インフルエンサーマーケティングって何?失敗しないコツも解説!
SNS上でのマーケティングが重要性を増している昨今、膨大な数のユーザーに対して影響力を持つ「インフルエンサー」は企業にとって「新時代の広告塔」となりうる存在です。
インスタグラムやYouTubeといった視覚的なコンテンツが勢いを増すなか、イメージや映像によって情報を伝達する技術に長けたインフルエンサーも数多く活躍しています。そうしたスキルや、特定の分野における認知度は、企業がマーケティングを行う上で大きな力となりうるものです。
この記事では、インフルエンサーを活用した具体的な成功事例を紹介しながら、宣伝効果の分析方法についても解説し、マーケティングを成功に導くためのポイントをお伝えしていきます。
目次
インフルエンサーマーケティングとは
インフルエンサー(influencer)は「影響を与える人」を意味し、特にSNSなどで発信力や訴求力に優れる人物を指します。インフルエンサーマーケティングとは、彼らに商品・サービスの宣伝を依頼することで、その影響力を自社のPRに活かす手法です。一般ユーザーに波及させやすい宣伝様式として、現在さまざまな業界で取り入れられています。
もともとマーケティングにおいて、「影響力のある人物に自社のPRを担当してもらう」という宣伝の形はもっともスタンダードな方法の一つです。従来は芸能人など著名な人がその役割を担ってきましたが、インターネットの普及とともに一般ユーザーのうちにも影響力を持った人物が登場しはじめ、SNSの発展にともない、芸能人にも劣らぬ認知度・発信力を持ったユーザーが現れるようになりました。
インフルエンサーマーケティングの可能性
インフルエンサーマーケティングの市場が一挙に拡大した背景として、インスタやYouTubeなど、画像や動画によるイメージ伝達が容易なSNSが登場したことが挙げられます。イメージ主体のSNSの優れた宣伝効果ゆえに、インフルエンサーの影響力はマーケティングの観点からも見過ごせないものとなり、現在では一般的なマーケティング手法として定着しつつあるといえるでしょう。
株式会社ICT総研の調査では、2020年現在まで国内のSNS利用者数は上昇を続けており、今後も上昇傾向が続くことが予想されています。この調査で注目したいのは、前年と比較した「SNS利用時間の変化」です。インスタグラムユーザーの53%、YouTubeユーザーの65%、TikTokユーザーの79%が以前よりも利用時間が増えたと回答しており、画像・動画系のプラットフォームの伸びが目立ちます。
(参照:ICT総研「2020年度 SNS利用動向に関する調査」)
とりわけインスタグラムの国内月間アクティブユーザー数(MAU)は上昇率が高く、「インスタ映え」という言葉が流行語大賞となった2017年においては2,000万人だったMAUが、2019年には3,300万人となり、市場規模の面でも拡大し続けているといえるでしょう。
(参照:フェイスブックジャパン「Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破」、ガイアックスソーシャルメディアラボ「国内MAU2,000万! Instagram Dayから見るビジネス活用の展望」)
インフルエンサーマーケティングの利点
インフルエンサーマーケティングを適切に導入・運用することで、宣伝費用を抑えつつ、ターゲット層への的確なアピールが可能となります。
SNSのつながりはユーザーの興味・関心によって形成されていることが多く、ある分野におけるインフルエンサーは、おのずとその分野に関心の高いフォロワーを抱えています。そのため自社商品のテイストや、サービスの世界観などに合致するインフルエンサーに情報を拡散してもらうことができれば、広告効果の高い形でユーザーに届けられるでしょう。
さらに、インフルエンサーとはいえ個人から発信される情報は、企業広告よりも「リアリティ」のあるものとしてユーザーに受け止められる傾向があります。インフルエンサーの投稿する画像やテキストは、「現実の生活と地続き」のものとして映るため、「利益のために作成された広告イメージ」という印象を与えにくいのです。
インフルエンサーマーケティングの事例
アピールしたい商品・サービスの特性や、期待する広告効果に応じて、利用すべきメディアや実行すべき施策は異なります。SNSのプラットフォームや、インフルエンサーのキャラクターなどを柔軟に活かしながら、マーケティングへとつなげていきましょう。
ここでは、インフルエンサーマーケティングを効果的に実践している事例を紹介します。
フォトジェニックなイメージを活用
ファッションやグルメ、観光など、フォトジェニックなイメージが得られやすい分野は、インフルエンサーマーケティングと相性がよく、とりわけ導入事例が多いです。
SNSでの投稿方法はさまざまですが、「インフルエンサーに商品を無料で提供するかわりに使用写真をタグ付け投稿してもらう」「特定の商品についてのタイアップを依頼する」「長期的に自社商品の情報を発信する契約を結ぶ」といった形が一般的に取り入れられています。
ファッションアイテムの制作・オンライン販売を手掛ける「SYSORUS(シソラス)」は、インフルエンサー「akko」さんとコラボ制作した商品のPR投稿を本人に任せています。
インフルエンサーがメディア出演していたり、著書を出版していたりするなど、その分野で高い権威性を持って一般ユーザーに認知されている場合に、特に有効な方法でしょう。
「ファッションセンターしまむら」においては、インフルエンサー「プチプラのあや」さんがディレクターを務めるブランドのアイテムを使ったコーデ写真を価格情報とともに本人が投稿。
自社の強みである「低価格帯」を前面に押し出しており、ターゲット層が欲している情報を明示した形といえます。
ユーザーに対するお役立ち情報で信頼性アップ
普段からユーザーが日常に活かせる知識を配信しているインフルエンサーの協力を仰ぐことで、自然な形で自社の商材をアピールすることができます。お菓子やパン作りの材料・道具を専門に取り扱う通販サイト「cotta(コッタ)」は、レシピ情報を発信しているインフルエンサー「ayako」さんをパートナーとして、自社製品を利用して作った画像をインスタに掲載したり、レシピ情報を自社のECサイトやYouTube上に公開したりと、ユーザーフレンドリーな情報を多角的に発信しています。
インフルエンサーの普段の投稿と親和性が高く、ユーザーにとって有用な情報を発信することにより、自然な形で自社商品の魅力をアピールできている事例といえるでしょう。
動画で商品の効果を明確に伝える
YouTuberとのタイアップもインフルエンサーマーケティングといえるでしょう。
化粧品販売を手掛ける「パラドゥ株式会社」は、自社のコスメを著名YouTuber「関根りさ」さんに実際に使用して動画を投稿してもらうことで、コスメに関心のある視聴者に的確に商品の魅力をアピールすることに成功しています。
動画コンテンツは「使い方」や「効果」を明確に示すことができるため、視聴者が購入を現実的に検討することができ、マーケティング効果の高い手法であるといえます。
インフルエンサーマーケティングを成功させるコツ
インフルエンサーマーケティングを成功に導けるかどうかは、インフルエンサーの人選やメディア、プラットフォーム選びといった「事前準備」の段階で決まるといっても過言ではありません。
以下の項では、インフルエンサーマーケティングを実践するにあたり、どのような点に留意しながら準備を進めていけばよいかを解説していきます。目的を明確にしながら、それに合致する方法を採用できるよう検討を重ねていきましょう。
投稿媒体の選定
ファッションコーデやコスメ、グルメや観光など、一枚のイメージで深い印象を与えられる商品・サービスであればインスタグラム、家電やガジェット系など機能や使用感をアピールしたい場合にはYouTubeというように、アピールしたい商材の特性に合わせて投稿する媒体を決定することが大切です。
また、SNSごとのユーザー属性の違いに目を向けることも重要です。総務省が平成30年度に行った、主要SNSの年代別の利用率の推移や性別比などの調査によると、「10代~20代の利用率が特に高いのはTwitterとインスタグラム」であり、「Twitterは男女比がほぼ同じだが、インスタグラムは女性比率が男性の1.5倍」といったことがわかります。また、YouTubeが比較的、年代や性別を問わず幅広く利用されている点も注目すべきポイントです。自社の商材のターゲット層に合わせて、媒体を選択していくことも必要となるでしょう。
(参照:総務省情報通信政策研究所「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」)
商材とインフルエンサーとのマッチングをチェック
ターゲット層に的確に情報を届けるためには、コンセプトや世界観にマッチするインフルエンサーを見つける必要があります。たとえばファッションブランドが、フォロワー数が多いからといって普段自社ブランドとは異なる系統のコーデを投稿しているインフルエンサーにPRを依頼したとしても、そのフォロワーの購買行動にはつながりにくいでしょう。
インフルエンサーの普段の投稿と連続性のある形で、自社の商材についてPRできれば、趣向の近いフォロワーに的確にアピールすることができます。
「フォロワー数=影響力」ではないことに注意
「そのインフルエンサーがどの領域でどれだけの影響力を持っているか」ということを精査しておくことも重要です。フォロワー数が多いアカウントの投稿は、それだけ多数のユーザーの目に触れることになりますが、「目に触れる数」と「興味を抱くユーザーの数」が比例するとは限りません。
マーケティング上で重要なのは、インフルエンサーの投稿に対して「深い共感・関心」がどれだけあるか、というポイントです。インフルエンサーの普段の投稿に、「いいね」やコメントなど、どれだけのエンゲージメント(投稿に対する反応)があるか、といった面も検証しておきたいところです。
目的に応じてインフルエンサーへの依頼内容を検討
インフルエンサーに自社のPRを依頼する際の形式には明確な定めがなく、目的に応じて条件を提示していくこととなります。低コストに抑えたいのであれば「商品をプレゼントするかわりにその情報を投稿してもらう」といったモニター形式に近い条件もありえますし、本格的にSNS上での広告塔としての役割を担ってほしい場合には長期的な独占契約を結ぶ、という形も考えられます。
インフルエンサーに何を期待するのか、というところから契約形態を考慮し、インフルエンサーにどれだけの負担を課すことになるのか、といった面から契約条件を検討していきましょう。
インフルエンサーマーケティングの分析方法
インフルエンサーマーケティングの効果を検証するにあたり、分析の観点をあらかじめ明確にしておくことが重要となります。SNSを通じたマーケティングにおいては特に、多様な指標を活用できるため、どこに評価軸を定めるかによって分析のあり方が大きく変わってくるのです。
目的に応じた指標の設計
インフルエンサーマーケティングの目的をどこに置くかによって、分析の際に着目すべきポイントも異なります。
一つの商品の短期的な宣伝効果を目的とするのであれば、SNSから自社ECサイトへの流入数やコンバージョン率の推移を追っていくことで成果を確認することができるでしょう。
長期的なブランディングや認知度向上を目的とする場合、効果の分析・検証に「どのような指標を用いるか」というところから検討していく必要があります。関連するハッシュタグのついた投稿数や、自社アカウントのフォロワー数の推移など、「ユーザーからのどのような関心のあり方を成果と考えるか」に応じて指標を設計していきましょう。
「指標のギャップ」は「消費者との距離」を表す
インフルエンサーに依頼したにもかかわらず、思うような成果があがっていない場合には、「ユーザーが投稿を見てから購買に至るまで」のどこで離脱が起きているのかを確認する必要があります。
「いいね」や「コメント」など、フォロワーからのエンゲージメントは増えているのに、ECサイトへの流入数が上がっていなかったり、流入数は上がっているのにコンバージョンには至っていなかったりと、指標間にギャップが生じているポイントには何らかの問題がある可能性があります。
たとえばエンゲージメント率と流入率にギャップがある場合には、「インフルエンサー本人の魅力は伝わっているが、商品の魅力が伝わっていない」「そもそもフォロワー層が商品のターゲット層と合致していない」といった原因が考えられるでしょう。効果の検証・分析により、問題の所在を見つけ、施策へとフィードバックしていくことが重要です。
まとめ
的確な運用により費用対効果の高いPR活動が可能となるインフルエンサーマーケティングは、ファッションや美容、グルメといった分野においてはもはや「定番」の手法となりつつあります。しかしこの「定番化」は、手法そのものの効果が低下することを意味するものではありません。
SNSの利用者数は現在も上昇を続けており、まだ発掘されていない市場は数多く存在していると考えられます。新たなインフルエンサーの登場や、各SNSのプラットフォームの変化、それにともなうユーザー層の変化など、SNSやインフルエンサーをめぐる状況は固定されることがなく、この流動性の高さは「つねに新しい可能性が眠っている」ことを意味しています。
SNSがどのように変わっていくとしても、大きな影響力を持つアカウントは今後もなくなることはなく、そうしたユーザーがマーケティング上きわめて大きな意義を持ちうる、ということも変わることはないでしょう。時代の変化をキャッチアップし、状況に合わせて適切な施策を導き出していくために、インフルエンサーマーケティングのノウハウを蓄積していくことが望まれます。SHARE
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