ペットも少子高齢化!犬猫の減少でビジネスはどう変わるのか?
人間と同様にペットにも少子高齢化の波がやってきています。飼育の質の向上、医療の発達などでペットの寿命が伸びているのです。
この記事では、ペットの高齢化で関連ビジネスがどう変わるのかを説明します。
目次
高齢化するペット社会
ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」によると、2015年の平均寿命は、犬が15.8歳、猫は14.9歳となっています。特に2010年から2015年にかけての平均寿命の伸び率はめざましく、犬は7.1%、猫は9.7%も上昇しています。寿命が伸びた理由としては、栄養価の高い食事、ストレスのかからない飼い方、飼育環境の改善、ペット医療の充実などが挙げられるでしょう。
また、犬については少子化も進んでいます。過熱気味だったペットプームが沈静化したこともあり、犬の飼育頭数は大きく減少しています。
2014年に971万頭だった犬の飼育数は、2018年には890万頭と約80万頭も減っているのです。飼い主を見るとほとんどの世代で飼育率が減少していますが、70代の飼育率は維持されており、今後ペットと飼い主がともに高齢となる「老老問題」が起こることも予想されます。
1:ペットシッター
ペットが高齢化するなか、ニーズが高まっているのがペットシッターです。
ペットが高齢になれば、聴力や視力が低下し、トイレの失敗など、今までできていたことができなくなることもあります。そのため、どうしても飼育の手間は増えてきます。
仕事の都合などで、面倒をみきれない飼い主はペットシッターに頼らざるをえません。また、結婚しない人が増えたこともあって、一人暮らしでもペットを買う人が増えています。
出張や旅行で家を空けることになっても、友人や知人にペットの面倒をみてもらうのは難しいでしょう。2013年に制定された「改正動物愛護管理法」もペットシッターの需要を高めている理由の一つです。
ペット飼育に関しての責任が法律的に明確にされたことで、いい加減な飼い方をする人は減っています。法改正によって、ペットホテルを営業するにあたっては動物取扱業の登録が必要になったこともあり、ペットホテルは減少傾向にあります。これも、ペットシッターのニーズに影響していると考えられるでしょう。
2:ペット保険
ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」によると、ペットの数は減っていますが、ペット関連の市場規模は安定的に推移しています。そのため、ペット1頭にかける費用は増えており、今後も拡大していくことが予想されます。
そのなかでも注目を集めているのがペット保険です。ペットの高齢化に伴い、医療費の支出は増えています。2005年から2015年の10年間で、動物病院での治療費は3.3%の伸びを示しています。ペットには健康保険制度がないため、医療費は全額自己負担しなければなりません。
ペットが高齢になるにしたがって医療費の支出も増えてきます。そこで、重くなりがちな負担を抑えるために、ペット保険に加入する人が増えているのです。
2009年から2014年にかけてのペット保険の年間平均成長率は24.4%となっており、大きな伸びを示しています。2014年度のペット保険料収入は356億円、加入率は5.2%ですが、ペット保険加入者の多いイギリス並みの加入率になれば、ペット保険市場は1800億円程度まで拡大することも予想されます。
3:ペット介護用品
ペットの高齢化によって、介護用品の市場にも注目が集まっています。
たとえば、1986年からペット事業に参入したユニ・チャームは、従来からペット用の紙おむつを販売してきましたが、その需要はこの15年間で7倍にもなりました。さらに、犬の床ずれを防ぐ介護用マットやシートなどを備えた「ペットPro」シリーズを販売し、ペットと飼い主の負担を減らすのに役立っています。
また、高齢猫の腎臓に負担のかかるリンの量を減らした「超・高齢猫用キャットフード」なども販売して需要に応えているのです。高齢ペットの健康に配慮したプレミアムペットフードには多くのメーカーが参入しています。日清ペットフードでは、ペットの平均寿命を20歳まで伸ばすことを目指した「LIFE20」プログラムに基づいたペットフードの販売を開始しました。
ペット介護用品市場には異業種からの参入も多く、学生服の老舗メーカーとして有名なトンボは、老犬の歩行を補助する特製ハーネスを製造、販売しています。ペット介護用品市場は今後も拡大することが予想され、さまざまな業種からの参入が予想されます。
4:ペット介護施設
同様にペット介護施設への需要も高まっています。
ペットの介護サービスも、人間と同じように短期預かり型、長期・終生預かり型などがあります。飼い主が高齢化することで、飼い続けることができなくなるケースも珍しくありません。しかし、改正動物愛護管理法によって、ペットが死ぬまで面倒を見続ける必要があります。
そのため、ペットの状態に合わせた食事の提供や介護、医療ケア体制などが整った、いわゆる「老犬ホーム」の需要も高まっているのです。老犬ホームは、都道府県知事への動物取扱業の登録が必要なため、すでに登録済みのペットホテルが参入するケースが増えています。今後は需要が高まることで、他業種からの参入も予想されるでしょう。
ペットシッターとして独立・開業する方法も
ペットの高齢化を背景に、都市部を中心にペットシッターのニーズは高まっています。低コストで開業でき、登録の必要もないペットシッターは、起業しやすいビジネスといえるでしょう。
他のペットシッターにはない、自分なりの特徴をアピールすることができれば、ビッグビジネスになる可能性もあります。
ペット好きな人なら検討してみるのもよいでしょう。
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