業についてくわしくご紹介をお願いできますか?

AppLovin日本事業責任者 片木智也さん(以下、片木さん):はい。
AppLovinではモバイルアプリに特化したプラットフォームを提供しており、主に広告出稿、アプリ媒体の広告マネタイズの支援をしています。

広告プラットフォームとしての市場のシェアは非常に大きくなりまして、今だとグローバルで3番目の広告配信規模にまで成長しました。

また、自社でゲームアプリのパブリッシング事業も行っています。
カジュアルゲームからミッドコア系のゲーム(※)まで幅広く有しているんですが、ちょうど昨日確認した「Sensor Tower(センサータワー)」という、アプリの情報が見られるサイトによると、本四半期2022年1月~3月にもっともインストールされたゲームアプリパブリッシャーだったそうです。

※カジュアルゲーム:チェスやトランプ、パズルゲームなど、ルールが簡単でだれでもできるゲームの総称。当記事では特に、国籍や年齢を問わず、だれでも気軽に遊べるようにユニバーサルデザインを取り入れたハイパーカジュアルゲームアプリも指す。

ミッドコアゲーム:RPGやシューティング、戦略を要するものなど、カジュアルゲームよりルールを覚えたり頭を使ったりすることが必要な中級者向けゲームのこと。さらに上級者向けのゲームとして「ハードコアゲーム」も存在する。

非ゲームも合わせると4番目ですね。
たぶんGoogle、Meta、ByteDanceの次じゃないですかね。

その広告プラットフォーム事業、ゲームパブリッシャー事業のふたつを主軸に構えているんですけども、「モバイルアプリのエコシステムを成長させる」というのを会社全体のミッションに掲げており、幅広い方面でモバイルアプリデベロッパーを支える活動をしています。

―ありがとうございます。
片木さんは日本事業の責任者ということですが、日本法人立ち上げからご参画されていたのでしょうか?

片木さん:いえ、僕が入社したのはちょうど4年半前になるので、立ち上げから少し経っていましたね。
入社してからはゲーム、非ゲーム問わず、いろんなジャンルの媒体さまと一緒に広告収益の最大化を目指してサポートしており、2020年の11月から日本全体の責任者として統括する立場になりました。

AppLovinのプロダクトの強みは3点

AppLovinの強み

―ずばり貴社のプロダクトの強みを教えてください。

片木さん:私が思うに、主に3点あります。
まずひとつめは、プラットフォームとしての規模ですね。

先ほど、世界で3番目の広告配信規模という話をしましたが、ゲーム、非ゲーム問わず、あらゆるカテゴリーのアプリ……数でいうと6万以上ものアプリに弊社プロダクトが導入されております。
それだけ多くのアプリに広告出稿いただけるということは、媒体側にとっても、たくさんの広告主にアクセスすることが可能になるということなんですね。

ふたつめは、世界でもっともインストールされているゲームアプリパブリッシャーということで、アプリを通じて得た多くのファーストパーティデータを活用して鍛え上げた、広告配信最適化の機械学習プラットフォームを持っていることだと思っています。

みっつめは、単にソリューション、プロダクトを導入していただくだけでは終わらないというところですね。
たとえば広告出稿側、マネタイズ側ともに、そのあとが一番大事だと考えておりまして、お客さまと密になって数値を見ながらどこを改善できるか検討したり、分析して仮説を立てて提案させていただいたりしています。

日本法人による大きな成功

AppLovin片木さん

―世界中で導入されている実績があるからこその強みですね。
ちなみに片木さんがご入社される前のことになってしまうんですが、日本法人を立ち上げるきっかけや背景などをお伺いしたく……。

片木さん:そうですね……、入社する前なので確実な話ではないんですけど、でもやっぱり日本市場って今でも弊社の中で、―どこまで話していいかわからないんですけど(笑)―、収益としてはトップクラスなので、ここを押さえておかないとグローバル企業としては伸びていかないということで進出したという部分はあると思います。

―世界中に支社があると思いますが、その中でもトップクラスというのはすごいです。
日本市場向けだからこその経営手法などがあるのでしょうか?

片木さん:日本でもっともユニークな成功だったのが、ハイパーカジュアルゲームの市場作りに貢献できたということだと自負しております。

今はアプリ画面全体に表示される「全画面動画広告」というものが、広告マネタイズにおいてもっとも主流になっているんですが、3,4年前までは日本では普及していなかったんですね。

でもアメリカやヨーロッパなどでは、Voodoo(ブードゥー。パリを拠点とするフランスのゲーム販売会社)のハイパーカジュアルゲームを代表に、課金アプリや非ゲームアプリでも広まりつつあって、市場が成長していたんです。

日本にはそのころまだ知見がなかったので、その新しい市場を日本のゲームパブリッシャーさんと一緒に作り上げようと考えました。

私が入社していま4年半経つんですけども、そのなかでもっとも大きい転機になったかなーと思うのがハイパーカジュアルゲームへの投資ですね。

投資といってもお金ではなく、僕の携帯を見ていただいたらわかると思うんですが、流行っているハイパーカジュアルゲームを各パブリッシャーごとにまとめて毎日10~20タイトルもプレイして、あと弊社の場合は幸いなことにLion Studios(ライオン・スタジオ)という世界トップクラスのハイパーカジュアルゲームのパブリッシャースタジオがあるので、そのメンバーと話をすることで、毎日身をもってそのビジネスを学ぶことができました。

片木さんのスマホ
(片木さんのスマートフォンのスクリーンショット。
パブリッシャーごとにフォルダ分けされたハイパーカジュアルゲームアプリがたくさん保有されています)

そして知見をもって、いま日本でハイパーカジュアルゲーム市場を牽引している芸者東京さんやカヤックさんといった日本のアプリ事業者様と、ゼロからイチ、イチから100になるまでを支援させていただいたというのが一番大きな成功だったと思います。

―具体的にどういったサポートをされたかお聞きしてもよいですか?

片木さん:弊社はアプリマーケティングが専門領域なので、マーケティング方面はもちろん、ゲーム内部のプロダクトについてもサポートさせていただきました。

たとえば、弊社以外のネットワークも活用して、どうすればそのアプリの利益が最大化できるのかご提案をしたり、あとはハイパーカジュアルゲームって、いかにコストをかけずにユーザーを獲得し、そのうえで1ユーザーあたりの売り上げを上げるかがすごく大事なんですけど、どういうクリエイティブを作ればいいのか、どういうコンセプトのアプリを作ればいいのかを考えたり……。

ハイパーカジュアルビジネスだと収益のほぼ100%が広告収益なので、広告を出すときの仕組み、広告の見せ方など、どう設定すれば収益を最大化できるのか、というのがマーケティング領域のお話になります。

それ以外のところだと、私自身本当にたくさんゲームをプレイしていたので、だいたいどういうゲームがトレンドになっているか、ユーザーに需要があるかをある程度掴んでいて、そういった視点から、ゲームをどのように企画、開発していくかを一緒に考えてきました。

あとはハイパーカジュアルゲームっていかに打席に多く立つかが重要で、だいたいトップレベルのパブリッシャーでも打率1割、2割で、たくさん失敗するなかで成功する秘訣を学んでいくんですけども、その判断をするテストを行い、結果に基づいたデータドリブンな改善施策、……たとえば、ステージごとの離脱率を見て傾向を見出し、それに当てはまるステージを改善するといったことや、プレイ時間のわりに収益がついていないようなケースでは、より多くの広告を見てもらうために、いかにゲームの面白さを担保したまま1ステージあたりのプレイ時間を短くするか提案するなど、プロダクトの内部に関わる部分まで踏み込ませていただきました。

―社外というより社内に近い立場で幅広くサポートされたんですね。

片木さん:そうですね、もう本当に全体的に関わらせていただいたので、今お話ししたのも一部なんですよ。
もちろん先ほど挙げた芸者東京さんもカヤックさんもすぐに成功したわけでなく、1位を獲得する(※2)まで多くのアプリを作られているので、一緒にその失敗から学び、乗り越えて……、本当に初めてUSランキング1位を取ったときは鳥肌が立ちましたね(笑)。

―なんだか青春の一幕という感じがします(笑)。
そこから日本のハイパーカジュアルゲーム市場が広がっていったんですね。

片木さん:はい、その成功事例がきっかけで国内からも参入する会社が増えたので、弊社が日本での飛躍的なハイパーカジュアルビジネスの成長を後押ししたというのは間違いないと思っています。

※2 両社のハイパーカジュアルゲームにおける成功実績:2019年11月に米国でリリースされた、株式会社カヤックによるハイパーカジュアルゲームアプリ『Park Master』は、翌2020年3月に米国・日本・ヨーロッパ6か国、カナダ、オーストラリアで無料ダウンロードランキング1位を獲得。2021年5月には累計ダウンロード数2億回を突破した。

一方の芸者東京株式会社も、同じくハイパーカジュアルゲームアプリ『snowball.io』(2018年12月)や『Traffic Run!』(2019年5月)などで米App Storeランキングの1位を獲得。2021年2月にはdata.ai(旧App Annie)が提供するモバイル市場データ「App Annie Intelligence」をもとに発表される『Top Publisher Award』の「Top 20 Japan Headquartered Overall Publishers(海外でのダウンロード数が多い日本のアプリパブリッシャー)」でも1位を獲得した。

日本市場独自の特徴

取材はマスクをして行いました

―海外で広まりつつあったハイパーカジュアルゲームが日本市場でも大きなブームになったということですが、一方でアプリ市場において日本独自の文化のようなものはありますか?

片木さん:すごくありますね。
まず日本のユーザーって、広告に対してよりシビアなんですよ。
なので、たとえばちょっとでも質の悪い広告があったり、技術的な問題があったりすると、それが原因で離脱してしまうことがあるんですね。

それはもちろん事業者にとっては大きな損失になってしまうんですが、運がいいのは、僕自身もともとエンジニアというバックグラウンドを持っていて、ほかにもエンジニア出身のビジネスメンバーがいたので、技術的なことに関しても自分たちだけで迅速に対処することができるケースがたくさんあったという点があります。

本社に確認するとなると、まず言語的なギャップがありますし、時差もあるので、どうしても対応が遅れてしまうんですね。
その点、うちの会社は技術サポート面で有利だったんじゃないかなーと思うので、少人数ながら日本のオフィスが上手くいった理由のひとつかもしれないですね。

MoPub買収により配信できる広告の幅が広がった

MoPub

―まさしく少数精鋭ですね。
ところでTwitter社からMoPub(モーパブ)事業を買収され、先般2022年1月には完了されたかと思いますが、その背景についてお伺いできますか?

片木さん:MoPubの主なサービスはメディエーションサービスなんですが、2018年の時点でMax Inc.を買収し、同じくメディエーションサービスである「MAX(マックス)」を翌年の2019年にリリースしているので、この事業としては今回でふたつめの買収になるんですね。

メディエーションについてざっくりご説明させていただくと、たとえばアプリの広告マネタイズをする際に、AppLovinだけを使っていても収益は最大化されないんですね。

MetaさんやGoogleさん……複数のネットワークを使って、より多くの広告主からの情報をもとにオークションを活発化して、初めて最大化ができるわけなんですけど、このときに複数のネットワーク間で仲立ちをするような役割をメディエーションといいます。

既にMAXがあるのに新たにMoPubを買収した理由は、それぞれの強みを統合するという目的が大きかったかなと思います。

たとえばMoPubには「MoPub Marketplace(モーパブ マーケットプレイス)」という機能によって150以上ものDSP(広告効果最適化を目指す広告主のプラットフォーム)に接続できる仕組みがあり、今回の統合によってMAXの接続されるDSPの数もそのまま大幅に増えたんですね。

これによって、媒体側はより多くの広告主にアクセスしていただけるようになりましたし、広告主は弊社プラットフォームを通じて、より多くのアプリに広告出稿していただけるようになりました。

ほかにも、今までMAXにはニュースアプリなどによく使われているネイティブ広告(メディア上のコンテンツ内に自然に融合させた広告)の機能がなかったのですが、今後はそれも含め、純広告や自社広告もサポートできるようになったり、より多くのアプリ事業者さまが求める機能を増やすことができたかなと思います。

―エンドユーザーにとっても、広告の幅が広がるのはメリットですよね。

片木さん:そうですね、いくらいい広告配信システムがあっても、配信できる広告自体が少なければ、相性のいいものを打ち出すことができないので、広告主がよりマッチしやすい広告を多く配信できるようになったというのはメリットですね。

(後編では、第一線でモバイルビジネスの成長に貢献し続けているAppLovinだからこそ予測できる、日本市場で今後伸びるアプリの特徴や現時点でのトレンドについてお話しいただきます)

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この記事を書いた人

浦田みなみ
元某ライフスタイルメディア編集長。2011年小説『空のつくりかた』刊行。モットーは「人に甘く、自分にも甘く」。甘いものといえば、ねことクリームソーダが好きで趣味でサイト運営もしています。

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