最先端のWebマーケティングを発信するメディア

最先端のWebマーケティングを発信するメディア
リードナーチャリング

リードナーチャリング、リードジェネレーションって何?その手法も解説

最終更新日:
SHARE
FacebookTwitterLineHatenaShare

企業にとって、成約に至っていない「見込み客(リード)」に適切なアプローチを行うことは、売上の向上に欠かせない営業活動です。しかし、成約の可能性が不確かな状態で多くのリソースを割くことは、経営上のリスクに感じられる場合もあるかもしれません。

「リードナーチャリング」は、さまざまな検討段階にいる広範囲の見込み客に対して、それぞれに合わせたアプローチを行うことにより、成約に至る可能性を高めていく手法です。
日本ではまだ注目されはじめてから日が浅く、見込み客に対する決定的な施策を打ち出せていない企業も多いので、今から積極的に取り入れることで営業活動に大きな違いをもたらすかもしれません。

この記事では、リードナーチャリングの詳しい意味や、混同されやすい「リードジェネレーション」などとの違いを解説したうえで、実践にあたっての具体的な手法についても解説していきます。

リードナーチャリングとは

リードナーチャリング(Lead Nurturing)は、日本語で「見込み客の育成」を意味する言葉です。
「リード」は将来自社の顧客になりうる層、つまり「すでに何かしらの接点は持てているが、商品・サービスの購入までにはいくつかのステップが必要な状態」にある見込み客を指しています。
一方の「ナーチャリング」は「育てること」を意味しており、上記の見込み客が「購入に至るまでのステップを後押ししていく」手法を表す言葉です。

具体的には、見込み客の理解や購入意欲の段階に応じて、さまざまな媒体から連絡や案内、情報提供などを行いながら、関心や信頼感を高めていくことを目的としています。
現在はメールや電話以外にも、SNSやリターゲティング広告など、見込み客との接触の形が多様化しており、また顧客管理ツールにも多くの選択肢が用意されていることから、リードナーチャリングの範囲や精度を向上させるのに適した環境にあるといえるでしょう。

多様化する接触方法と、大量の顧客情報を一元的に管理できる状況のもと、「マス」に対して「One to One」のアプローチをしていくことで、効率的に成約までのプロセスを導いていくことが、リードナーチャリングの本質です。

リードジェネレーションとは

リードジェネレーション(Lead Generation)は、「見込み客を生み出す」ことを指す言葉です。ジェネレーションは「生成」や「獲得」といった意味を持ち、「新たに見込み客を獲得する」段階、すなわちリードナーチャリングの前段階として位置づけられます。
名刺交換といった直接的なやり取りはもちろん、Web上での問い合わせや、自社のSNSアカウントのフォロワー獲得などもリードジェネレーションの一種と考えられるでしょう。

リードクオリフィケーションとは

リードクオリフィケーション(Lead Qualification)とは、「見込み客が実際に購入を考えているか」を見極める作業を意味する言葉です。クオリフィケーションは「資格を与える」といった意味を持ちますが、イメージとしては「設定した条件・段階を達成した見込み客を区分する」ような過程を指しています。

つまり見込み客との関係を深めていくステップとしては、「(1)リードジェネレーションによる見込み客の獲得」「(2)リードナーチャリングによる見込み客の購入意欲促進」「(3)リードクオリフィケーションによる購入可能性の高い顧客の選別」という流れになるでしょう。

なぜ今リードナーチャリングが必要なのか

リードナーチャリングが重要性を高めている背景として、「情報社会のもと、顧客が多様な情報収集・価値判断の手段を持つようになった」ということが挙げられます。
顧客は競合他社の情報も多く手に入れられるため、当然、自社以外の選択肢も広がります。従来のように「あらかじめ購入の可能性が高い見込み客に絞ってフォローを行う」という形式では、見込み客一人あたりに費やすリソースに対して、「成約に至らなかった場合のリスク」が大きく、必ずしも効率的ではなくなっているのです。

さらに、確度の高い見込み客だけに絞ってリソースを割くことは、その他の見込み客の購入意欲を維持・促進する機会を失うことも意味しています。とりわけプロセスが長期になりやすいBtoB商材においては、1案件にとりかかっている間に他社にほかの見込み客を奪われてしまうこともあるでしょう。

リードナーチャリングによって段階に応じた案内を行うことで、これまで逃していた見込み客への接触機会を保ちながら、購入意欲の高まった層に対して集中したアプローチが可能になると考えられます。

リードナーチャリングのメリット

上述の内容をまとめると、リードナーチャリングの最大の意義は、「機会損失のリスクを回避」しながら「段階別のアプローチによりリソースを最適化」できる点にあるといえるでしょう。
見込み客との関係構築が営業担当に依存する形では、その人に見える範囲にしかアプローチをかけることができず、結果として「無駄打ち」や「見込み客の放置」といったリスクが常態化してしまいます。

リードナーチャリングを採用する際には、属人化していた「見込み客との関係構築」を、オートメーション化されたプロセスのうちに組み込むとよいでしょう。これにより、さまざまな検討段階にあり、多様な属性を持つ大量の見込み客に対し、それぞれに適した情報や案内を提供できるため、これまで生じていたロスを削減できるはずです。

リードナーチャリングを導入する際の注意点

リードナーチャリングにおいては、見込み客の検討段階や購入意欲に応じた案内が必要です。その見込み客のいるステージに合わない情報やコンテンツを提供しても、その次の段階に進めなかったり、あるいは関心を失わせてしまったりするでしょう。
リードナーチャリングの効果を高めるには、「見込み客がどのステージにいるのか」を見極め、「それぞれのステージに必要なガイドは何か」といったところを入念に検証しておく必要があります。

こうした点を検証するにあたり、重要となるのは「ステージ分けの基準をどうするか」ということです。どのような条件を達成すれば、購入に近づいたと判断できるのかを検討し、明確な基準のもとで管理できる体制を整えておくことが望まれます。
大量の顧客情報も一元的に管理できるよう、顧客管理ツールなどを用い、なるべく管理業務を属人化させないことも重要です。

リードナーチャリングの手法

リードナーチャリングは、業種や顧客層、検討段階に応じてさまざまな媒体・手法によって実行することができます。以下では具体的に、五つの手法について解説していきます。

SNSを通じたリードナーチャリング

SNSを通じて提供される情報は、顧客にとって「押し売り」の圧力を感じにくく、誰にも焦らされずに客観的に検討したいと考えている見込み客に対して的確な判断材料を提供することができるでしょう。
とりわけYouTubeなどの動画コンテンツは、自社の商品・サービスについて多くの情報を視覚的に伝えることができ、「自身でじっくり情報を収集・比較したい」という顧客層にうってつけの手法です。
顧客が求めている情報を、構成の整理された動画で届けることは、企業のブランドイメージや信頼性の向上にもつながると考えられます。

広告(リターゲティング)を通じたリードナーチャリング

Web上の広告サービスのうちでも、リターゲティング広告はリードナーチャリングに適した手法だといえます。過去に自社サイトに訪問したことがあるユーザーが他サイトを閲覧しているときに自社のバナー広告を表示させることにより、その商品・サービスについて思い出すきっかけとなったり、無意識のうちに情報を蓄積していくことができたりと、自然な形で自社への注意・関心を維持することができるでしょう。
ユーザーの状況ごとにセグメントし、段階に合わせて広告の内容を変えられる点もリードナーチャリングにおける大きなメリットです。

インサイドセールスを通じたリードナーチャリング

確度の高い見込み客に対しては直接訪問を行うことも有効ですが、リソース面の負担が重いことが難点です。メールや電話といったインサイドセールスによるリードナーチャリングには、リソースを抑えながら見込み客の温度感を直接確認できるメリットがあります。
頻度やタイミングについては顧客ごとに検討する必要がありますが、リードナーチャリングにおいてはOne to Oneの関係を構築していくことも重要であり、こちらの積極性や誠意などを印象づけるうえでインサイドセールスは大きな役割を担うといえるでしょう。

オウンドメディアを通じたリードナーチャリング

自社のホームページをはじめとするオウンドメディアも、リードナーチャリングにおいて有効に活用することができます。商品・サービスについての紹介はもちろんですが、自社の業種に関連した「お役立ち情報」をブログで発信したり、社員の日常など親近感を高めるコンテンツを掲載したりすることで、総合的な信頼感を高められると考えられます。

セミナーを通じたリードナーチャリング

セミナーは参加者にとって「相手の顔が見える安心感」があり、また他では得られない情報を手にできるチャンスでもあります。開催者側にとっても、見込み客の理解度を向上させながら、自社商品やサービスについての関心も高められる、またとない機会です。最近では「ウェビナー」というWeb上で行うセミナーも一般的になってきており、遠方の顧客など、より多くのユーザーにリーチすることができるようになりました。
それゆえリードナーチャリングの観点から見れば、セミナーの開催は見込み客からの信頼感や関心、理解度を高め、購入までのステップを大幅に進めるきっかけともなりうるでしょう。

リードナーチャリングによる効果の分析方法

リードナーチャリングを効果的に進めていくためには、「効果の判定基準」と「測定方法」を明確にしておく必要があります。ステージごとの条件を定量的に設定し、それに適した測定方法を導入することで、リードナーチャリングのメリットである「リソースの最適化」を実現できるはずです。

SNSの効果分析

SNSのプラットフォームにはインプレッション数やエンゲージメント数など簡易的なアクセス解析機能が付随していることが多く、投稿ごとの効果が確認しやすいです。
YouTubeにおいては「YouTubeアナリティクス」という機能を無料で利用でき、再生時間ごとの離脱率や流入経路をはじめ、さまざまなデータが得られます。たとえば「自社ブログに動画を埋め込んだことにより再生数は伸びているが、動画序盤での離脱が多く、再生数に見合った効果は期待できない」というようなことがわかるでしょう。

そのコンテンツが「本当に目的としている段階の見込み客に向いているのか」を検討しながら、的確に情報を区分して届けることで、その効果を分析する際にも明確なデータにもとづく検証が可能となります。

広告(リターゲティング)の効果分析

リターゲティング広告の成果を分析するためには、「それぞれのステージにいる見込み客が何を達成すれば成果と見なせるか」を十分に検証しておく必要があります。「一度サイトを閲覧したユーザーが再訪し、特定のページにたどり着く」「見積もりや問い合わせを行う」「セミナーや相談会への参加申し込みを行う」「資料請求をする」など、ステージごとの目標を明確化することで、段階ごとに表示すべき広告も自ずと定められ、コンバージョン率などの具体的な数値を効果として確認できるようになるはずです。

インサイドセールスの効果分析

メールの場合には開封率や返信率、電話の場合には通電数やアポイント数などが一般的な指標として考えられますが、リードナーチャリングにおいてはやはり「ステージ分け」の概念が重要です。メールにおいては添付したリンクのクリック率など、ある程度「見込み客がどこまで進んでいるか」ということを定量的に判断することができますが、電話の場合には数値としての基準ではなく、具体的な達成条件を細かく設定しておく必要があるでしょう。
顧客管理ツールなどで一元的に情報を管理し、見込み客それぞれの状況を俯瞰的に捉えられるよう、段階ごとの小目標を念入りに検証しておきましょう。

オウンドメディアの効果分析

オウンドメディアにおいては多種多様な指標を設定できるだけに、見定めるのが難しいかもしれません。
効果を分析するための前提となるのは、関心の段階に応じて階層が深まっていくようなサイト設計です。関心を寄せている状態から問い合わせなどに至るまでのユーザーの思考ステップと、サイトの導線が合致した構造となっていれば、「ユーザーがどこで、なぜ興味を失ったのか」が検証しやすくなるでしょう。
流入経路ごとのユーザーの動きや、コンバージョン率、再訪率といったデータを複合的に分析しながら、ボトムネックの部分を浮き彫りにしていくことが重要です。

セミナーの効果分析

セミナーはデジタル・アナログの両面において、さまざまな成果への入り口となるため、成果を一つの窓口に集約できるシステムを構築しておくことが重要です。
資料の配付状況や、交換した名刺、見込み客からの相談内容、配付資料に記載したQRコードなどからのアクセス状況など、入り乱れる線を整理して結び合わせ、「どの条件が、どの段階にあたるか」ということをあらかじめ区分しておくことが必要となります。

まとめ

見込み客の購入意欲や検討段階に応じて案内やフォローを行っていくリードナーチャリングの手法は、これまで高確度の見込み客にばかりリソースが集中していたことによって生じていた、ほかの見込み客の放置による機会損失を防ぎ、段階ごとのコストとリターンのバランスを最適化するうえで有効に機能すると考えられます。

その効果をより引き出すためには、「それぞれの見込み客が今どの段階にいるか」についての判断基準を明確にし、段階に応じたアプローチ方法を設定していくことが重要です。契約までに顧客が通る検討のプロセスを細分化し、それに対応する達成条件を検討していくことは、「これまでどこでロスが生じていたか」を見直すきっかけにもなるでしょう。

「営業担当者と見込み客の関係」のみに契約の行方が左右されてしまう状況は、売上の安定性と継続性の面でリスクともなりえます。一元的にプロセスを管理できる仕組みをつくることで、段階ごとのコストとリターンを可視化することが重要です。

SHARE
FacebookTwitterLineHatenaShare

この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

UPDATE 更新情報

  • ALL
  • ARTICLE
  • MOVIE
  • FEATURE
  • DOCUMENT