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コンセプトとは?その意味やテーマとの違い、決め方まで網羅的に解説!

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新しく店舗を展開したり、事業を立ち上げたりする際、まず大切なのが企画やプロジェクトの「方針」を明確にすることです。方針があいまいなままでは、計画や実行の段階で「何を目指して動けばいいのか」がわからず、スムーズな進行が難しくなることも考えられます。

新しい事業の方針を打ち出すうえで、重要な役割を果たすのが「コンセプト」です。耳にすることの多い言葉ですが、「テーマ」など似た言葉と混同されることも多く、あらためて詳しい意味を確認しておく意義は小さくないでしょう。

この記事では、コンセプトの意味や重要性をふまえ、さまざまなコンセプトの実例や、実際の決め方についても解説していきます。

コンセプトとは

コンセプト(concept)は、英語で「概念」や「構想」、「考え」などを意味する言葉です。ニュアンスとしては、「実現に向けて心に抱いているアイデア」という含みをもち、行動のベースとなる発想や観点を表します。

通常のアイデアと異なる点は、コンセプトがとくに「実現の意図」をもったアイデアを指している点です。つまりコンセプトは、具体的な計画に入る前の段階で、「進むべき方向を示す指針」としての役割を果たします。

こうしたニュアンスから、ビジネスシーンにおいてコンセプトは「具体的な計画の核となる方針や理念」といった意味合いで用いられる傾向にあります。このコンセプトが明確であるほど、企画やプロジェクトの方向性が見通しやすくなり、またメンバー間で「目指すべき方向」が共有しやすくなるのです。

語源から見たコンセプトの意味

英語のconceptはさまざまな由来をもっており、「妊娠」を意味するラテン語のconcipereや、「強く掴む」ことを意味するconcipioといった言葉から変化したものだとされています。

こうした語源からは、コンセプトの「まだ実現していないが、たしかに自分のなかにあるもの」といったニュアンスが読み取れるでしょう。

上のような由来を加味すると、コンセプトは「まだ自分の心のなかにあり、これから現実を変えるための道筋を照らしてくれるもの」といった意味を表すと考えられます。

さまざまなコンセプト例

コンセプトという言葉はさまざまな場面で流通しており、よく知られた単語やフレーズの一部となっていることが少なくありません。代表的な例としては、以下のような言葉が挙げられるでしょう。

■コンセプトカフェ
コンセプトカフェ(コンカフェ)は、特定のコンセプトに沿って内装やメニュー、その他サービスなどの雰囲気を統一したカフェのことを指します。たとえば、衣装や接客方法によって「メイドのおもてなし」という世界観を表現するメイドカフェや、猫との触れあいを楽しめる猫カフェなどが挙げられるでしょう。

この場合のコンセプトは、「出店時の方向性」や「その店で提供するもっとも中心的な価値」を表していると考えられます。

■コンセプトカー
コンセプトカーは自動車メーカーがモーターショーなどでの展示を目的に製作した車両であり、必ずしも市販化を前提としていないことを特徴としています。メーカーが今後導入していく予定の技術や、これからデザインに取り入れていく世界観など、「こういう車をつくっていく」という未来を表現した車両です。

ここでのコンセプトは、そのメーカーが「将来達成したい目標」や「実現したい価値」を表しているでしょう。

■ブランドコンセプト
ブランドコンセプトは、そのブランドが顧客や消費者に提供する「価値や体験、世界観」などを表現した言葉やフレーズです。たとえばユニクロは「LifeWear(ライフウェア)」というブランドコンセプトのもと、多くの人の生活ニーズに合ったシンプルで機能的な服を手頃な価格で展開しています。

こうした用例からは、コンセプトが「事業や企画を進めるうえで核となる理念」として重要な意味をもっていることがわかります。コンセプトそのものは抽象的な「考え」ではあるものの、それを明確にすることでビジネスの具体的な道筋が見えるようになるのです。

コンセプトとテーマの違い

コンセプトと似た意味をもつ言葉として、「テーマ」が挙げられます。いずれも「それに沿って計画を実行に移すもの」というニュアンスがあり、区別されずに用いられているケースも少なくありません。

たとえば「テーマに沿ったプラン」と「コンセプトに沿ったプラン」はほとんど同じ意味を指すと考えられ、実用においては厳密に線を引けないケースもあるでしょう。

ここで、テーマ(theme)のもともとの意味を考えると、「主題」や「話題」を指しており、「誰かと共有すること」を前提にした言葉であることがわかります。一方のコンセプトは「概念」など心のうちにあるものを指し、必ずしも自分の外に表現することを前提としていないといえます。

ここから、テーマは「自分の外側」にあるものであり、コンセプトは「自分の内側」にあるものと考えられるでしょう。

たとえば「北欧をテーマにしたインテリア」を実現する場合、まず自分の外側に「北欧風」というお題があり、それに合うように配色や家具のイメージを練ることが想定されます。

対して、「北欧をコンセプトにしたインテリア」という場合、自分の内側に「北欧風」というイメージがあり、それを実現するために配色や家具の配置を進めていくことになるでしょう。

このように、両者の違いは小さなニュアンスの差であり、厳密な区別が必要なケースはあまりないかもしれません。とはいえ基本的には、テーマは「自分の外に掲げるもの」であり、コンセプトは「自分のうちで練るもの」であると考えられます。

コンセプトはなぜ重要?

新しい事業をはじめる際、「コンセプトなんてわざわざ決めなくてもよいのでは」と思う人も多いかもしれません。たしかに明確なコンセプトを設定していなくても、利益を上げている店舗や企業は少なくないでしょう。

しかし、独自性のある商品やサービスを提供するためには、やはりコンセプトが重要な役割を担います。以下では具体的に、コンセプトが重要な理由について解説します。

企画・プロジェクトの具体化

はっきりとしたコンセプトを据えることで、実際の企画やプロジェクト進行において方向性が見えやすくなり、アイデアを具体的なプランに落とし込めるようになるでしょう。

たとえば飲食店を新たに出店する際、「デートに適した創作居酒屋」というコンセプトを設定する場面を考えてみます。

このコンセプトがあることで、「小さな個室を複数設ける」「カウンターを2席ごとに区切る」といった配置上の工夫ができたり、「夜景の見えるビル」あるいは「表通りから見えない入り口」といった立地面を考慮できたりと、実際のプランも見通しやすくなるはずです。

さらに内装やメニューなどの面でも、「間接照明によるムーディな空間」「見映えのよい盛り付け」など、コンセプトによって計画がスムーズに立てられるようになるでしょう。このように、コンセプトは実際のプランに「レールを敷く」役割を果たします。

ブランドイメージの統一

ブランドイメージの統一を図るうえで、明確なコンセプトは欠かせません。

たとえば「ビジネス用途に向けた男性向け小物・バッグ」をシリーズ展開する際、「質実剛健」というコンセプトを設定したとします。これにより、名刺入れからバッグまで、シンプルなデザインや機能性、耐久性を売りにした製品をラインナップするという方針が見えてくるでしょう。

コンセプトの存在は、「方向性がブレるリスク」を抑えるうえでも重要です。上の「質実剛健な小物やバッグ」の例でいえば、「過度な装飾」や「見た目はよいが劣化しやすい素材」などはコンセプトから外れると考えられます。

このように、コンセプトがあることでプランを取捨選択することができ、複数の商品・サービスを展開する際にも全体の統一感を保ちやすくなるでしょう。

組織における方向性の共有

コンセプトを明確に打ち出し、メンバー間に共有することで、個々の間に「方針のズレ」が生じにくくなると考えられます。

コンセプトはさまざまなアイデアの土台となる部分であり、これがしっかりと共有されていなければ、各メンバーの着眼点が根本的にズレてしまう可能性もあります。コンセプトがあいまいな状態では、「方針のすり合せ」そのものが困難になるのです。

たとえばアパレルブランドを展開する際、コンセプトが「人と違う服」というだけでは、多様な捉え方が生じ、混乱につながるリスクもあるでしょう。

ある人は「ハイブランドのコレクションのような服」を考える一方で、別の人は「過去に流行したファッションを回帰させたコーディネイト」を考えるなど、そもそもの着眼点を合わせることが難しくなります。

このように、メンバーの「発想のスタート地点」を合わせる意味でも、計画・実行段階における足並みを揃える意味でも、コンセプト設定は重要といえます。

コンセプトの決め方

コンセプトを決める際は、自身の着想を大事にしつつも、客観的な調査や分析をもとにした判断が求められます。以下では実際に、コンセプトを決めていく流れを解説します。

「何がしたいか」と「何ができるか」を考える

コンセプトを決める際には、まず自身やチームのなかで「何がしたいか」を洗い出しておくとよいでしょう。

積極的に取り組みたいと思えるようなコンセプトであれば、計画・実行段階においてもモチベーションを保ちやすいと考えられます。ブレインストーミングなどを通じて、ポジティブなアイデアをどんどん出していきたいところです。

一方で、「やりたいこと」は必ずしも「できること」を意味しません。「何がしたいか」を表に出したうえで、また別の観点から「自分に何ができるか」を整理していくことが求められます。

「できること」を見定めるうえでは、まず自身のスキルや強みを客観的に整理することが大切です。自分やチームが有する「ほかにはない特徴」を浮き彫りにしつつ、事業の規模や予算など「現実的な側面」にもある程度見通しをつけておきましょう。

市場分析

「やりたいこと」や「できること」を洗い出したら、次にそれらが「ビジネスとしてどの程度見込みがあるのか」を市場分析によって見定めていきましょう。

まずは現状のマーケットにどのような商品・サービスがあり、それぞれ何を強みとしているのか、どれほどのシェアを有しているのかを確認しておく必要があります。

さらに、市場が今後どのように変化していくのかを見通すことも重要です。PEST分析や3C分析など、市場分析のフレームワークを取り入れながら、市場の現状と今後について検証していくとよいでしょう。

ターゲティング

関連する市場の情勢を把握したら、「市場のどの部分を狙うべきか」「自社の商品・サービスはどのような層に受け入れられるか」といった点を考察していく必要があります。

その市場において「消費者がどのようなニーズを抱えているのか」を調査やアンケートなどで見通したうえで、競合他社の状況をふまえながら、「どの層に訴求していけばビジネスとして成立するか」を見定めていきましょう。

市場ニーズと自社方針のすり合せ

ターゲットの抱えるニーズに対し、自身の「やりたいこと」や「できること」がどのように貢献できるかを検討していきます。

ニーズと「やりたいこと」がズレていた場合、ニーズに応えられるよう方針を調整していく必要があります。この際、ニーズとマッチしていないにもかかわらず、全面的に「やりたいこと」を優先するのはなるべく避けたいところです。

もちろんコンセプトにおいて「やりたいこと」は核心的な役割を果たしますが、事業として成り立たせるには市場分析をふまえた「根拠ある成功の見通し」が必要です。実際のニーズと自身のモチベーションがうまく噛み合ったところに、優れたコンセプトは生まれるのだと考えられます。

コンセプトの明確化

ここまでの流れで見えてきたコンセプトをもとに、商品・サービスの企画イメージをいくつか出してみて、「それが市場においてどのような位置を占めるのか」「実際に消費者に受け入れられるのか」といった点をあらためて見直していきましょう。

見えてきたコンセプトを具体化してみると、既存の競合商品・サービスとあまり差別化できていなかったり、ニーズを捉え損ねたものになってしまったりといったケースも考えられます。

「コンセプトに沿った企画や商品が実際にどんな姿になるのか」を想像しながら、何度もコンセプトを練り直し、ブラッシュアップを重ねていきたいところです。

企業によるコンセプト設計の例

企業にとってコンセプトは「経営の軸」となりうるものであり、さまざまな商品・サービスを打ち出すにあたり、入念にコンセプトを練っている企業は少なくありません。

以下では明確なコンセプトを打ち出しながら、具体的な施策にもそれを反映している企業の事例を紹介していきます。

コメダ珈琲店

全国にカフェを展開する株式会社コメダの「コメダ珈琲店」は、“くつろぐ、いちばんいいところ”をコンセプトに、利用客が心地よく過ごせる空間づくりを実現しています。

木やレンガなどのぬくもりを感じられる素材や、広めに取られた座席の配置、時間をかけて食べられるボリュームあるメニューなど、利用客が時間を気にせず過ごせる環境をつくっています。

コンセプトに忠実に「くつろげる環境」を追い求め、それを実際の店舗として実現しているケースといえるでしょう。

(参照:コメダ珈琲店|“くつろぎ”の秘密

QB HOUSE

キュービーネットホールディングス株式会社が展開するヘアカット専門店「QB HOUSE」は、「10分のみだしなみ」というコンセプトのもと、忙しいビジネスパーソンに向けた回転率の高いサービスを展開しています。

「仕事の合間にでも散髪が可能」という着想から、駅や商業施設内など利便性の高い立地を選び、また洗髪やマッサージといった過程を省略することで効率化を果たしました。コンセプトに沿いながら、予約なしで手軽に立ち寄れる店舗形態を実現しています。

(参照:ポーター賞|受賞企業・事業レポート|キュービーネットホールディングス株式会社

カリモク家具

木製家具メーカーの「カリモク家具株式会社」は、「100歳の木を使うなら、その年輪にふさわしい家具をつくりたい。」をコンセプトに、高品質な家具ブランドとして定着しています。

コンセプトの実現を支えているのが「木材に関する精通したノウハウ」であり、木材の供給から加工、家具の生産までを一貫して行う体制を特徴としています。

実際の家具づくりにおいては、機械による大量生産が市場の主流となるなかで、エレクトロニクスと伝統的な職人の技を組み合わせた生産体制を構築。多くの需要に応えつつ、人の手ならではのゆたかな表情をもたせることに成功しています。

このカリモク家具の事例は、コンセプトが商品企画や生産工程にも浸透し、消費者のニーズを捉えているケースといえるでしょう。

(参照:国産家具メーカーのカリモク家具|座り心地、快眠、人と環境にやさしい家具づくりなどカリモクのこだわりをご紹介

まとめ

コンセプトは「概念」や「構想」を意味する言葉であり、「企画やプロジェクトの基礎となるアイデアやイメージ」といったニュアンスをもちます。

事業の計画段階における方針のブレをなくしたり、ブランドイメージを統一したりするうえで、明確なコンセプトは欠かせません。チーム内でコンセプトを共有することで、事業の趣旨や目的をすり合せることができ、進むべき道筋を明らかにできるでしょう。

コンセプトを決める際には、まず自身が「何をやりたいか」を浮き彫りにしていくことが求められます。もちろん「やりたいこと」がそのまま事業として成立するわけではありませんから、市場分析やターゲティングを実施しつつ、「誰にどう訴求していけばよいか」という点を客観的に検証していくことが大切です。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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