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TikTok売れとは?ヒット商品を生み出す購買行動と企業の成功事例を紹介

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「TikTok売れ」とは、広告ではなくユーザーの自発的な投稿や共感によって、商品が話題になり、一気に売上が跳ね上がることです。特にZ世代やα世代の間では、短時間で情報を得て購入に至る新たな購買スタイルとして定着しつつあります。

本記事では、「TikTok売れとは何か?」をはじめ、その仕組みを生むアルゴリズムやユーザー心理の分析、さらに実際のヒット事例や「売れるコンテンツに共通する3つの要素」までをわかりやすく解説します。これからTikTokマーケティングに取り組む企業や担当者の方にとって、必見の内容です。

「TikTok売れ」とは

「TikTok売れ」とは、TikTok上で紹介・拡散された商品がユーザーの間で注目され、急速に売上を伸ばす現象を指します。特徴的なのは、広告ではなく「ユーザーが発見してシェアする」という流れから生まれる自発的な購買行動である点です。

TikTok売れの背景にある「UGC」

TikTok売れの背景にあるのが、UGC(ユーザー生成コンテンツ)です。企業が発信する情報以上に、リアルな生活者の投稿が信頼されやすい現代において、共感を誘う口コミ動画が大きな影響力を持っています。

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Z世代、α世代はタイパ重視の傾向

1996~2010年生まれのZ世代、2010~2024年生まれのα世代は特に、「限られた時間の中でどれだけ効率的に価値を得られるか」(タイムパフォーマンス)を重視すると言われており、短時間で情報を得られるショート動画を好む傾向があります。こうした価値観が「TikTok売れ」を生み出す土壌としてマッチしているといえます。

出典:~世代間でタイパ意識は異なる?~タイムパフォーマンスに関する意識調査

TikTokでは、商品紹介やレビュー、使い方のデモンストレーションなどが30秒~1分内の短い動画で完結するため、Z世代、α世代のユーザーは、短い時間で情報収集を完了できます。

なぜTikTok売れが起きる?

TikTok売れが起こる背景には、主に次の3つの要素があります。

  • レコメンド機能が作る”偶然の出会い”
  • 保存・コメントがブーストする拡散力
  • 購買につながる心理導線

レコメンド機能が作る”偶然の出会い”

TikTokのアルゴリズムは、ユーザーの興味関心を学習しながら、「今その人が求めそうな情報」や「新たにハマりそうなジャンル」を先回りしてレコメンドします。これにより、まだ本人が「欲しい」と明確に意識していなかった商品との偶然の出会いが発生します。このような体験は「この商品が欲しい」という思いを自然に引き出します。

保存・コメントがブーストする拡散力

TikTokのアルゴリズムは単なる視聴数ではなく、保存数・コメント数・再生完了率などのエンゲージメント指標を評価します。そのため、視聴者の反応が多い動画はより多くの人に届き、結果として「売れやすい」構造になっています。

購買につながる心理導線

TikTokでは、ユーザーが動画を視聴してから実際に商品を購入するまでのステップが非常に短く「見た瞬間に欲しくなり、その場で購入する」という購買行動が自然に生まれています。このような流れは、企業が一方的に情報を届ける従来のプッシュ型広告とは大きく異なります。TikTokは、ユーザーが自ら興味を持って情報にアクセスする”プル型”のコミュニケーションであるため、自発的で強力な購買意欲を引き出せる点が注目されています。

TikTok売れ成功事例4選

この項では、実際にTikTokをきっかけにヒットした商品の成功事例を取り上げ、その特徴を解説していきます。

事例①:ファイブミニ ─ 再注目されたトクホドリンク

1988年に発売された特定保健用食品「ファイブミニ」は、30年以上にわたり親しまれてきた食物繊維入りの健康飲料です。しかし、TikTokの主要ユーザーである若年層には、これまであまり認知されていませんでした。

転機となったのは、あるTikTokerが「ダイエットに良さそう」として同商品を紹介した動画の投稿です。これをきっかけに、「どこで売っているの?」「私も購入しました」といったコメントが多数寄せられ、コンビニでの販売数が1日で2倍以上に急増するなど、大きな反響を呼びました。

これを受けて、大塚製薬はTikTokを活用した広告配信を開始。公式キャンペーンを展開し、8月時点で「#ファイブミニ」のハッシュタグ再生数は2,000万回を超えるなど、若年層へのリーチに成功しました。

(参照:日経クロストレンド「ファイブミニの日販が突如2倍に 大塚製薬やI-neのTikTokマーケ」

事例②:トローリ プラネットグミ ─ 視覚と音で拡散された商品

「トローリ プラネットグミ(通称:地球グミ)」は、プラスチック容器に入った丸くて青いグミです。TikTok上で人気クリエイターたちが次々と紹介動画を投稿したことをきっかけに、一気に注目を集めました。

特徴的なのは、そのインパクトのあるビジュアルに加え、開封時の「パキッ」という音や、食べた後に舌が青くなるユニークな仕掛けが話題を呼び、SNS上で拡散。結果として、全国的に売り切れが続出するほどの大ヒットとなりました。

(参照:TikTok内「#地球グミ」の投稿

事例③:『アルジャーノンに花束を』 ─ 名作がTikTokで再評価

早川書房から刊行されている『アルジャーノンに花束を』は、国内累計340万部を超えるベストセラー作品です。

この名作が再び注目を集めるきっかけとなったのは、TikTokクリエイター・けんご氏による「何回読んでも泣けます」という紹介動画です。動画を見たユーザーから「私も泣いた」「読みたくなってきた」といったコメントが相次ぎ、話題が広がりました。

その結果、2023年2月末〜3月初頭にかけて3万部の重版が決定。TikTokによって、文学作品が再評価される好事例となりました。

【大重版】TikTokで話題! 『アルジャーノンに花束を〔新版〕』(ダニエル・キイス/小尾芙佐 訳)が今あらためて注目されています(PRTIMES)

事例④:ダイソー「ミニ洗濯機」 ─ メイク用品の活用動画で大ヒット

100円ショップ・ダイソーが販売する「ミニ洗濯機」は、実際に水や小物を入れて動かすことができる実用的な商品で、価格は330円と手頃です。

TikTokでは、このミニ洗濯機にメイクブラシやスポンジを入れて洗浄する様子を映した動画が多数投稿され、視覚的な面白さと実用性の高さが注目を集めました。

その結果、動画は拡散され、「ミニ洗濯機」は若年層を中心に人気が急上昇。店舗では品切れが続出し、「TikTok売れ」を象徴するヒット商品となりました。

(参照:TikTok内「#ミニ洗濯機 ダイソー」の投稿

TikTok売れを生むコンテンツに共通する3つのポイント

TikTokで商品が注目を集め、ユーザーによる購買へとつながるコンテンツには、いくつかの共通する特徴があります。中でも特に効果的とされるのが、次の3つの要素です。

ポイント①:発見性:思わず見たくなる”新しさ”や”意外性”

TikTokは、おすすめに流れてくる動画をユーザーが見るスタイルが中心です。そのため「なにこれ?」「知らなかった」と感じさせるような、初見のインパクトや情報の新鮮さが重要になります。

商品の見た目や使い方に工夫がされていて、視聴者の好奇心を刺激する内容は、再生数やエンゲージメントにつながりやすく、結果的に購買にも結び付きやすくなります。

ポイント②:再現性・買いやすさ:自分でも使えそうだと思えること

動画を見た視聴者が、「これなら自分でもすぐ買える」「真似できそう」と感じられることも、購買行動を後押しする大きな要素です。

価格が手ごろだったり、購入の仕方がわかりやすかったりすると、「試してみよう」という気持ちが生まれやすくなります。このすぐに行動できる導線があるかどうかが、TikTok上での拡散や”売れやすさ”に直結します。

ポイント③:世界観やストーリー:共感できる雰囲気や伝え方

TikTokで売れているコンテンツには、商品そのものだけでなく、”伝え方”や”雰囲気づくり”が丁寧に設計されているものが多く見られます。

例えば、Vlogのような日常動画の中で自然に商品が登場したり、特定のライフスタイルや価値観とリンクしていたりすることで、視聴者がその商品を自分の生活に取り入れるイメージを持ちやすくなり、購買につながります。

TikTok売れは、ユーザー起点で生まれる新たな購買行動

TikTok売れは、ユーザー自身が情報を見つけ、共感し、購入へと進む「プル型の購買行動」として定着しつつあります。Z世代・α世代を中心に、タイムパフォーマンス重視、直感的な判断が当たり前となり、TikTokのアルゴリズムや短尺動画という形式は、こうした行動様式と相性が良いといえそうです。

企業がこの流れを活かすには、共感されるコンテンツの設計やユーザーが自発的に作成・発信するコンテンツの活用など、一歩踏み込んだアプローチが求められます。

TikTok売れは、単なる一過性のブームではなく、次世代の購買行動を象徴する新たなマーケティング基盤として、今後ますます重要性を増していくことでしょう。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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