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今注目の「ワーケーション」とは?導入事例やプランもご紹介します!

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現在、「ワーケーション」という新しい働き方が各メディアで紹介され、注目を集めています。
新型コロナウイルスへの社会的対処として多様な労働形態についての検討が進むなか、観光と仕事を並行した新しいスタイルとして期待されているのが、この「ワーケーション」という働き方です。

「働きながら観光も楽しむ」というワーケーションのコンセプトを耳にして、「魅力的」と感じる一方、「導入が大変そう」「仕事と観光、どっちも中途半端になるのでは?」といった疑念を抱く方も多いでしょう。

この記事では、ワーケーションを取り入れて成果をあげている企業の実例や、ワーケーションに適したプランを用意している施設を紹介しながら、ワーケーションのメリットを最大限引き出すポイントをお伝えします。

ワーケーションとは

WORK VACATION

ワーケーション(Workation)とは、ワーク(Work)とバケーション(Vacation)を組み合わせた造語であり、「働きながらの休暇」といった意味をもちます。

もともとはモバイルでのネット環境が普及した2000年代から、アメリカを中心に取り入れられてきた労働形態ですが、コロナ禍により働き方を見直す機運が社会的に高まるなか、あらためて注目されるようになった概念です。
2020年7月27日には、菅官房長官(当時)が「Go Toキャンペーン」の利用を推進するとともに、その取り組みの一環として「ワーケーション」の普及に注力する方針を示したことが各メディアで報道され、大きな話題となりました。

>参照:NHKニュース

目下のところ、ワーケーションが社会的に推進される目的は「労働者の局所集中状態を改善すること」および「コロナ禍で大打撃を受けた観光事業の支援」というポイントが挙げられるでしょう。
しかし、こうした社会的課題を解決できるかもしれないというメリット以外に、ワーケーションという選択肢は企業や労働者にとって「生産性の向上」「ライフワークバランスの改善」など、大きな可能性をもつといえます。

ワーケーションを取り入れるメリットとその際の懸念点

メリットとリスク

ワーケーションと一口に言っても、労働時間やワーキングスペースなどについての基準があるわけではなく、取り入れる企業の状況に合わせてさまざまな形態が考えられます。
ワーケーションによって生じうるメリットも多岐にわたりますが、最大限の効果を得るためにはクリアしなければいけない懸念点もあるでしょう。

新しい働き方を導入する際、メリットとリスクは表裏一体のものとして存在しています。たとえば「仕事もプライベートも充実させられる」というメリットの裏には、「プライベートが仕事に侵食されてしまう」といったリスクがあり、メリットを十分に得るためには事前のリスク対策が必須です。

ここでは、ワーケーション導入により考えられるメリットと、それを達成するために解消すべきポイントについて解説していきます。

ワーケーションの形態・目的に合わせた施設選び

ワーケーションは、利用する施設やプランによって、さまざまな形態での導入が可能です。個人で施設を利用し、仕事とリフレッシュの時間にメリハリをつける、という過ごし方がまず思い浮かびますが、「家族での利用」「プロジェクトチームでの利用」など、多様な活用法に対応できるのがワーケーションの魅力です。

利用目的ごとにメリットを最大限引き出すためには、ワーケーションを行う施設の環境をしっかりチェックしておく必要があります。
家族で利用するにあたっては、客室のほかにコワーキングスペースなどが備わっている施設を、またチームでの利用においては会議室が備わっている施設を選択するなど、メリハリをつけるためには「仕事の空間」と「プライベートの空間」を明確に区切れる環境を探す必要があるでしょう。

ライフワークバランス改善によるモチベーション向上

ワーケーションをはじめとする多様な勤務形態を取り入れることで、労働者は個々の都合に応じた働き方を柔軟に選択できるようになり、働くうえでのモチベーション向上が見込めるでしょう。これまでライフワークバランスに悩んでいた人にとっても、ワーケーションでリフレッシュしたり家族と団欒したりすることができれば、メリハリをつけて仕事に臨めると考えられます。

ここで気をつけておきたいのが、「ワーケーションによってかえって労働時間が延びてしまう」という事態です。通常の勤務形態と比べて労働時間が延びてしまう原因としては、使用する機器やネットワーク環境の問題や、共有・確認・許可などのプロセスが普段と異なるなどの要因が考えられます。そのため理想としては、環境面や業務フローに支障がないか、試験的に導入する期間を設けることが望ましいでしょう。
労務面においても、労働時間を管理するためのアプリケーションを導入したり、集中する時間を作れるようコアタイム制を導入したりと、働く時間を区切るための工夫をしていくことが重要です。

プライベートを守りながらチームワークを強化

従業員が合同で宿泊施設に滞在することになれば、コミュニケーションの活性化による生産性向上といった効果も期待できるでしょう。温泉や食事などリラクゼーションの時間を共にすることで、互いの新たな一面を発見したり、価値観をすり合わせたりと、これまでになかったシナジー効果がもたらされるかもしれません。

しかし反面、チームでのワーケーションは「仕事仲間とずっと顔を合わせていなければいけない」というストレスにもつながりうるものです。「今温泉に入ったら上司に会って気まずい思いをするかもしれない」など、ワーケーションの「休暇」の側面を十分に享受できないケースも考えられます。
合宿形式でのワーケーションを実施する場合には、個々人の時間とチームでの時間を切り離すことができるよう、自由時間をしっかり確保する必要があるでしょう。

また、チーム内の関係性や距離感によって、一人ひとりワーケーションに求める要素も異なりますので、事前のアンケートなどにより意向を調査しておくとよいかもしれません。

労務面の制度を整備し、採用力を強化

ワーケーションなどの多様な働き方の選択肢は、採用活動において自社を差別化するポイントにもなります。
生産年齢人口が減少していく今後の社会情勢を鑑みても、働く側にとって魅力的な環境を整えておくことは、求人を強化するうえで重要だと考えられます。

多様な働き方を用意するにあたって、留意しておきたいのは制度やルールの整備です。ワーケーションにかかる費用は会社側がどこまで負担するのか、労働時間の管理はどうするのか、実施期間中の怪我や病気はどう扱うかなど、応募する側が気になるポイントを明確にしておくことで、求人における訴求力を高めることができるでしょう。

ワーケーション導入成功事例

MTG

ワーケーションを制度として導入する際にポイントとなるのは、事前に課題を浮き彫りにしておく、ということです。その際、自社において試験的にワーケーションを取り入れてみることも大切ですが、すでに実践している企業の事例を参考とすることも一つの方法です。
ここでは、以前からワーケーションの導入に積極的に取り組み、成果をあげている企業について紹介していきます。

大手シンクタンクによる実地調査を兼ねたワーケーション

「株式会社野村総合研究所」は、徳島県の山間部に位置する三好市のサテライトオフィスに従業員を派遣する試みを2017年から始めています。
年に3回、それぞれ約1ヵ月という長い期間にわたってワーケーションを実施する取り組みを続け、地方暮らしの体験や、地域の課題解決の契機として活用しているということです。

せわしない都会の日常を離れた生活は異なる時間の流れを感じさせ、新しい価値観や人とのつながりを実感できるといった点で、従業員一人ひとりにとって貴重な経験となるものです。また大手シンクタンクとしての役割を担う野村総合研究所としても、地方の価値や課題を具体的に見出す足掛かりとなっています。
このように、社員にとっても企業にとってもメリットを引き出せているのは、同社が「何のためにワーケーションを行うのか」という目的を明確に設定しているからでしょう。ここでは「地方の価値創出」ということが一つのテーマであり、それに則した地域や施設選びが成功のポイントになっていると考えられます。

>参照:SUUMOジャーナル「デュアルライフ・二拠点生活[17]」

ワーケーションにより生産性20%UPを達成したIT企業

顧客関係管理(CRM)の大手サプライヤーである「株式会社セールスフォース・ドットコム」は、2015年に地方創生をテーマとする総務省の「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」にワーケーションの案を提出し、それが採用されたことから、和歌山県の南紀白浜にサテライトオフィスを構え、環境を整備してきました。

美しい浜辺に囲まれた職場で、通勤のストレスなく、地域社会とのつながりを実感しながら働ける環境は、社員のモチベーション向上に大きな効果をもたらし、東京オフィスに比べて商談成立件数は20%高い数値を達成しているとのことです。

このような成功の前提となっているのは、同社がもともとあらゆる情報をクラウド上で管理していたために、離れたオフィスで働くにあたって特別な準備が必要なかった、という環境的条件です。いきなりワーケーションを取り入れるのではなく、社内共有や業務フローを多様な働き方に対応できる形へと整えておくことが、成功の一つのポイントになると言えるでしょう。

>参照:日経doors「セールスフォース 青い海見ながら働き、東京上回る成果」

観光業者による試験的ワーケーション

航空会社やツアー会社など、観光業界においては自らワーケーションを実践する企業が多く見られます。なかでも積極的に取り組んでいる「日本航空株式会社(JAL)」は、役員の実施や、社員合同、家族帯同と、さまざまな形態を実験的に導入しています。

国内の温泉地や海外のリゾート地など、ワーケーションを行う場所についても検証を重ね、従業員にとって魅力的な環境を整備していくとともに、自社商品としてワーケーションに対応したツアープランの展開にも活かしていこうという構えです。

結果として、労務面においては「有給取得率の向上」「時間外労働の削減」といった成果があり、また新規事業におけるノウハウの蓄積という面でも、全国各地のコワーキングスペースの情報をはじめ、多くの上積みがあったということです。

このように、実際に観光業界が率先してワーケーションを取り入れ、具体的な課題を浮き彫りにする過程は、実際に各企業が利用する場面へと生かされていくと言えるでしょう。

>参照:SUUMOジャーナル「『ワーケーション』がJALを変えた。地域と出合い、自分を見直す働き方」

実際にワーケーションに利用できる施設・プラン紹介

ワークスペース

ワーケーションを推進する政府の意向を受けて、現在ツアー会社や宿泊施設においてもそれに特化したプランを用意する動向が強まっています。
高速Wi-Fiなどの設備はもちろん、さまざまなポイントで差別化を図る施設が増えてきていますので、今後検討する企業にとっては状況に応じた選択肢が豊富に用意されていくことが見込まれます。
ここでは、ワーケーションを行うにあたって魅力的な設備やプランを備えた施設を紹介していきます。

都会の喧騒を離れた地方で、ワーケーション特化の施設を利用

前項の「成功事例」で紹介した徳島県三好市は、企業によるワーケーション需要に応じ、自治体が積極的にリモート勤務の環境を整備しています。

なかでも地域交流拠点施設「真鍋屋(通称:MINDE)」には、改修した古民家が立ち並び、コワーキングスペースや会議室、レンタルオフィスなど多様なビジネス形態に対応するスペースのほか、カフェやレストラン、地元の食材などを扱うマーケットなど、リラックスの時間や地域交流に活用できる施設が揃えられています。

個人や企業がワーケーションを目的に利用することはもちろん、三好市での起業を考えている方向けの「お試しオフィス」や、移住を考えている方に向けた相談窓口など、幅広い受け入れ態勢を整えている点が魅力です。
現在フリーランスの方や今後独立を考えている方、「豊かな自然のなか、地域に根差した生活を送ってみたい」と考えている方にとって、最適な環境が見つかるかもしれません。

リゾートの名所で快適にワーケーション

軽井沢や白馬などの著名なリゾート地を有する長野県も、ワーケーションの誘致に対して積極的に取り組んでいる自治体の一つです。

長野県が提供する「信州リゾートテレワーク」という専用サイトでは、12のモデル地域が取り上げられ、ワーケーションやテレワークに活用できる施設などが紹介されています。
スキーリゾートとして知られる白馬町では、北欧ログ風のロッジへの宿泊・コワーキングスペースの利用が可能な「白馬ノルウェービレッジ」、星空で有名な佐久市では、コワーキングスペースのほか「アウトドアコワーキング」といった催しも行う「ワークテラス佐久」など、ワーケーションの多様な形を提案しています。

従業員合同の大規模なワーケーションを検討する際は、軽井沢にあるプリンスホテルも魅力的な選択肢です。コワーキングスペースはもちろん、簡単なミーティング、パーティーが可能なテラスや、会議、展示会、シンポジウムなどに利用できる大型のホールなど、さまざまな規模・目的に合わせた利用が可能です。バケーションの面では、ゴルフコースやテニスコートの利用がセットとなったプランなど、軽井沢のロケーションを活かしたさまざまな楽しみ方を提供しています。

高級ホテルも連泊プランならお得に

旭川や富良野、美瑛といった観光地からアクセス良好な「星野リゾート OMO7旭川」は、現在のニーズに合わせてワーケーション専用のプランを用意しています。15泊以上の利用を対象とした「憧れのリモート書斎プラン」は、1泊1名3,000円~というリーズナブルな価格で、ワーケーションのための快適な環境を提供しています。

全客室にWi-Fiが完備されていることはもちろんですが、「OMO7旭川」の特徴であるパブリックスペース「OMOベース」では、開放的なスペースにさまざまなタイプの座席を備えた「フリーラウンジ」や、屋根裏部屋を意識したくつろぎの空間「ブックトンネル」においても50Mbps以上のWi-Fi環境を備えており、上質な空間のなかで仕事に集中できる環境が整えられています。

近隣の観光を楽しみたい時には、旭川のグルメや動物園といった定番スポットを回ってもいいですし、ご近所専門のガイド「OMOレンジャー」が提供するツアーに参加し、地元ならではのスポットを巡ってみるのもいいでしょう。

「憧れのリモート書斎プラン」は2020年11月30日までの期間限定プランですが、格安プランでなくとも魅力的なワーケーションの環境が整っていると言えます。

>参照:星野リゾート「ニュースリリース」

まとめ

新型コロナウイルスの影響により、勤務形態をめぐる「常識」は現在大きな転機を迎えています。企業が働き方の選択肢を幅広く用意することは、感染症予防という観点以外にもメリットがあり、従業員にとって多様なキャリアの選択肢を与えることになるでしょう。

現在、家事や育児、介護との両立の難しさや、副業・複業が認められないといった理由から、勤めている企業でのキャリアアップを断念したり、フリーランスへの転身を検討したりする方も存在します。ワーケーションやテレワークといった働き方が定着していくことは、これまでになかったライフプランの可能性を示し、人生における幸福のあり方に新しい観点を提供してくれると考えられます。

現在ワーケーションに対しては、過疎化に悩む地方自治体や宿泊施設、ツアー会社など、各方面からの精力的な取り組みがなされ、今後はいっそう多様な選択肢が用意されていくことが見込まれます。早い段階から対応できる社内環境を整え、「どのような施設なら実施できるか」を明確にしておくことで、その恩恵を最大限に得ることができるでしょう。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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