SEOを成功に導く5つのポイント~テクニカルSEOでサイトグロース~
優れたWebサイトを構築していくために欠かせないのがSEOです。成功に導くためにはポイントをしっかり見極めなければなりません。その際意識を向けておきたいのが、テクニカルな面への目配りです。
今回の記事では、SEOのテクニカルな5つの要件、成功事例そしてプラスアルファでちょっとした情報提供を織り交ぜていき、サイト運用に困っている方々のお手伝いができればと考えています。ぜひ、ご参照ください。
目次
SEOを成功に導く5つのポイント
SEO対策において、テクニカルSEOの分野は初心者には難しく感じられるものです。
しかし、きちんとした知識を得ないままWebサイトを運営してしまうと、無駄な作業が増えることや、思いがけないリスクが発生する恐れが高い確率で考えられます。
そのため、SEOに関する知識と実践を深めていくことは非常に大切です。
もちろん、リスクヘッジだけではありません。
自信を持って適切な対策を施すことができ、検索順位の上昇も期待できます。
素養を培うためにも多少の労力は厭わずに、あらかじめしっかり勉強しておきましょう。
さて、まずおさえておきたいのが基本的な対策と手順です。
テクニカルSEOは、取り組むべき課題の内訳によって、5つの段階に分けられます。
当然、目的に応じてアプローチする思考、手法も変わります。
具体的には次のとおりです。
- クローラビリティ
- インデキサビリティ
- アクセシビリティ
- ランカビリティ
- クリッカビリティ
上3つに関しては、主にWebサイトが検索結果に反映されることを阻害する要因を取り除くために考えていく必要があります。
そして下2つ。
これらはWebサイトを最適化するために大事な要素です。
それぞれの段階で対処法は異なります。
適切に取り組んだ結果、どのような効果をもたらすのか。無論、理解必須です。
テクニカルSEOの基本となるクローラビリティ(Crawlability)
テクニカルSEOにおいて、クローラビリティは最初に確認すべき項目です。
前提知識としては「クローラー(Crawler)」についておさえておく必要があります。
クローラーとは、Googleなどのロボット型検索エンジンが備えているWeb上のHTML文書や画像といったファイルを収集するプログラムのことです。といっても、クローラーはWebサイト内のすべてのページを必ずしも巡回できるわけではありません。そのため、SEO対策においてはクローラーを効率良く誘導できる仕組みを整えていかなければならないのです。
クローラビリティはWebサイトのコンテンツ量が大きくなればなるほど重要度は増すと言えるでしょう。「公開しているページが検索になかなか引っ掛からない」「Webサイトの規模に対してクローリングの頻度が少ない」といった悩みはWebサイト運用ではよくあることです。このケースに遭遇した際は、まずクローラビリティを見直すようにしましょう。
検索エンジンはサイトマップを読み込み、リンクを辿っていきながら存在するURLを見つけていく仕組みです。Webサイトを構築しているすべてのページが正しく表示されているかどうかは、ページ間で相互に与える影響を考慮しても、確実にチェックしておきたいポイントです。
いうまでもなく、ページエラーが発生している場合は、速やかに改善してください。
インデックスの阻害要因を取り除くインデキサビリティ(Indexability)
インデックス(index)とはSEOの領域において、クローラーによって集められたWebページのデータが検索エンジンのデータベースに格納されることを指します。
つまり、検索エンジン上でWebサイトが表示されるためには、公開したWebコンテンツが正しくインデックスされていることが必要です。
この前提をおさえておかなければ、いくらほかのSEO対策を行ったとしても効果は見込めません。
特に構造が複雑な場合や階層が深いWebサイトを運用するなら、注意が必要です。
そうしたなか、インデックスの阻害要因には主に次の3つが挙げられます。
- コンテンツが重複している
- 正規化されていない
- リダイレクト設定が不正に行われている
Web上に酷似したもの含めて同一のコンテンツが公開されること(重複コンテンツ)は、コピーサイトとみなされインデックスを阻害します。
また、ページを正規化せずにいると、wwwやURL末尾の「/」の有無による違いだけで別サイトと認識されてしまいます。レスポンシブではないスマホサイトを別URLで作った際も同様です。同一コンテンツと同じ扱いを受けてしまうため、つまるところコピーサイトと見なされインデックスの阻害につながります。
リダイレクトとは、特定のページから別のページに転送することです。
以前のURLが残っている中で新規のサイトに飛ばしたいといった意図であれば問題ありませんが、強引に無関係のページから遷移させるなど不自然な転送処置を行った場合、不正なリダイレクトと見なされます。もちろん、インデックスされることはないでしょう。
ページがインデックスされなければ、その時点でユーザーとの接点機会は望めません。
したがって、インデキサビリティの整備がSEOにおいて不可欠であることは、自明の理といえます。
サイトパフォーマンスの向上を目的とするアクセシビリティ(Accessibility)
アクセシビリティは、Webサイトの使いやすさにつながる部分です。SEOにおいてはサイトパフォーマンスの向上を目的としています。ユーザビリティとも意味するところは重なり、とりもなおさずユーザーに不要な負荷を掛けないために注力するポイントです。
たとえクロールやインデックスに問題がないWebサイトであっても、アクセシビリティに問題が生じていれば、検索エンジンからはマイナスの評価を受けることになります。
なお、影響を与えている要素は一つに限りません。サーバーのパフォーマンス・ページサイズ・スパムやハッキングへの対応など多岐にわたります。
検索順位への影響力が強いランカビリティ(Rankability)
ランカビリティはテクニカルSEOの基本を踏まえたうえで、さらに良いパフォーマンスへとつなげるために行うものです。
上位表示に重要な指標であるため、ここでの施策が成功をぐっと手繰り寄せるといってもいいでしょう。わずかな工夫で大きな効果を望めるケースもあります。
代表的なものとして挙げられるのが「リンクの獲得」と「関連性の最適化」です。
まず、リンクの獲得です。
外部サイトからのリンクはすなわち信頼性につながります。リンク元が公的機関や学会などであればたちまち権威性も帯び、少なからずSEOの面で良い影響を及ぼす可能性が高いです。
一方で内部リンクも侮れません。これは、関連性の最適化にもつながる話です。
たとえば、新規で作成したページからリンクを張ることによって、既存コンテンツの価値を伝えられます。内部リンクをうまく整えていきながらページを管理、運用していけば、ページ単体のSEO強化はもちろん、サイト全体においても評価が行き届くようになるはずです。
同一ジャンルなど関連ページは、なるべく内部リンクによって結びつけることをおすすめします。
ちなみに、こうしたコンテンツの関連性をもとにページが配置、整理されたサイト構造を「コンテンツサイロ」と呼びます。
ランカビリティを担保するためにも、サイト設計や運用では、一つのテーマ、トピックに対して関連するコンテンツを層状に展開するようにしましょう。
クリックしてくれる状況を生み出すクリッカビリティ(Clickability)
テクニカルSEOではクリックできる仕組み作りが欠かせません。すなわち、クリッカビリティの向上が求められます。
具体的には、商品ジャンルやレビューなど、ユーザーが興味を示してくれそうな情報に関しては、構造化データを積極的に実装するといいでしょう。そうすることで、いわゆるリッチリザルトにつながる期待が持てます。
ユーザーは何に惹きつけられるかわかりません。もしかすると、SERPs(検索スニペット)に表示された何気ない項目がきっかけでアクセスが増えることもあるかもしれません。まさにテクニカルな方法です。同様に、サムネイルを見据えて、使用画像にこだわることもおすすめします。
Webサイトの運営にテクニカルSEOは欠かせない
Webサイトのより良い運営に、上述したテクニカルSEOは欠かせません。もちろん、対応後すぐに結果が出ることは確約できませんが、URLの調整やサイトパフォーマンスの向上は少なからずSEOの成功へと近づけてくれるはずです。
「サイトの検索順位が落ちてきた」「新しいページを公開したのに検索に上がってこない」といったときには、テクニカルSEOそれぞれの要件を踏まえて、1つずつチェックしてみましょう。
加えて、テクニカルSEOで大切なのは、ユーザー視点です。検索意図も含めて、ユーザーアクションはこれからのSEOに特に大事な要素だと考えます。
そのため、アクセス解析までしっかり行うことを推奨します。流入クエリやクリック率だけでなく、ページ遷移や離脱までの流れ、滞在時間も気になるところです。改善の余地があれば適宜対応するようにしてください。ちょっとしたデータ検証から、検索結果との因果や相関にも気付けるかもしれません。
SEOで役立つツール
SEO対策を効率的に進めていくためには、各種ツールの活用も大切です。
たとえば「Google Search Console(サーチコンソール)」や「Screaming Frog SEO Spider (スクフロ)」などが挙げられます。
サーチコンソールは、Googleアナリティクスで拾えない流入キーワード(検索クエリ)を各ページ単位で教えてくれるため、使い勝手がよくサイト改善のヒントにも役立ちます。また、リンク切れはじめ404エラーに当たるページの表示やRobots.txtファイルのチェックなどページの最適化処理にも貢献度が高いツールです。
一方、スクフロはテクニカルSEOの各工程をサポートしてくれます。
Webサイト内のコンテンツやタイトルに対する重複チェックやURL構造の解析など、改善点を明確化できるツールです。
もちろん、担当者自身でも仮説、検証、分析、考察はすべきだと思いますが、これらのツールはシンプルに便利です。指針決定などを容易に判断できるケースは多々あり、作業効率化にもつながるため、積極的な活用をおすすめします。
SEOの成功事例を5選紹介
SEO対策によって、成功した企業の事例を紹介します。SEOは正解がないからこそ、実績のある企業がどのような対策を行ったのか知ることは非常に重要です。
もし、自社のサイトにも生かすことが出来そうな施策があれば、よく精査して取り組んでみても良いかもしれません。それでは紹介していきます。
株式会社ZOZO
株式会社ZOZOは、LINEヤフーの連結子会社であり、日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」や古着下取サービス「ZOZOUSED」などのアパレル関連で複数のサービスを運営しています。
アパレル業界は、流行の変化が激しく、スピーディーな対応が求められますが、常に新作が入荷するZOZOTOWNでは、そのときのトレンドにあったキーワードを的確に捉えて、SEO対策を行っているように見受けられます。また、サイト構造の改修にも力を入れており、新しくページを追加する際は、特に「テスト準備~テスト」に力を入れているとのことです。
新しく追加したページで意図しない挙動やバグが起きないように、最低でも2〜3はテストを行った後、本番環境へ反映という形をとっています。ZOZOTOWNのような大規模サイトだけでなく、中小規模のサイトでも少しのミスやサイト構造の変化によってSEOに大きな影響を与える可能性もあるため、少しの修正・追加でもテストを行うことは非常に重要です。
アパレル関連の検索をしてみると、ほとんどのクエリでZOZOTOWNが表示されています。こうした、細かい作業でも手を抜かずに行っているところから、今のZOZOTOWNがあるのかもしれません。
参考:【ZOZOTOWN】SEO担当者が注力する「テスト」と、自作のツールで工数削減を実現した話|ZOZO DEVELOPERS BLOG
dely株式会社
dely株式会社は、レシピプラットフォーム「クラシル」を運営している企業です。クラシルはアプリのイメージが強いかもしれませんが、Webサイトの運用にも力を入れています。
レシピプラットフォームはクラシルだけでなく、多種多様な媒体があるため、SEO順位を上げることはなかなか難しそうですが、コンテンツの差別化が難しいジャンルだからこそ、テクニカルSEOに注力しています。
クラシルは過去にカテゴリの精査を行っていました。カテゴリの精査は前述した、クローラビリティに大きく影響するため、テクニカルSEOを行う際は必ず押さえておきたい施策と言えます。サイトが大きくなるにつれ、カテゴリも増やしてしまいがちですが、見返すことで、必要のないカテゴリを発見できたり、コンテンツ量が少ないジャンルを発見できたりするため、定期的に見直したい項目です。
クラシルも、競合が多いレシピ系のクエリで多数上位取得しており、成功しているメディアと言えるでしょう。
参考:kurashiruが取り組むSEOのおはなし – dely Tech Blog
株式会社LIFULL(ライフル)
株式会社LIFULLは、日本最大級の不動産・住宅情報サイト【LIFULL HOME’S/ライフルホームズ】を運営している企業です。株式会社LIFULLは過去何度か、HOME’Sを大幅リニューアルしており、そのうちのひとつに、「ディレクトリ構造の改修」を行っておりました。
ディレクトリ構造の最適化は、クローラビリティに大きく影響するため、意識したいテクニカルSEO施策と言えます。大規模サイトになると、階層構造が複雑化し、ユーザーにとってもクローラーにとっても分かりにくいサイトになりがちです。ディレクトリ構造を細かくテーマごとにわけることで、わかりやすくサイト内の情報をつたえることができるため、大きくなりすぎたサイトにおすすめしたい施策と言えるでしょう。
この施策によって、リニューアル後は複数のBIGキーワードで上位表示を達成し、他の不動産会社もこの施策を取り入れるほどの効果を得たようです。
スマートキャンプ株式会社
テクニカルSEOだけでなく、コンテンツSEOによって成功した事例も紹介します。スマートキャンプ株式会社では、SaaS情報メディア「ボクシルマガジン」を運営しており、SEO対策を成功させている企業の1つと言えます。
ボクシルマガジンでは、コンテンツSEOへの取り組みを変えてから、3か月間で月間40万から70万へとUU数(一定期間内の訪問者数)が伸び、リード獲得件数も4,000件弱に倍増した実績を持っています。
PV数・UU数ともに伸び悩んでいた時期にデジタルマーケティングの総合支援を行う、「株式会社MOLTS」へSEOコンサルティングの依頼を行い、コンテンツ作成の思考法、キーワードの選定方法などを見直し、結果的に100万PVを達成するメディアへと成長しました。
SEOには正解がないからこそ、自社のリソースのみで完結するのではなく、他社の意見も取り入れることも大切ですね。
参考:3カ月でリード総数を4000件へ倍増させた『ボクシルマガジン』のコンテンツグロースの軌跡 | 株式会社THE MOLTS
東京松濤明武会 空手教室
最後に弊社がSEOの運用サポートをしているクライアントの成功事例を紹介します。東京・千葉で22の空手教室を運営している「東京松濤明武会」は、運用3年で成長率300%超え、ホームページだけで毎月約100件の問い合わせを獲得している、SEOで成功した教室です。
空手関連のハウツークエリや地域ワード+空手で複数上位表示を達成できたことで多くのUU数を獲得できてきます。
また、コンテンツSEOだけでなく、テクニカルSEOにも注力しており、サイトリニューアル時には、課題としていたページスピードの改善や各教室の固定ページを設けることで、サイト構造の改修も行っていました。
結果的にリニューアルを行っても順位が低下することなく、上位表示を維持し続けています。
SEO成功の肝は、テクニカルな部分を疎かにしないこと!
コンテンツが大事だと各所でいわれていますが、かといってテクニカルな部分を疎かにしてはいけません。むしろ、SEO成功の肝と言ってもいいでしょう。注力することで、検索順位の上位表示からPV数アップ、果てはCV数の向上にもつながる期待が持てます。
Webサイトの評価を下げてしまっている要素はクローラビリティ・インデキサビリティ・アクセシビリティの観点で確認可能です。そうした基本的な部分の対策を講じたうえで、サイトのパフォーマンスを高めるためにはリンクの見直しや関連コンテンツのグループ化を図りましょう。さらにはクリック率向上のために構造化データを実装してみるのもおすすめです。もちろん、アクセス解析でユーザーの動きを検証することも忘れてはいけません。
そうやって、随時、改善、更新を継続すれば、いつの間にかコンテンツ自体にも良い影響を及ぼし、信頼性、専門性、権威性を兼ね備えた魅力的なサイトができあがっているかもしれません。
これまでテクニカルSEOを特に意識されていなかった方は、SEOの成功体験を増やすべく、ぜひ拙稿で伝えた内容に取り組んでみてください。
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