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【初インタビュー】先輩ライターに聞く!あなたにとってライティングとは?【取材ライターへの道 Vol.4】

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ライターでありながら取材記事を書いたことのない滿留(みつどめ)が、先輩の浦田さんにインタビューの心得を教わる全4回の特集「取材ライターへの道」。

第1回は取材依頼の方法、第2回は取材の準備と本番の注意点、第3回は文字起こしと記事化の注意点を教わりました。

第1回の記事はこちら↓

第2回の記事はこちら↓

第3回の記事はこちら↓

第4回、最終回となる今回は、これまで指導していただいた浦田さんに僕がインタビューした記事を公開します。企画の集大成、また僕の取材ライターデビュー記事です。

ライティングは脚本、Web業界はSNSが入口

SUNGROVE編集部 ライター 浦田みなみさん(画像左)、SUNGROVE編集部 ライター 滿留悠平(画像右)

―浦田さんがライターになったきっかけをおうかがいしたいです。

SUNGROVE編集部 ライター 浦田みなみさん(以降、浦田さん):
明確なきっかけとなると難しいですね……。

幼稚園生のころから、絵と文章で構成された絵本のようなものは遊びでつくっていました。本格的に書き物をはじめたのは、中学生のころですね。当時の知人の紹介で、舞台芝居やアニメーションの脚本をつくるお仕事に携わりました。そのつながりがきっかけで、大学生のときには小説も出版できましたね。

こういった流れもあって、創作活動をして生きていこうという考えは自然に芽生えました。でも同時に、未熟なままではいろんな世界観を描けないことにも気づいていたので、新卒のときは物を書く仕事とまったく関係ない会社を選びました。

服が好きだからという理由でアパレル企業。社会経験を積みたいと思いつつ結局、自分が興味のある会社しか選べませんでしたね(笑)。

―小さいころから物語を書いていたという話は珍しいですね。キャリアのかなり早い段階で本を出版されているのも驚きです。
新卒で入社したアパレル企業での日々はどうでしたか?

浦田さん:
いわゆる企画営業という職種だったんですけど、もともとの性質が「営業」に向いていないんだなと実感しました(笑)。いろいろな企画を立てるのは楽しかったのですが、比較的すぐに辞めてしまって、出版社に転職しました。

いまは休刊してしまったんですけど、ビジネス系の月刊誌を出しているところでした。創作以外のライティングをするのははじめてだったので、新鮮でしたね。インタビューのノウハウもかなり学ばせてもらいました。

―浦田さんはWebの知識も豊富ですが、Web業界に興味を持ったきっかけは何ですか?

浦田さん:
出版社にいたころ、SNSの運用を担当していました。発信内容は「新刊が出ました」みたいな告知がほとんどだったのですが、ときどき、読者の人たちを集めて「読書会」を開催していたんです。

このときに、「いままで知りえなかった人々とネットを介してつながる」ということを体験して、SNSは視野を広げるためには欠かせないな、どんどん取り組んでいこう、と思いました。あとから考えると、Web業界に興味を持ちはじめたのはこのときだった気がします。

本を出版してみて

―過去に出版された本のことについてもおうかがいさせてください。ライターのなかでも、本の出版経験がある方はかなり限られてくると思います。

浦田さん:
正直なことを言うと、内容には納得いっていない部分も多いです。ただ、箔がつくと思ってプロフィールには載せています(笑)。

さっきも少しお話ししたとおり、舞台芝居やアニメーションの脚本を書いていたことが本を出版するきっかけになりました。実際に形にできたのは環境に恵まれていたからだと思っています。

―どのくらいの時間をかけて制作したんですか?

浦田さん:
何か月もかかっていたとは思いますが、全然記憶にないです(笑)。締切に向けて焦りながら書いた覚えがあります。

焦って書くと話が思っていたのと違う方向に進んでしまって、「こういうのが書きたいんじゃないんだよ」と何度も思いました(笑)。気づいたときにはもう戻れなくてどうしようと。そんな葛藤もありましたね。

自分の文章でだれも不幸にしたくない

―ライティングのときに意識していることはありますか?

浦田さん:
できる限り、だれも傷つかない記事を書くことです。

どんな記事でも、どんな言葉を使っても、だれかを守ればだれかを傷つけてしまうものです。ただ、常に注意を払っていると、いろんな立場にいる人たちが浮かんでくるんです。その人たちに共感してもらえるように、理解してもらえるように、あるいは背中を押してあげられるようにと思いながら書いています。

これを意識するようになったきっかけはひとつではありませんが、私が女性であることは強く関係していると思っています。日本社会は女性にすごく厳しいので、弱者の気持ちを痛感する機会が少なくないんです。できれば傷つけたくもないし、傷つけられたくもないですよね。

―浦田さんの文章に視野の広さを感じた理由がわかりました。
個人的に、文章を書くときの視点は普段のインプットによるところが大きいと思っているのですが、普段はどんなものからインプットをしていますか?

浦田さん:
難しい質問ですね……。

映画も小説も好きなんですが、差別的なものは好まないかもしれません。

だれかの不幸をきちんと深掘りしてくれる作品が好きです。「こういうことがあると、こういうふうに見られてしまいがちだ。それによってこういうふうに考えて、こういう悩みを抱えることがある」みたいに、ちゃんとバックボーンまで考えて構成されているものですね。

もちろん少なからず、制作側の偏見や感情は入ってしまうものですし、同じ立場にいようと悩みは一人ひとり違うものなので、全面的に疑いもなく観るわけではありません。ただ、そのような作品を観れば、自分が経験したことのない立場の人に対しても、「もしかしたらこういう悩みがあるのかもしれない」と、考える幅が広がると思うんです。

一生のうちに経験できることは限られているので、追体験や共体験ができる作品からはどんどん吸収していきたいです。常にいろんな視点を獲得したいと思っていますね。

文章には人となりも滲み出る

―ライティングするうえで、参考にしている方や尊敬している方はいますか?

浦田さん:
ライターではないんですけど、以前別の媒体で連載の編集を担当させていただいていた大学教授の方ですね。

これまで多くの方にインタビューしてきましたが、残念ながら、若い女性というだけでばかにした態度を取る方も少なくありませんでした。

でもその方は、インタビューの際、だれに対しても平等に接してくださったんです。

自分もこういう人間になって、平等に言葉を紡いでいきたいと思いました。

―浦田さんのスタンスに通じる部分がありますね。文章にもそんな思いが滲み出ているような気がします。

浦田さん:
文章は人となりを映すものだと思うので、そうかもしれません。

言葉の力を信じる

―これまでのキャリアにおいて忘れられないエピソードはありますか?

浦田さん:
アパレル企業にいたとき、上司が口癖のようによく「俺はアパレルの力を信じてる」と言っていました。社員の多くは「暑苦しい」と茶化したり笑ったりしていたんですけど、私はその言葉がけっこう好きでした。

SDGsが推し進められている世のなかにおいて、環境への負荷が小さくないアパレル業界の肩身は狭いんです。社会貢献ができていないアパレル企業もまだ多いですし、ファストファッションブランドを筆頭に、業界内での淘汰も進んでいます。

そんな苦境にある業界なのに、そんなことを言えるのがかっこいいなと思いました。それに実は私も、上司の言葉を聞く前から「言葉の力を信じてる」というモットーがずっと頭にあったので、同じような考え方をしていたことに驚きました。忘れられない出来事ですね。

―「言葉の力を信じてる」とか「アパレルの力を信じてる」とか、単純な言葉のようで核心をついている気がします。言葉を信じないで、本気の文章なんて書けませんよね。

浦田さん:
「ペンは剣よりも強し」という言葉がありますが、これに匹敵するほどの強い思いを、アパレルに対して日頃から疑いもなく口にしていたかつての上司は、いま考えてもほんとうにかっこいいなと思います。

だれにも読まれない文章はない

―最近は、ライターと聞いて副業ライターを思い浮かべる方も多いと思います。このようなライターの種類によってどんな違いがあると思いますか?

浦田さん:
副業か本業かというよりは、書いているジャンルによって違いがあると思います。

インタビュー内容を記事化するのか、いわゆるまとめ記事のようなものを書いているのか、社内報のような読者を絞ったものを書いているのか、これだけでも属性がかなり違うと思うので。

そう考えると、「ライター」という肩書きは幅が広いですね。思い浮かべるイメージは、その人がこれまで触れてきた文章の特徴に大きく左右されるのかなと思います。

―最後に、浦田さんにとってライティングはどういうものか教えてください。

浦田さん:
私にとってはライフワークですね。言語化できないときでも無理やり言語化しようとしてしまいます。

書くことによって思考が整理できるので、何かに悩んでいるときも、人に話すより文字で書くほうがずっと楽なんです。だからPCもペンもスマホもなくなったら、ものすごく苦しいですね。きっとそれでも懲りずに、書く方法を模索すると思います。

たとえば、非公開のブログを更新したとしても自分は読むじゃないですか。つまり文章というのは、読者が0人になることはないんです。だれにも読まれない文章はないんです。

読む人によって、言葉の受け取り方は変わります。もしかしたら傷つくかもしれませんし、力を得るかもしれません。どういう人が、どういうタイミングで、どういうふうに読んだら、どういう変化をしていくのか。そういったことを常に想像しながら書かなきゃいけない。

そんな責任感も込めて、私は言葉の力を信じています。

企画の総括:謙虚に、貪欲に。

全4回にわたる企画「取材ライターへの道」を通して、浦田さんからたくさんのことを学びました。なかでも、インタビューにおける姿勢面では特に、得られたものが大きかったと感じています。

取材依頼から記事制作まで、共通して大切なスタンスだと感じたのは、対照的にも思える「謙虚さ」と「貪欲さ」でした。

謙虚とは、驕らず控えめで素直なこと。取材相手に謙虚な気持ちで接することできれば、自然と敬意をはらうことができるでしょう。どうすれば相手を不快にさせないか、記事が公開されたあとに「いいインタビューだった」と思ってもらえるかという視点は、インタビュイーに対して誠実に向き合ううえで必要不可欠です。

対して貪欲は、非常に欲深いことを指します。相手のことを知りたいと思う貪欲な気持ちは、インタビューに緊張感をもたらしてくれるはずです。「インタビュイーが話したいこと」だけではなく、「自分が聞きたいこと」や「読者が聞きたいこと」の視点から貪欲に展開する取材は、記事にオリジナリティを生み出し、「インタビュー記事であること」の意義も大きくしてくれるでしょう。

絶対に避けなければいけないのは、どちらかに偏ってしまうことです。謙虚さに偏ってしまえば読者のニーズに応えられない可能性がありますし、貪欲さに偏ってしまえば取材相手を不快にさせてしまう可能性があります。

両者をバランスよく取り入れることが、よりよいインタビュー、ひいてはよりよいインタビュー記事につながっていくのでしょう。

僕の取材ライター人生は、はじまったばかりです。学びを糧にしつつ盲信せず、自分の手で道を切り拓いていかなければなりません。

謙虚に、そして貪欲に。言葉の力を信じて精進していきたいと思います!

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この記事を書いた人

滿留悠平
一男一匹の父。大学で比較文学を専攻し、論文集への掲載を経験。IT企業のシステム講師を務めたのち、ライターとしてふたたび文章の世界へ。座右の銘は「謙虚に貪欲に」。薬機法管理者。コスメ薬機法管理者。

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