コスメ薬機法管理者は意味ない?資格取得者が感じたメリットや薬機法管理者との違いは?
※この記事は薬機法管理者が執筆しています。
「コスメ薬機法管理者」は、薬機法管理者と同じ薬事法ドットコムが提供している資格取得講座です。薬機法管理者と名前が似ていることもあって、混同してしまっている方もいるかもしれません。
この記事では、薬機法管理者とコスメ薬機法管理者の両方を受講し、受験し、取得した筆者が、コスメ薬機法管理者とはどういった資格なのか、合格するためにどのような勉強をしたのか、どんなメリットがあるのかといった点について、実体験をもとに紹介します。
目次
コスメ薬機法管理者とは
コスメ薬機法管理者とは、薬機法のなかでも化粧品や薬用化粧品にかかわる知識を深く学ぶことができる資格取得講座です。コスメ商品の売上において非常に重要な広告表現をくわしく扱っており、ビジネスチャンスを掴むためのPR手法が学べます。講座の受講から試験までのすべての工程をeラーニング上で完了させることができます。
化粧品を扱う企業に勤務している方やコスメ商品の広告を制作している方はもとより、化粧品に関する情報を発信しているインフルエンサーにとっても役立つ知識が獲得できるでしょう。
薬機法管理者との違いは「扱っている範囲」
薬機法を学べる資格取得講座としては、薬事法ドットコムが提供する「薬機法管理者」が有名です。薬機法管理者とコスメ薬機法管理者は、同じ薬機法を扱う資格取得講座ではありますが、扱っている知識の範囲が異なります。
薬機法管理者が薬機法全体の知識を幅広く扱っているのに対して、コスメ薬機法管理者は化粧品にかかわる知識のみに特化して扱っています。化粧品領域についてのみ学びたい方、薬機法を広く学んだうえで化粧品領域の知識を補強したい方におすすめです。
eラーニング講座は全5章
コスメ薬機法管理者のeラーニング講座は、全5章で構成されています。各章の最後にチェックテストがあり、章の内容を振り返ることができます。修了試験と最終試験に合格することで資格を取得できます。
第1章 薬機法の化粧品とは 第2章 効能PRに関するルール 第3章 関心の高い効能キーワード 第4章 PR手法 第5章 ケーススタディ |
薬機法管理者と比較すると章の数はかなり少ないですが、それぞれの内容がより深くまで掘り下げられています。
合格点は「85点」、合格率は「低くない」
コスメ薬機法管理者の合格点は、修了試験・最終試験ともに薬機法管理者と同じ「85点」です。合格率は非公開のため正式なデータはわかりませんが、受験者の声をリサーチする限り合格の報告が多く、それほど難易度は高くなさそうです。
費用は税込50,000円(割引アリ)
コスメ薬機法管理者を単体で受講・受験する場合、「税込50,000円」の費用がかかります。講座のみの場合は「税込30,000円」です。
また、条件に合致すれば以下のような割引も利用可能です。
- 団体割引(3人目から1万円引き)
- 会員企業社員割引(薬事法ドットコムのダイヤモンド会員企業の社員は1万円引き)
- セット受講割引(薬機法管理者とコスメ薬機法管理者に同時申し込みで3万円引き)
- 追加受講割引(1講座受講後に別講座に申し込んだ場合1万円〜2万円引き)
また、新たにコスメ薬機法講座の受講者を紹介した場合、紹介者には1万円の謝礼が支払われます。
受講開始から1年間eラーニング上でいつでも受験可能
コスメ薬機法管理者の試験は、修了試験・最終試験ともにeラーニング上で受けることができます。そのため時間や場所は指定されておらず、24時間365日いつでもどこからでも受験可能です。便利な一方、筆者にとってはなかなか踏ん切りがつかない理由にもなりました。
また、コスメ薬機法管理者の受講・受験可能期間は受講開始から1年間です。この期間を延長したい場合は、受講延長料金と事務手数料で税込35,000円を支払う必要があります。追試になる場合や採点にかかる期間も考慮して、日程がギリギリにならないよう計画的に受験に臨むようにしましょう。
資格は1年ごとに更新が必要
コスメ薬機法管理者は、取得後から1年ごとに更新が必要な資格です。更新に再試験は不要ですが、税込10,000円(自動更新の場合は7,000円)の更新費を支払い、簡単な講習動画の視聴とミニテストをこなす必要があります。
コスメ薬機法管理者の勉強方法
コスメ薬機法管理者の試験に向けては、eラーニング講座で勉強を進めていくのがいいでしょう。ここでは、筆者が実際に取り組んだ勉強方法を進め方とともに紹介します。
筆者の勉強方法は以下のとおりです。
①eラーニング講座を1周する ②eラーニング講座の内容を手書きでノートにまとめる ③チェックテストを完璧にする ④eラーニング講座内のQ&Aを確認する ⑤ケース別のPR方法を振り返る ⑥修了試験を受ける ⑦最終試験を受ける |
各手順について解説します。
①eラーニング講座を1周する
まず、この資格取得講座の大枠をつかむために、メインテキストであるeラーニング講座にひととおり取り組みました。先に薬機法管理者を取得していたことから下地となる知識があり、eラーニング講座にもある程度慣れていたので勉強にはスムーズに入れました。
一方、化粧品に特化した講座ということで、比較的広く浅くだった薬機法管理者との毛色の違いも感じました。より専門的な内容が増えたように思えて、それほどコスメに親しんでこなかった筆者は、そもそも専門用語のせいでなかなか内容が頭に入ってきませんでした。この工程は2週間程度で完了しました。
②eラーニング講座の内容を手書きでノートにまとめる
eラーニング講座を1周し終えてもあまり手応えがなかったので、知識を定着させるために、講座の内容をノートに手書きでまとめることにしました。講座の内容を振り返りながら自分用に要約していき、書き写すのに手間がかかりそうな表などは「テキスト参照」と添えて省略しました。自分が重要だと思ったところは赤で色分けもしました。
薬機法管理者の勉強でもこの方法を用いましたが、そのときと同じくかなりの時間を費やしてしまいました。電車で作業することができないので、平日の早朝や昼休み、帰宅後、休日の時間を使って地道に進めました。まとめたノートはページごとに適宜スマホで撮影し、ノートを開けないような状況でも見ながら勉強ができるようにしました。このまとめ作業には2か月ほど費やしました。
正直、eラーニング講座を終えた段階ではかなり不安な定着度だったのですが、まとめたノートを空き時間にくり返し確認することで徐々に知識がついてきました。理解できることが増えると内容も覚えやすくなり、知識が定着するスピードも上がっていきました。
③チェックテストを完璧にする
各章の終わりには、その章の内容を振り返るチェックテストがあります。最初にeラーニング講座を1周した際にも満点をとってから次の章に進むようにはしていましたが、もう一度知識の定着度を確認したいと思い、この時点で各回のチェックテストに再挑戦しました。
薬機法管理者より踏み込んだ内容が多く、抜けてしまっている箇所もありました。間違いがすべてなくなるまで各回のチェックテストをランダムにくり返し、1週間を費やしました。
④eラーニング講座内のQ&Aを確認する
eラーニングには、講座の内容に関して受講者から運営に質問できる機能があり、1回につき1枚のチケットを消費することで利用できます。はじめにチケットが3枚付与されるので3回までは無料で質問できますが、3回以上質問したい場合は追加で3枚9,000円チケットを購入しなければなりません。筆者は2回利用しました。
質問と回答はeラーニング内のQ&Aに掲載されるようになっているので、質問者以外でも一連の流れを見ることができます。筆者はチェックテストを完璧にしたあと、このQ&Aをひととおり確認しました。気になっていた箇所の質問・回答だけでなく、自分では気付けなかった視点からの質問・回答にも触れることができたので、さらに知識の輪郭をはっきりさせられたと思います。期間は1週間ほど費やしました。
⑤ケース別のPR方法を振り返る
薬機法管理者の試験を先に受けていたことで、このコスメ薬機法管理者も試験はPR表現にまつわるものではないかという予想がついていました。また、化粧品のPR表現には一段と微妙なニュアンスが多く、スムーズに答えるのは簡単ではありませんでした。
そこで、修了試験前にもう一度テキストを見直し、ケース別のPR方法を復習しました。コスメ薬機法管理者のeラーニング講座にはケーススタディがかなり多く、すべてのパターンを頭に入れるのは大変でした。ほかのケースと混同してしまうことも少なくなく、自信を持って試験に臨めるまでにかなり時間がかかってしまいました。失敗が怖くなってきたことも相まって、気付けば1か月ほど経過していました。
⑥修了試験を受ける
修了試験は最終試験の前の試験で、1度しか受けることができません。また、これに合格しなければ最終試験を受けることができないので、1回で合格できなかった場合は、税込10,000円支払って追試を受けることになります。
筆者も追試の恐怖からなかなか修了試験に進めずにいましたが、突然「これ以上やってもどうにもならない」というモードになり、修了試験への挑戦を決めました。
修了試験は「文章形式で答える6問」でした。薬機法管理者が3問だったので、2倍の問題数を見たときには結構焦りました。制限時間や問題の傾向は薬機法管理者と同じで、60分間で6つ広告表現の問題点を指摘するものでした。内容は、eラーニング講座を受けていればわかるものだと感じました。
試験後の流れについて公式サイトには「採点には試験終了後最大5営業日かかります。」とありますが、筆者の場合は朝に受験して夕方に採点結果が届きました。結果は100点中98点、85点の合格ラインを超えて合格を勝ち取りました。
⑦最終試験を受ける
修了試験から1週間、重い腰を上げて最終試験に臨むことを決めました。
最終試験も修了試験と同様、「文章形式で答える6問」でした。60分の制限時間も問題の傾向も前回と変わらなかったので、スムーズに取り掛かることができました。一方で、やはり難易度が上がっているという感覚はあり、何度も修正しつつ慎重に解答することを余儀なくされました。
試験後、数時間ほどで結果を知らせるメールが届きました。結果は、合格ラインの85点を超える98 点。1回で合格することができてほんとうに安心しました。
合格を知らせるメールが届いたら、短いビデオを観る登録講習と簡単なチェックテストの案内が届きます。対応する必要はありますが、チェックテストの出来によって合格が覆されることはないのでご安心ください。作業完了後に自分の顔写真を提出すると(あらかじめ提出していた場合は不要)、認定証の発行が開始されます。
コスメ薬機法管理者の勉強時間・難易度
筆者は、コスメ薬機法管理者の勉強をはじめてから資格を取得するまで約4か月もかかってしまいました。これは、あまり勉強時間がとれなかったこと、時間のかかる勉強方法を選択したこと、不合格の恐怖で受験が遅くなってしまったこと、薬機法管理者よりも知識の定着に時間がかかってしまったことなどが要因です。範囲は広くないので、しっかりと時間をとって取り組むことができれば、もっと短期間で合格できると思います。
難易度については、筆者は薬機法管理者よりも高いように感じました。化粧品領域の広告には細かいルールが多く、かなり微妙なニュアンスの違いでできる表現とできない表現が分けられています。過去の事例を根拠に判断されているもののなかには、論理的に説明しづらいところで境界線が引かれているケースもあり、この場合はケースや特定の用語を覚える必要があったので大変でした。筆者が日頃から化粧品にそれほど親しんでいなかったということも関係しているかもしれません。
一方で、eラーニング講座の内容をしっかりと身につけていればそれほど難しくない試験だとも思いました。短期間で急いで合格しようとするのは危険ですが、知識を定着させた状態で臨めば、合格できる可能性は低くないでしょう。
コスメ薬機法管理者の独学は可能?
コスメ薬機法管理者の受講・受験に必要な費用は安くないため、eラーニング講座を受けずに独学で勉強して試験だけ受けたいという方もいるかもしれません。
しかし現時点で、コスメ薬機法管理者では講座と試験がセットになっているプラン、もしくは講座のみのプランしか提供されていないので、そもそも試験のみを受けるということができません。また、もし今後試験のみのプランが提供されたとしても、試験の内容はeラーニング講座にもとづいているため、講座を受けないリスクはかなり大きいでしょう。
コスメ薬機法管理者を取得して感じたメリット
コスメ薬機法管理者はそれなりの費用を支払う必要がある資格取得講座です。受講を検討している人のなかには、「メリット次第で受講を決めたい」という方もいるでしょう。
コスメ薬機法管理者を取得して数ヶ月が経過したいま、筆者が感じているメリットは以下の2つです。
・コスメ領域の仕事を受けられるようになった ・広告に惑わされず化粧品を選べるようになった |
今後変化していく可能性もあるので、取得後すぐに感じられるメリットとして参考にしてください。
コスメ領域の仕事を受けられるようになった
コスメ薬機法管理者の資格を取得したことで、化粧品領域の広告について一定の知識を持っていることが周囲から認められ、ライティングをはじめとしたコスメ領域の仕事が回ってくるようになりました。
相談を受けるようなシチュエーションも増え、新たな得意領域を手にしたことで仕事の幅が広がっていくのを感じています。ここで得た知識を土台に実務をこなしていくことで、さらに実践的で使える知識に昇華させていけると思います。
また、先に薬機法管理者に合格していましたが、難易度の高いコスメ領域は資格取得後も不安を抱えていた分野だったので、そこの知識を補強することができたのも嬉しかったです。
筆者の場合は資格取得後に社内で感じた変化ですが、コスメ分野のライティングや薬機法チェックといった副業でも強みになると思います。
広告に惑わされず化粧品を選べるようになった
コスメ薬機法管理者の講座を受けるまでは、化粧水などを選ぶ際、起用されているタレント、なんとなくのイメージ、ほかの人が使っているかどうか、値段など、その時々によって曖昧な判断基準で選んでいました。
それがコスメ薬機法管理者を取得する過程で化粧品について勉強したことで、成分やその化粧品が属するカテゴリーといった、より効果の部分にフォーカスした視点で選ぶことができるようになりました。「広告は控えめだけど、こっちは効果で承認を得ているのか」と新たに発見することもあり、以前のように派手な広告だけに惑わされるようなことがなくなりました。
化粧品の広告表現にくわしくなりたい方におすすめ
筆者はコスメ領域の知識をほとんど持ち合わせていなかったので、コスメ薬機法管理者を勉強する過程でかなりの知識を獲得することができました。新しい知識が増えたことで視野が広がり、世界との接点が増えた感覚です。
コスメ薬機法管理者では、特に化粧品の広告表現について深く扱っているので、コスメライターやコスメインフルエンサー、化粧品のPR担当者にとっては貴重な知識を提供してくれる資格取得講座だといえるでしょう。費用かかりますが、コスメを主戦場とする方であれば元をとることは難しくないと思います。
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