“ジュノンボーイ”出身 長尾慶人氏が目指すIPテックNo.1企業—Wunderbar
「IP」と聞いてまずなにを思い浮かべるでしょうか。今回お話ししたいのは「知的財産」を意味する「Intellectual Property」の略称としての「IP」についてなのですが、もしかしたら「IPアドレス」のほうが先に浮かんだという方もいるかもしれません。
でもこれからは前者の認知度がどんどん高まっていくと予想できます。その理由もふまえ、今回はIP業界に革命をもたらす株式会社Wunderbar(ヴンダーバー)のCEO、長尾慶人さんにインタビューさせていただきました。
目次
IPとは?
まずIPについて説明いたしましょう。日本パブリック・リレーションズ協会によると、以下のように記されています。
人の精神的な創造行動から生まれた創作物や、営業上の信用を表した標識など、経済的な価値を有したモノの総称。これらを守る法制度上の権利としては著作権、特許権、意匠権、商標権などがある。また、広義ではインターネットのドメイン名、肖像権、著名標識、営業秘密なども含まれる。昨今エンターテインメント業界、各種ライセンスビジネス、キャラクターの商品化、海賊版など不正商品の対応、商標登録の分野でも注目される。一方、原作を元に原作者とは別の第三者が創作したものを二次的著作物(二次創作)といい、リミックスやカバー曲、パロディーなどがある。ただし二次創作は著作権問題が発生しやすいため注意が必要。
引用:公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会公式サイト
以前Advertising Week Asiaに取材で訪れた際、キーボードアプリSimejiとツインプラネットによるトークディスカッションのなかで「IP」という言葉が多く飛び交っており、普段から使われている言葉であることがうかがえました。
まだまだ生活者が日常会話で聞く機会はあまりないかもしれませんが、たとえばSimejiは同ディスカッションで『ちいかわ(なんか小さくてかわいいやつ)』や『呪術廻戦』といった作品(IP)とコラボした際のユーザーの熱量の高さについて言及されており、すでにIPが生活者の消費行動に及ぼす影響力ははかりしれません。
事実、推し活が一般的になった現代において、「それまで知らなかったけれど、アイドルや俳優、アニメキャラクターとコラボしたことで認知するようになった商品がある」、あるいは「当該商品を購入した」という経験のある方も少なくないのではないでしょうか。
今回はそんなIPをより多くの方に広め、そして同時にマーケティングへの活用方法を提示している株式会社WunderbarのCEO 長尾慶人さんに、起業のきっかけやこれから目指す未来などについてお伺いしました。
“ジュノンボーイ”出場時から変わらない思い
—起業のきっかけとその背景についてお伺いできますか?
株式会社Wunderbar CEO 長尾慶人さん(以下、長尾さん):Wunderbarを立ち上げたのは2019年の3月なんですけど、その4年前にも一度、友人と一緒にweb制作やシステム開発をする会社を起こしているんです。
そのときは初めてのことだったので、「どこまでできるんだろうね」といった感じで楽しみながら進めていったんですが、なぜその会社を辞めてまでWunderbarを設立したかというと、コロナ禍が影響しています。
ライブができなくなる、テレビもソーシャルディスタンスを保って撮影しなきゃいけないので出演できない人が出てくる、具体的には芸人をやっている友人から「なにか仕事ないですか?」と聞かれるなど、エンターテインメントの分野が弱まっていくのを肌で感じました。
幼少期までさかのぼるんですが、もともと人を笑顔にする、だれかが笑ってくれることがすごく好きな人間だったんです。
それで自身も芸能界を志していた時期があり、その後いろんなことがあって諦めたという経験があったなか、今度は裏側から表舞台に立ってがんばっている方々のためになにかできないかと思い、「今しかない」とふんぎりをつけて起業しました。
—“ジュノンボーイ”(※)に上位入賞されましたが、それも人を楽しませたいという思いから出場されたのでしょうか?
※ ジュノンボーイ:主婦と生活社が発行している月刊雑誌『JUNON』が主催する国民的ボーイズコンテスト。正式名称は「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」。
長尾さん:芸能界で活躍するというのが、人を楽しませる最短距離だと思ったんですよね。
14年前だったので、今よりもテレビの影響力が強い時代でした。
だれかが喜ぶ姿=テレビの前にいるシーンが多いイメージだったんです。
それで人を笑顔にしたいなら、表舞台で活躍してテレビを通してメッセージを伝えるのが一番早いと思い、出場を決めました。
社名「Wunderbar(ヴンダーバー)」に込められた思い
—社名の「Wunderbar」はドイツ語ですよね。
なにか特別な思いがあるのでしょうか?
長尾さん:意味合いとしては英語の「Amazing」に近い、驚き、感動といったもので、だれかが驚いたときに思わず飛び出すようなニュアンスなんですけど、事業を通してそういった体験を届けられるようになりたいという思いで名づけました。
似た言葉もたくさんあるんですが、響きが一番かっこいいなと(笑)。
会社を立ち上げた当初は「エンタメ×人材」というような事業を展開するビジョンがあったんですけど、ドイツってワークライフバランスが整っていたり、効率的な働き方を推奨していたりすることから、働く人の満足度が高いと聞いたことがあり、「働く」ということをポジティブに考えられる事業にしていきたいという思いをこめてドイツ語を選んだという部分もあります。
—エンタメと人材を掛け合わせた事業とは、具体的にどういうものを想定していたんですか?
長尾さん:エンタメ人材のマッチングプラットフォームみたいなものでした。
最終的にいまの事業に方向転換したのでだいぶ変わりましたが、人にまつわるおもしろいものを作りたいという思いは共通していますね。
IPをマーケティングに活用する「Skettt」・IPの認知を高める「IP mag」
—いま行っている事業内容についてくわしくお話しいただけますか?
長尾さん:まず「Skettt(スケット)」というサービスについて、ものすごく簡単にお話しすると、著名なタレントさんの写真素材を早く、安く、簡単に自社のマーケティングに活用することができるというものです。
月額20万円〜ご利用いただけるので、いままでコスト面でタレント起用をためらっていた会社の方も試しやすいんじゃないかなと思います。
タレントさんの事務所確認は必要ですが、着ている服を変えたり、手になにかを持たせたり、といった加工も可能です。
それから「IP mag(アイピー・マグ)」というwebメディアも運営しています。
まだ「IP」という言葉の認知度はそこまで高くないので、「IPってなに?」と思われる方をふくめ、多くの方々にこの言葉を広めたり啓蒙啓発したりすることを目的に立ち上げました。
まだ生まれて間もないメディアですが、たとえば著名人やIPをクリエイトしている方へのインタビュー、IPに関する知見やノウハウといったものを発信しています。
—Sketttはどういった企業が多く利用されていますか?
長尾さん:中小企業から大手の企業までさまざまいらっしゃるんですが、エリアでいうと、一都三県、東京・神奈川・埼玉・千葉の企業が現在6割くらい占めています。
業界は人材や不動産、いわゆる買取住宅など、地域に根づいた領域が多いです。
おそらく人材や住宅については扱っている商品、サービスで他社と差別化しにくいからかなと考えています。
たとえば不動産業界って、複数の企業で同じ物件を抱えることもありますよね。
その場合ユーザーはなにを判断材料に契約を決めるかというと、店員さんの対応やサポートの仕方などを参考にするのではないでしょうか。
そういうときに著名なタレントさんのお力を借りることで、企画力を広げられるので、そういった点でニーズが大きいのかなと思います。
あとはタレントさんを起用すると年間3,000万〜4,000万円かかるといわれているなか、Sketttを利用していただくと平均500万円くらいまでコストを抑えられるんですが、それでも高いと感じるお客さまはいらっしゃると思うんですよね。
不動産業界や人材業界は1件あたりの利益が大きいので、採算性をとりやすいという理由もあるかもしれません。
—一都三県が多いというのはなぜだと思いますか?
長尾さん:現状はあまり広告など打ち出しておらず、web上で少し訴求している程度なんですが、やっぱり媒体的に首都圏の方により多く見られるという特徴があるので、そこに起因しているんだと思います。
2024年3月から6期目に入ったばかりで、これから楽しみにしているのは地方に広げていくことです。
たとえば駅をジャックする広告を打ったり、大阪や福岡、札幌など東京以外のエリアでタクシー広告をはじめたり……。
この1年間で全国どの地域もIPをマーケティングに活用することができるんだっていうことをより多くの方々に広めていきたいですね。
なぜIPを活用した事業を始めたのか
—IPに対する思いを強く感じますが、それを活用したビジネスを始めるというのはどうやって思いついたのでしょう?
長尾さん:Sketttという事業を始める前に「VOM(ヴォム)」という、著名人の方にメッセージ動画を依頼できるサービスを提供していたんです(筆者注:2024年2月をもってサービス終了)。
それまでは僕自身もIPというものにそこまでくわしかったわけではないので、当時は、先ほども申し上げたように、コロナ禍で仕事が減ってしまって困っていた友人の芸人さんたちのサポートをしたいという思いもあって立ち上げたサービスでした。
でもシンプルにおもしろいものができたんですよね。
普段はお会いする機会のないようなタレントさんが、自分だけに向けてメッセージをくれるというプレミアム感。
それから、そういったタレントさんが持つ誘引力。
改めてすごいなと思いました。
実際、口コミもオール5という結果にいたりました。
1から5までの5段階評価でレビューをつけられたんですが、5より低い数字がついたことはなかったです。
タレントさんやインフルエンサーさん、それからキャラクターたちは、そんなにも多くの方々に幸せを与えられる、笑顔をもたらすことができるんだっていうのをVOMを通じて知ることができました。
そして、なぜそんなにも彼ら、彼女らが人気なのかと深掘りすると、ただ「有名だから」というところに帰結する話ではなく、その人やキャラクターそのものに価値があるんだなと感じます。
ただ、VOM自体は事業として続けることが難しく、立ち上げから半年間、ベンチャーキャピタルから投資してもらいながらいろいろと模索をしつづけたものの、最終的に望む数値に達することができないというところで、違う事業に転換させるというシビアな判断をすることになったんですが。
でもそのときの経験から、僕が一番に見据えていた「だれかを笑顔にしたい」という目標はやっぱりエンターテインメントの分野と親和性が高いのではないかと思ったんです。
エンタメっていろんな要素から成り立っていて、その一つひとつが、だれかが作り上げたものなんですよね。
特に今のインターネット時代においては、web上にあるすべてのデータはだれかによって作られたものなので、そのIPの根本的な部分に向き合うことが、将来だれかを笑顔にしたいと思ったときに大きなインパクトになるんじゃないのかなと思い、今にいたります。
あと1か月でお金が尽きる……危機的状況から一変
—起業してから一番苦労したことを挙げるなら、やはりそのVOMをクローズしたときでしょうか?
長尾さん:大きくふたつあると思っているんですが、ひとつはまさしくVOMという事業からピボットすると判断したときです。
本当に強い思いをこめて始めたサービスでしたし、反響も大きくて応援してくださった方もたくさんいたので、苦渋の決断でした。
お金が尽きる瞬間だったんです。
あと1か月でスタッフ全員食べられなくなる、そんなところまで来ていたんですよ。
でもその壁をみんなで乗り越えられたのは、かなり大きかったですね。
あともうひとつは人材、というか仲間集め。
世の中にはたとえばスキルはあるけどコミュニケーション力に欠ける人、逆にとにかく話しやすいけどスキルはない人など、さまざまな人がいますよね。
これからどんどん人を増やしていくなかで、そのバランスを取りながら、かつIPというものに関心を持っていて、その可能性を広げるというビジョンを持った人を見つけるのはとても労力のかかることだなと感じています。
もちろん労力をかけなきゃいけない部分だというのもわかっているんですが、会社が成長過程にあっていろいろやることがある状況だと、正直大変なことも多いと身にしみているところです。
「VOM」というサービスが日本では継続が難しかった理由
—ちなみにVOMという事業を継続するのが難しかった一番の要因はなんだと思いますか?
長尾さん:アメリカでは「Cameo(キャメオ)」という、著名な方から自身だけにオリジナルのメッセージ動画が届くサービスがとにかく人気で、ひとつのビジネスとして大きな波を生み出しているんですよ。
でも、日本で同じことをやってもあそこまで拡大することはないとも思います。
なぜかというと、アメリカと日本ではタレントとの契約方法が違うからです。
アメリカは主にエージェント制、日本は事務所のマネジメント制なので、意思決定のフローが違うんですよね。
たとえばアメリカの場合は、エージェントがタレントに「こういうサービスがあるよ」と紹介しても「判断は自分でしてね」っていう伝え方で、日本の場合はそのサービスを活用するかどうか事務所全体で判断するというイメージです。
日本でも所属している事務所やタレントによってはご自身が判断するケースはありますが、マネージャーや社長が判断する場合が多く、そうなると時間がかかるし、そのうえで最終的に「やっぱりだめでした」ということも少なくありません。
こういった事業を伸ばすには参画してくださるタレントさんを計画的に増やしていく必要があるのに、その計画を立てるのが難しいわけです。
—そもそも日本はどうして事務所制なんだと思いますか?
長尾さん:最初の商習慣がきっかけかなと思います。
日本の場合は、昔から芸能によって席巻してきた方々というと、たとえば吉本興業や松竹芸能などの事務所が推し進めたというイメージがあります。
アメリカは国民性として一人ひとりの独立性、意思が強いという特徴があるので、合理的、効率的にビジネスを進行するうえでエージェントが根づいていったのではないでしょうか。
とはいえ日本にもだんだん、独立されたり個人事務所を立ち上げたりする方が増えてきたので、VOMはサービス終了しましたが、Sketttではそういった方のサポートもしていきたいと思っています。
日本がIP大国でいられる時間はもう長くない
—日本と海外のIPの影響力にも違いは見られますか?
長尾さん:日本の場合はいわゆる「クールジャパン」という言葉に内包されるような、アニメ、漫画、キャラクターの文化が1950年代から強かったんですよね。
先日『ゴジラ-1.0』が第96回アカデミー賞視覚効果賞を受賞しましたが、ゴジラも1950年代に生まれたコンテンツですし、日本はIPを生み出す力がある国なんだろうなと思います。
でも最近は中国、韓国発のドラマや映画がヒットすることも多く、これから5年先、10年先を考えると、日本はもっと積極的にIPに関するバリューを明確に発揮していかないと埋もれていってしまうでしょう。
—中国では中国国家電影局主催で新人監督を発掘する企画コンペが定期的に行われ、韓国では国立大学で製作費などの補助を受けながら映像について学べるなど、どちらも国を挙げてコンテンツづくりに力を入れている印象があります。
長尾さん:あとWebtoon(ウェブトゥーン※2)の勢いもすごいですよね。
韓国からどんどん世界的に拡大していっています。
※2 Webtoon(ウェブトゥーン):韓国発の縦スクロールのweb漫画のこと。『梨泰院クラス』や『Moving-ムービング-』など、映像化され大ヒットする作品が相次いだこともあり、現在世界的に市場を拡大している。
長尾さん:たぶん日本が「IP大国」と胸を張れる時間というのは、もうそんなに長くはないんだろうなと思うんです。
でもそれを「敵が増える」と悲観的にとらえるのではなく、「競合が増えていくことでIP業界そのものが盛り上がっていく」と思っています。
これからどんどん競争原理でいいものが生み出され、全体的なクオリティーも上がっていくのではないでしょうか。
ただ懸念しているのは、たとえば個人が新たなIPを生み出したときに、世に出ることなく終わってしまったり、悪用されてしまったり、といった機会損失も増えていくのではないかということ。
やっぱりIPを作り出す人は、だれかに届けたいという思いで発信されると思うので、そこを「IPテック」という分野で手助けできればいいなと思っています。
—今後の社会においてIPはどのように変革していくと思いますか?
長尾さん:すでに大きな存在ではあるんですが、もっとさらに大きくなっていくと思います。
この30年間、インターネットというものが人々の生活を大きく変えました。
次の30年も、100年、200年、300年も、新しい技術が生活を変えていくというのは変わらないと思うんですよ。
インターネットが浸透して、さらなる技術革新が起こってきたなかで、AIというものが生まれ、より簡単にモノを生み出せるようになりました。
そして、人が生み出すモノ、そしてその価値について再定義が行われるようになりました。そうなると、いままで以上に考え抜かれた密度の高いものが残っていくと思います。
特にメタバースなどweb上で過ごす時間が増えてきたなかで、そのweb上で扱われるデータはすべてIPといえるので、IPそのものの価値が高まっていくというのは自然な流れなのかなと。
—Web3.0が一般化すれば、従来のようにプラットフォーマーがパーソナルデータを所有するのではなく、個人のもとに戻ってくることで、よりその価値が高まっていくともいわれていますよね。
長尾さん:メタバース、Web3.0、ブロックチェーンといった言葉が広がったのは3,4年くらい前だったでしょうか、新しい技術として一気に広まりましたが、まだまだ悲観的に見ている人もいるし、逆にすごくコミットしている人もいるし、現状ではさまざまですよね。
でも、あの波がもう一度、おそらく5年後くらいに訪れるのではないかと予想しています。
「インターネット」というトレンドも、2000年くらいに一度バブルが弾けた瞬間があったんですよ。
大きく期待されて、「いや、やっぱり危ないじゃん!」と評価が落ちて、でもそこからもう一度持ち直して今があるので、Web3.0も同じように一度高く評価されて、今はそこから落ちていることを考えると、次にすごく大きな波がくるのではないかと思っています。
人々がweb上で生きていく時間はさらに増えていくし、もっとモノを生み出しやすくなると思うので、僕らは事業を通して、その生み出したものが無駄にならないようなサポートをして、社会に残していきたいですね。
事業を拡大していくうえで譲れないこだわり
—事業を拡大していく、組織を拡大していくうえで譲れないこだわりはありますか?
長尾さん:「尊重・感謝・協調」のスピリットは譲れないですね。
常に感謝を忘れないということ、それから人が増えてくると意見が異なる人も増えてきますが、対立するのではなくお互いに尊敬の念を持つということ、そして「協調」が一番大事だと思っています。
「いろんな意見があるなかで、自分の意見をどう伝えるのか」ということなんですが、みんな同じ船に乗っていて、早くゴールにたどり着きたいという思いを共通して持っているんですよ。
それを前提に考えると、自分の意見が正しいかそうでないかではなく、「これから自分が話そうとしていることは、前に進むためになるんだろうか」「役に立つんだろうか」という発想で意見を通そうとすると思います。
たとえば聞く耳を持ってくれない上司がいたときに、もちろんその上司が悪いんですけど、自分は聞く耳を持ってもらえるような喋り方をしているのか。
「この上司、全然話聞いてくれないやん」と終わらせてしまう人が多いのではないでしょうか。
それでは当事者意識が低いと思うんです。
本当に伝えたいことがあるのであれば、それを伝えるためにいろんな手段を講じるべきだと思うので、そこを深く考えない方は協調性に欠けるのかなと思ってしまいますね。
—御社では交流するということにかなり重きを置かれていると感じたんですが、話しやすい空気を作るというのが目的なのでしょうか?
長尾さん:まさしくですね。
会社が成長するときは、その中で働いている人の意見や、その人がそこで働く意味がすごく重要だと思っているんです。
一人ひとりがどれだけ活躍できるか、どれだけパフォーマンスを発揮できるかっていうのが、会社全体をどれだけ大きくするかということにつながってくると思うので。
そのためには一人ひとりが意見を言える環境、それが伝わる環境を整えるのは最低限必要なこと。
ただ話しやすいだけではなく、発言したことをみんながちゃんと受け止める、そのあと議論になる、そういうふうに2次的、3次的情報につなげていく環境づくりを意識して行っています。
IPテック領域における、まだ見ぬ唯一の企業に
—では最後に、今後の展開についてお聞かせいただけますか?
長尾さん:IPテックNo.1の企業になることが目標ですね。
10年、20年先というと、もしかすると空飛ぶクルマが走っていたり、充電器なしで歩いているだけでスマホの電池がチャージされたり、いろんな業界でいろんな変革が起こると思いますが、IPというだれかを笑顔にするものは普遍的に存在しつづけると考えています。
そのなかでSketttという事業は、いま主に首都圏を軸にしていますが、もっとエリアを拡大していき、IP magというメディアは、個人の方が「IPってなんだろう?」と調べたときに真っ先にたどり着く場所となり、「おもしろそうだな」「私もなにか生み出してみようかな」と新たなクリエイターを作りだしてしまうほどの影響力を持つようになると考えています。
—「Skettt」は先日よりフィリピンでのサービス提供を開始されましたが、今後も日本以外への展開を視野に入れているのでしょうか?
長尾さん:そうですね、グローバル展開はどんどん拡大していく予定です。
当初よりフィリピンメンバーによるサービス開発は進めており、それが当社のアセットにもなっているのですが、今後さらにグローバルチームを強化し、世界的にインパクトのある事業展開を行っていきます。
そのためにもまずは、国内でIPテック領域における必要不可欠な存在となり、より強い影響力と資本力を獲得すること。
そのうえで、IP領域で網羅的に展開する、まだ見ぬ唯一の企業となります。
常にスピーディーに新しい手を打っていきたいと思っているので、ますますみんなで意見を出し合って、議論をして、という機会を増やしていきたいですね。
90年代生まれ・中卒社長で初めての上場企業を作りたい
熱意と野心にあふれながらもワンマンで進めるのではなく、あくまで交流を大事にする姿勢に、従業員のIPも大事にしていることがうかがえる長尾さんへのインタビューでした。最後に、これから起業や独立を目指す方へメッセージです。
いま起業を検討しているんだったら、まずやるべきです。起業している方に聞くと、たぶんみんなそう言うんじゃないかと思いますが、くわえて僕から言えるのは「学歴も必要ない」ということ。
僕自身が中卒なので学歴という面でいうと、この会社のだれよりも学はないんですよね。でも気負う必要はないし、そこについては深く考える必要がないと思っています。本当に自分が好きなものを見つけて、そこにのめりこんで努力をすることができれば、学歴なんて関係ないです。
僕がいま目標にしているのは、90年代生まれの中卒の社長として、はじめて会社を上場させること。ほかの年代だと必ずひとりはいるんですよ。たとえば60年代生まれならGMOインターネットグループの熊谷正寿さん、70年代生まれならpaperboy&co.(現GMOペパボ)やBASEの家入一真さん、80年代生まれならアドウェイズの岡村陽久さん。
いまはまだ90年代生まれの中卒社長が上場させたケースはないので、その一人目になろうと思っているんですが、本当に会社を経営するうえで学歴なんて必要ないんだなって思います。
学歴がなくてもできるんだから、もう悩まずに立ち上げてみる、それでいいんじゃないでしょうか。一度きりの人生なので、いろんな体験をして楽しんでください。
(株式会社Wunderbar CEO 長尾慶人さん)
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