2022年のSEO対策~シン・SEO時代に向き合いたい要点を分析~
2022年、今年もSEO対策について語ります。重要なポイントは盛りだくさんです。
多様性を持たせた検索結果、いわゆる「QDD(Query Deserves Diversity)」の傾向が加速する一方で、フレッシュネス指標を意味する「QDF (Query Deserves Freshness)」が猛威を振るい、「PAA(People Also Ask)」ではゼロクリックサーチが助長され、「SNS(Social Networking Service)」の活用は不可欠となり、同時に「MUM(Multitask Unified Mode)」の技術も気になるなか、結局は「E-A-T(Expertise Authoritativeness Trustworthiness)」が大事だと、そこかしこで担当者が宣い溜飲を下げた気になる2022年の「SEO(Search Engine Optimization)」。
さて、前口上(リード文)はここまでにして、早速本題に入ります。
目次
2022年のSEOに対する大局的見地
2022年のSEOは、ずばりマーケティングにおける総合的な力が試されることになると思います。以前からその兆候が感じられたとはいえ、今年はさらにはっきりと見てとれるのではないでしょうか。巷ではすでに“SEOは総合格闘技化している”との向きもあり「なるほど確かに」とうなずけます。
いうなれば、シン・SEO時代の到来です。
メディアプランニングの強化とともに全体最適へとシフトチェンジする会社(あるいはサービス)が出てきてもおかしくありません。実際に、それらは有効なはずです。マーケターやディレクターだけでなく、リサーチャー、ライター、校正・校閲者、アナリスト等々かき集めチームで挑める環境が、そのままアドバンテージにつながってくると思われます。たとえ個人で生計を立てるにしても、一人で戦うのは無謀。デジタルマーケティングだけでなくオフラインさえも内包し、集客手段やチャネルごとにスペシャリストを立てて盤石の体制を敷くことこそ、本質的な“2022年のSEO対策”なのかもしれません。
2022年のSEOで評価につながりやすい要素
検索結果を見渡すと、上位表示されるページの傾向としていくつか共通項が浮かび上がってきます。もちろん、それらはクエリに応じて変わりますが、2022年現在のアルゴリズムを探るヒントの一つとして少なからず有用です。なかには普遍的なシグナルに思える要素もちらほら。以下、いくつか取り上げます。
QDFアルゴリズム
遡ること10年以上も前からGoogleには「QDF(Query Deserves Freshness)」と呼ばれるアルゴリズムが存在します。これは、より新しい情報に対して高い評価を与えるというものです。最近になって再び“フレッシュネス指標”の言葉とともに見聞きする機会が増えたように思います。
クエリによるとはいえ、最新の情報を求めるユーザーが多いことは想像に容易く、QDFが検索結果に影響を及ぼす大きなシグナルであることは当然でしょう。筆者もまた検索スニペットではまず日付に視線が流れます。
そうしたなか、2022年においては、例年以上に情報の鮮度が求められているようにも思えるのです。「コンテンツマーケティング」「コンテンツSEO」といった手法がWeb業界を席巻していますが、他方、取り締まられるように有象無象のページは淘汰されています。とりわけYMYL領域で顕著です。正しい情報か否か、詳しくは後述しますがE-A-Tへの目配りもより慎重さが増し、精査されている印象を覚えます。実際に、Googleはクローラーのリソースの大半をなるべく上位サイトに割り当てキャッシュの更新、すなわちチェックを行っているはずです。近年は、以前よりインデックスの障壁が高いとの声を耳にしますが、ドメインオーソリティで分のあるサイトは端からアドバンテージやいわばシード権を持ち、クロールバジェットの恩恵を受けているのでしょう。そのうえで情報の正しさを判断するのに、“新しさ”への依存度も(差別化を図る意味でも)増していると考えられます。
更新頻度
前項の内容を踏まえ、更新頻度は重要な指標になってくるはずです。新規投稿だけでなく、リライトにも注力せざるを得ないでしょう。短いスパンで多くのコンテンツを投下し、修正の手を加え、構造化データをマークアップ。そうやって、フレッシュなサイトであることをアピールし続けることは、決して理想論の域ではありません。むしろ、最低限行うべきルーティンとして当たり前といってもいいでしょう。ドメインオーソリティが優遇されるきらいがあるからこそ、サイト全体の充実を図るべく、個別記事のアップデートを積み重ね、各ページのパワーをどの階層にも行き渡るよう意識したいところです。
Core Web Vitals(コア ウェブ バイタル)
Core Web Vitals(以下、CWV)の影響に関しては、実感する向きとそうでない層が二元化している印象を受けますが、筆者はそう規模は大きくないにせよ前者寄りです。たとえば、LCP改善のために行うサーバー側の処理は、ページ表示速度はもちろん、同時にセキュリティ面の向上にも寄与します。
これは、まさしくランキング要素として2022年にデスクトップにも導入されたページエクスペリエンスの観点からも優位性が見られるポイントです。
また、Meta(Facebook)やGoogleがHTTP/3のプロトコルで通信効率化を図っていることも無視できません。逆算思考で行き着くとはいえ、CWVの重要性がわかる一つの証左です。
E-A-T
近年、もはや手垢まみれといってもいいほど、どの媒体、そしてどの識者も「E-A-Tが大事だ」と声高らかに宣言しているわけですが、E-A-T自体はアルゴリズムでなく、直接的なランキング要素には数えられません。にもかかわらず、重要な指標だといえる(各所でいわれる)のは、シンプルにユーザー行動につながり得るものだからです。あくまでGoogleは検索意図を見極め結果に返すのみ。その分野の権威者が執筆・監修していたり、細密なデータに裏付けされていたりするコンテンツは、正しい情報を求めるユーザーのために、判断材料となるシグナルが感知され、精査され、提供されたにすぎません。裏を返せば、E-A-T対策として、とりあえず著者情報を載せる行為は本質的に的外れです。そう、大事なのはGoogleがそのコンテンツを高く評価する根拠に至る過程ではないでしょうか。なぜ、その情報が正しいといえるのか。表層的な筆者プロフィールだけでなく、そのコンテンツテーマを巡る一連の文脈で語ることが、専門性、権威性、信頼性を呼び寄せるための戦略であり、E-A-T必須時代の成功法則だと考えます。
熱量
いまだに議論されることの多いSEOと文字数の因果関係や相関ですが、2022年、そろそろ終止符を打ってもいいのではないでしょうか。
同じく“質の高いコンテンツを作れば自然と文字数は増えるもの”といった言説も、それっぽく聞こえる分、些か懐疑的な筆者です。
そのうえで、これはもう仮説と呼ぶにはあまりに稚拙かもしれませんが、結局は“熱意”が評価されるのではないかと大真面目に考えています。
「熱量が多いコンテンツが、結果的に膨大なテキストボリュームを生み、Googleからも評価される」
案外、このスキームに振り切るだけでSEOに挑める気もしなくはありません。
実際、情熱がたんまり注がれた見応え、読み応えのあるコンテンツは、ほとんどの場合、その分野、テーマに精通されている方によるものです。かといって、作成者が必ずしもプロフェッショナルというわけではありません。プロに匹敵するほど(あるいはそれ以上に)博識な方がいらっしゃるのもまた事実です。
近年は、上位表示されるページの特徴として、画像や動画、図、データ……等々、発リンクまで含めあらゆる要素、リソースがかけられているのがわかります。そのうえで、独自の見解や考察も随所に散見されます。これらはいわばすべて熱意の部分でしょう。
(もちろん、正しい情報を発信することは前提のうえ)そうやって徹底的に突き詰めて作られたコンテンツが、魅力的かつ相応に評価されるのは、至極当然だといえます。2022年はさらにその傾向が加速する気がします。
そう考えると、E-A-Tをも凌駕するオタクの探求心こそ最強の要素かもしれません。
2022年のSEOで注目したいトピック
SEOを巡る技術の進化に関しては、現在進行形でさまざまな取り組みが行われています。今年いよいよ実体が検索結果に反映されるものもあるかもしれません。
以下、2022年のうちに確実におさえておきたい注目のトピックを挙げます。
マルチモーダル検索
Googleは、検索ブラウザを起点にGoogleマップ、Google Travelといったアプリや動画、もちろんテキストコンテンツも含めさまざまなチャネルへユーザーを導こうと注力しています。冒頭でも触れたQDDをさらにはっきりとユーザーに認知させ、そのうえでUX向上へとつなげていくのが、現状、Googleが志向するSEOでの一つの極北でしょう。
それゆえ検索エンジンに、あらゆるタイプの情報を利用し高度なジャッジを下せるマルチモーダル技術が実験的に導入されているのもうなずけます。とりわけ、後述するLaMDAとMUMの言語モデルについて、SEO担当者はしっかりおさえておかなければなりません。
ユーザーの検索意図を深く吟味し、情緒や文脈まで読み取る検索エンジンが一般的に実用化されたとき、従来のキーワード中心の検索結果は終焉を迎えるでしょう。裏を返せば、シン・SEO時代のマルチモーダル検索に対応すべく、コンテンツの発信側は深層心理や抜け落ちていてはまずい情報の補完まで行うことが必須事項となると考えます。
いずれにせよ、多様な切り口と手段でユーザーと接点を図ることが大事です。
LaMDA
LaMDA(ラムダ)は「Language Model for Dialogue Applications」の略称で、対話に焦点を絞った言語モデルです。
人間同士が会話を交わすように柔軟な話題転換をも可能にする点が特徴的。余談を許すがゆえに予断を許さない、まさしく潜在心理を引き出す洞察力が(試みとして)付与されています。現状、訓練の最中とはいえ、仮にアルゴリズムに組み込まれるとなれば、クエリに対して二手、三手先を読み、情報提供することが求められるでしょう。
MUM
MUM(マム)は「Multitask Unified Model」の略称で、テキスト、画像、動画、音声などさまざまな形式の情報を扱える見込みのある、文字どおりマルチモーダルに対応した言語モデルです。2021年のSEOニュースでも取り上げましたが、アルゴリズムに組み込まれた場合、一つのクエリや一回の検索行動に対して、潜在する検索意図をくまなく読み取り検索結果に返すことが見込まれます。
そうなると単に網羅的、包括的なコンテンツといっても、そこからさらに+αの部分で競争が熾烈化することになるかもしれません。検索ユーザーさえ思いもよらなかったアイデアを提案できるか否かが勝負の分かれ目となる未来。2022年、コンテンツ制作において早速先回りしてみてはいかがでしょう。
Googleレンズの新たな可能性「Multisearch」
アメリカのユーザー向けにはすでに提供されているGoogle レンズとテキスト検索を連携させた「Multisearch」は、将来的に当たり前の検索行動になり得る画期的な機能です。
従来のGoogleレンズであれば、あくまで被写体のみをヒントに検索結果は表示されますが、Multisearchの場合、スクリーン上に設けられた“Add to your search”のボックスにテキストを入力すれば、画像とテキストの両方が組み合わさった情報まで確認できるようになります。
仮にパスタを写した状態で帽子(cap)と入力したなら、パスタのイラストが描かれた帽子を検索してくれるというわけです。
なお、Multisearch 検索はさらに技術開発が進み、今後は料理の写真に“near me”と入力することで近くのお店を探してくれたり、複数ある被写体からテキスト内容で条件を絞り込んでくれたりと、機能拡張に注力しているといいます。
日本含め世界的に導入されるのも時間の問題です。当然、SEOへの影響も考えられるでしょう。
2022年のSEO対策でおすすめしたい手法
SEO対策として存在する多くの手法のなかでも、2022年は何を実施するのが効果的なのでしょうか。あるいは新たに取り組むべき活動や施策が存在するのでしょうか。
以下、2022年の今、おすすめしたい手法をいくつか挙げていきます。
ユーザージャーニーを捉えたコンテンツデザイン
SEOにとらわれすぎたせいで皮肉にもSEOから見放されてしまうといった現象が、この先頻繁に起きる、もしくはすでに見舞われている方も多くいらっしゃるかもしれません。
たとえば文字数やキーワード出現率。これら往年のSEOで崇められていた定量指標を特に何も疑わず、そのままゴールへの必須条件としてKPIに落とし込んでしまうケースです。この本質とずれた取り組み方では、一時的に順位が上がっても持続するには難しいでしょう。ユーザーアクションに寄与しないどころか、再検索せざるを得ないコンテンツは、やはりしかるべき評価が下されます(あえて断言)。
ここで誤解してほしくないのは、前述した熱量は定量ではなく定性要素だということ。あくまで届ける相手がいてそこに思考を巡らしエネルギーを投入することが、結果的にSEOにつながるメカニズムを生んでいると考えます。つまり先に意識すべきは数ではなく受け手のアクション、つまりユーザージャーニーです。(使ってみる、行ってみるなど)自らも体験を兼ねて徹底的にリサーチし、ある程度ユーザーを理解したところで、課題や悩みを起点に理想への道筋を細かに設計するといいでしょう。おそらく途中段階であらゆる仮説が浮かび上がってくると思われます。きっと、そのなかには潜在ニーズも含まれてくるはずです。この一連の作業はユーザーを動かすことが目的であり、そこに向けてフックとなる要素を洗い出します。そうやって生まれたコンテンツは、少なくともSEOでがんじがらめになったそれと比べると、有益かつリピートされやすく、被リンク含む外部からの言及、参照も増える期待が持てるでしょう。図らずもSEOと相性の良いコンテンツのできあがりです。
したがって、アルゴリズムに組み込まれる技術が進化すればするほど、コンテンツデザインに注力する必要性は高まるものと考えます。
リッチコンテンツの作成
今後、検索結果が多様なチャネルへの導線を用意し、リッチな傾向を強めていくならば、コンテンツもまたその方向性が求められるはずです。当然、ユーザー目線でも同じことがいえます。クエリのタイプによっては端的に答えが欲しいケースもあるとはいえ、情報を深く知るためには、やはりストック型のロングフォームコンテンツが、見るからに有益に思えるはずです。
とりわけ動画は重要。記事内に埋め込むことで、まずビジビリティを高められます。写真やイラストを添えるだけでなく動画でも補完できれば、見た目はいっそう映えるため、知りたいテーマに対して豊富に情報が揃っていると思わせるのに効果的です。
もちろん、がっかりさせないようテキストの内容にも気を配らなければなりません。支離滅裂な展開で困惑を招いたり、わざわざいうまでもないフレーズでお茶を濁したり、意味のないワードの繰り返しで冗長な印象を与えたりするのは、期待させた分、マイナスに作用する恐れが高いです。
他方、流行するショート動画やインタラクティブ動画が単体で上位を占めることも、2022年の段階でないとは言い切れません。YouTubeもキーモーメントを設定すれば、検索結果にはクリックされやすい形式で表示されます。ユーザーにとって便利なのは容易にうなずけます。そのため、いっそのこと動画コンテンツに振り切ってみるのも一つの手かもしれません。
いずれにせよ、Googleの評価に即したページを作るには、テキストコンテンツの枠をいかに超えていくかがカギを握ることになるでしょう。
SNSによる広報活動
SNSで潜在顧客とつながることは有効な広報活動の一つです。と同時に、巡り巡ってその恩恵はSEOにも及びます。サイテーション、指名検索、そして被リンク。これらGoogleからの評価を高める一連のユーザーアクションを喚起させるには、外部に向けてコミュニケーションを図ることが非常に大切です。
繰り返しお伝えしている通り、今後、多様性がより強く求められていくことを考えると、一つの引き出しで一騎打ちを挑むのは極力避けたいところです。また、ランチェスターの法則に倣えば本来、分がいいのはチャネルをセグメントし資源を一点集中させるやり方ですが、こと最近のSEOに関しては、その他のプラットフォームでも戦略を仕掛け、総体的に勝利を目指していく必要があります。
いちはやく強者の戦略に乗り、そのままGoogleに強者(権威)と認識させることが大事です。
つまるところ、SNSで他社(他者)と広くネットワークを形成できれば、あらゆる方面でリレーションシップを持ったサイトとして、少なからずSEOにも良い影響を与えることでしょう。
被リンク獲得部隊の設立
SNSの運用が広報の役割に留まらずSEOにも効果的なように、被リンク獲得も、積極的に取り組むことでSEOだけでなくブランディングに寄与する可能性が出てきます。もちろん、やり方は大事です。たとえば、Ahrefs(エイチレフス)やMajestic(マジェスティック)といったSEO対策で便利なツールを使用し、自社と上位表示されている他社の被リンクを比べると、張ってもらう必要があるメディアや会社など浮かび上がってきます。そして、そこに対して被リンクの相談やお願いをしていくわけですが、とりあえず手を掛けられないからといって問い合わせ窓口にメールを送り付けるだけでは、実を結ぶ可能性は低いでしょう。だからこそ被リンク獲得部隊を確立させ、先方にも利があるよう広報同様の提案ができるとスムーズに話を進められるはずです。
海外ではこうした専門部署が当たり前のように存在しています。おそらく日本でも今後、被リンク獲得のためのチーム編成がそこかしこで組まれるに違いありません。しからば2022年、後塵を拝することにならないよう、早速、組織全体で取り組むことを推奨します。
2022年のSEO対策での注意点
攻めるだけでなく、当然、守りも意識したいところです。
以下、2022年特におさえておきたい、SEO対策での注意点を取り上げます。
大手サイトのサブドメイン、サブディレクトリ貸し
近年、ドメインオーソリティの高いサイトの下層ページやサブドメインに営業を通じて第三者のコンテンツを置く行為が問題視されています。いわゆるドメイン貸し、ディレクトリ貸しです。いまだサイトやドメイン単位で評価される傾向が強いことを理由にSEO対策で用いられるケースは少なくありません。手っ取り早く順位を上げようとするこの施策が横行してしまうのは、ユーザーだけでなくGoogleにとっても意に反する事態だといえます。しかし、現在はガイドラインに抵触するわけでもなく、実際に順位上昇も見られます。ゆえにGoogleが何かしらテコ入れせざるを得ない状況といえるでしょう。
最近はそのきらいもあり、日々のアルゴリズム変動のなかで、該当するサブドメインやサブディレクトリページの順位下落も目立ちます。なかには本体サイトへ影響を及ぼすケースもあり、使う側、貸す側、両者マイナスに作用しはじめたともいえそうです。
ドメイン貸し、ディレクトリ貸しは、何よりブランド毀損につながります。近い将来、ユーザー評価やフィードバックで検証した際に検索者を欺く行為と判断され、しかるべき処置を受けるものと思われます。したがって、現時点でも安易に飛びついてしまわないよう注意してください。
定型コンテンツを含むSEO構文のトレース
“SEOライティング”という言葉が界隈で都合よく独り歩きしてしまったからか、ある意味、方程式のような構文ができあがっているように見受けられます。そして、そのフォーマットに即して次から次へと似た記事が量産されるわけです。
いまだYMYL領域以外ではこたつ記事が跋扈する検索結果がほとんどですが、そうした表層だけをなぞったコンテンツは、いずれ自然淘汰されることでしょう。もしかするとそれは、2022年のうちにやって来るかもしれません。
情緒、文脈、潜在的な意図を理解しようと検索エンジンが進化の途上でもがくなか、自分なりの考察、場合によっては(断りを入れたうえで)偏った意見、主張さえも評価につながる可能性があります。結果、一次情報の価値はますます高くなっていくはずです。独自性に固執する必要はありませんが、コンテンツ制作、ライティングを担当する際は、形骸化したセオリーだけを盾にせず、加えて単なる模倣記事では太刀打ちできなくなるリスクも念頭に置いて取り組むべきでしょう。
2022年、SEOに関する主なニュース(随時情報更新)
2022年もSEOに関するさまざまなニュースが私たちを翻弄してくるに違いありません。
以下、毎月厳選し、お伝えします。
1月、PCの検索結果にサムネイル画像を表示
これまでモバイルではお馴染みだった検索結果でのサムネイル画像の表示ですが、PC検索でも2022年に入り、見られるようになりました。
対象クエリも含めてあくまで表示の制御はGoogleの判断ですが、うまくいくとクリック増加につながるかもしれません。
2月、PC 検索で「ページエクスペリエンス アップデート」を展開
モバイルの方ではすでに実施済みの「ページエクスペリエンス アップデート」がPC検索でも展開。これにより、PCでもウェブに関する主な指標に当たるCWVや、サイト接続の安全性を証明する材料のHTTPS、コンテンツを覆い隠すなど煩わしいインタースティシャルの有無がランキングに影響を与えることになります。目立った変動は見られないのではないかとの向きも多いとはいえ、チーム体制やリソース含めて改善の余地があれば、可能な限りしっかりと対応することを推奨します。
3月、「プロダクト レビュー アップデート」を更新
高品質な商品レビューの上位表示を目的とした検索アルゴリズムで、現在、英語のみが対象の「プロダクト レビュー アップデート」が3月に3度目の実施。
コンテンツ作成者向けにGoogleが言及している、商品レビューの観点から考慮すべき点は次のとおりです。
必要に応じて、商品に関する専門知識を伝えているか。
メーカーが提供する情報以外の独自のコンテンツで、商品の見た目や使い方を紹介しているか。
商品に求められる各種の性能がどの程度達成されているかについて、定量的測定を提供しているか。
競合商品との差別化要因について説明しているか。
比較対象となる商品を示しているか。または、特定の用途や状況にどの商品が最適か説明しているか。
調査に基づいて、特定の商品のメリットやデメリットについて述べているか。
以前のモデルやリリースから商品がどのように改善され、問題点が解消されたかなど、ユーザーの購入決定に役立つ情報を提供しているか。
商品が属するカテゴリの主な意思決定要因と、その分野での当該商品の性能を明らかにしているか。たとえば、自動車のレビューでは、燃費、安全性、運転のしやすさが主な意思決定要因であると判断し、そうした分野での性能を評価します。
メーカーからの情報以外に、商品の設計と、それがユーザーに与える影響に基づいて、重要な選択肢を示しているか。
7月には今年2回目の「プロダクト レビュー アップデート」
7月27日、GoogleはTwitterで「プロダクト レビュー アップデート」の更新を発表しました。内容については特に明記されておらず、引き続き対象言語は英語に限られる見込みです。なお、ロールアウトの際は「Google 検索ランキングの更新」ページにて、その旨が記載されるといいます。
4月、一般的な疾患に関する情報が 医療情報パネルとして表示
Google によると、毎日多くの医療・健康関連のクエリが検索されているとのこと。
そうした背景も手伝ってか、信頼性の高い情報を即座に入手できるよう医療情報のナレッジパネルが日本でも導入されました。
疾患に関する情報をGoogleで検索すると、検索結果の上部に(疾患の)概要、症状、治療法が表示されます(モバイル検索ではニュースも含まれます)。提供元は、医療・ヘルスケアサービスを運営する株式会社メディカルノートです。医師の監修を受けた、まさにGoogleが信頼を寄せる情報が掲載されます(いわずもがな、この領域で門外漢がSEOに挑むのは、非常に困難です)。
5月、コアアップデート「May 2022 Core Update」がリリース
コアアップデートとは、広範囲に渡るアルゴリズムの見直しによる検索順位の大規模な改良です。
最近は以前の3~4ヶ月程度と比べると長いスパンを空けてやってきていますが(昨年の6、7月の連続は除く)、今回も前回の2021年11月から約半年ぶりに実施されることになりました。
おそらく、多くのSEO担当者たちが「そろそろくるのではないか」と思っていたところでしょう。
2022年最初のコアアップデート、Googleの今後の指針を占う意味でもやはり動向は気になります。
コンテンツ重視か、被リンク含めた権威マンセーか、サブディレ寄生サイトにメスを入れるのか。あるいはロールアウトするまでの期間であらゆる検証を行っていくのか(結果、大胆に検索順位を揺らすのか)。
しばらくは気もそぞろでしょうが、順位が落ち着くまではGoogleに振り回されないよう、事実と仮説とユーザー心理をきちんと切り分けてコンテンツ制作には臨みたい所存です。
「May 2022 Core Update」の振り返り
5月26日に開始された2022年1回目のコアアップデートは、6月9日に完了しました。
今回の特徴をざっと振り返ると、大きくはコンテンツ重視の傾向でしょう。ドメインオーソリティ―が幅を利かせていたここ最近のアルゴリズムに比べると、作り込まれたページが評価を獲得しやすくなった印象です。再び勢いを取り戻した(上位にカムバックした)サイトもちらほら目に留まります。
2022年の現時点でSEOは、まさしく先述したリッチコンテンツのターンだといえます。同時に、多様性や独自性、更新頻度辺りも重視されているはずです。もちろん、YMYL界隈ではE-A-Tに対するジャッジがより精密に行われていることでしょう。したがって、決してドメインを軽視するようになったわけではないこともまた直感的にうかがえます。
いずれにせよ、この傾向は特にSEO担当者を惑わすものではなく、むしろGoogleが表立って発信していた内容に忠実に取り組めば果報を得られる事実を、浮き彫りにした結果だと考えます。
6月、author マークアップのベストプラクティスをGoogleが公開
Articleの構造化データに含まれるauthorマークアップについて、Googleは技術ドキュメント内でベストプラクティスを追加しました。
具体的には以下のとおりです。※参照元が英語のため、あらためて日本語で列挙します。
これらに従うことで、記事コンテンツの著者を Google に対してより明確に伝えられます。
- すべての著者をマークアップに含める
- 複数の著者を明記する(Arrayで指定。同じフィールドには記述しない)
- 追加のフィールドを使用する(サイトやSNSがあればURLとあわせて追加)
- author.name プロパティには著者の名前だけを記述する(肩書き、敬称などは別プロパティ)
- 適切なタイプを使用する(個人が該当する場合は“Person”、組織なら“Organization”)
7月、Googleが検索品質評価ガイドラインを改定
7月28日、Googleは検索品質評価ガイドラインを改定しました。
大きな変更点はYMYLに対する言及です。
ここでは、多くのトピックが YMYL ではないことを伝えています。危害を及ぼさないと思われるトピックであれば、そのおおよそがYMYLでないと判断しているようです。 また、実際の評価は二元論で語れるものではなく、スペクトルだと述べています。とはいえ YMYLの可能性があるものに関しては、E-A-Tをしっかり意識したいところです。
なお、YMYLについては、検索品質評価ガイドラインの内容も含めてこちらの記事の一部で詳しく解説しています。
8月、Helpful Content Update(ヘルプフルコンテンツアップデート)を実施
8月25日、Googleは「Helpful Content Update(ヘルプフルコンテンツアップデート)」と名付けた新しい検索アルゴリズムをリリースしました。
これは、(従来以上に)ユーザーの役に立つコンテンツを高く評価する動きです。
裏を返せば、検索エンジンのために作られたコンテンツには低評価を下すことを意味します。
また、ドメイン全体で評価されることもおさえておくべきポイントです。そのため、サイト内に存在する“役に立たない”ページが原因で検索パフォーマンスの低下を招く恐れがあります。
さて、役に立つか否かを判断する機械学習モデル(仕組み)が「classifier(クラシファイア)」です。つまり、これがランキングシグナルに当たります。役に立たないコンテンツだとclassifierに判断されたページが出てくれば、サイト全体で順位下落につながるわけです。
一方で、スパム判定とは異なります。“ペナルティ” として扱われないため、理屈上、classifier以外の要素によって上位表示されるケースも想定できます。
なお、適用される言語は現在のところ英語コンテンツのみですが、いずれ日本語にも影響すると考えるのが自然でしょう。
9月、コアアップデート「September 2022 Core Update」がリリース
日本時間の9月13日に2022年2回目のコアアップデートがリリースされました。
9月は前述の「Helpful Content Update」や今年3回目の「Product Reviews Update」も展開されたため、右往左往する担当者も少なくなかったはずです。
一応Googleは、アップデートが重ならないよう努めているとのことですが、短いスパンで次々とリリースされている現況は、ここにきてまた一つの変革タームを予感させます。
今回のコアアップデートでもまた、YMYL領域での変動幅が割に大きい傾向にあるのは、まさしく象徴的かつ示唆的です。すなわち、ユーザーファーストがより一層強化されていることがわかります。
難易度の上がった2022年のSEO対策でもっとも重要なこと
手っ取り早く情報の発端を知るのにマイクロコンテンツが主流の現在、検索結果もまた、その潮流に飲まれるかもしれません。が、意識すべきはGoogle検索を行うユーザーの行動原理です。SNSで得た知識を拡張するのに何を提供すれば満足かつ感謝してもらえるのか。複数のチャネルがクロスオーバーする現代に、熱量のある記事は欠かせません。信頼に足るソースや見せ方、導線の工夫、Googleに伝わる構造化データのマークアップ……等々、配慮すべき要素はくまなく反映させましょう。
SEOの難易度は年々確実に上がっています。
だからこそ、できるだけ多くの施策をトライすることが重要だと考えます。
つまりは総力戦。成果を手繰り寄せるには知り得る方法は全部試してみてもいいでしょう。
泥臭くあってのSEOです。
そして、せっかくなら楽しんで取り組みたいものです。
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