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コンプライアンス

SNSでコンプライアンス違反が多い理由や企業への影響・対策方法を徹底解説!

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SNSが日常に根付いた今、個人の投稿が企業のリスクになる時代です。「日常の呟き」のつもりが、コンプライアンス違反として炎上し、企業イメージを大きく損なうケースも珍しくありません。

本記事では、SNSでコンプライアンス違反が多いとされる理由や、よく見かける違反例、企業への影響や、SNSでコンプライアンス違反されないための対策を解説しています。SNS時代の経営において必須となる観点を身につけるために、ぜひ参考にしてください。

そもそもコンプライアンスとは?

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コンプライアンスとは、企業や個人が法律や社会的規範、倫理を遵守することを指します。これは、商法や独占禁止法、不正競争防止法、労働基準法、個人情報保護法など、企業活動に関連する法律だけでなく、社会的なルールやモラルを含みます。

企業がコンプライアンスを遵守することで、信頼性やブランド価値の向上、法的リスクの回避、従業員のモチベーション向上、持続可能な経営の実現など、多くのメリットがあります。また、投資家や株主からの信頼を得やすくなり、ESG投資の観点からも重要視されています。

プライバシーと個人情報の基礎知識

コンプライアンスに関することで、よく知っておいた方が良いものに「プライバシー」と「個人情報」があります。

プライバシーとは、個人の私生活や個人的な情報が他人に知られたり干渉されたりしない権利のことを指します。例えば、誰とどのような関係を築いているか、どのような趣味や思想を持っているかなど、個人の内面的な情報を他人に知られないようにする権利です。

個人情報とは、特定の個人を識別できる情報をのことです。日本の法律では、氏名・生年月日・住所・電話番号はもちろん、顔写真や指紋、メールアドレスなども含まれます。そのほか、要配慮個人情報・個人関連情報にも注意しておかなければいけません。

企業や組織は、これらの情報を適切に取り扱い、コンプライアンスを遵守する必要があります。

SNSでコンプライアンス違反が多いとされる理由

SNSでコンプライアンス違反が多い理由のイメージ

SNSでコンプライアンス違反が多いとされている理由には、以下のようなものがあります。

  • 情報拡散の速さと爆発的な拡散力
  • 従業員の無意識な投稿
  • 内部告発のためにSNSを利用
  • SNSガイドラインの未整備

基本的には、誰でも容易に使えるSNSだからこそ、起こりえる理由ばかりです。もう少し見ていきましょう。

情報拡散の速さと爆発的な拡散力

SNS、とくにX(旧Twitter)はリアルタイムで流れる情報の速さと拡散力が特徴的です。フォロワー数などによっても変わりますが、一度リツイートされてしまえば第三者の不特定多数の人の目に留まります。

最悪なケースは、インフルエンサーや知名度が高い人がコンプライアンス違反の投稿をリツイートしてしまうことです。一晩で、数万人に拡散されてしまう可能性があります。そうなると、もう情報は止められません。投稿した個人だけではなく、その人が所属している組織・企業にも批判が殺到すると想定できます。

従業員の無意識な投稿

SNSは、個人の壁打ちとして利用されることも多いです。無意識に呟いた内容が、プライバシーや個人情報に抵触している可能性も捨てきれません。社内の重要書類の写真が投稿されていたという例もあるほどです。

何となく呟いた一言。その一言が、コンプライアンス違反になっていると気付かない人もいるでしょう。

内部告発のためにSNSを利用

会社やしかるべき機関で対応してもらえない場合、従業員が企業の不正行為や問題点をSNSで公開して拡散するケースが増えています。しかも、暴露系インフルエンサー密告するパターンもあります。

メールやチャットの内容の流出、録音音声の公開どころか、顔写真や住所などあらゆる個人情報の流出のリスクがあると言っても過言ではありません。

SNSガイドラインの未整備

企業が明確なSNS利用ガイドラインを設けていない場合も、コンプライアンス違反が増える理由の1つです。会社から何も言われなかったから、何を投稿しても大丈夫と認識してしまう人もいるでしょう。とくに、自席にスマートフォンを持ち込んで良い企業は要注意となります。

SNSでよく見かけるコンプライアンス違反例

SNSでのコンプライアンス違反例のイメージ

ここでは、SNSでよく見かけるコンプライアンス違反例を5つ紹介します。

  • 従業員の不用意な情報漏洩
  • 企業車両の交通マナー違反
  • 「バイトテロ」によるふざけ動画
  • 虚偽の広告表示
  • ステルスマーケティング

上記のコンプライアンス違反は、2020年以降で急激に増えています。どの企業も起こりうるリスクなので、必ず覚えておきましょう。

従業員の不用意な情報漏洩

従業員がSNSで顧客名や商談内容を誤って投稿する事例は後を絶ちません。たとえば、企業アカウント運営中に、公開予定前のプロジェクト名や内部資料のスクリーンショットを含む写真が投稿され、瞬く間に広がって大きなダメージを受けたケースもあります。これらは企業の信用失墜や法的リスクに直結します 。

手軽さゆえ、投稿前の確認が甘くなりがちです。SNSにおいて情報の取扱いリテラシーが不足すると、情報が出た瞬間に風評被害となり、場合によっては行政処分や損害賠償が求められること少なくありません。

企業車両の交通マナー違反

企業車両の運転中に赤信号無視やスピード違反など撮影されると、たちまち「企業の対応責任」としてSNS上で拡散されます。交通マナー違反はドライブレコーダーや現場の撮影で証拠が残りやすく、企業名や車両番号が特定されやすいため波及力も大きいのです。

運転中は「まさか自社に影響しないだろう」という過信が生まれやすく、従業員が社名入り車両で軽率な運転を続けると、企業倫理への疑念が広まり、長期的なブランドイメージの劣化を招きます。

「バイトテロ」によるふざけ動画

アルバイトが店舗で悪ふざけする動画がSNSで投稿されると、即座に炎上し、企業は甚大な損害を被ります。例えば某コンビニのホットスナックケースでモップを乾燥させた事案や、某飲食店で床に落ちた食材を提供したなどの行為は、SNSで拡散されたのち、店舗の一時休業・清掃やアルバイトの懲戒解雇という厳しい対応に追われています。

これらの行為は「軽い冗談」のつもりでも、SNSの記録性と拡散力によって企業イメージに致命傷を与えます。また消費者の不信感を招き、最悪の場合は信用回復に何年もかかるといった長期的影響も伴います。

虚偽の広告表示

SNSで「お得」「100%本物」など誇大な宣伝文句を投稿し、それが実情と違うといった景品表示法違反もSNSですぐに拡散されてしまいます。拡散されると、消費者庁からの措置命令や課徴金が課される可能性があります。投稿が広がるほど信頼を失い、法的罰則だけでなく企業としての信頼性もなくなります。

実際に果汁100%と謳った製品が実際には2%しか含んでいないというケースでは、ネット上での批判が企業への行政処分へとつながり、社会的信頼を喪失し大きな経済損失を招いたほどです。

ステルスマーケティング

インフルエンサーや社員が「自主的に」企業の商品を絶賛する投稿を行い、広告であることを明示せずに拡散する手法は、消費者庁が禁止するステルスマーケティングに該当し、炎上の元となります。企業がガイドライン不備だったり、内部のモニタリングが甘いと、知らぬうちに法的リスクを抱えることになります。

SNSは信頼性が担保された投稿が重要なため、隠れ宣伝が露見すると「企業は消費者を騙そうとしていた」と反感を買いやすく、その後の信頼回復に大きなコストと時間が必要になります。

SNSでのコンプライアンス違反による企業側の影響

コンプライアンス違反による企業側の影響のイメージ

SNSでのコンプライアンス違反による企業側の影響は、以下の6つのようなものがあります。

  • 社会的信用の喪失
  • 売上・株価の低下
  • デジタルタトゥー化
  • 刑事罰・損害賠償リスク
  • 行政指導・処分による事業制限
  • 採用・従業員のモチベーション低下

社会的信用度が落ちるだけではなく、最悪の場合は倒産に繋がる可能性があります。SNSの投稿による企業側の影響は計り知れないものということを覚えておきましょう。

社会的信用の喪失

SNSでコンプライアンス違反が拡散されると、企業の社会的信頼が瞬時に崩壊します。SNSでの炎上によって信頼が揺らぐと、従業員どころか新規顧客が離れ、取引先からも契約解除や取引停止の懸念が生じまるでしょう。

さらに、信頼回復には非常に多大な時間とコストを要する点も重要です。一度SNS上で「不適切な企業」として記憶されてしまうと、企業イメージは長く尾を引き、再建にはブランド再構築や誠実な対応を地道に続ける必要があります。回復するまで数年単位の時間が必要となります。

売上・株価の低下

SNSでネガティブな投稿が拡散されると、消費者の購買意欲が瞬時に下がるケースが多く報告されています。評判の悪化は新規顧客を遠ざけるだけでなく、既存顧客の離脱にもつながります。結果として、売上や収益の減少が企業業績に直結します。

加えて、企業のイメージ悪化は投資家にもネガティブな影響を及ぼし、株価の下落を招く可能性があります。株価が暴落すれば資金調達が困難となり、中長期の事業展開にも支障をきたすリスクが高まります。

デジタルタトゥー化

SNSで投稿された内容は、削除してもキャプチャーや転送によりネット上に永久的に残りやすいのが現実です。こうした「デジタルタトゥー」は企業イメージの傷として長期間にわたり影響し、再び炎上の火種となる危険性があります。

投稿の削除や隠蔽は、逆効果になる懸念もあります。問題隠しと受け取られれば、信頼をさらに失う結果となり、より大きな炎上につながりやすいです。言い訳をせず、透明性のある対応が求められます。

刑事罰・損害賠償リスク

SNS経由での情報漏洩などは、「企業犯罪」として立件される可能性があります。法令違反が判明すると、刑事罰や使用者責任に基づく損害賠償義務が生じ、企業は法的にも責任を負うことになります。

また、従業員個人の違反でも、企業が使用者責任を問われて処罰対象となるケースがあります。法的トラブルは企業の財務面・ブランド面に甚大な影響を及ぼします。

行政指導・処分による事業制限

SNSでの問題が外部に知られると、行政からの指導や処分が入る可能性があります。法令違反が確認されれば、業務停止命令、許認可取り消し、課徴金などの行政処分に発展する恐れがあります。

行政処分は即時的な業務制限に直結するため、企業活動に即ダイレクトな打撃となります。また、処分情報が公開されることで、さらなる風評被害を招くリスクも捨てきれません。

採用・従業員のモチベーション低下

企業の炎上や信用失墜は、優秀な人材の採用難につながります。求人応募者に不安を与え、応募件数が減少するだけでなく、採用コストが増大する傾向があります。

社内の従業員も「自分の会社は大丈夫か?」と不安を抱くようになり、モチベーション低下、生産性低下、離職率上昇などの二次被害も発生しやすくなるでしょう。

SNSでコンプライアンス違反されないための対策

SNSでコンプライアンス違反されないための対策のイメージ

ここでは、従業員がSNSでコンプライアンス違反をしないため、企業が撮るべき対策を4つ紹介します。

  • SNSガイドラインの策定
  • コンプライアンス研修の定期実施
  • 内部通報制度の整備
  • ソーシャルリスニングの活用

可能であれば、すべての対策を取り入れてみてください。それぞれについて、もう少し見ていきましょう。

SNSガイドラインの策定

企業ごとに、明確なSNS利用ガイドラインを策定しておきましょう。とくにSNSで企業公式アカウントを運用する場合は必須と言っても過言ではありません。

ガイドラインの内容は、主に以下なようなものを定めておくと良いです。

  • 投稿前の内容ダブルチェック
  • 機密・個人情報の投稿禁止
  • 著作権・肖像権の遵守義務
  • 誹謗中傷や差別発言禁止
  • 広告宣伝時の明示義務
  • 炎上時の即時対応体制
  • 担当者と責任の明確化
  • 勤務中SNS利用のルール化

もちろん、勤務時間中の私的利用や投稿範囲内容を明確にしておくのも大切です。企業ロゴを出さない。パソコンや書類を移さないなど、最低でも基本的なルールは作っておきましょう。

コンプライアンス研修の定期実施

SNSガイドラインの策定だけでは、内容を忘れてしまう懸念があります。半年もしくは1年に1回、定期的にコンプライアンス研修を実施しておきましょう。ビデオ講座、eラーニングを使用したり、筆記テストで再確認を施すのも効果的と言えます。

もちろん、新入社員が入社したタイミングでの研修でもコンプライアンスについて話しておいてください。

内部通報制度の整備

SNSで内部告発されないよう、社内で通報制度を整備しておきましょう。可能であれば、匿名・記名の両方で通報できる制度があると、SNS投稿されにくくなります。通報先は、社内の専用部署でも良いですし、顧問弁護士宛や第三者機関利用でも大丈夫です。

もちろん、内部通報された件に関しては、必ず調査・対応する必要があることを忘れてもいけません。対応がおろそかになった場合は、SNSで拡散されるリスクが増えます。

ソーシャルリスニングの活用

ソーシャルリスニングは、SNSやレビューサイト、ブログや掲示板などの情報を収集・分析するマーケティング手法のことです。これを用いることにより、SNSで関連するキーワードでの投稿を探すことができます。いわゆる「エゴサ」に似たようなものです。

手動で分析するにはあまりにも膨大なリソースが必要となるので、専用ツールを導入することをおすすめします。

SNSでのコンプライアンス違反に関するよくある質問

コンプライアンス違反に関するよくある質問のイメージ

SNSでのコンプライアンス違反に関するよくある質問をまとめました。

  • Q1.個人アカウントでも企業が責任を負うの?
  • Q2.SNSで法的問題が起きるのはどんなとき?
  • Q3.SNSで炎上したときの初動対応は?
  • Q4.コンプライアンス違反を見つけたら?
  • Q5.情報流通プラットフォーム対処法は関係ある?

それぞれについて簡単に回答していきます。

Q1.個人アカウントでも企業が責任を負うの?

場合によっては企業が「使用者責任」を問われます。たとえ個人アカウントであっても、従業員が企業名や業務に関わる内容を発信すれば、企業と関係する発言として受け取られる可能性が高くなるからです。

とくに、所属や職種をプロフィールに記載していたり、業務中の出来事を投稿した場合は、投稿内容によっては企業の社会的信頼や法的責任にも影響することがあります。私的利用だから安全とは限らない点に注意が必要です。

Q2.SNSで法的問題が起きるのはどんなとき?

SNSでの投稿が「他人の権利を侵害する内容」だった場合、法的問題に発展する可能性があります。たとえば、顧客や同僚の個人情報を無断で投稿する、虚偽の内容で企業や人物を誹謗中傷する、著作権や肖像権を侵害するなどが典型例です。

商品の誇大広告や虚偽表示によって景品表示法違反に問われるケースも、法的問題になる可能性があります。企業アカウントだけでなく、個人アカウントでの投稿でも同様のリスクがあることを理解しておきましょう。

Q3.SNSで炎上したときの初動対応は?

まず行うべきは「事実確認と証拠の確保」です。誰が何を投稿し、どのように拡散されているかを冷静に把握します。そのうえで、不適切な投稿の削除依頼や、必要であれば当事者や関係者への連絡・謝罪を行ってください。

加えて、公式な説明を発信するタイミングと内容も重要です。透明性と誠意をもって説明を行い、社内外の信頼回復を図りましょう。対応が遅れると「隠蔽している」と誤解される恐れもあります。

Q4.コンプライアンス違反を見つけたら?

発見した場合は、社内の通報窓口やコンプライアンス部門に速やかに報告しましょう。企業によっては匿名で通報できる「内部通報制度」を用意している場合もあります。違反を放置すると、被害が広がったり、自身が関与していたとみなされるリスクもあります。

SNS上で見かけた場合はスクリーンショットを残し、個人判断で対応せず、企業の指示を仰ぐのが適切です。勝手にリプライや謝罪をすると、逆に企業全体を巻き込む形で炎上が悪化することもあるため注意してください。

Q5.情報流通プラットフォーム対処法は関係ある?

2025年4月に施行された「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」は、SNSなどの大手運営企業に対して違法・有害情報への対応義務を強化するものです。

企業利用者側には直接関係がなさそうですが、企業が運営するSNSアカウントや、広告出稿・情報発信の透明性で間接的な影響が出ます。今後は、プラットフォーム側の規約変更や運用ポリシーに注意を払うことが求められるでしょう。

一人ひとりの「意識の定着」が最大のコンプライアンス対策になる

「意識の定着」がコンプライアンス対策になるイメージ

SNS全盛の現在、コンプライアンスという概念を一様に捉えることが難しいのが正直なところです。そのため、企業ごとに「時世に合わせたコンプライアンス対策」が求められています。重要なのは「世間では今どのようなことが問題とされているのか」を知り、適切な対応が出来ているかです。

この意識は経営者層だけではなく、アルバイトやパートを含む従業員一人ひとりに定着させなければいけないものです。バイトテロや暴露系インフルエンサーによるSNSでの問題は、一瞬にして企業の信用を損ねてしまいます。最悪の場合、法的問題にまで発展し倒産しかねません。

本記事をきっかけに、貴社のルールや意識の棚卸しを始めてみてはいかがでしょうか。いち早く対策を講じている企業ほど、強固なブランディングを築き上げられるはずです。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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