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スナップチャットとは?ビジネス向けの使い方とAR試着・ショッピングレンズの紹介

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現実世界とバーチャルな世界を融合し、ユーザーに新しい知覚体験を提供する技術は、近年急速に存在感を増しています。なかでも現実の光景に付加的な視覚情報を重ねるAR(拡張現実)の技術は、スマートフォンアプリなど身近なところに活用されているケースも多いです。

AR技術を用いた画像・動画投稿SNSとして、現在Snapchat(スナップチャット)が米国を中心にユーザー数を増やしています。日本においても、手軽かつ豊富なフィルター機能が若い世代を中心に話題を呼び、「スナチャ」という愛称で親しまれるようになりました。

一方で、スナップチャットの「ビジネスにおける可能性」については、日本国内ではあまり注目されてこなかった面があります。ビジネスアカウントが日本語に対応していない点が一因と考えられますが、運営企業のSnap社は日本でのサービス拡大の構えを見せており、今後はビジネスユースの面でも活性化していくことが予想されます。

スナップチャットには他のSNSと同様、広告出稿やEC連動といったビジネス向けサービスが用意されており、米国をはじめ多くの企業に利用されています。なかでも「AR試着」の機能はスナップチャットの強みとなっており、2022年1月にはそれに対応した新機能「ショッピングレンズ」の搭載が発表されました。

ショッピングレンズはいわば「カタログ型のAR試着機能」であり、アプリ上で「商品の選択から試着、購入まで」のシームレスな導線設定を可能にします。ユーザーにとっての利便性や体験価値が高められ、EC販売における活用の幅が広がっていくと考えられるでしょう。

この記事では、スナップチャットの基本的な機能や使い方をふまえ、ビジネス向けサービスの概要や、新機能の「ショッピングレンズ」について解説していきます。

スナップチャットとは

スナチャを楽しむ

スナップチャットは「チャット機能が充実した画像・動画投稿SNS」であり、とくに「ARフィルターを使って画像を加工し、共有する場」として用いられています。 日本においては、とくに「人物を赤ちゃんや異性の姿に変えられるアプリ」として認知が広がりました。手軽に豊富なARフィルターを楽しめることがスナップチャットの特徴であり、チャットを通じて「面白く加工したスナップをシェアする」ことが主な用途となっています。

さらに、24時間限定で閲覧可能な「ストーリー」の機能、近くの施設情報や地域に紐づいたユーザー投稿などを表示できる「Snapマップ」の機能も搭載されており、多方面に活用しうるSNSとして世界的にシェアを拡大させています。

SNSとしてのスナップチャットの特性

スナップチャットは基本的に、「身内間でのコミュニケーション」に焦点をあてたプラットフォームです。スナップは「公開コンテンツ」として設定することはできますが、Twitterにおけるリツイートのような明確な拡散機能はありません。通常のスナップは登録されたフレンドやチャットメンバーのみが閲覧できるクローズドなコンテンツとして扱われます。

さらに、スナップチャットの大きな特徴として「閲覧時間・回数の制限」が挙げられます。スナップをチャット上にシェアする際、投稿者は「1秒~10秒」の間で表示時間を設定することが可能です。リプレイは基本的に1度きりしかできず、閲覧済みの画像はチャット上から消えてしまいます。閲覧者がリプレイやスクリーンショットを行った際には投稿者に通知されるため、「その場かぎり」の画像シェアに適したフォーマットだといえるでしょう。

この性質を利用し、過去には米国のフローズンヨーグルト店「16 Handles」が「10秒で消えるクーポン」を発行するなど、ユニークな施策がしばしば打ち出されています。

(参照:Social Fresh “First Brand Snapchat Campaign Launched by 16 Handles”

スナップチャットの基本的な機能と使い方

Snapchatアプリ

スナップチャットの機能は幅広く、AR技術を用いた画像編集やチャットのほか、日本ではあまりまだ定着していない機能も多いです。以下ではスナップチャットの基本的な機能を紹介していきます。

画像編集

スナップチャット最大の特徴は、人間の顔を自動的に認識し、さまざまなフィルターをかける「レンズ」の機能です。犬や猫、サングラスやヒゲといったデコレーションを加えるもの、輪郭や顔のパーツ形状を変化させるもの、表情の変化に連動して視覚効果が与えられるものなど、簡単な操作で個性的なスナップを作成できます。

アプリ上でカメラを立ち上げれば、ワンタッチでレンズの選択画面に移行します。デフォルトで選択できるもののほか、さまざまなクリエイターによって公開されているレンズを検索・利用することも可能です。

さらに、レンズ機能はビジネスアカウントにも有効に活用されています。衣服や化粧品のブランド・メーカーなどが公開しているレンズを適用することで、試着やメイクアップのイメージが確認可能です。

画面内に商品情報ページなどへのリンクを設置することもでき、ユーザーにとって「親しみやすい試着の場」として利用されています。

チャット・ストーリー

撮影・編集されたスナップは、主に「チャット」や「ストーリー」上で共有されます。

チャットは個別形式のほか、グループの作成も可能です。ボイスメモの送信や、音声通話(グループの場合は32人まで)、ビデオチャット(15人まで)にも対応しています。ビデオチャットではレンズ機能も使用でき、外見の変化を楽しみながら会話が可能です。

なお、チャット上で閲覧されたスナップは、自動的にサーバーから削除される仕組みです。テキストメッセージも、デフォルトでは開封後に削除される設定ですが、「開封から24時間後」に変更することは可能です。

ストーリーは投稿から24時間限定で表示され、公開範囲も任意に設定できます。

Snapマップ・Spotlight

作成したスナップは、友人間でシェアするだけでなく、公開コンテンツとして投稿することも可能です。「Snapマップ」あるいは「Spotlight」を使えば、すべてのユーザーが閲覧可能なコンテンツとして扱われます。

「Snapマップ」は位置情報と紐づけてスナップを公開する機能です。投稿があったエリアはマップ上にヒートマップ形式で色づけされ、タップするとそこで撮影・投稿されたコンテンツを閲覧できます。ライブイベントがある場合など、Snapマップ上から現場の雰囲気を楽しむ使い方が考えられるでしょう。

一方の「Spotlight」は、TikTokやInstagramの「リール」に近い機能であり、現在注目されている動画をピックアップして表示します。Spotlight上に投稿することで、公開コンテンツとしてハッシュタグでのグルーピングやシェアの対象となり、フィーチャーされうる状態になります。

スナップチャットのビジネス向け機能

オフィスで盛り上がる

Webマーケティングにおいて、いまや「SNS戦略」は欠かせないものとなりました。それぞれのプラットフォームの特性を活かし、認知拡大やエンゲージメントの向上を図ることは、もはや1つの定石だといえるでしょう。

スナップチャットは他の主要SNSと同様、ビジネスアカウントに向け、広告出稿やEC連動のサービスを展開しています。ただし現状では、ビジネス向けのサービスは日本語へのローカライズがなされておらず、運用のハードルはやや高いといえるでしょう。

スナップチャットを運営するSnap社は、2022年中に東京へのオフィス開設を予定しており、今後はローカライズも進んでいくと考えられます。

(参照:Snap Inc.プレスリリース(PR TIMES)

これまで日本企業にとって、スナップチャット上でのマーケティングは「未開拓」ともいえる状況にありました。Snap社の日本進出にともない、活用の方途を探っていくことで、ビジネスチャンスを切り拓くことにもつながるでしょう。

以下ではスナップチャットの主要なビジネス向け機能について紹介します。

広告サービス

SNSにおける広告出稿は、ターゲティングの適性化や効果測定の容易さといった面で、効率の高い方法として定着しています。スナップチャットにおいては、主に4つの広告形式が採用されています。

ダイナミックプロダクト

ユーザーのウェブ上での行動履歴にもとづき、パーソナライズされた広告を表示する形式です。広告は事前に登録・設定された商品カタログとテンプレートをもとに自動で生成され、ユーザー属性にあったカテゴリのものが表示されるようになっています。

シングルイメージ・シングルビデオ

ストーリーなどのコンテンツ間に、単一の画像または動画をフルスクリーンで表示する形式です。広告終了時にユーザーが画面を上方にスワイプすると、商品情報のリンク表示などアクションを促す画面に遷移します。広告内にCTAを埋め込むことも可能です。

コレクション

より具体的な商品情報の閲覧・購入に適した広告形式です。ストーリー上に表示され、画面内にタップ可能なタイル状の商品リンクを複数設置できます。シリーズ商品のコンセプトを説明しながら、具体的なラインナップを提示するような方法が想定されています。

ストーリー

キャンペーンや新製品の情報を提示するのに適した広告形式です。ユーザーの好みに合わせてコンテンツが表示される「ディスカバー」のフィード上に、広告のサムネイルが配置されます。ユーザーが広告をタップすると、3枚~20枚のスナップが表示され、終了時に上方スワイプでアクションを促します。

レンズ作成によるAR試着サービスの展開

上記のような広告形態のほか、スナップチャットの特徴である「レンズ」を活用したマーケティング戦略も、米国企業を中心に多く導入されています。

まず考えられるのは、自社オリジナルのレンズを作成し、AR試着をはじめとする「体験の場」をつくることでエンゲージメントにつなげる方法です。

とくにグッチやプラダといったブランドを皮切りに、アパレル・化粧品関連の企業に導入されており、具体的な「使用・装着イメージ」を提示することで、購買意欲を高める効果が見込まれています。

商品情報ページへのリンクなども設置できるため、試着から購入までスムーズにつなげられる点も特徴です。

あるいは業種を問わず、自社サービスに関連したユニークなレンズを公開するなど、認知拡大やファン獲得に向けた施策を打ち出していくことも考えられます。ファストフードチェーンのTaco Bellは、2016年にメキシコの祝日シンコ・デ・マヨを記念し、「顔がタコスになるレンズ」を配信したことで大きな話題を呼びました。

(こちらのツイートを開くとSnapchatのフィルターを利用した動画が見られます)

こうした「レンズを使った自社商品のPR」は、スナップチャット活用の1つの定型となっています。

なお、レンズの作成には、大きく「レンズスタジオ」と「レンズウェブビルダー」を使う2つの方法があります。

「レンズスタジオ」はデスクトップアプリであり、細かな設定が可能ですが、3D作成に関する専門知識が必要です。自社で開発リソースを確保できない場合には、クリエイターのマーケットプレイスから委託先を探すことも選択肢になるでしょう。

「レンズウェブビルダー」は、ウェブ上でテンプレートを用いながらレンズを作成するサービスです。画面上の案内に従って作業を進められるため、専門知識や技術は必要ありません。

新機能「ショッピングレンズ」とは

自撮り

上述のように、スナップチャットにおいてはすでに「レンズ機能を用いたAR試着」のインターフェイスが提供されており、試着から購入までの動線を整える役割を果たしてきました。

一方、2022年に発表された新機能「ショッピングレンズ」は、従来のAR試着に加えて「カタログ機能」を備えています。商品の「選択」の段階からシームレスなショッピング体験を提供する機能として、ユーザーエクスペリエンス向上に一役買うことになるでしょう。

ユーザーは通常のレンズ選択画面と同様、横並びになった商品カタログをスワイプし、気になるものをタップすることで試着が可能です。従来のレンズと異なり、試着の画面上で価格などの商品情報が「カード状」で表示されるようになっているため、「商品ページに遷移して確認する」という手間を省くことができます。

商品情報はカタログデータと連動しているため、変更点はリニアに反映されます。価格改定や在庫切れの場合など、大本となるファイル上のデータを変更するのみでレンズの情報も修正されるため、管理・運用のリソースも抑えられるでしょう。

スナップチャットのビジネスアカウントにおいては、ショッピングレンズを利用するユーザーの滞在時間やコンバージョン率など、さまざまなエンゲージメント指標を把握できるため、戦略立案や施策改善に向けた材料が得られる点もメリットです。

「ショッピングレンズ」から見るスナップチャットの可能性

AR技術を用いた試着サービスはスナップチャット以外にも多く存在しますが、さまざまな商品を直感的な操作で選択し、シームレスに購入までつなげるインターフェイスはまだ珍しいといえます。カタログ情報を反映した「ショッピングレンズ」は、オンライン上での新たな購入体験をもたらす機能として期待できるでしょう。

作成したレンズはユーザーの試着に利用されるだけでなく、SNSならではの波及効果も見込めます。自社のレンズを使ったスナップを、ユーザーがチャットやストーリー上に投稿すれば、他のユーザーに自社の商品やレンズの存在を知ってもらうことにもつながるのです。

ビデオチャット上で近しい関係のユーザー同士が商品を試着し、感想を述べ合ったりするケースも考えられ、日常的な感覚のなかで購買意欲を高めてもらう効果も生じうるでしょう。

AR技術を活かした「レンズ機能」は、近しい関係のコミュニケーションにおいて特有の高揚感をもたらします。日本国内では「面白い写真が撮れるアプリ」として認知されてきたスナップチャットですが、海外企業においてはそのAR技術のみならず、「内輪ならではの波及効果」に焦点をあてたマーケティングも有効に行われています。

今後日本向けのローカライズが進むにつれて、スナップチャットはSNSマーケティングに新しい風を吹き込むかもしれません。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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