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Movable Type(ムーバブルタイプ)とは?CMSとしての特徴やWordPressとの違いを紹介

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いまや、日本の8割以上の世帯がスマートフォンを所有している時代です(参照:総務省|令和3年版 情報通信白書|デジタル活用の現状)。Webを用いたリサーチが容易になったことで、サービスを提供している側にとっても、Webの領域は無視できないものになりました。あらゆるサービスの利用を検討するユーザーにとって、運営企業がWebを活用しているか否かの事実は、印象に少なからず影響をもたらすでしょう。

そこで注目したいのが、「Movable Type」というCMS(コンテンツマネジメントシステム)です。CMSとは、専門的なプログラミングの知識がない人でも、Webサイトを簡単に構築・運営できるように設計されたツールのこと。代表的なものとしてよくWordPressが挙げられますが、Movable Typeも、同様に日本で高いシェアを誇っているCMSです。

この記事では、WordPress との違いも含め、Movable Typeの特徴やプラン、脆弱性についても触れつつ解説していきます。

Movable Typeとは

Movable Type(ムーバブルタイプ)とは、国産CMS(コンテンツマネジメントシステム)の名称です。

CMSには数多くの種類がありますが、世界で1番シェアが多いのはWordPress(ワードプレス)です。現在インターネットに公開されているサイトのうち、約42%がWordPressを使用しており、CMS業界内でのシェアは約65%にも達します。Movable Typeのマーケットシェアは、世界全体で見ると0.1%以下ですが、日本国内では上位を占める主要なCMSです。

2001年に開発されてから現在まで更新が続けられており、2022年5月現在は「Movable Type7」が最新版となっています。Movable Typeのクライアントは公式サイトからダウンロードして利用可能です。

Movable Typeの特徴

Movable Typeが日本で高い支持を得ているのにはどのような理由があるのでしょうか。CMSとしての特徴を以下に解説していきます。

独自のタグがある

Webサイトの構築にはHTMLタグを使ったコーディングも可能ですが、Movable Type内だけで動作する「MTテンプレートタグ(MTタグ)」という独自タグを用いて、サイトを構築することもできます。

MTタグには大きく分けて、サイト内のデータの置き換えられる「ファンクションタグ」と、条件で処理を分けることができる「ブロックタグ」があり、利用することでデータの管理や更新、応用といった操作の効率化が可能です。

1アカウントで複数のサイトを管理できる

Movable Typeは1アカウント作成すれば、そこから複数のサイト管理を行うことができます。CMSやアカウントを増やさず複数のサイトをまとめて管理したいという場合に便利です。

3種類のコンテンツ形式が利用できる

Movable Typeで作成できるコンテンツ形式は、「記事」「ウェブページ」「コンテンツタイプ」の3種類です。

お知らせや日記ブログといった適宜更新してサイト内に蓄積されていくページを作成・管理する際には「記事」を、企業情報や問い合わせページのような固定化するページを作成・管理する際には「ウェブページ」を、お知らせや企業情報といったサイト内のあらゆる情報を関連づけて作成・管理する際には「コンテンツタイプ」が適しています。

「コンテンツタイプ」はMovable Type7から加わった形式です。サイト内の各情報を紐づけてここに保存しておくことで、保存された情報が更新された際、その情報が関連づけられたページすべてに更新内容が反映されます。

ブロックエディタが導入されている

ページ構築をより直感的に行えるよう、ブロックエディタ機能が導入されているのも特徴です。ブロックエディタ機能とは、「テキスト」「画像」「ファイル」といった8種類ブロックを配置することでページを編集できる機能です。各ブロックはドラッグや上下ボタンで簡単に動かすことができ、レイアウトのバリエーションも豊富です。ページ構築の経験が浅い方にとって、ページ管理のハードルを大きく下げてくれる便利な機能といえるでしょう。

日本企業が提供するCMS

Movable Typeは、シックス・アパート株式会社によって提供されているCMSです。日本の企業が運営していることで、サポートを安心して受けられるという場合もあるでしょう。これが、世界的なシェア率に対して日本で高い支持率を誇っている理由かもしれません。

負荷に強い

Movable Typeではページを公開した際、静的(スタティック)なHTMLを生成させることができます。

動的(ダイナミック)なページの場合、アクセスがあるたびデータベースからデータを参照し、訪問者ごとに動的なHTMLを生成する必要があるため、サイトに負荷がかかり、ページの表示に時間がかかってしまいます。一方、静的なHTMLで作られたページは、誰がいつどこからアクセスしても同じように表示される仕様のため、サイトに負荷をかけず短時間でページを表示させることができ、大量のアクセスに対しても高い耐久性を発揮してくれます。

アカウントの権限を管理できる

Movable Typeを利用するユーザーが複数人に及ぶ場合は、アカウントを利用するユーザーを任意のグループに分けて管理することが可能です。

権限には大きく分けて、システムを管理するための「システムの管理権限」と、それぞれのウェブサイトやブログを管理するための「ウェブサイト/ブログの管理権限」の2種類があり、それぞれに属するグループごと、ユーザーごとに「いじれる項目、いじれない項目」を権限でさらに細かく設定することもできます。

サポート体制が整っている

Movable Typeを用いてWebサイトを構築していくうえで、技術的な疑問が生じる場合もあるかもしれません。

Movable Typeを運営するシックス・アパート株式会社では、ライセンスを購入してから1年間サポートを提供しています。このサポート期間は、メンテナンスを更新することにより1年単位で希望に沿って延長することが可能です。標準サポートはメールによるサポートのみで、回答には2〜3営業日を要するとしています。

また、公式リファレンスも用意されているので、サポート期間外の場合はこちらを利用してみてください。

複数のバージョンが用意されている

Movable Typeには複数のバージョンが用意されています。ソフトの機能にはバージョンによって多少の差があるため、機能やUIの詳細なハウツーは、公式サイトの製品別マニュアルを参照するとよいでしょう。

Movable TypeとWordPressの違い

WordPressは日本国内でも、世界的にも、今やWebサイト構築のスタンダードといえるまでになっています。しかしMovable TypeにもWordPressとは異なる特徴があるため、利用するシーンやユーザーの好みによっては、WordPress以上に快適なCMSとなるかもしれません。

Movable TypeとWordPressの違いを大きくまとめると、次の表のようになります。

Movable Type WordPress
利用料金 基本的に有償
※ただし個人利用専用パッケージは無償で利用可能
無償
※購入が必要なテーマもあり
拡張性 低い
※オープンソースでなく、有志によるプラグイン開発が行われていない
高い
※オープンソースソフトのため、有志が開発したプラグインを自由に利用可能
1アカウントで作成できるサイト数 複数 1つ
周辺サービスとの互換性 低い 高い
公式サポートの受けやすさ 受けやすい
※国産CMSのためヘルプもサポートも日本語。開発元が手厚いリファレンスを公開している。契約プランによってはメールでテクニカルサポートを受けられる。
受けにくい
※基本的にヘルプやフォーラムサイトは英語。
ノウハウの見つけやすさ 低い
※利用率が低いため、同様の問題を抱えているユーザーの母数が少なくなりがち ※国産CMSのためヘルプもサポートも日本語。開発元が手厚いリファレンスを公開している。契約プランによってはメールでテクニカルサポートを受けられる。
高い
※日本でもシェアが高いので、同様の困りごとを抱えているユーザーを見つけやすい

Movable Typeのライセンスの種類と料金

Movable Typeは基本的に、有料のパッケージまたはサブスクリプションを購入して利用するCMSです。商用でない個人利用(アフィリエイトは可能)に限り、専用の無料パッケージを利用することができます。

個人ユーザー以外の利用は、用途にかかわらず有償ライセンスの取得が必要です。
有料プランの料金は以下の表の通りです。

パッケージ種別 料金
Movable Type Cloud 月額5,500円~(税込)
※月額料金には「メールでのテクニカルサポート」と「最新バージョンの提供」が含まれる。 ※料金はサーバスペックなどによって変動するため、詳細は公式サイトを要確認
Movable Type ソフトウェア版
(オンライン版/パッケージ版あり)
最新バージョン(Movable Type7)99,000円(税込)
※パッケージ版は、パッケージ1本につき+3,300円(税込) ※購入から1年間、メールによるテクニカルサポートと最新バージョンの提供が付属
Movable Type Workflow pack 198,000円(税込)
※ソフトウェア版のライセンス+ワークフロー機能を追加するプラグインの同梱版 ※購入から1年間、メールによるテクニカルサポートと最新バージョンの提供が付属
Movable Type staging pack 275,000円(税込)
※ソフトウェア版のライセンス+開発・本番・ステージングの3環境を同期させるプラグインの同梱版 ※購入から1年間、メールによるテクニカルサポートと最新バージョンの提供が付属
年間メンテナンス 1年間33,000円(税込)
※購入から1年間、メールによるテクニカルサポートと最新バージョンの提供が付属 ※ソフトウェア版に付属の1年サポートが切れた場合、こちらを購入してサポートを継続する必要がある

このほか、大企業での大規模な利用を想定したエンタープライズ版や、学校および教育団体に向けてディスカウントされたアカデミックディスカウント版、さらに公式プラグインの販売も行われています。詳細は公式サイトの製品・サービスページをご確認ください。

Movable Typeの脆弱性と対策

シックス・アパート株式会社は2021年10月20日、Movable TypeのXMLRPC APIにおける脆弱性(CVE-2021-20837)に関する情報を公開しました。この脆弱性が悪用されると、第三者が遠隔で任意のOSコマンドを実行する可能性があるとされています。

脆弱性の影響を受ける可能性があるのは以下のバージョンです。

  • Movable Type 7 r.5003 以前
  • Movable Type Advanced 7 r.500 以前
  • Movable Type 6.8.3 以前
  • Movable Type Advanced 6.8.3 以前
  • Movable Type Premium 1.47 以前
  • Movable Type Premium Advanced 1.47 以前
  • サポートされていない(End-of-Life、EOL)バージョンを含むMovable Type 4.0以降のすべてのバージョン

また脆弱性への対策として、セキュリティ問題を解消した修正バージョンが提供されています。最新の修正バージョンは以下の通りです。

  • Movable Type 7 r.5005
  • Movable Type Advanced 7 r.5005
  • Movable Type 6.8.5
  • Movable Type Advanced 6.8.5
  • Movable Type Premium 1.49
  • Movable Type Premium Advanced 1.49

該当する方は速やかにアップデートで対策しましょう。

また今後も、脆弱性に関する情報が公開される可能性は大いにあります。重要な情報を見逃さないよう、公式サイトのニュースは定期的に確認しておきましょう。

適切な利用シーンでMovable Typeを活用する

「1組織で複数のサイトを管理したい」「更新コンテンツが大量に発生する可能性がある」「社内のWebサイト運営の知見が少なく手厚くサポートを受けたい」といった場合は、WordPressではなくMovable Typeを選ぶ方が適切かもしれません。

Movable TypeとWordPressのどちらを選んだとしても、最終的に実装できるサイトデザインやサイトUIについて大きな差はありません。どちらも基本的にはHTMLやCSS、PHP、Javascriptといったプログラミング言語をベースにしているため、ある程度のプログラミング知識があればサイトの仕上がりに差は出にくいでしょう。

Movable TypeとWordPressでは、主にサイトの管理・運営面で大きな違いがうまれてきます。WordPressは無料で利用できますし、Movable Typeも30日間の無料トライアルパッケージが利用可能です。実際に触れてみて、比較をしてからどちらを導入するか決めるとよいでしょう。

Webサイトは「1度制作しておしまい」ではなく、その後も長く更新し続けることで財産となります。「現場で日々の運用を担当する人間が使いやすいかどうか」を基準にCMSを選ぶことで、継続しやすい運用環境が作りやすくなるはずです。

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この記事を書いた人

イワタ ヨウスケ
大学時代は外国語、宗教関連の研究に従事。コーポレートサイトやWebメディアのライティング、書籍の出版に携わる。好きな動物は猫。ちゅ〜るは歌いながらあげる派。

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