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海外進出などによる事業展開

事業展開とは?行う意味、戦略、計画の立て方、成功例など徹底解説

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企業がビジネスを拡大し、生き残っていくためには事業展開が不可欠です。そのため、経営者として企業のかじ取りを行う方は、事業拡大における戦略の立て方やその考え方などをしっかりと頭に入れておかなければなりません。
以下では、事業展開の意味合いや計画の立案の仕方、実際の成功例などについて詳しくお伝えしていきます。少なからず経営に携わっている、もしくは今後その役割を担う可能性がある方であれば、きっと参考になるはずです。

事業展開とは端的にいって何か?

事業展開を検討する経営者

事業展開とは、企業が新たな分野で事業を開拓する(立ち上げる)ことです。もしくは既存のビジネス・商いを敷衍し、スキーム含め領域を広げる取り組みを指します。
前者の場合、たとえばシステム開発会社が新たにゲーム事業に乗り出すといった話が当てはまります。また、後者での典型的な例を挙げるならば、本国以外への進出がまさにそれ。日本で飲食事業を営んでいた会社が他の国に店舗を構えるケースなどはよく見聞きするものと思われます。

なぜ、事業展開を行うのか?その理由と意味を問う

事業展開のためのリサーチ

テクノロジーの発展によって、事業環境が刻一刻と変化を遂げる昨今。現状維持では心許ない経営者の方も少なくないでしょう。実際、過去の実績に胡坐をかいていては、あっという間に競争に取り残されてしまう恐れがあります。既存事業自体が社会において必要とされなくなってしまう可能性を追うことは必至です。自社ビジネスがいつ淘汰されるか分からない時代。ただし、動くにせよ闇雲であってはいけません。事業展開を検討するに際しては、まず理由を明確にしておきましょう。後々行き詰まったとき、原点(事業展開の理由)に立ち返ることができれば、再出発のモチベーションにもつながるでしょう。いうなれば(事業展開の)本質的な意味もそこに含まれます。

以下よくあるパターンを紹介します。考慮すべきは、額面通りではなく実質どういった理由や意味が潜んでいるのかを捉えることです。

既存ビジネスの先行きが不透明だから

おそらく理由としてもっとも多く考えられるのは、“既存のビジネスが衰退傾向にあり、先行きが不透明だから”でしょう。
とはいえ、現状うまくいっていた場合、将来をケアする必要性が頭の片隅にはありつつも、そこから打ち手を増やすことに躊躇う向きもあるかもしれません。ただ、今にしがみついてしまったばかりに、将来じり貧に陥ることはやはり避けたいところです。
そうしたなか、判断材料は競合の動きだと考えます。結局は他社に後れを取らないことが大事です。

上記のケースにおいて、表向きには先述通り「先行き不透明だから」あるいは「本業に代わって収益の柱となる事業を育てたいから」がほとんどでしょう。が、その理由の裏(背景)に「競合他社に動き(動く気配)があり脅威に感じたから」という本質的な意味が潜んでいるのであれば、当然無視せず、プロジェクトの原点・起点の一つに置くようにしましょう。

海外進出によってさらなる企業成長が期待できるから

海外進出を図りたいケースもよくある理由でしょう。国内では成長に陰りが見えているものの、海外に目を向ければまだまだ飛躍の余地が大いに残されている事業は少なくありません。ただし、国内で評価されている商品やサービスが、そのまま海外でも受け入れられるとは限らない現実もあります。進出先のマーケットをしっかりと調査し、その国に合うように自社の商品やサービスをローカライズするところまで視野に入れましょう。
したがって、このケースで事業展開を行う意味は、「海外で成功する確率が高いことが綿密な調査データによって裏付けされたから」という理由で以て生まれるといえます。

シナジー効果を活用したいから

新たに事業を営むことによって、シナジー効果を期待する方も多いでしょう。
確かに、既存事業だけでは成長が見通せなくとも、他のビジネスと組み合わせることによって相乗効果で大きな成果を生むケースはあります。
他方、そう易々とうまくいくわけではありません。当然、ペアとなる既存事業との親和性も影響するはずです。
シナジー効果を見込んでの事業展開の場合、対象の事業同士の相性の良さまで理由として
用意できなければ、行う意味は無いでしょう。

もっとアピールしたいから

社名や商品・サービスなどを広く世の中に知ってもらいたいことを理由に事業展開に踏み切る企業も珍しくありません。あまりにシンプルですが、ベンチャー精神の強い組織であれば納得の理由です。リスクを恐れない大胆さがウリであれば、そこに頭でっかちな策略は必要ないのかもしれません。会社のビジョン・指針に違わない行動こそが、事業展開を行う意味と同化するケースだといえます。

M&AのPMIを円滑に進めたいから

唐突に専門用語が登場してきましたが(笑)、M&Aとは、企業・事業の合併や買収の総称を指し、PMIとは、M&Aの効果を最大限に発揮するために行う統合プロセスを意味します。
M&Aによって他社を買収した場合、必然的に同社が営んでいた新たな事業を手掛けることになるわけですが、あらかじめ自社の既存事業とうまく統合を図ることができれば(PMIを円滑に進められれば)、より速やかに効果を発揮できる期待が持てるでしょう。
したがって、M&Aの中長期的な成功が事業展開を行う意味につながります。

事業展開の計画策定から戦略立案、実行までの流れ

事業展開を行うにあたっての戦略会議

本章では、実際に事業展開を行う際の流れについて説明します。
計画策定にはじまり、チーム編成、戦略立案、施策実行まで一連の流れを知りたい方は参照してみてください。
あくまでも一例とはいえ、スムーズに行える手順としておすすめです。

計画策定

まずは事業展開についての計画を立てましょう。そのためには明確なビジョンや定量・定性ともに目的が必要です。簡単な戦略もこの段階で用意しておくことを推奨します。
また、市場調査、競合分析など踏まえ、前述した理由・意味に当たる要素は確実に整理しておきたいところです。そのうえで、自社のポジショニング、事業展開の有効性、実現性、評価の妥当性を軸に、スケジュールや成長フローなど数値を用いて極力具体的に示すようにしましょう。
ここで決めたことが前提条件として、先のアクションに作用します。

チームアップ

計画策定後、実現に向けて推進するチームを作ります。新たに手掛ける事業に精通する方がいるかどうかをリサーチし、見つかれば積極的に迎え入れましょう。また、事業展開にはさまざまな観点が大事です。なるべく複数の部署からメンバーを集めることをおすすめします。さらに、マイルストーンを設けてしっかりと進捗管理を行うためにも、プロジェクトマネジメント経験のあるリーダークラスの人材を一人は加えておけると、強固なチームができあがるでしょう。

戦略会議

チーム設立後には各種戦略(顧客戦略、営業戦略、製造戦略、商品企画戦略など)について、会議を行います。
その場では、あらためて事業展開のビジョンや計画をメンバー全員でシェアし、企画のブラッシュアップや仮説に対するアンサー、方向性、手配、手段、マニュアル、ロールモデル設定……等々を帰納法的あるいは演繹的に導き出しながら、皆が納得できる形で落とし込んでいくことが重要です。
また、アイディアをなかなか捻り出せないときは、社内外問わず、成功事例もヒントになり得ます。そこから共通項やうまくいく法則などが抽出できれば、流用するのも一つの手です。
その他気を付けるべきこととして、打ち合わせの時間は前もって決めたうえで確実に守りましょう。ダラダラと続けてしまうとメンバーの士気が下がる恐れがあるため、細心の注意を払うようにしてください。

事業展開の実行

戦略が定まれば、いよいよ実行へと舵を切ります。
その事業については当然、推進チームだけでなく全社員へ浸透させなければなりません。
とりわけ、営業担当者にはそのスキームをしっかり理解してもらう必要があります。
また、戦略を立てる段階である程度シミュレーションを重ね、あらゆるシチュエーションを想定しながらスタート時の動き方が決定されているとはいえ、臨機応変にアップデートすることも求められます。
いざ実行して気付くことは沢山あるでしょう。そのなかで勝ちパターンを探りつつ、より良い事業へとグロースさせてください。

事業展開に有効なフレームワーク

フレームワークを駆使した事業展開

事業展開を検討しているにもかかわらず丸腰でいるのはあまりに無謀だと考えます。しからば、おすすめしたいのがフレームワークの活用です。ただ漠然と試行錯誤するのではなく、現状(立ち位置など)についてはしっかり把握しなければなりません。フレームワークを使うことで俯瞰的・客観的な思考ができ、結果、二の矢、三の矢の戦略を練るにも効率的です。
以下、いくつか紹介します。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)は、事業の資金をどのように分配するのが妥当かの判断材料になり得ます。具体的には、成長率とシェアの2つの軸を用いたマトリクス四象限で示されるものです。
それぞれ花形(市場シェアも市場成長率も高い状態。積極的に投資を継続した方が良いとされるポジション)、問題児(市場シェアが低く、市場成長率が高い状態。投資は必要だが市場シェアが低いため余剰資金で賄うのが無難)、負け犬(市場シェアも市場成長率も低い状態。事業撤退が得策)、金のなる木(市場シェアが高く、市場成長率が低い状態。すでに収益が確保できているなかで今後は市場衰退が予測されるため積極的に投資する必要はないが、今のうちに徹底的に稼ぎたければ重点投入するケースもみられる)に分類されます。
対象事業がどの位置に当てはまるかを把握できれば、然るべき対処が見えてくるはずです。

PDCAサイクル

PDCAサイクルは、計画、実行、評価、改善の4つのステップで構成されるサイクルを回しながら業務の改善を図っていくフレームワークです。事業成果の振り返り、検証がスムーズかつ好循環を生むための指針も明確なため、多くの企業、組織で重用されています。

ポーターの3つの基本戦略

ポーターの3つの基本戦略とは、経営学者のマイケル・ポーター氏が提唱するフレームワークです。
それぞれ、コストリーダーシップ戦略(自社の商品やサービスを競合より低コストで生産し安価で提供することで優位性を獲得する戦略)、差別化戦略(自社の商品やサービスのオリジナリティを強調し他社との差別化を図り業界内で独自のポジショニングを築いていく戦略)、集中戦略(自社の商品やサービスをターゲット層や地域など狭いセグメントに絞り特定の市場のなかで優位に立つ戦略)の3つを指します。
いわゆる競争戦略として有効です。

事業展開の成功例

事業展開での理想の成長フロー

他社での事業展開の成功例を参照することで視界が開けるケースは多々あります。
ただし、参入企業が多くなればなるほど使える術が限られるため注意も必要です。
したがって、うまく取り入れることができそうなポイントを見極めるべく慎重に吟味してください。
それでは、以下、具体的に紹介します。

IBM

IBMは元来、PCやサーバーなどハードウェア中心のシステム開発を得意としていましたが、ハードウェア商品がコモディティ化していずれは減少傾向に陥ることをいち早く察知し、いつからかソフトウェア中心のソリューション事業へシフトチェンジ。さらには主力であったはずのPC事業を他社に売却までしています。
その後どうなったかはご存知の通り。今や世界有数のソリューションプロバイダーとしての地位を築き上げています。
先見の明に優れていることもさることながら、信念を躊躇なく貫く姿勢もお見事です。

ファミリーマート

海外にまで事業を伸ばし成功を収めた代表的な例を挙げるならば、筆頭格はファミリーマートでしょう。日本発祥のコンビニエンスストアでありながら、先陣を切り海外進出。国内で人気の主力商品・サービスを、現地の習慣や風土にあわせてアレンジした点には特に凄みを感じます。あくまで消費者、顧客目線を大事にし、ターゲットの嗜好にあわせて味を変化させる徹底ぶりは、大いに参考になるはずです。

富士フイルム

富士フイルムは、自社が持つ知見やノウハウが生かせる近い業界ならシナジー効果が見込めると踏み、技術を応用した製品開発などで近隣の市場へ参入しています。
元々のメイン事業はカメラ関連でしたが、2000年代の売り上げ減少を境に次々とM&A(富士ゼロックス子会社の買収など)を実施し、液晶ディスプレイ事業や化粧品、医療分野にまで事業領域を拡大。今やそれらが売り上げの大半を占めているわけですから驚きです。まさに代表的な成功例といえるでしょう。

数々のミッションに対峙しながら事業展開を成功させよう!

事業展開の成功

事業展開には、消費者の行動観察に基づき、時代の変化をタイムリーに察知し、収益を見据える眼力が必要です。また、ダイナミックな未来を築くべく、物語の土台作りが欠かせません。そう、すなわち計画や戦略です。事業展開のスタートラインに至るまでの過程はどうしたって大事だと考えます。その最中ではチームワークの重要性もひしひしと感じられるはずです。そして、いざ方向性が定まれば目的に向けて突っ走っていく実行力が求められます。ときにフレームワークを用いる場面にも出くわすでしょう。さらには競合他社の事例をヒントに、もしくは自社の実績を踏襲しながら、事業をどんどん拡大させていかなければなりません。

あらゆるミッションが待ち構えるなか、事業展開を志す方々の心意気にはあらためて感服します。軌道に乗るまでは大変でしょうが、もはやその挑戦自体が偉大といえるのかもしれません。それゆえ拙稿にて触れてきたいくつかのポイントが、成功の種として何かしら収穫につながれば幸いです。

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この記事を書いた人

ヒゴ
無知、無能、無粋、無才、無点法……。SEOやアクセス解析に腐心しつつも、それらはまるで逃げ水のように追いかけては遠く離れ、ようやく掴んだと思った矢先にはシビアな現実を突きつけられる有様です。あるいはライターとして名を連ねることに気後れしながら、日曜大工のスタンスで恣意的かつ箸にも棒にもかからない駄文をまき散らしています。隠し切れない底意地の悪さ。鼻持ちならない言い回し多数。どうかご容赦ください。

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