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オタ活(ヲタ活)・推し活とは?広がるオタク市場の経済効果とマインドセット
2021/07/29

オタク女子
「オタ活(ヲタ活)」や「推し活」といった言葉を聞いたことがあるでしょうか?詳しくは後述しますが、「オタク活動」「推し活動」の略称で、いずれもいわゆるオタク文化を象徴する言葉であり、現代の経済を語る上で欠かせないキーワードといっても過言ではないかもしれません。

というのも、洋服の家計消費支出額が年々減少している傾向にあり、2020年にはコロナ禍という影響があったとはいえ前年比20.5%減の37,149円と少額であったのに対し、2018年の好きなアイドルに関連する商品やサービスに消費した一人あたりの金額は103,543円と明らかに上昇傾向にあるのです。

2018年というとコロナ禍ではないため比較対象として最適ではないかもしれませんが、同年2018年の洋服の家計消費支出額も46,468円と決して高いわけではありません。ファストファッションの台頭もあって、この後も減少傾向にあるので、お洒落をすることよりも「オタク活動」に重きを置く人が増えてきたといえそうです。

参照:
GD Freak!,グラフで見る!洋服の家計消費支出 全世帯の洋服の消費支出額の中期予測
株式会社矢野経済研究所,「オタク」に関する消費者アンケート調査を実施(2018年)

実際にオタク人口は増加し、その市場は拡大し続けています。マーケティングの観点においても、アニメや漫画、アイドルコンテンツやそれに関連する商品、サービスなどを「一部の人たちの嗜好」と考えていたら時代に乗り遅れてしまうことは間違いないでしょう。

目次

オタ活(ヲタ活)・推し活とは?

オタ活

先述のとおり、「オタ活」とはオタク活動の略称で、時に「オタク」を「ヲタク」と表記することもままあるため「ヲタ活」といわれることもあります。

その活動内容はきちんと定義されているわけではないため、アイドルのコンサートや握手会などのイベントに参加すること、好きなアニメやゲームのキャラクターのフィギュアを買い集めることといった金銭が発生するものから、SNSなどで「推し」について情報発信することも含まれ、自身がその行動を「オタ活」と思っているかどうかがポイントになるようです。

また、「推し活」とは特に好みのアイドルやアニメ、ゲームのキャラクターを指す「推し」を応援する活動のこと。オタ活の一環といっていいでしょう。「推し」は、もとはAKB48のファンの間で広まった言葉だといわれていますが、現在はさまざまなコンテンツにおいて使われています。

たとえばアイドルグループの中から特定の一人を推す場合は「単推し」、グループ全体を推す場合は「箱推し」といいますが、実在する3次元の人物に限らず、アニメや漫画、ゲーム内などの2次元キャラクター、ひいてはディズニーランドや刀剣、仏像、深海魚など施設、物体、動物を推すといった場合もあります。

あまり著名でないコンテンツを推すと、先に挙げたようなコンサートや握手会に参加するといった、「会いに行く」という推し活は叶わず、場合によってはグッズを買い求めるといったことも難しいケースがあると思いますが、推しの魅力を布教するというのもひとつの推し活(オタ活)といえるため、それによって人気が広まったらグッズ展開や映像化されることもあるかもしれません。

ひっそりと応援していたいタイプのファンにはそれもそれで喜ばしいことではないかもしれませんが、当記事では一旦、支出に結びつく可能性のあるオタ活を主軸に言及していきます。

オタクの昔と今

「オタク」というと、昔はあまり良いイメージを持たれていなかったのではないでしょうか。以前は映画やドラマなどにおいて、ほかの人物とは一風変わったキャラクターが「オタク」として登場し、揶揄されるというシーンがよく見られたように思います。

その当時から英語圏では、“geek”という「オタク」を意味する言葉を「ある分野に特化した知識の豊富な人」といった文脈で使われることもありましたが、少なくとも日本ではネガティブなイメージが強かったといえるでしょう。

それが近年では、特にZ世代のような若者たちの間では「オタクであることは、はずかしいことではない」と、それまでとは異なる位置づけがなされているようです。

たとえばマイナビによる2021年上半期の「ティーンが選ぶトレンドランキング」において、モノ部門、コトバ部門では推し活に関連するワードが多数ランクインしました。

<モノ部門>
・1位:推しグラス
(推しの名前が書かれたグラスのこと。手作りする人も多い)
・10位:推しカチューシャ
(推しグラス同様に、推し活の一種。プリントした推しの写真をカチューシャに貼るという、やはり手軽に手作りできることから広まった)

<コトバ部門>
・2位:「勝たんしか○○」
(○○の中には推しの名前などが入る。過去に流行した「○○しか勝たん」から派生したフレーズで、意味は同じく「○○がなにより最高」というもの)
・6位:「#顔面国宝サランヘヨ」
(YouTuberのジュキヤさんが発表した楽曲に由来。その音源を使い、また同ハッシュタグをつけてTikTok上などで自身の推しをアピールする推し活が流行)
・7位:「しゅきぴ」
(「好きなピープル(people)」を略した「すきぴ」をさらに崩した表現。アイドルグループ「=LOVE」の楽曲名でもあるが、推しのことを指す際にも使われる)

▶参照:マイナビティーンズラボ,【2021年上半期】ティーンが選ぶトレンドランキングを発表!

加えて、2017年9月に実施された矢野経済研究所による調査では、18~69歳までの男女のうち19.9%が何らかの「オタク」である、という結果が公開されており、2030年にはオタク人口比率は40%近くにも上ると予測されています。

▶参照:株式会社矢野経済研究所,アナリストeyes,2030年「オタク人口比率40%」へ!?

また昨年、株式会社AMFが発表した「JC・JK流行語大賞2020」(JC=女子中学生、JK=女子高生)の中には「コトバ部門」内において「量産型ヲタク」という言葉が見られますが、「量産型」と呼ばれるほどヲタク(オタク)が増えていると推測できることはもとより、そのファッションを「2000年代に大流行した姫ギャルの2020代版」と表現していることにも注目したいところ。

ギャルファッションといえば派手な髪色に露出の高い服装などに象徴されるように、いわゆるかつてのオタクファッションとは相反すると思われていましたが、昨年の時点でそれらが融合しているといえるからです。

(なお、「姫ギャル」はギャルファッションの中でも、色白肌、ボリュームのある巻き髪、花柄やレース、フリルなどをあしらった服といった要素を特徴としたスタイルを指し、「量産型ヲタク」はライブやイベント会場などでよく見かける(=量産型)、白やピンクを主とした、やはりフリルやリボンなどをあしらったガーリーな服装、たれ目を強調したメイクが特徴のスタイル)

実際に、これまで数々のティーントレンドを生み出してきたSHIBUYA109が運営する若者マーケティング機関SHIBUYA109 lab.とCCCマーケティング株式会社の共同調査によって、現在のオタクファッションの実態が紹介されていますが、「ジャニヲタ(ジャニーズオタク)」「K-POPヲタ」「LDHヲタ」「アニメ・マンガヲタ」など推し別にカテゴライズされたそれらを見ると、暗い、地味といった今までのイメージとはまったく異なるもののように思えます。

▶参照:SHIBUYA109 lab.,around20のヲタ活実態を、定性定量で最強調査実施 【Vol.1】

2020年には量産型ヲタクから派生した「量産型メイク」というのも流行し、益若つばささんや峯岸みなみさんら芸能人も真似してYouTubeなどに投稿し、大きな話題になりました。

また、今のオタクはSNSで「ヲタ友」(オタク友だち)を作り、SNS上で情報交換するだけでなく、実際にコンサート会場で会ったり、あるいはそういったオタ活とは関係なく一緒にお出かけしたりすることもあることもわかっています。

▶参照:同,ヲタ活調査第二弾 若者のヲタ活リアル実態を徹底調査!

もちろん昔のオタクも同じようにオタ友との交流を楽しむことも多かったと思いますが、SNSという匿名性の高いweb上とはいえ積極的に友だちを作るために情報交換をしたり、さらにはその相手と一緒に出かけたりするなど、どちらかというとオープンなコミュニケーションの取り方は新しいオタクのありかたといえるのではないでしょうか。

なぜオタクのイメージは変化したのか

どのようにしてオタクはそれまでのネガティブなイメージを払拭するにいたったのでしょうか。それはネット、特にSNSの普及が寄与するところが大きいでしょう。

SNSの普及・一般化

たとえば、アイドルや漫画、アニメなど「ちょっと好きかもしれない」と思えるものと出合えたときに、今ではweb上で検索することが一般的であり、それはしかも決して手間のかかる作業というわけでもありません。

気軽に検索して、その公式サイトやSNSなどに行き着き、情報収集することでより親近感をもって「好きかも」は「好き」に変わります。それだけではまだ「オタク」と自称するにはいたらないかもしれませんが、SNSには、同じ人物や作品を同じように好きだと公言しているユーザーと出会うチャンスがたくさんあり、情報交換したり、オタ友になったりすることでコミュニティが築かれ、よりその気持ちは強固なものになるのではないでしょうか。

オーバーにいってしまえば、好きなものを究めてオタクになるというよりも、好きなものを同じくする同志に出会ってオタクになる、といえるかもしれません。

もちろん以前もオタ友がきっかけで自身も「沼る(沼にはまるように没頭する、夢中になるという意味)」という人もいたでしょうし、逆に今一人でオタ活を楽しんでいるという人もいると思いますが、傾向としてそういう風にシフトしていっていると考えられるということです。

デジタルネイティブ世代にとってSNSは生活の一部になっているといえると思います。そうすると、物心ついたころには身近な人間だけではなく世界中と繋がる手段を手にしているということになるので、アイドルやアニメなどを好きになった瞬間から「自分と同じ趣味、似た感性を持った人がどこかにいる」という感覚を持ち合わせているのではないでしょうか。

オタクであることはなにも変わったことではない、と感じられる環境というのは、そうである自身を肯定するものに違いないでしょう。

マインドセットが異なる

これまでのオタクがどこかネガティブな印象を持たれていたのは、好きなものに没頭するあまり非オタクの人とのコミュニケーションが取りにくくなっていたり、流行を知らず時代遅れなファッションをしていたりすることで「暗い」「ださい」と思われ、いつしか揶揄される立場になっていたという面が考えられます。

先の話に繋がりますが、自身の趣味を肯定できる環境にいれば、決してオタクはマイノリティーになりません。しかも今は流行もネットで簡単にキャッチすることができるので、トレンド服を身にまとったオタクもおおいに存在するでしょう。

先述のとおり「量産型ヲタク」のメイクは一般的に流行し、多くの人から真似されるにいたりました。

つまり、「オタク=ださい、暗い」といったかつての偏見じみた先入観を持たない新世代が今のオタク文化を築いていっているのです。

推し活として、好きなキャラクターやアイドルのグッズを外で撮影されることがありますが、このときオタクが背景として利用するカフェはかわいらしいメニューや装飾にこだわっていたり、メルヘンな世界観で統一されていたり、お洒落で写真映えすると注目されることも少なくありません。

今年2021年に北海道にオープンしたばかりの「喫茶フルーッ」は、つんく♂氏が代表を務めるTNX株式会社とクラウドファンディングを行うCAMPFIREの共同プロジェクト「Dooon!」から生まれたことでも知られますが、オリジナルメニューの「推し色クリームソーダ」も大きな話題を生んでいます。

店主自身がアイドル好きで、推しメン(推しのメンバー)のメンバーカラーのメニューがあれば嬉しいと感じて開発されたそうですが、来店されたお客様は思い思いに好きなアイドルやキャラクターを伝え、それらをモチーフに作成されたクリームソーダを写真におさめてSNSに投稿されています。

参照:
CAMPFIRE,きらきらの魔法をみせる喫茶店『喫茶フルーッ』をつくる!
喫茶フルーッのTwitter

映像やフィギュアなどのホビーといった、いわゆるオタク業界ではなく、また、アニメなどとコラボしているわけでもない飲食店がオタ活の場を提供しているというのは現代を象徴しているといえるでしょう。

Z世代においては、初めて人と会った際の自己紹介の中で「○○推し」「○○オタ」を公言することも珍しくなく、オタ活が一部のコアなトレンドではなく、多くの人たちに影響を与えるひとつの文化として成熟していることは間違いありません。

たしかに、そういう気軽さから生まれたライトなオタクに対して「ガチ勢」と呼ばれるコアなオタクは「ファッションオタク(ファッションの一環としてオタクを装っているという意味)」と揶揄することもなくはないそうですが、「オタク」はあくまでだれにもその範囲を定義されていない言葉なので、自分のことをオタクだと明言する場合にはだれしもオタクだと見なしていいと考えます。

オタク文化の経済効果

痛バッグ

オタ活の経済効果というと、アイドルやアニメなどの公式グッズの展開やファンクラブの会員限定で配信される特典といった、比較的ターゲットを絞ったクローズドなものが真っ先に思いつくかもしれませんが、オタク人口がこれだけ増えていることを考えると、もっと広い範囲で経済活動は広がる見込みがあるといえるでしょう。

たとえば、オタ活のひとつとして、先に挙げた「推しグラス」や「推しカチューシャ」に見られるように、グッズを手作りすることは広く知れ渡っています。作り方や材料がどこで売られているかなど、SNS上などで情報共有されることが多く、また、実際に作る様子を動画で紹介するYouTuberもいるため、今後も主流の活動として拡大していきそうです。

主な材料は100円ショップなどから調達されているので、経済価値としては語るほどではないかもしれませんが、客単価が小さくても流行として続けばそれだけの影響力も期待できるでしょう。

また、オタ活に特化したスケジュール管理アプリや手帳も人気で、新たな商品やサービスによって彼ら、彼女らの活動をサポートすることができれば、そのネットワークで広く周知される可能性があります。

「働く20代『のぼり坂OL』のおしゃれバイブル」がキャッチコピーのファッション誌『MORE』のwebサイト上では「ヲタ活女子」を応援する「推し事バッグ」が取り上げられるなど、トレンドに敏感なアパレル界は既にオタク市場に参入しているようです。量産型オタクメイクが流行したことを考えると、美容やファッションとは相性がいいかもしれません。

また、人気のあるアイドルやアニメ、漫画などとコラボ商品やサービスを展開させるというのも、成功したら大きな影響力をもたらしそうです。ただし、その会社や商品、サービスが対象の作品や人物のイメージとかけ離れたものだったり、脈絡がなかったりすると、逆にアンチ派を生むことに繋がるため、事前にきちんとストーリーを築くことが重要です。

好きなものを隠さずに公表できる時代

オタクの交流

オタク市場が広がる一方で、「ファッションオタク」と揶揄されるようなライトユーザーも増えているというのは先述のとおりですが、その一方で日本では近年、「ちょっと好き」という程度では大っぴらに好きだと言えないという傾向も見られます。

ネットなどを介して情報が簡単に手に入る時代なので、好きであればそれについて詳しく調べるはず→自分よりもっと詳しく情報をキャッチしているファンがいる手前、あまり知らないなら好きとは言えない、ということでしょう。

オタク化が広まり続けることで、それまでどちらかというとマイノリティーであったオタクが勢力を伸ばし、一種のステータスになってしまったら、好きなものを好きと言えない非オタクのジレンマもさらに増えるおそれがあります。「オタク」というキャラクターが蔑視されていた時代と逆転状態です。

オタク産業と呼ばれる業界に問わず、社会全体で広い意味でオタ活をサポートできるようになれば、ライトユーザーやそれにもいたらない「好きかも」勢も認知されるようになり、気持ちを抑える必要がなくなるかもしれません。

筆者はかつて自分の好きなものを親から否定されて、その「好き」という気持ちを貫き通せず封印するようになってしまった人を身近に知っているのですが、好きなものをだれかに伝える行為は、自分の一部をさらけ出すことと同義だと思います。

さらけ出した自身を否定されてしまったら、だれだっていい気持ちはしないのではないでしょうか。相手の好きなものを知らなかったり、魅力がわからなかったり、あるいは嫌いだったりしても、否定せずに歩み寄る術はたくさんあるでしょう。

自分の好きなものを隠すことなく、また抑えることもなく、公言し、それが認められる環境はすなわち自己肯定感を高めることにも繋がると思います。オタク文化の向上によって、自分の「好き」はもちろん、だれかの「好き」も肯定して応援できる社会が構築されたらなによりですね。


(本文・浦田みなみ)

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