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コネクテッドTV(CTV)とは?広告の仕組みについて解説!

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インターネットの普及により、人々が日常的に触れるコンテンツやデバイスは大きく変化しています。なかでも近年シェアを拡大しているのが、テレビでオンラインコンテンツを視聴できる「コネクテッドTV」です。

コンテンツに対する視聴スタイルの変化は、企業の広告戦略にも少なからず影響を及ぼすでしょう。この記事では、コネクテッドTVの概要や、その広告の種類をふまえ、出稿に際してのポイントについて解説していきます。

コネクテッドTV(CTV)とは

TVを観る男性

コネクテッドTV(Connected TV、CTV)は、「インターネットへの接続機能をもったテレビ」のこと指しています。主にオンライン上のコンテンツを大画面で視聴することを目的に利用され、たとえば「YouTubeやNetflixなどを家族で楽しむ」といった使い方にも適したデバイスです。

一般に、コネクテッドTVは動画や音楽のほか、Webブラウジングをはじめとするアプリの起動にも対応しています。こうした機能面の変化にともない、テレビ機器は「テレビ放送を視聴するためのデバイス」から、「オンライン機能を通じて多様なエンターテイメントを楽しめるデバイス」へと姿を変えつつあるといえるでしょう。

こうした動向は、企業のマーケティング戦略にも徐々に影響を与えつつあります。長らく「お茶の間の主役」であったテレビ番組に代わり、オンラインコンテンツがテレビ機器のうえでも存在感を増すことで、「コネクテッドTVに最適化した広告施策」の重要性が高まっているのです。

とりわけ、オンライン環境を通じてユーザーの視聴データなどを収集しやすいコネクテッドTVは、ターゲティング精度やエンゲージメントの高さといった広告効果の面でも注目されており、今後も広告市場の規模は拡大していくと想定されています。

なお、インターネットの普及にともなう「テレビ離れ」の現状や、広告の動向については、以下の記事で詳しく扱っております。あわせてご参照ください。

コネクテッドTVの種類

コネクテッドTVは、「テレビをどのようにネットにつなげているか」という点でいくつかの種類に区分されます。

まず、従来型のテレビに通信機能やアプリを内蔵したものが「スマートTV」です。外部機器との接続を必要とせず、通常のテレビリモコン1つで操作を完結できる特徴があります。

次に、「Amazon Fire TV Stick」や「Apple TV」などに代表されるように、テレビやディスプレイ機器に外部から接続してアプリを実行する「ストリーミングデバイス」も、近年大きくシェアを伸ばしています。HDMI接続で手軽に導入できる点や、インターフェイスの使いやすさなどが特長として挙げられるでしょう。

その他、通信機能を備えたレコーダーやゲーム機などもコネクテッドTVの一種に数えられることがあります。

OTTとの関係性

コネクテッドTVは、「OTT(Over The Top)」と呼ばれるサービス群と深い関係にあります。OTTとは、YouTubeやNetflix 、Amazon Prime Videoなどのように、インターネットを通じてコンテンツを配信するサービス全般を指す言葉です。

都合のいいタイミングで好きなコンテンツを楽しめることから、OTTはスマートフォンやタブレット、コネクテッドTVなどさまざまなデバイスにおいて利用者を増やしています。なかでもコネクテッドTVは、その大画面という特性もあり、OTTときわめて親和性の高いデバイスだといえるでしょう。

両者の関係性をまとめると、「OTTを利用できるさまざまなデバイスのうち、もっとも相性のよいものの1つがコネクテッドTV」だといえます。ここから、OTTとコネクテッドTVは普及率の面で高い相乗効果をあげており、ケーブルやアンテナを用いた従来のテレビ放送に代わる新たな視聴スタイルを生み出しているのです。

コネクテッドTVの普及率や広告市場規模

「株式会社博報堂DYメディアパートナーズ」の「メディア環境研究所」による調査によれば、テレビのネット接続率は2010年代中盤から右肩上がりの傾向を見せ、2023年の段階で54.9%に及んでいます。一方、ストリーミングデバイスの普及率は33.7%であり、こちらも近年大きな上昇傾向を見せています。

(参照:博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所「メディア定点調査」

また、SMN株式会社、株式会社AJA、株式会社デジタルインファクトによる共同調査によれば、2021年におけるコネクテッドTVの広告市場は344億円に上り、前年比337%(推測)と急拡大。同調査の予測では、2023年に市場規模は1,000億円を超え、2025年には1,695億円に達する見込みです。

(参照:SMN株式会社「SMN、国内コネクテッドテレビ広告市場調査を発表」

このように、テレビのインターネット接続率が上昇するとともに、コネクテッドTVの広告市場も拡大しており、今後も大きな発展が期待される分野だといえるでしょう。

コネクテッドTV広告の特徴

テレビ画面を見るふたり

コネクテッドTV広告は、デジタル広告の一種に数えられ、効果測定やターゲティングの面で優れた特性をもっています。以下、具体的な長所や特徴について解説していきます。

ターゲティングの正確性

テレビ放送に対し、コネクテッドTVは「好きなコンテンツ」だけを集中的に視聴できる特性があり、そのぶんユーザーの嗜好が顕著になりやすいと考えられます。たとえばスポーツ全般を見ていた視聴者が、海外のサッカーリーグに専心したり、映画全般のファンが特定の監督の作品を集中して見たりなど、興味関心がより明確になる可能性があるでしょう。

ここから、広告におけるターゲティング精度の面で、コネクテッドTV広告には大きなアドバンテージが生まれると期待されます。年齢や性別、居住地といったユーザーの属性だけではなく、視聴履歴をもとにターゲティングを行うことで、より的確なアプローチがしやすくなると考えられます。

エンゲージメントの高さ

上述のターゲティング精度に加え、「テレビの大画面」に広告が表示される点も、視聴者のエンゲージメントを高めるうえで大きなポイントになるでしょう。スマートフォンの画面では確認できないような細かい部分を強調したり、映像としてのインパクトを重視したりといった戦略がより有効になってくるはずです。

さらに、OTTで配信されるコンテンツは、基本的に視聴者が「選んで見る」ものであり、広告がある場合にも「視聴を継続する意欲」が高く保たれる傾向にあります。広告のスキップを不可としているプラットフォームもあり、高い完全視聴率(動画広告が最後まで視聴される割合)が期待できるでしょう。

データ分析・検証のしやすさ

広告出稿後におけるデータ分析のしやすさは、デジタル広告全般に共通するメリットですが、これはコネクテッドTVの場合も同様です。

たとえば時間帯やユーザー属性などのセグメンテーションを行いながら、インプレッションや完全視聴率を比較し、「いつ、どんな人に広告が見られているか」「動画のどこでスキップされているか」などを客観的に検証していけるでしょう。

また、配信する広告コンテンツを随時変更できるので、テレビCMなどと比べて広告戦略を短いスパンで切り替えやすいメリットがあります。結果として、出稿から効果測定、分析から改善策の展開までのサイクルを早めていけるのです。

コネクテッドTV広告の種類

リモコンで操作する

現状のところ、コネクテッドTV広告はYouTubeやNetflixなどの「OTT広告の一部」として位置づけられる傾向にあり、配信可能な広告形式はそう多くありません。以下では主流の「インストリーム動画広告」に加え、その他の形式についても解説していきます。

インストリーム動画広告

インストリーム動画広告は、コネクテッドTV広告でもっとも一般的に取り入れられている形式であり、「ユーザーが視聴するコンテンツの合間」に挿入される広告です。

広告を挿入するタイミングによってさらに細かく区分され、本編再生前に流す「プレロール広告」、コンテンツの途中に挟み込む「ミッドロール広告」、コンテンツ終了時に流す「ポストロール広告」の3つに分けられます。

プラットフォームによってスキップ可・不可の設定はさまざまですが、スキップ可能な場合にも一定の必須視聴時間を設けているケースが多く、「数秒のうちに興味を引く工夫」を取り入れることで視聴者の関心を深められるでしょう。

視聴者側の感覚としては従来のテレビCMと近く、視聴体験を中断してしまうデメリットもあります。一方で、もともと視聴していたコンテンツと関連性のある広告が流れるケースも多く、ターゲティングしだいで高い効果が期待できるフォーマットだといえます。

インタラクティブ動画広告

インタラクティブ動画広告は、一方的に広告コンテンツを流すだけではなく、コンテンツ内に「ユーザーからのアクション」に対応する仕掛けを組み込んだ広告です。たとえば広告コンテンツの再生中にQRコードを表示したり、クリック可能なカードを表示したりといった方法が代表的でしょう。

現状のところ、コネクテッドTVにおいてインタラクティブ動画広告を出稿できるプラットフォームは多くありませんが、アクションを促す設計しだいでエンゲージメント向上を図れるメリットがあります。

なお、インタラクティブ動画広告全般の概要や作り方については、こちらの記事で詳しく解説しております。あわせてご参照ください。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告は、専用の広告枠に主としてバナー形式で表示される広告です。ストリーミングコンテンツの再生中に、視聴を妨げないかたちで表示したり、あるいはコネクテッドTVのトップ画面などに表示したりといった形式が考えられます。

広告枠に表示されることから、それが広告であることは明らかではありますが、長時間にわたって視聴者の目に触れているケースも多く、無意識のうちに認知につながりやすいメリットもあるでしょう。

コネクテッドTV広告を出稿する際のポイント

テレビにリモコンを向ける

現状のところ、コネクテッドTVに特化した広告サービスは限られており、「コネクテッドTVの利用者に狙いを定めた戦略」はいまだ確立段階にあるといえます。以下では出稿時の基本的な留意点について解説していきます。

出稿先の選定

コネクテッドTV広告は、OTTのプラットフォームによって形式がさまざまに異なります。

まずは配信できる広告形式について、「コンテンツのどこに広告を挿入できるか」「広告枠としてどの程度の尺が設けられているか」「スキップはできるか」といった点を確認する必要があるでしょう。

作り手や配信コンテンツについても、たとえばYouTubeは一般ユーザーからの投稿がメインですが、映画やドラマなどを広く配信するNetflixや、民放テレビ局が運営し、テレビ番組を配信するTVerと、大きな性質上の違いが見られます。

こうした違いから、それぞれのサービスを利用する視聴者層にも少なからず差が出てくるでしょう。まずは自社のターゲットをしっかりと見定めたうえで、それに適した配信先を選ぶことが重要です。

クリエイティブを「大画面」に最適化

多くのプラットフォームにおいて、コネクテッドTV広告は「OTT広告の一環」としてパッケージングされており、コネクテッドTVのほかにもスマートフォンやタブレット、PCなどでOTTを利用する層に広く訴求できるようになっています。

一方で、「スマートフォンは移動中に視聴されやすい」「コネクテッドTVは家族で一緒に視聴される傾向がある」など、デバイスによってユーザーの視聴スタイルも変わってくるでしょう。

出稿する際には可能なかぎり「配信先のデバイスの種類」を絞り込み、コネクテッドTVであれば「大画面で視聴される環境」に合わせたクリエイティブを用意するなどの工夫が求められます。

PDCAサイクルの効率化

コネクテッドTV広告においても、データ分析における考え方は一般的なデジタル広告と大きく変わるものではありません。ターゲティングの精度を高め、目的に応じた施策を行い、随時効果を検証しながら次の改善案へとつなげていく、というサイクルを効率的に進めていくことが大切です。

一方で、コネクテッドTVの広告戦略においては、とくに「目標をどこに設定するか」を検討しておくことが重要になります。

現状のコネクテッドTV広告の多くはインストリーム動画広告であり、「広告の出口」を用意することが難しい傾向にあります。つまり、「その後のコンバージョンにつながっているか」が見定めにくいので、効果測定の適切な方法を見つけておくことが必要でしょう。

今後、コネクテッドTVの広告市場が拡大していくとともに、出稿できる広告形式などにも変化が生じていくと考えられます。自社の商品やサービスを「誰に届けたいか」という基本に立ち返りながら、その都度目的にあわせた方法を見定めたいところです。

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この記事を書いた人

鹿嶋 祥馬
大学で経済学と哲学を専攻し、高校の公民科講師を経てWEB業界へ。CMSのライティングを300件ほど手掛けたのち、第一子が生まれる直前にフリーへ転身。赤子を背負いながらのライティングに挑む。

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