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ECサイトを開設するならおさえたい!景表法のポイントを解説

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ECサイトを運営する上で押さえておきたい法律が「景表法」です。
自社のサービスを利用してもらおうと告知やキャンペーンを行うことはもちろん問題ありませんが、行き過ぎてしまうと景表法に触れてしまうことがあります。企業が運営するECモールだけでなく、個人店や新規ブランドのECサイトなど、ネットで商品を販売する際には例外なくだれしも注意しなければなりません。顧客に喜んでほしくて実施したはずのキャンペーンが法違反している可能性もあるので、知識を深めることが必要です。

また、SNSを使用したプロモーションも商品を購入することが応募条件となる場合、景表法に触れる可能性があるのでWebマーケティングの担当者やSNS運営担当者も押さえておく必要があります。

景表法は2つのことを禁止している

景表法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」で「景品表示法」とも呼ばれています。景表法は「一般消費者の利益を保護」することを目的とした法律で、大きく分けて「商品の不当表示」と「過大な景品類の提供」の2つを禁止していると覚えていただければと思います。それぞれについては後ほど解説をしていきますが、商品やサービスの品質や価格などに偽りがないよう規制し、過大な景品をつけさせないようにするのが景表法になります。

もし、景表法の内容に反する行為を行った場合、消費者庁は事業者に対して、注意・指示・指導を行います。調査の結果、違法行為があったと発覚した場合、すぐに罰則が科される訳ではありませんが、もし処置命令に従わなかった場合、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられるので注意してください。

実は景表法を守ることは、消費者だけでなく売り手を保護することにもつながります。市場が無法地帯になれば、広告を多く出せる企業が有利になってしまい、資本力のない企業の商品が売れなくなってしまうかもしれないからです。景表法は自由競争の阻害をしないためにも大きな役割をもっているといえますね。

実際の価値を上回った表示は禁止

実際の価値を上回った表示は禁止

ではまず「商品の不当表示」について説明していきます。
うそや大げさな表示で商品やサービスが実際よりも優れていると消費者に誤解を与える広告を「誇大広告」と呼び、そういった表現を含む広告や商品ページ、SNSでの告知を禁止しています。商品の品質や価格は、消費者が購入する際の貴重な判断材料であり、正しく伝えなければなりません。

サプリメントなどの健康商品で「絶対に痩せる!」といったキャッチコピーを見かけることもあるかもしれませんが、「だれでもそのサプリメントを飲めば絶対に痩せる」科学的根拠や合理性が証明されなければ虚偽となります。「同時に適度な食事制限と運動を行った場合」といった注釈文を小さく入れるなど、グレーゾーンに触れるような表示も避けたほうが無難でしょう。

なお、景表法では不当表示に対して「優良誤認表示」、「有利誤認表示」、「その他 誤認されるおそれのある表示」の3つで禁止事項を分けています。

優良誤認表示

実際の商品価値を著しく優良であると表記、または競合他社の商品よりも著しく優良であると表示することを指し、禁止されています。事実と異なる情報を消費者に伝えてはいけないということです。例えば、ある栄養成分を使っていないにもかかわらず使用していると誤解を与えるように表示した場合などは、こちらに該当する恐れがあります。

有利誤認表示

商品やサービスの価格における取引条件を著しく有利にみせかける表示のことで、こちらも禁止されています。期間限定で値引きキャンペーンを行っていたのに期限を過ぎても値引きした価格のままでいたり、最初に提示していた金額以外に追加料金を請求したりするといった、消費者に対して自社の商品やサービスがお得だと騙すようなケースが該当します。

かつての金額から値引きを行った場合、現在の価格と過去の価格を併記することを「二重価格表示」といいますが、値引きして2週間しか表示できないため、それを過ぎてもなお表示し続けている場合も該当します。

その他 誤認されるおそれのある表示

優良誤認表示と有利誤認表示の他にも禁止されている表示があります。

無果汁の清涼飲料水等についての表示

無果汁・無果肉もしくは、果汁又は果肉の量が5パーセント未満の清涼飲料水、乳飲料、アイスクリームなどは「無果汁・無果肉」であることや、果汁・果肉の割合(パーセント)を記載しない場合、以下の表示は不当表示となります。

〇果実名を用いた商品名、説明文等の表示
〇果実の絵、写真、図案の表示
〇果汁・果肉と似た色、香り等の表示

商品の原産国に関する不当な表示

消費者が原産国を確認できない場合、以下の表示は不当表示となります。

〇原産国以外の国名、国旗等の表示
〇原産国以外の国の事業者名等の表示
〇国内産の商品について文字表示の一部でも外国の文字で示されている表示
〇外国産の商品について文字表示の主要部分もしくは全部が日本語で示されている表示

融資費用に関する不当な表示

消費者信用の融資費用について、実質年率が明瞭に記載されていない場合、以下の表示は不当表示となります。

〇アドオン方式による利息やその他の融資費用の率の表示
〇日歩、月利等年建て以外による利息、手数料、その他の融資費用の率の表示
〇融資費用の額の表示
〇返済事例による融資費用の表示
〇融資費用の一部についての年建てによる率の表示

不動産のおとり広告に関する表示

不動産の取引において、消費者に物件を薦める際に以下の表示は不当表示となります。

〇不動産が存在せず、実際には取引できない不動産についての表示
〇消費者が取引できない不動産についての表示
〇取引する意思のない不動産についての表示

おとり広告に関する表示

消費者に対して商品の情報は明確に伝える必要があり、以下の表示は不当表示となります。

〇取引を行う準備ができていない等の理由で、取引が不可能である商品やサービスについての表示
〇販売数が限定されている商品(サービス)にもかかわらず、そのことを明示していない表示
〇商品(サービス)の利用期間もしくはお客1人に対して数が限定されているにもかかわらず、その説明がない表示
〇何かしらの理由で取引を妨害し、提供する意思がない商品(サービス)についての表示

有料老人ホームに関する不当な表示

有料老人ホームの施設やサービスについて以下のような表示は、不当表示となります。

〇入居後、部屋の住み替えに関する条件等が明瞭に記載されていない
〇外部の者が介護サービスを提供する場合、そのことが明瞭に記載されていない
〇夜間の介護職員等の数が明瞭に記載されていない表示など

景品類には制限が存在する

ではもう1つの「過大な景品類の提供」について解説をしていきます。
商品にノベルティーやクーポンなどのおまけをつけると消費者の購買意欲を掻き立てることができますが、景表法では過大な景品類の提供を禁止しています。景品につられて粗悪な商品を買わされるのを防ぐ必要があるからです。ちなみに景表法における景品類とは以下に当てはまるものになります。

目的:顧客を誘引するための手段
提供方法:事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供
内容:物品、金銭その他の経済上の利益

景表法では景品の付け方を「一般懸賞」、「共同懸賞」、「総付景品」の3つに分けています。それぞれ景品類の最高額や総額などの制限が異なるので順番に見ていきましょう。

一般懸賞

「一般懸賞」とは商品・サービスの利用者に対し、くじ等の偶然性、特定行為の優劣などによって景品類を提供することの内、「共同懸賞」以外のものを指します。例えば商品を購入するとプレゼント応募ができる特設サイトにアクセスできる、商品についているバーコードやシールを集めたらプレゼント応募できるなど。

懸賞による取引金額一般景品における景品類の限度額
最高額総額
5,000円未満取引額の20倍懸賞に係る売上予定総額の2%
5,000円以上10万円

一般懸賞の限度額は、取引金額が5,000円未満かそれ以上かで大きくかわります。景品類が取引額の20倍を超える場合は5,000円以上の購入者のみに対象者を絞る必要があるため(それでも10万円を超える場合は法違反となります)、キャンペーンなどを行う際は気をつけましょう。

共同懸賞

「共同懸賞」とは商品・サービスの利用者に対し、複数の事業者や個人が共同して景品類を提供することを指します。複数の企業が同時に行う「〇〇の日キャンペーン」やショッピングモールで大々的に行われるプレゼントキャンペーンなどが該当します。一般懸賞との違いは景品類の提供を一社で行っているのか、複数で行っているのかということです。

共同懸賞における景品類の限度額
最高額総額
取引価格にかかわらず30万円懸賞に係る売上予定総額の3%

共同懸賞の限度額は取引価格にかかわらず、上限が決められています。

総付懸賞

「総付懸賞」とは、特定の商品・サービスを購入したり利用したりした人にもれなく景品類を提供することを指します。「購入者全員プレゼント」や雑誌の付録などが対象となります。ただし、施設の送迎サービスなど、その施設を利用する際や商品、サービスの購入、利用に必要なものである場合は対象外となります。

総付景品の限度額
取引価格景品類の最高額
1,000円未満200円
1,000円以上取引価格の2/10

総付懸賞の限度額は、取引金額が1,000円未満かそれ以上かで大きく変わります。また、一般懸賞、共同懸賞と違い、景品類の総額上限はありません。

おさらいとチェックリスト

最後におさらいとして自身のECサイトが景表法に抵触している可能性がないかチェックリストで確かめてみましょう。

① 2週間以上、二重価格表示をしていないか

② 5,000円未満の取引をした方に20倍以上の金額の景品類に応募するチャンスを与えていないか(NG例・1,000円の商品のみを購入した方に5万円の商品をプレゼント)

③ 果汁が5パーセント未満の飲み物なのに、その割合を記載せずに果実の写真を掲載していないか

④ 一社だけのキャンペーンなのに共同懸賞の限度額で景品類を設定していないか(NG例・3,000円を購入した方に30万円のノベルティーを付属)

⑤ 期間限定で値引きをした商品なのに、期間後も値引き後の値段で売っていないか

⑥ 「絶対に」や「必ず」といった根拠のない誇大広告をしていないか

⑦ 追加料金を払わないとキャンペーンを受けられない仕組みを作っていないか

⑧ SNSでキャンペーンをする場合、商品購入が参加条件になっているか(なっている場合は景表法を遵守する必要がある)

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この記事を書いた人

RYUICHI ARAI
神奈川県出身。いきなりフリーランスとしてキャリアをスタートさせ、スポーツ関連の記事を執筆。過去にはHIPHOPライターとしても活動。ライター 以外にもコンテンツ制作や編集などの仕事も行う。趣味はフィールドワーク。

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