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デジタルシフト

中小企業・小売店舗こそデジタルシフトを!事例から成功のポイントを分析

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ITの発展は社会システムの合理化・効率化における強力な推進剤となり、ビジネスにも革新的な変化をもたらしています。ビッグデータを活用したマーケティングや、IoT機器による業務効率化など、経営や業務のあり方を根本的に見直し、改善につなげている企業も見られるようになりました。

スマートフォンの普及によって消費者の行動もデジタル化するなか、企業のさまざまな活動をデジタルに対応させる「デジタルシフト」の重要性が高まっています。

「デジタルシフト」というと、「業務を全面的に刷新する」といったイメージが浮かび、何か大がかりな改革が必要であるように感じられるかもしれません。しかし実際のところ、コストやリソースを抑えながら進めていけるポイントも多いのです。

たとえば、社内連絡用に無料のチャットツールを導入したり、資料共有にクラウドサービスを利用したり、あるいは店舗において電子マネーなどのキャッシュレス決済に対応したりすることも、一種のデジタルシフトといえます。

自社の状況に適した形でデジタルシフトを進めることで、これまで不可避的に生じていたさまざまなロスをなくし、経営改善につなげていくこともできるでしょう。この記事では、デジタルシフトの概要や、中小企業や小売店舗におけるメリットを整理したうえで、実際の企業による取り組み事例を紹介していきます。

デジタルシフトとは

モニター

デジタルシフトという言葉は、「デジタルへの移行」を意味します。意味だけを見れば「デジタル化」と近い言葉ですが、「デジタルシフト」といった場合、とくに「企業の活動」をデジタルに対応させていく過程を表すニュアンスが強くなります。

さらに、似た言葉として「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が挙げられるでしょう。いずれも「ITを活用したシステムの合理化、効率化」という意味では共通しており、厳密に区分することは難しいです。

ニュアンス上の差異として、DXが「社会基盤の全面的な変革」といったスケールの大きな文脈でも用いられるのに対し、デジタルシフトは「企業の方策」という側面が強く、より範囲が絞られる傾向にあります。

総じて「デジタルシフト」は、高度にデジタル化する社会に適応するにあたり、企業がITを駆使しながら「業務効率化」や「マーケティングの適正化」を推進することを指しているといえるでしょう。

なお、DX(デジタルトランスフォーメーション)についてはこちらの記事で詳しく解説しております。併せてご参照ください。

デジタルシフトのハードルは高くない

デジタルシフトというと、「何か高度な技術を導入しなければいけないのでは」と考える方もいるでしょう。たしかに代表的な事例として「ITを活用したツールやシステムを独自に開発する」といったケースが紹介されることも多いですが、デジタルシフトはこのような大がかりな施策ばかりに限定されるものではありません。

たとえば「紙媒体で管理していた予定表をスプレッドシート上で共同管理する」「随時配布していた資料をクラウド上でリアルタイムに共有する」といった取り組みもデジタルシフトの一環といえます。重要なのは「変化の規模」ではなく、「求める効果を得るために、どの部分をデジタル化すればよいか」を見極めることです。

実際にデジタル化を果たすべきポイントは企業によってさまざまであり、販促・販路拡大、顧客管理といった「外向き」の業務や、製造・流通プロセスや在庫状況の管理といった「内向き」の業務など、目的や課題によって方針も異なります。自社にとって必要なポイントを具体的に見定めたうえで、段階的に改善を図っていくことが、デジタルシフトを成功に導くうえで必須となるでしょう。

中小企業や小売店舗がデジタルシフトを進めるメリット

PC画面

「デジタルシフトの取り組み事例」として取り上げられるのは大企業のケースが多く、そのため「規模の大きな会社による先進的な取り組み」というイメージを抱く方もいるでしょう。しかし、むしろ中小企業や小売店舗だからこそ得られるメリットも数多く存在しています。

人的リソースの削減

人員の少ない企業は、従業員の「マンパワー」によって組織のありようが大きく左右される傾向にあります。そのため従業員の個性的な発想や、替えの利かない職能は、そのまま「企業の個性」に直結することも多いでしょう。

従業員が個性や職能を十分に発揮するためには、「それぞれの特性を活かした業務に集中する時間」をできる限り確保する必要があります。ルーティンワークに割いているリソースを削減する際、クラウド上での資料共有や、タスクの進捗状況を管理など、状況に応じたツールの導入は「工数削減」や「時短」といった具体的な効果をもたらすでしょう。

業務を積極的に自動化することにより、人的負担が削減され、本来の「マンパワー」を十全に活かせる環境が整っていくと考えられます。

消費者行動の把握

デジタルシフトによってもたらされる変化のなかでも、もっとも革新的なポイントの1つが「広告施策の最適化」でしょう。「Google広告」をはじめ、広告施策を自動化できるツールを導入すれば、ユーザーの興味関心に合わせて自社の商品・サービスの情報を提供でき、効率的に認知向上が図れます。

この「認知向上」だけでも大きなメリットですが、デジタルシフトの肝は「施策のフィードバックが得やすい」というポイントにあります。自社の広告に対するユーザーの反応だけでなく、高い関心を示すユーザーの居住エリアや年齢層、購買に至るまでの動きなどを追うことで、「どのユーザーにどの施策が有効か」といった事柄も見通せるようになるでしょう。

これまで小規模なマーケットを対象にしていた企業や小売店舗も、消費者行動に関するビッグデータを容易に活用できるようになるため、販路拡大やターゲティングの精度向上が期待できます。

市場変化への対応

デジタルシフトの必要性を考えるうえで、見過ごせないのが「EC市場」の動向です。経済産業省による発表によれば、2019年の消費者向けEC市場規模は「19.4兆円」にも上り、2022年では「22.7兆円」。前年比は「9.91%増」と、年々拡大傾向にあります。

(参照:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」)

物販系、サービス系を問わずECの市場規模は拡大しており、また消費者行動としても「情報収集から購入までをオンラインで完結させる」ケースが増えているため、販売機会を確保するうえでオンラインサービスの展開は不可欠といえるでしょう。

ECサイトを開設し、電子マネーなどの決済方法に対応することは、販売機会を増やす以外のメリットにもつながると考えられます。ECサイトの運用に伴い、売上や受注の管理、在庫状況の反映など、便利な機能を備えたクラウド型サービスも多くあるため、自社に合ったものを選択することで煩雑な業務を簡略化できるようになるでしょう。

デジタルシフトに成功した企業の事例

アイデア

ここでは実際に、デジタルシフトを通じて業務効率化や売上向上といった効果をあげている企業の事例を紹介します。自社の課題や、人材面でのデジタルへの適性などをふまえながら、状況に合った施策を取り入れていくことが成功のポイントです。

業務効率化の事例

建設工事やビルメンテナンスを手がける「東熱パネコン株式会社」は、クラウド共有システムを取り入れることで業務効率化を果たしています。

クラウドサービスを導入するにあたり、配慮したのは「ベテラン従業員も使いやすいように」というポイントです。この条件を満たすべく、同社は使い慣れたオフィスソフトをそのままクラウドタイプに移行することで、違和感を生じさせずに共有システムを整えました。リアルタイムのファイル共有が可能になったことにより、見積書や請求書など、現場との書面のやりとりもスムーズになっているとのことです。

勤怠管理もデジタル化し、静脈認証によって時間が記録されるレコーダーを採用。クラウド上で給与計算とも連携するシステムのため、労務管理の手間を削減できています。

自社独自のシステムを構築するのではなく、既存のサービスを適切に導入することで、リソースを抑えつつ業務効率化を実現できている事例といえるでしょう。

(参照:東京商工会議所(tosho-antenna)「価値あるIT活用のススメ ~vol.7 Tohnetsu Group~」

オンライン接客サービスで売上回復

ブライダルジュエリーのブランド「ith(イズ)」を運営する「アーツアンドクラフツ株式会社」は、コロナ禍を機にGoogle Meetを用いたオンライン接客を開始しました。

実店舗の休業を余儀なくされた2020年4月は、売上が前年比4分の1ほどに落ち込みましたが、6月には前年比110%を達成。外出を自粛していた顧客が来店しはじめたことに加え、オンライン接客サービスの展開により、実店舗のないエリアでも顧客開拓に成功したことが売上アップにつながったと考えられます。

オンラインでの接客サービスが成功した要因として、「接客フロー」を実店舗と同様に構築できた点が指摘されています。初来店からデザイン、受け渡しまでのフローを大枠としてオンラインに移行しつつ、実際の体験機会を損なわないよう「郵送によるサンプルリングの試着」といった施策を取り入れることで、スムーズな対応を可能としました。

顧客情報や制作状況の管理システムが一元化されている点も、オンライン接客を導入するにあたって効果的だったようです。オンラインと実店舗でシームレスに情報共有が可能なため、「試着だけは実店舗で」といったニーズにも容易に対応でき、接客の幅が広がったと考えられます。

(参照:アーツアンドクラフツ株式会社「【実践事例】ジュエリー会社がオンライン接客に取り組んで見えたこと」

SNSを通じた新規顧客層への訴求

創業120年以上の老舗バッグメーカー「株式会社ヤマト屋」は、古くからの固定ファンが多く、主な顧客層は70代以上という状況にありました。そこで着目したのが、「顧客が店舗を訪れる際、子どもや孫を連れているケースが頻繁にある」という点です。ここから、「より若い世代への訴求」が課題として掲げられました。

具体的な施策の軸となったのは、ECサイトとリンクしたInstagramアカウントの運用です。バリエーション豊かな投稿をコンスタントに実施できるよう、6人のモデルと契約し、商品を手にした日常シーンの写真を毎日アップするシステムを構築しました。

投稿の際は、一度モデル側がクラウド上に写真をアップし、社長が確認後、投稿用のフォルダに移行する、という流れで進行します。社内の誰もが進捗状況をリアルタイムで確認できるため、投稿までのロスを抑えることが可能です。

さらに、投稿した写真は、デジタルだけではなく実店舗のPOPや紙媒体のカタログにも活用しています。実際の使用イメージが伝わりやすいため、顧客からの反応も増えているとのことです。

(参照:東京商工会議所(tosho-antenna)「価値あるIT活用のススメ ~vol.4 株式会社ヤマト屋~」

まとめ

デジタルシフトに成功している企業のなかには、自社独自のシステムを構築しているケースもありますが、既存のクラウドサービスなどを導入し、リソースを抑えながら効果を得ているケースも数多く存在しています。

「デジタルシフトの重要性」は広く喧伝されており、実際に多面的なメリットがありますが、「とにかくデジタルに」といった漠然とした方針では効果も得られにくいでしょう。まずは自社の状況を鑑み、「デジタル化が必要なポイント」を明確に見定めることが重要です。

どのようなケースにおいても、成功のためには「具体的な目的に照らして課題を浮かび上がらせ、それに応じて選択肢を絞る」というプロセスが必須になります。たとえば業務効率化を図るのであれば、まず非効率性につながる部分を洗い出す必要があるでしょう。あるいはマーケティング精度を高めるのであれば、「どこで機会損失が生じているのか」を明確にすることが求められます。

効果的なデジタルシフトの前提となるのは、何より「的確な現状把握」です。デジタルシフトを目的とするのではなく、業務改善や売上アップの一環として捉えることで、取るべき方策も見通しやすくでしょう。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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