最先端のWebマーケティングを発信するメディア

最先端のWebマーケティングを発信するメディア
リテールメディアとは?のアイキャッチ

リテールメディアとは?市場規模や日本での成功事例をわかりやすく解説

最終更新日:
SHARE
FacebookTwitterLineHatenaShare

「リテールメディア」という言葉を耳にして、自社の売上アップに繋がるかもしれないと気になっている小売業・販売業のオーナーやマーケターの方もいるのではないでしょうか。

リテールメディアとは、小売企業が自社の顧客データを活用して広告配信を行う新しいマーケティング手法です。購買に近い段階の顧客へ直接アプローチできるため、売上向上と新たな収益源の確保を同時に実現できる可能性を秘めています。大手企業だけでなく、中小規模の店舗でも導入可能です。

本記事では、リテールメディアの基本概念から具体的な活用方法、国内での成功事例まで初心者の方にもわかりやすく解説していきます。自社での導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

ー 集客にお困りの方へ ー

資料イメージ

集客を最大化するにはインターネットの活用が必須!

ネット集客をはじめるにあたって、把握しておきたいことを、分かりやすくまとめました!ネット集客の理解のために、まずはこの資料をご覧ください。

30秒で無料ダウンロード

目次

リテールメディアとは?

リテールメディアとは?のイメージ

リテールメディアとは、小売企業が運営する広告媒体のことです。自社のECサイトやアプリ、店舗内のデジタルサイネージなどを活用し、メーカーやブランドの商品広告を配信します。最大の特徴は、小売企業が保有する顧客の購買データや行動データを活用できる点にあります。

従来の広告では、誰がいつ商品を購入したのか把握することが困難でした。リテールメディアでは、顧客の購買履歴やアプリの利用状況といった「ファーストパーティデータ」を活用することで、購買に近い段階にいる顧客へ精度の高い広告配信が可能になります。

ファーストパーティデータとは、企業が自社で収集・保有している顧客情報のことを指します。たとえば、洗剤を定期的に購入している顧客に対して、在庫が切れる頃合いを見計らって割引クーポンを配信する。

こうした「適切なタイミングでの情報提供」が、リテールメディアの強みです。

オウンドメディアとの違い

オウンドメディアとリテールメディアは、運営主体は同じ企業でも目的が異なります。オウンドメディアは、企業が自社で保有・運営するメディアの総称です。ブログやWebマガジンなどで情報発信を行い、ブランド認知の向上や顧客との関係構築を目的としています。

一方のリテールメディアは、購買促進と広告収益の獲得が主な目的です。顧客の購買データを活用して、商品購入に直結する広告を配信します。広告主であるメーカーやブランドから広告収入を得られる点も、オウンドメディアとの大きな違いです。

ただし、両者を組み合わせた活用も可能です。オウンドメディアで商品の使い方や関連情報を発信しながら、リテールメディアの広告で購買を後押しする。こうした連携により、顧客満足度を高めながら売上拡大を実現できます。

従来の広告手法との3つの違い

リテールメディアは、テレビCMやWeb広告といった従来の広告手法と比べて、3つの明確な違いがあります。

1つ目は、購買データに基づく精密なターゲティングです。従来の広告は、年齢や性別といった属性情報でターゲットを絞り込んでいました。リテールメディアでは、実際の購買履歴や商品の閲覧履歴をもとに、購入意欲の高い顧客を正確に特定できます。

2つ目は、購入直前のタイミングでアプローチできる点です。店舗内のデジタルサイネージやECサイトの商品ページなど、顧客が商品を選んでいる最中に広告を表示できます。購買意欲が最も高まっているタイミングで訴求できるため、コンバージョン率の向上が期待できます。

3つ目は、効果測定が明確である点です。広告の表示から実際の購買まで、一連の行動を追跡できます。どの広告がどれだけ売上に貢献したのか数値で把握できるため、広告効果の検証や改善がスムーズに行えます。

リテールメディアが注目される4つの理由

リテールメディアが注目される理由のイメージ

リテールメディアは、世界的に急速な成長を遂げています。日本国内でも導入企業が増加しており、今後さらなる市場拡大が見込まれています。

  • 売り場のデジタル化が加速
  • サードパーティCookie規制の影響
  • 世界的な市場規模の拡大
  • 中小店舗でも実施可能

ここでは、リテールメディアが注目される4つの理由を解説します。

売り場のデジタル化が加速

小売業界では、IoT技術の進化により店舗のデジタル化が加速しています。POSシステムと連携したデジタルサイネージや、タブレット搭載のショッピングカートなど、デジタルデバイスを活用した販促手法が一般化しつつあります。

こうしたデジタル化の流れは、「リテールDX」と呼ばれています。リテールDXとは、デジタル技術を活用して小売業の業務プロセスやビジネスモデルを変革する取り組みです。仕入れから販売、在庫管理まで、一連の流れをデジタルで管理することで、業務効率化と顧客体験の向上を同時に実現できます。

デジタル化が進むことで、店舗内での顧客行動データを詳細に収集できるようになりました。どの商品棚の前で立ち止まったのか、何分滞在したのか。こうしたデータを広告配信に活用することで、リテールメディアの精度はさらに高まっていきます。

サードパーティCookie規制の影響

プライバシー保護の観点から、サードパーティCookieの規制が世界的に強化されています。サードパーティCookieとは、訪問したWebサイト以外の第三者が発行するCookieのことです。ユーザーの行動を追跡し、広告配信に活用されてきました。

しかし、個人情報保護の意識が高まる中で、GoogleやAppleなどの主要ブラウザがサードパーティCookieの廃止を進めています。これにより、従来のWeb広告におけるターゲティング精度の低下が懸念されています。

こうした状況下で、ファーストパーティデータを活用するリテールメディアに注目が集まっています。顧客の同意を得て収集した自社データであれば、プライバシー規制の影響を受けにくいためです。Cookie規制が進む中で、リテールメディアは有力な代替手段として期待されています。

世界的な市場規模の拡大

リテールメディアの市場規模は、世界的に急拡大しています。メディア投資企業GroupMの予測によれば、2023年時点で世界の広告市場規模は約1,257億ドルに達しました。さらに2028年には、テレビ広告を超えて広告市場全体の15%以上を占めると見込まれています。

日本国内でも成長が加速しています。CARTA HOLDINGSが2022年に発表した調査によると、国内のリテールメディア市場規模は2022年時点で135億円、2026年には805億円に達する見通しです。わずか4年で約6倍の成長が予測されており、今後の市場拡大に大きな期待が寄せられています。

アメリカでは、AmazonやWalmartといった大手小売企業がリテールメディア事業で大きな成功を収めています。Walmartの決算によると、2021年のリテールメディア売上は約15億5,000万ドル(日本円で約2,248億円)に達しました。こうした成功事例が、世界中の小売企業にとって参考モデルとなっています。

▶参照:Reuters「Retail media ad revenue forecast to surpass TV by 2028」
▶参照:株式会社CARTA HOLDINGS「CARTA HOLDINGS、リテールメディア広告市場調査を実施」

中小店舗でも実施可能

リテールメディアは、大手企業だけのものではありません。中小規模の店舗でも、スモールスタートで導入できる手法が増えています。たとえば、既存のPOSシステムと連携可能なアプリサービスや、レンタル可能なデジタルサイネージなど、初期投資を抑えて始められるソリューションが登場しています。

まずは1店舗で小規模にテストを行い、効果を確認してから他店舗へ展開する。こうした段階的なアプローチにより、リスクを最小限に抑えながら導入を進められます。広告主となるメーカーも、地域密着型の中小店舗との連携に関心を示すケースが増えています。

特定の商圏に強い影響力を持つ店舗であれば、広告媒体としての価値は十分にあります。地域に根差した小売店だからこそ、地元の顧客ニーズを理解した広告配信が可能になるのです。

リテールメディアの種類

リテールメディアの種類のイメージ

リテールメディアは、配信する場所や方法によって「オンライン型」「オフライン型」「ハイブリッド型」の3種類に分けられます。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合った手法を選ぶことが重要です。

オンライン型リテールメディア

オンライン型は、ECサイトやアプリなどデジタル上で広告を配信する手法です。商品検索結果ページに広告を表示したり、おすすめ商品として関連商品を提案します。

代表的な例は、Amazonのスポンサープロダクト広告です。ユーザーが特定の商品を検索した際に、関連商品の広告を検索結果の上位に表示します。購買意欲の高いタイミングで広告を見てもらえるため、クリック率やコンバージョン率が高い傾向にあります。

オンライン型の強みは、詳細なデータ分析が可能な点です。どの広告がクリックされ、どれだけ購入に繋がったのか、リアルタイムで把握できます。PDCAサイクルを素早く回せるため、広告効果の最大化を図りやすい手法です。

オフライン型リテールメディア

オフライン型は、実店舗内に設置されたデジタルサイネージやデジタルPOPで広告を配信する手法です。従来の紙のポスターやチラシをデジタル化することで、柔軟な広告配信が可能になります。

店舗内デジタルサイネージの利点は、時間帯や曜日に応じて表示内容を変えられる点にあります。朝の通勤時間帯には朝食関連商品、夕方には夕食の食材といった具合に、来店客の属性に合わせた広告配信ができます。

レジ前や商品棚の前など、設置場所も戦略的に選べます。顧客が商品を手に取ろうとしている瞬間に、その商品の魅力を訴求する広告を表示する。こうした「最後の一押し」が、購買決定を後押しします。

ハイブリッド型リテールメディア

ハイブリッド型は、オンラインとオフラインを連携させた手法(OMO)です。アプリで配信したクーポンを店舗で利用してもらったり、店舗での購買履歴をもとにアプリで関連商品をおすすめします。

この手法の強みは、顧客の行動を一貫して追跡できる点にあります。オンラインでの閲覧履歴と店舗での購買履歴を統合することで、より精度の高い顧客理解が可能になります。
セブン-イレブンの事例がわかりやすい例です。

アプリで配信されたクーポンを店舗で利用すると、POSデータと紐づいて購買履歴が蓄積されます。そのデータをもとに、次回来店時に最適なクーポンを配信する。オンラインとオフラインがシームレスに繋がることで、顧客体験の向上と売上拡大の両立を実現しています。

収集できる顧客データと分析について

収集できる顧客データと分析のイメージ

リテールメディアの精度を高めるには、顧客データの収集と分析が欠かせません。どのようなデータを集め、どう活用するのか。ここでは、データ活用の基本を解説します。

収集できる顧客データの種類

小売企業が収集できるデータは、大きく3種類に分けられます。

  • 購買履歴データ
  • 来店・回遊データ
  • アプリ利用ログ

1つ目は購買履歴データです。いつ、何を、いくらで購入したのかという情報は、顧客の嗜好を理解する基本となります。POSシステムと会員カードやアプリを連携させることで、個人レベルでの購買パターンを把握できます。

2つ目は来店・回遊データです。店舗への来店頻度や時間帯、店内でどのルートを通ったのか、どの商品棚の前で立ち止まったのか。こうした行動データは、店舗レイアウトの改善や広告配信の最適化に活用できます。

3つ目はアプリ利用ログです。アプリ内でどのページを閲覧したのか、どのクーポンを利用したのか、プッシュ通知への反応率はどうだったのか。オンライン上での行動データは、顧客の興味関心を把握する重要な手がかりになります。

データ分析による顧客理解の深化

収集したデータを分析することで、顧客をより深く理解できます。

購買パターン分析では、定期的に購入される商品や、一緒に購入されやすい商品の組み合わせを発見できます。たとえば、ビールとおつまみ、シャンプーとコンディショナーなど、関連性の高い商品を把握することで、効果的なクロスセル施策を実施可能です。

顧客セグメント別の傾向分析も有効です。年齢層や家族構成、居住エリアなどで顧客をグループ分けし、それぞれの購買傾向を分析します。子育て世帯は日用品のまとめ買いが多い、単身者は少量パックの需要が高いといった傾向がわかれば、セグメントごとに最適な商品提案が可能になります。

時間帯や季節性の分析も重要です。曜日や時間帯によって来店客の属性は変わります。平日昼間は主婦層、夕方以降は会社員といった具合です。季節ごとの売れ筋商品の変化を把握することで、タイムリーな広告配信が実現できます。

パーソナライズ配信の実現

データ分析の成果を活用し、一人ひとりに最適化された情報を届けるのがパーソナライズ配信です。

個別最適化されたクーポン配信では、顧客の購買履歴に基づいて関心の高い商品の割引クーポンを送ります。いつも同じブランドのコーヒーを買っている顧客には、そのコーヒーの割引クーポンを。新商品を試す傾向がある顧客には、新発売商品のクーポンを配信します。

おすすめ商品の提案も効果的です。過去の購買履歴や閲覧履歴をもとに、興味を持ちそうな商品を提案します。機械学習を活用すれば、膨大な商品の中から最適なものを自動で選び出せます。

タイミングを見計らった情報提供では、顧客のライフサイクルを考慮します。前回の購入から一定期間が経過し、そろそろ在庫が切れる頃合いを見計らってリマインド通知を送る。こうした「気の利いた」情報提供が、顧客満足度の向上に繋がります。

リテールメディアを活用するメリット

リテールメディアを活用するメリットのイメージ
リテールメディアは、小売企業・広告主・消費者の三者それぞれにメリットをもたらします。各立場から見た具体的なメリットを解説していきます。

小売企業側のメリット

小売企業にとって、リテールメディアは複数の恩恵をもたらします。ここでは代表的な2つのメリットを紹介します。

新たな収益源の確保

リテールメディアの最大のメリットは、広告収入という新たな収益源を確保できる点です。メーカーやブランドに広告枠を提供することで、商品販売以外の収益を得られます。

小売業は薄利多売のビジネスモデルが一般的で、利益率の向上が課題となるケースが少なくありません。広告収入は、こうした収益構造の改善に貢献します。既存の顧客基盤や店舗インフラを活用するため、大きな追加投資なしで始められる点も魅力です。

実際に、アメリカのWalmartはリテールメディア事業で年間約2,248億円の売上を達成しています。日本国内でも、今後同様の成功事例が増えていくと予想されます。

顧客データの有効活用

POSシステムやアプリで収集してきた顧客データを、広告配信という形で収益化できます。これまで分析や販促にのみ活用していたデータが、新たな価値を生み出す資産へと変わります。

データを活用した広告配信は、顧客満足度の向上にも繋がります。興味のない広告を大量に見せられるのではなく、自分に関連性の高い情報だけを受け取れるためです。顧客体験を損なわずに収益を上げられる点が、リテールメディアの優れた特徴です。

広告効果のデータも蓄積されるため、マーケティング施策全体の精度向上にも役立ちます。どの商品がどの顧客層に響いたのか、時間帯による反応の違いはどうだったのか。こうした知見は、仕入れや売り場作りにも活かせます。

広告主(メーカー)側のメリット

メーカーやブランドにとっても、リテールメディアは魅力的な広告媒体です。

購買直前層へのアプローチ

リテールメディアの最大の強みは、購買意欲が最も高まっているタイミングで広告を届けられる点にあります。店舗で商品を選んでいる最中、ECサイトで商品を検索している最中。こうした「今まさに買おうとしている」顧客に対して訴求できます。

従来のテレビCMやWeb広告は、認知拡大には有効ですが、購買までの距離が遠いという課題がありました。リテールメディアでは、広告を見てから購買までの導線が短いため、コンバージョン率が高い傾向にあります。

競合商品と比較検討している段階で自社商品の魅力を訴求することで、最終的な購買決定に影響を与えられます。店頭のデジタルサイネージで使用シーンを動画で紹介したり、ECサイトで口コミ評価を目立たせるといった施策が効果的です。

詳細な効果測定が可能

リテールメディアでは、広告の表示から購買までの一連の行動を追跡できます。広告を見た人のうち何人が実際に購入したのか、どの時間帯の広告が効果的だったのか。こうした詳細なデータをもとに、広告効果を正確に測定できます。

従来の広告では、認知度の変化や好感度の向上といった間接的な指標で効果を測定していました。リテールメディアでは、売上という最終成果と広告を直接紐づけられるため、ROI(投資対効果)の算出が容易になります。

効果測定の結果をもとに、広告クリエイティブや配信タイミングを素早く改善できる点も大きなメリットです。PDCAサイクルを短期間で回せるため、限られた広告予算を最大限に活用できます。

消費者側のメリット

リテールメディアは、消費者にとっても利便性の高い仕組みです。

興味のある情報だけ受け取れる

購買履歴や閲覧履歴に基づいた広告配信により、自分に関連性の高い情報だけを受け取れます。化粧品に興味がない人に化粧品の広告を大量に見せるのではなく、実際に化粧品を購入している人にだけ新商品情報を届けます。

不要な広告によるストレスが軽減されるため、買い物体験の質が向上します。広告が「押し付けられるもの」から「役立つ情報」へと変わることで、顧客と小売企業の関係性も良好になります。

新商品の発見機会も増えます。自分の嗜好に合った商品を提案してもらえるため、これまで知らなかった商品に出会えるチャンスが広がります。

快適な買い物体験の実現

タイムリーなクーポン配信により、お得に買い物ができます。よく買う商品の割引クーポンが、ちょうど買おうと思っていたタイミングで届く。こうした「気の利いた」サービスは、顧客満足度を高めます。

店舗内のデジタルサイネージでは、商品の使い方やレシピ提案など、購買判断に役立つ情報を得られます。実際に商品を手に取りながら詳細情報を確認できるため、納得して購入できます。

アプリを活用すれば、店舗にいながら商品の在庫状況や詳細情報を確認できます。店員に声をかける必要がなく、自分のペースで買い物ができる点も、現代の消費者ニーズに合っています。

リテールメディアのデメリットと注意点

リテールメディアのデメリットのイメージ

メリットが多いリテールメディアですが、導入や運用にあたっては注意すべき点もあります。事前にリスクを把握し、適切な対策を講じることが重要です。

導入時の課題

リテールメディアを始めるには、一定の初期投資が必要になります。デジタルサイネージの設置費用、アプリ開発費用、システム構築費用など、規模によっては数百万円から数千万円の投資が発生するケースもあります。

中小規模の店舗にとって、この初期コストは大きな負担になりかねません。ただし、近年ではクラウド型のサービスやレンタル機器など、初期投資を抑えられるソリューションも登場しています。いきなり大規模に展開するのではなく、1店舗でスモールスタートし、効果を確認してから拡大していく方法が現実的です。

運用ノウハウの習得も課題です。広告配信の最適化やデータ分析には専門知識が求められます。社内に人材がいない場合は、外部パートナーの協力を得ながら段階的にノウハウを蓄積していく必要があります。

運用上の注意点

顧客データを扱う以上、プライバシー保護への配慮は欠かせません。個人情報保護法を遵守し、データの取り扱いに関する明確なポリシーを定める必要があります。顧客から同意を得ずにデータを利用したり、目的外で使用することは許されません。

データセキュリティの確保も重要です。顧客情報が漏洩すれば、企業の信頼は大きく損なわれます。適切なセキュリティ対策を講じ、定期的な監査を実施することが求められます。

広告の配信頻度や内容にも注意が必要です。過度な広告配信は、かえって顧客の不快感を招きます。同じ広告を何度も表示したり、購入直後に同じ商品の広告を出し続けるといった不適切な配信は避けるべきです。顧客体験を第一に考え、節度ある広告配信を心がけましょう。

リテールメディアの具体的な活用方法

リテールメディアの活用方法のイメージ

リテールメディアは、オンライン・オフラインそれぞれの特性を活かした活用が可能です。ここでは、具体的な活用ステップを紹介します。

ECサイトでの活用ステップ

ECサイトでのリテールメディア活用は、比較的導入しやすい手法です。

商品検索結果への広告表示では、ユーザーが検索したキーワードに関連する商品の広告を上位に表示します。たとえば「シャンプー」と検索した顧客に対して、特定ブランドのシャンプーを目立つ位置に配置します。購買意欲の高いタイミングでの露出により、クリック率と購入率の向上が期待できます。

レコメンド機能の強化も効果的です。閲覧履歴や購買履歴をもとに、顧客が興味を持ちそうな商品を提案します。「この商品を見た人はこんな商品も見ています」「よく一緒に購入されている商品」といった形で、関連商品への導線を作ります。

カートページでの関連商品提案では、購入直前のタイミングで追加購入を促します。カートに入れた商品と相性の良い商品を提案することで、客単価の向上を図れます。シャンプーをカートに入れた顧客に、同じブランドのトリートメントを提案するといった具合です。

実店舗での活用ステップ

実店舗では、デジタルサイネージを中心とした活用が一般的です。

デジタルサイネージの設置場所は戦略的に選ぶ必要があります。入口付近では来店客全体に向けた情報、売り場では該当カテゴリーの商品情報、レジ前では衝動買いを促す商品情報を表示します。動線分析のデータがあれば、より効果的な配置が可能になります。

時間帯別コンテンツの切り替えも重要です。朝は朝食関連商品、昼は軽食や飲料、夕方は夕食の食材、夜は翌日の朝食や日用品といった具合に、来店客の購買ニーズに合わせて表示内容を変更します。

POSデータとの連携により、さらに高度な施策が実現できます。在庫が豊富な商品を優先的に広告表示したり、売れ行きが鈍い商品の割引情報を強調表示するなど、在庫状況に応じた柔軟な広告配信が可能です。

アプリを活用した施策

自社アプリは、オンラインとオフラインを繋ぐハブとして機能します。

プッシュ通知の最適化では、顧客一人ひとりに最適なタイミングで情報を届けます。よく買い物をする時間帯の少し前に、お得な情報やおすすめ商品を通知します。ただし、通知の頻度が多すぎると逆効果になるため、週に1〜2回程度に抑えるのが一般的です。

位置情報を活用した配信も効果的です。店舗の近くを通りかかった顧客に、来店を促すクーポンを配信します。特定の売り場に近づいた際に、その売り場の商品情報を通知することで、購買を後押しできます。

会員ランク別の情報提供では、購買頻度や金額に応じて顧客をセグメント分けし、それぞれに最適な情報を届けます。優良顧客には限定商品の先行案内、新規顧客には初回購入特典を提供するといった具合です。

リテールメディア導入の始め方

リテールメディア導入のイメージ

リテールメディアを実際に導入する際の具体的なステップを解説します。

  • STEP1:目的と目標の明確化
  • STEP2:現状のデータ整備
  • STEP3:小規模テストの実施
  • STEP4:パートナー企業の選定

計画的に進めることで、失敗のリスクを最小限に抑えられます。

STEP1:目的と目標の明確化

まず、なぜリテールメディアを導入するのか、目的を明確にします。新たな収益源の確保なのか、顧客満足度の向上なのか、それとも両方なのか。目的によって、取るべき施策や投資すべき領域が変わってきます。

目的が定まったら、具体的な数値目標を設定します。「1年後に広告収入で月100万円を達成する」「顧客の再来店率を10%向上させる」など、測定可能な目標を立てることが重要です。

予算の検討も欠かせません。初期投資にいくらまで使えるのか、月々の運用コストはどの程度許容できるのか。現実的な予算を設定し、その範囲内で最大限の効果を得られる方法を考えます。

STEP2:現状のデータ整備

既存の顧客データを棚卸しします。POSシステムでどのようなデータを収集しているのか、会員カードやアプリの登録率はどの程度か。まずは現状を正確に把握することから始めます。

データの質も確認が必要です。購買履歴は個人と紐づいているのか、来店頻度は追跡できているのか。データが不十分な場合は、会員登録の促進やアプリの普及など、データ収集の仕組みを強化する必要があります。

不足しているデータがあれば、どうやって収集するか検討します。たとえば、店内動線データが欲しければ、カメラやビーコンの設置を検討します。ただし、プライバシーへの配慮を忘れてはいけません。

STEP3:小規模テストの実施

いきなり全店舗で展開するのではなく、まずは1〜2店舗でテストを行います。テスト店舗では、複数のパターンを試して効果を比較します。デジタルサイネージの設置場所や表示内容、アプリでのクーポン配信頻度など、様々な要素を検証します。

効果測定の指標も事前に定めておきます。広告表示回数、クリック率、購買転換率、売上への貢献度など、何を測定するのか明確にします。測定結果をもとに、何がうまくいって何がダメだったのかを分析します。

テストで得られた知見をもとに、施策を改善します。うまくいった施策は横展開し、効果が薄かった施策は見直すか中止します。こうした試行錯誤を重ねることで、自社に最適なリテールメディアの形が見えてきます。

STEP4:パートナー企業の選定

広告主となるメーカーやブランドを探します。自社で取り扱っている商品のメーカーは、最も有力な候補です。既存の取引関係を活かし、リテールメディアでの連携を提案してみましょう。

外部サービス提供者の活用も検討します。リテールメディアプラットフォームを提供する企業や、デジタルサイネージのレンタル業者など、専門業者のサポートを受けることで、スムーズな導入が可能になります。

契約条件も重要です。広告料金の設定方法、効果測定のルール、データの取り扱いなど、事前にしっかりと取り決めておく必要があります。曖昧なまま進めると、後々トラブルの原因になりかねません。

日本国内の成功事例4選

日本国内の成功事例のイメージ

国内でリテールメディアを積極的に展開している企業の事例を紹介します。各社の取り組みから、自社での導入に活かせるヒントが見つかるはずです。

セブン-イレブン|アプリとPOS連携

セブン-イレブンは、公式アプリ「セブン-イレブンアプリ」とグループ共通の会員基盤「7iD」を活用したリテールメディア事業を展開しています。

アプリ上での広告配信に加えて、顧客のセグメントに応じた個別最適化されたクーポン配信を行っています。POSデータとアプリの会員IDを紐づけることで、ポイント情報や購買履歴を蓄積し、一人ひとりに合わせた情報提供を実現しています。

コンビニエンスストアは来店者の滞在時間が短く、売り場の商品を細かく把握しにくいという特徴があります。アプリで新商品やキャンペーン情報を事前に告知することで、来店前から購買意欲を高める効果が期待できます。

▶参照:セブン-イレブン「もっと使いやすいアプリへ!『セブン-イレブンアプリ』を大幅リニューアル」

ヤマダデンキ|オムニチャネル戦略

ヤマダデンキは、サイバーエージェントとの共同で独自の広告プラットフォーム「ヤマダデジタルAds」を開発しました。オンライン・オフラインの顧客データを統合し、販促データをもとにした広告配信を行っています。

公式アプリや店舗内のデジタルサイネージを活用し、顧客の属性や興味関心に応じた情報を提供しています。さらに、モニタスとの協業により、アプリ上での広告効果を直感的に可視化できるブランドリフト調査パッケージも導入しています。

商品やブランドに対する消費者意識の変化をリアルタイムで把握できるため、広告施策の効果検証と改善をスピーディーに行えます。

▶参照:株式会社サイバーエージェント「ヤマダデンキとサイバーエージェント、販促DXにおいて業務提携を締結」

トライアル|スマートカート活用

九州地方を中心にスーパーマーケットを展開するトライアルは、店舗のデジタル化とともにリテールメディア環境の構築を推進しています。

特徴的なのが、タブレット端末付きのIoT対応ショッピングカート「スキップカート」です。来店者がポイントカードをスキ
ャンすることで、個別最適化されたクーポン情報やおすすめ商品を確認できます。
カートに備え付けられたAIカメラが、カゴに入れた商品をスキャンして合計金額を表示するため、会計前に支払額を把握できます。セルフレジとの連携により、レジ待ち時間を最短4分の1に短縮するなど、買い物体験の快適さも向上させています。

▶参照:TRIAL MAGAZINE「レジ待ち時間が最短4分の1に!トライアルのレジカートの使い方」

ファミリーマート|サイネージ展開

ファミリーマートは、全国8,500店舗以上にレジ上部のデジタルサイネージ「FamilyMartVision」を設置しています。

大画面に商品情報を訴求する広告クリエイティブを映し出すほか、エンタメ系コンテンツも配信しており、レジ待ちの際に顧客の意識に自然に入る設計になっています。公式アプリやPOSと連携したデータを活用することで、広告効果の検証も可能です。

実際の売り場と連動させた施策も実施されています。コカコーラ社との協業では、デジタルサイネージ上に商品情報を表示しながら店頭でもプロモーションを行った結果、全店におけるコーヒーカテゴリの売上が前年同期比117%に上昇しました。

サイネージ設置店舗では、未設置店舗と比べて対象商品の販売が111%となるなど、明確な効果が表れています。

▶参照:株式会社データ・ワン「店頭販促ツールと店頭サイネージの連動で商品訴求力を最大化」

リテールメディアで売上と顧客満足を両立させよう

リテールメディアで売上と顧客満足を両立させるイメージ

リテールメディアは、小売企業が保有する顧客データを活用し、購買に近い段階の顧客へ効果的にアプローチできる新しいマーケティング手法です。ECサイトやアプリでのオンライン広告、店舗内デジタルサイネージでのオフライン広告、そしてその両方を連携させたハイブリッド型など、多様な展開が可能です。

小売企業にとっては新たな収益源の確保と顧客データの有効活用、広告主にとっては購買直前層への訴求と詳細な効果測定、消費者にとっては自分に関連性の高い情報の受け取りと快適な買い物体験。三者それぞれにメリットをもたらす仕組みとなっています。

導入にあたっては初期コストやノウハウの習得といった課題もありますが、スモールスタートで始めることでリスクを抑えながらの効果検証が可能です。サードパーティCookie規制が進む中、ファーストパーティデータを活用したリテールメディアの重要性は今後ますます高まっていくと期待できます。

ー 集客にお困りの方へ ー

資料イメージ

集客を最大化するにはインターネットの活用が必須!

ネット集客をはじめるにあたって、把握しておきたいことを、分かりやすくまとめました!ネット集客の理解のために、まずはこの資料をご覧ください。

30秒で無料ダウンロード

SHARE
FacebookTwitterLineHatenaShare

この記事を書いた人

小佐
不動産業界メディアの編集長を5年以上務めたのち、現在はWeb系ジャンルで執筆中。別途アウトドア記事の経験もあり。速筆&高品質(自称)をモットーにのらりくらり生きてます。オフは旅行とお酒を楽しみに自堕落生活。

UPDATE 更新情報

  • ALL
  • ARTICLE
  • MOVIE
  • FEATURE
  • DOCUMENT