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あえて説明を放棄してみる【キャッチコピー年表vol.6】

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押し売りのようなセールスコピーより、レビューのほうが気を引くことはよくあります。広告のキャッチコピーから時代を読み解く連載第6弾、今回のキーワードは「説明しない」「即行動」「ジェンダーフリー」の3つです。

あえて説明しない

レビュー

コンテンツ飽和時代。私たちは日々多くの情報に触れながら生活をしています。自分でも気がつかないうちに、脳が疲れてしまっているということもあるかもしれません。

多くの言葉によって心を動かされるということはおおいにありますが、時に文章を読まずにポイントだけ知りたいということもあるでしょう。

もとより広告に用いられるキャッチコピーは短く、端的に、インパクトを与えることが多いですが、特に近ごろ、あえて説明をしないという手段に振り切ったケースを見かけるようになりました。

売り手が言葉巧みに表現しなくても雰囲気で伝わったり、むしろそのほうが興味を引くことができたり、あるいは実際に利用しているユーザーの言葉を借りたほうが臨場感を伴って魅力が伝わったり、好意的に受け入れられたりすることもあるのです。

近年は「がんばらない」ことを推奨する風潮がありますが、コピーライターの方もたまには、商品やサービスをどう宣伝するか、あれこれ言葉を詰め込んだり切り離したりして考えるのをお休みして、率直な意見だけを発信してみてもいいのかもしれません。

これ、たぶん、みんな好き。(大塚製薬株式会社)

小麦粉を一切使わず、大豆をまるごと粉にしたベースにフルーツやナッツなどを練りこんで焼き上げたSOYJOY(ソイジョイ)シリーズ。すでに多くのフレーバーが存在し、その認知度も高いからこそできるシンプルな言葉選びですが、「これ、たぶん、みんな好き。」と言われると、どんな味なのか実際に食べてみたくなりませんか。

低GI食品で、植物性たんぱく質、大豆イソフラボン、食物繊維を摂取でき、小腹がすいたときにつまむのにちょうどいいサイズ。しかも実はパッケージの印刷を油性インクから水性インクに変えたことでCO2の削減に成功し、環境にも配慮しているそう。

これだけ宣伝材料を抱えていながら、広告に使ったのはなんとも抽象的なフレーズのみ。「好き」という言葉は便利なもので、個人差があることをだれしも知っているので、もし好みでなかったとしても虚偽だとは思いませんよね。

ましてや「たぶん」といわれているので、このメッセージを受け取った人はみんな、最初から絶対的な期待はそがれている状態です。たとえば親しい人の好みに合いそうなものを見つけたとき、「これ、たぶん、好きだよ」と言って渡したことはないですか?

嗜好を知りつくしていて、絶対に好きだろうという確信があっても、薦めるときにはなんとなく「たぶん」と言ってしまいます。それはネガティブポライトネスといえるような、ちょっとした礼儀のような気もするのです。

ネガティブポライトネスとは、相手との距離を隔てることで、互いの面子(フェイス)を潰さないようにするという補償的行為のこと。難しいことのようですが、私たちは日常生活を送るうえで幾度となく行っています。

たとえば「させていただきす」という言葉。相手を敬うのであれば「いたします」でも問題ないはずですが、さらに間接的な表現にすることで、自身と相手の距離を遠ざけ、謙譲しているわけです。

これと同様に「たぶん」という言葉には、断定を避けて相手の嫌う権利を奪わないようにするネガティブポライトネスストラテジーを感じます。だからこそ、だれかが実際に発語したようなリアルなトーンで素直に受け入れられるのではないでしょうか。

みなさん、わたしのええとこ、教えてください。(大日本除虫菊株式会社)

こちらはKINCHOのお掃除シート「サッサ」のキャンペーンコピー。発売より50有余年も経過しているロングセラー商品ですが、年代別の認知度を調査したところ、20代と50代で認知率に約3倍の差があり、若年層にあまり知られていないことがわかったそうです。

しかし同時に、ユーザーの3人に1人(33%)は20年以上愛用していること、さらには人に勧めたい・やや勧めたいと回答した人が93%にのぼることもわかり、深刻な世代間ギャップを埋めるべく、ユーザーの方にサッサの「ええとこ」を紹介してもらうキャンペーンを開始したそう。(2022年11月28日(月)~2023年1月13日(金)23:59まで)

UGCによる宣伝効果にはかねてより各業界から大きな期待が寄せられ、実際に成功したケースも多くありますが、それをここまでストレートに呼びかけるのは珍しいかもしれません。また、もともと大阪に本社を構えているということもあり、方言で話しかけることで親密な雰囲気も演出されています。

これに似た事例を挙げると、家電やカメラをレンタルできるサービスRentio(レンティオ)による2022年6月のツイート。

「私、レンティオに入社してから初めて防振双眼鏡に出会ってその機能のスゴさに衝撃を受けた者なんですが、私の語彙力だとスゴさを伝えきれないことが大変悔しいので、防振双眼鏡を使ったことがある皆様にリプか引用RTでこの子のスゴさを代弁いただきたいのです…もっと早く出会いたかったよ……」ということで、まさしくユーザーの方々に商品の魅力を発信するようお願いしています。

自社から魅力やメリットなどを簡潔にまとめて紹介する、いわば自己完結型の広告よりも、コミュニケーションを促すユーザー参加型の広告は、Twitterというプラットフォームにマッチしていると考えられそうです。

2.5万文字のLP(株式会社ヤッホーブルーイング)

さて、ここまでは潔く商品説明を省いた広告例をご紹介してきたわけですが、なんでも言葉を短く、シンプルにすればいいというわけではありません。

たとえば、今までの例に反して、なんと24,955文字にもわたってひとつの商品を紹介しているLPも存在します。それは、今まで「水曜日のネコ」や「インドの青鬼」といった人気のクラフトビールを発表してきたヤッホーブルーイングによる新商品「正気のサタン」。

アルコール0.7%という、ビールともノンアルコールビールとも違う当商品は、「醸造系クラフトドリンク」という新しいカテゴリーを背負って立ち上がりました。

その商品企画や開発、そして今後の展望を熱く語った結果、約2.5万字となったのです。しかし最後は「これだけ公開しても味だけは飲んでもらわないとわからない。」という言葉で結ばれており、商品を買える、あるいは飲めるお店の紹介とともに、レビューを投稿できるフォーマットが設定されたツイートボタンも設置してあります。

もちろん文字数が熱意に比例するわけではありませんが、ここまであふれる思いを表現されると、どんな味がするのか実際に飲んでみたくなりませんか?

つまり大事なのは、短くシンプルにまとめることではなく、長く語ることでもなく、興味を呼び起こすことなのです。人を行動に導くのは共感と好奇心。

お洒落なキャッチコピーも素敵ですが、たまには「中の人」が見えるような飾らない言葉で自社商品やサービスを紹介してみてもいいのかもしれません。

“即”行動の強み

ライブ会場

きっとだれしも、なんとなく先送りにしてしまうことってあると思います。早くやってしまえばいいのに後延ばしにした結果、それができなくなる未来がやってきてしまった、そんな経験のある方もいるのではないでしょうか?

たとえば、「会おうよ」と言い合いながら日にちを決めず、そうこうしている間にコロナ禍になり、会えなくなってしまったという人もいるでしょう。あのとき後悔した人は、すぐに行動する意義を強く感じているはずです。

コロナ禍に限らず、金銭的な理由、体調、仕事やほかの都合、やり残しの理由はさまざま考えられます。「思い立ったが吉日」という言葉もありますが、いま決意したことをすぐに形にできますか?

いつかさそおう、を今日さそおう。(江崎グリコ株式会社)

2022年10月25日より放送スタートした、江崎グリコの人気商品「Pocky(ポッキー)」のテレビCMの新シリーズ。「いつかさそおう、を今日さそおう。」というキャッチコピーで、“今”誘うことの重要性を提起しています。

これは個人的な話ですが、最近、数か月ぶり、あるいは1,2年ぶりに友人と会うと第一声に「SNSで見ているから久しぶりって感じがしないね」と交わすことが多いです。

けれど、そのまま互いに顔を合わせながら対話をしていると、それぞれの変化に気づきます。あまりにも日常的にSNSに触れているので、近況を伝え合って、把握し合っているつもりになっていますが、その間には間違いなく会っていなかった期間があり、そして私たちはその間も日々変化し続けているのだと実感させられます。

SNSは常に互いの様子を知ることができるツールなので、ついそれだけでつながっているように感じてしまうものですが、自分でも思わぬスピードで、実は互いに別の方向へ進んでいることもあるかもしれません。そして、そのことに気づけないということもあるでしょう。

気軽にいつでも誘えるからこそ、なんとなく誘いにくくなって、もしかしたらそのまま疎遠になってしまうということもあるのではないでしょうか。

ポッキーは2013年より「Share happiness! Pocky」というスローガンを掲げており、幸せを共有するようにポッキーをシェアすることを広めています。誘うきっかけがなくても、ポッキーがそのぎこちなさを解消してくれるような、関係性の深まりも感じます。

いつかさそおう、を
今日さそおう。

面と向かうと照れくさいけど、
ほんの少しの勇気を出せば、
ひさしぶりでも関係ないね。

ぎこちない時間になっても、大丈夫。
ここちよい時間になったら、大成功。

さ、思い立ったら、ポッキー持って。
あなたは誰を、さそいますか?

ポッキー公式サイト

なお、当テレビCMはすでに続編も放送されているのですが、1作目の最後に主演の有村架純さんが笑顔を向けていた相手がそのまま登場するという、連続したストーリーになっており、しかもそれが有村さんとプライベートでも親交があるという佐久間由衣さんであることに、フィクションと現実が地続きにあるような雰囲気を感じ取れ、より一層「気になる人を誘う」ことへのエールも汲み取れます。

いつかを、いま。(American Express International, Inc.)

こちらはアメリカンエキスプレス・インターナショナルのクレジットカードブランド「AMEX(アメックス)」のテレビCM。

それまで同社のCMでは「そう、人生には、これがいる。」、「そう、ビジネスには、これがいる。」といったタグラインのもと、どちらかというとアッパー層であったり、法人などによるビジネス利用が描かれることが多かったですが、このたび初めて、ミレニアル世代を中心とした若年層にフォーカスし、再度旅行やアクティビティ、外食の楽しさを取り戻すアフターコロナの姿が演出されました。

先の話にも通じますが、なにかアイデアを思いついたとき、即座に行動できるかどうかは人それぞれで、またその理由もさまざまです。なかには金銭的な理由で動けないという方もいるでしょう。

けれど、自身のなかで優先順位を定め、そのうえで「行動を起こさない」と決断したのと、経済的理由で「行動を起こせない」というのは、まるでフェーズが異なります。

お金にはよしあし、さまざまな面が存在しますが、本当は動きたいと考えている人をその場に誘導する力も間違いなく備わっています。「いつか」を「いま」に変えることで、その先に見えるアイデアやコミュニティ、インスピレーションなど、可能性がさらに広がっていくことはあるでしょう。

CMの中では、さまざまなシチュエーションで予定調和ではない喜びを楽しむ若者たちの姿がエネルギッシュに描かれ、これこそがお金の正しい使い道なのだと考えさせられます。

ジェンダーフリー

家事をする男性

2022年の日本のジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)は全体146か国中116位、スコア0.650(0が完全不平等、1が完全平等を示す)。前回とほぼ横ばい状態だといわれており、引き続き先進国の中では最低レベル、アジア諸国の中では韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となりました。

▶参考:内閣府男女共同参画局、『共同参画』2022年8月号

もちろん環境などにもよりますが、実際に未だたとえば「男性は外に働きに出るもの」「女性は家事をするもの」といった前時代的な慣習は根づいているように感じます。

しかしその一方で、「家事も育児も協力し合うべき」といった考え方が広まってきているのも事実。大手企業などは、広告を通して人々の新たな生き方、考え方を提唱していることもあります。

#子育てをチームプレイに(東京ガス株式会社)

こちらは2022年2月26日より放送が始まった東京ガスによる企業CMで、6月1日には「第59回ギャラクシー賞」のCM部門の選奨を受賞しました。「チームプレイ」という言葉を視覚的にも伝えるべく、野球の試合と日常生活をリンクさせながら展開していくのが印象的。

チームメイトとは夫婦、もしくは家族のことを指していると捉えてしまいそうですが、実はそれだけではなく、同僚や街中の人みんなで協力して子育てをする様子が描かれています。

電車やバスの中で子どもが泣いて舌打ちされた、怒鳴られた、といったツイートも散見される時代ですが、月並みなことをいってしまえば、人間だれしも子どもだったわけで、つまりその子が今後自身のような大人になっていくと考えると、そんな心ないことは容易くできないんじゃないかという気がしてきます。

ヒトを意味する「人間」という言葉に「間」が入るのはすなわち、人と人がコミュニケーションをとる、それによって人となりが培われる部分もあるからだといわれており、私たちはだれしも一人では生きられません。この社会のなかで、だれかと巡りあいながら営んでいます。

CMのように、ちょっとした想像力をはたらかせ、相手のことを慮り、人と人がやさしく接し合えるようになれれば、なによりよいでしょう。

動画の最後には「支え合う毎日を、支えたい。」という言葉も表示され、「支える」だけでも「支えられる」だけでもなく、毎日「支え合う」ことを前提としているところに、生きる日々の責任感と、同時にそれを軽くさせるような安心感を覚えます。

育てる手と手に。(大塚製薬株式会社)

こちらも育児をテーマに制作されたテレビCM。子育てをする親の手にフォーカスし、沐浴したり、オムツを替えたり、離乳食を作ったり、せわしなく動くそれらを労わるようにオロナインが登場します。

公式サイトによると、コンセプトはこのとおり。

子育てって、手がかかる。
でも、食べこぼしを片付けるとき、おもらしを拭くとき、
寝たかなと思ってベッドにそーっと置いたとたん泣き出して
エンドレス抱っこに逆戻りするとき。
一人の手だとイライラしてしまうのに、
二人だと笑い話になるから不思議です。
ありがとう、ごめんね、大丈夫?
そう言い合えるだけで手はがんばれる。
もし、その手にあかぎれやキズができたときは、
オロナインにもお手伝いさせてください。

オロナイン公式サイト

日々の家事は1日くらいちょっとさぼっても平気ですが、育児はそうもいきません。常にだれかが見守っていなければならないため、使命感や責任感に疲れてしまい、イライラしてしまったことのある人も多いでしょう。

同時に、一緒に向き合う人が自分以外にもいることで、つらくても乗り越えられたという経験を持つ人もいるのではないでしょうか。

オロナイン公式Instagramでは、「育児を細分化!!手分けのイメトレ」と銘打って、子どもを連れたおでかけや離乳食、オムツ替えなどのコツをイラストでわかりやすく解説しています。

子どもができたら急に育児のプロになるなんてことはあるはずもなく、だれだって最初は初心者で、右も左もわからないはずです。2人目、3人目であっても子どもは一人ひとり異なるので不安になるときはあるでしょう。

もちろんオロナインを利用する人は子育てをしている人に限りませんが、こうして応援を繰り返すことで、育児をしている人がより暮らしやすい空間というものがつくられていくような気がします。

そしてやはり「育てる手」ではなく、「手と手」と表されていることに、子育てが複数人の協力体制によって行われることを前提としていることが見え、さらにはそれが(CM内では男女の夫婦が描かれていますが)、同性や別の異性、あるいは家族や友人であっても通じる表現であることに、未来を感じます。

ハロウィンの日には、女性の医師も警官も、あんなに増えるのに。(Indeed Japan株式会社)

こちらは職場のジェンダーギャップをなくすためにIndeedが2022年10月28日(金)よりスタートさせた「ハロー、ニュールール!」キャンペーンの一環で提示されたポスターのビジュアル。

ハロウィンシーズンというと、「渋ハロ」と略されるほど、仮装した人々が渋谷に集まることがひとつの風物詩となっていますが、まさしくそのJR渋谷駅の改札前で、ハロウィンである10月31日前後に見ることができました。

「増えるのに」の続きはなく、「医師全体のうち、女性は約20%/警官全体のうち、女性は約10%」という数値と、キャラクターによる「イギリスでは、女性の医師が約50%なんだって」というセリフだけが書かれています。

けれど、掲示場所が駅ということもあり、もともと行き交う人も多く、待ち合わせ場所としても利用されていることから、筆者が通った平日夜、下の文字はほとんど見ることができませんでした。

それにもかかわらず、通りかかった際にふと見えた上部のフレーズに「たしかに」とうなずいてしまったので、今回ご紹介することにしました。

医師も警官もコスプレとしては一般的といってもいいジャンルで、衣装も比較的安価で手に入ることから、トレンド関係なく毎年ハロウィンに一定数は見かけます。ですが、本物の医師や警官となると、たしかに女性はまだまだ数少ないのが現状です。

その理由は、もちろん女性が向いていないからではなく(イギリスの医師の約50%が女性であることからも、不向きでないことはわかります)、そういった学問が苦手だという印象を長い歴史のなかで植えつけられてしまったこと、そして過去に問題になった医学部入試での女性受験者への点数不正操作などが考えられます。

当時、点数不正の理由は「女性医師が結婚や出産で離職する」からだとされていましたが、それが医師不足につながるのであれば、むしろ結婚や出産で離職しなくてもすむ環境をつくることが先決であることはいうまでもなく、G7で唯一ジェンダーギャップ指数が100位圏外だというのも残念ながら納得せざるをえません。

当キャンペーンでIndeedはほかにも多数の問題提起するような広告を打ち出しており、イメージキャラクターを務めるバカボンのパパの口癖「これでいいのだ」にちなんで「#これでいいのか」を合言葉に、実際に職場で感じるジェンダーギャップに関する違和感をSNS上で募集していました。

広告ひとつで社会がすぐに変わるわけではありませんが、なにより多くの人が現状を理解していないと変革は起きないので、その一助としての役割を担っているのではないでしょうか。

広告は共感を生む

共感

実はこの「キャッチコピー年表」という連載を始めてから、もうすぐ1年が経過しようとしています。ほぼ隔月更新でさまざまな広告を、あるいはたまに脱線して入学式の祝辞などを追ってきましたが、人の心を動かし、行動に移させるには、やはり共感力が必要なんだと思います。

「炎上商法」という言葉が存在するように、世の中の商品やサービスは、一見広告っぽく見えないものから押し売りのようなものまで、さまざまな手法で宣伝されています。

でも、未曽有の災禍を経験した私たちは今、寄り添ったり寄り添われたり、そういった関係性を今まで以上にとても大事にしたいと感じているのではないでしょうか。

やさしい広告に出合ったとき、共感し、その広告を理解できると感じると同時に、広告に自身を理解されているような、厳密には自身を理解してくれている人がその広告をつくっているような、そんなふうに感じることもあります。

なにかを買ったり、してもらったりするには対価が必要で、けれど、この社会においてお金はとても大事なものなので、信頼できない企業には払いたくないと思うのが消費者の本音だと思います。

であれば、自身を理解してくれている、あるいは少なくとも理解しようとしてくれている人のいる企業を選びたいと思うのが普通ではないでしょうか。

パーパスドリブンな企業が増えてきた今、自社の商品やサービスを売ろうと考えたときに、人の不安を煽ったり、価格だけで差別化を図ったりするよりも、それを必要とする人に共感してもらうことが、もっとも価値のあることのような気がします。

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この記事を書いた人

浦田みなみ
元某ライフスタイルメディア編集長。2011年小説『空のつくりかた』刊行。モットーは「人に甘く、自分にも甘く」。自分を甘やかし続けた結果、コンプレックスだった声を克服し、調子に乗ってPodcastを始めました。BIG LOVE……

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