マーケティングツールとは?種類や選び方、運用方法までやさしく解説
企業が成長するには、あなたのビジネスのニーズに合った最適なマーケティングツールの選択から、その使い方の習得まで、学ぶべきことはたくさんあります。
簡単に始められるように、この記事では、マーケティングツールについて知っておくべきことをなるべく易しく盛り込みました。
「種類が多すぎて、どのツールから試せばいいか分からない!」
「MA、SFA、CRM……それぞれ何が違うの?」
そんな迷える経営者やマーケティング担当者の方には、必見の内容です。
目次
マーケティングツールとは?
マーケティングツールとは、マーケティング活動を改善・効率化するための支援ツール全般のことです。
商品やサービスが売れる仕組みをつくるための市場調査に役立つものから、営業支援、販売促進に便利なものまで、さまざまな種類があります。
搭載されている機能によりますが、どのマーケティングツールも基本的に、デジタルの力で従来は人の手で運用・管理していたものを自動化し、効率よく顧客へアプローチできるのが魅力です。
マーケティングツールの種類を知ろう
マーケティングツールには、SEOツールやWeb広告ツール、ABMといった“新規顧客の獲得”に役立つもの、MAやSFA、CRMといった“顧客の育成”“収益性の向上”に直結するものまで、さまざまなものがあります。各ツールにはそれぞれ利点があるため、個々のニーズに合わせて最適なものを理解することが重要です。
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)
「CMS」とは「Contents Management System:コンテンツ・マネジメント・システム」の略で、Webサイトのコンテンツを構成するテキストや画像、デザインやレイアウト情報(テンプレート)などを、一元的に保存・管理・更新するシステムのことです。Webサイトの運用を考えている、もしくは運用しているが成果が出ていないのであれば、導入することをおすすめします。
デジタルマーケティングを実践しようとすると、中核的な役割を果たすのがWebサイトです。CMSを利用すれば、専門知識がなくともWebページの更新・追加が可能になります。
また、CMSでオウンドメディアを立ち上げ、ユーザーに有益な情報を発信することで、効果的なコンテンツマーケティングを展開し、顧客のファン化を進めることもできます。
CMSのなかでも「WordPress(ワードプレス)」は圧倒的な導入率を誇り、扱いやすさとデザイン性を兼ね備えたツールといえます。
こんな方におすすめ
- 個人事業主~大規模企業
- Web担当者がいる(リソースがある)
- Web上からの集客に課題がある
- インバウンド/コンテンツマーケティングを強化したい
おすすめのツール
SEOツール
Webサイトの記事を検索順位の上位に表示させるために大切なのがSEO(検索エンジン最適化)です。SEO対策を行えば、広告費をかけずともPCやスマートフォン上で、多くのユーザーにリーチできます。広告費をかけずに、中長期的なWeb集客を行っていきたいのであれば、おすすめのツールです。
SEOツールは主に以下の種類に分けられます。
- 内部対策ツール
- 外部対策ツール
- コンテンツSEOツール
- 検索結果チェックツール
上位表示に必要な条件は多岐にわたり、SEO対策として必要な施策も、内部対策や外部対策、キーワード選定など幅広いため、それぞれ活用すべきSEOツールが異なります。
こんな方におすすめ
- 小規模~大規模企業
- 購買意欲の高いアクセスを集めたい
- Web上からの集客に課題がある
- 自社サイトを成長させたい
- 広告費をかけず中長期なSEOで結果を出したい
内部対策ツール
内部対策ツールは、Webサイトの階層構造を最適化や構造化データマークアップなどを施し、自社サイトのSEOを内側からサポートします。無効なリンク、不必要なリダイレクトなどの人の目だけでは気づかないような問題の検出機能を搭載していることが多く、健全なサイトづくりに役立つツールといえます。
代表的なものに、「Deep Crawl(ディープクロール)」や「パスカル」があげられます。
おすすめのツール
外部対策ツール
外部対策ツールを利用すれば、自社サイトが獲得した被リンクの量や質をチェックしながら、SEO対策に取り組むことができます。
他社サイトとの被リンク状況を比較できる「ahrefs(エイチレフス)」、被リンクの質と量がひと目で分かる「Majestic(マジェスティック)」などが代表的な外部対策ツールです。
おすすめのツール
コンテンツSEOツール
コンテンツSEOツールは、自社コンテンツをGoogleなどで検索上位に表示させ、自社サイトへのオーガニックトラフィックを増やすのに役立ちます。
効果的なSEO対策のキーワード調査から、コンテンツ作成・検証まで行うことができる「TACT SEO」、作成しているコンテンツのSEO品質をリアルタイムでスコアリングしてくれる「EmmaTools™(エマツールズ)」、たった2分で効率的にSEOのためのヒントを知ることができる「keywordmap(キーワードマップ)」などが、代表的なコンテンツSEOツールです。
おすすめのツール
検索結果チェックツール
検索順位チェックツールを利用すれば、SEO対策のうえで重要な自社サイトの検索順位の変動を、詳細に把握して最適な施策を打つことができます。
クラウド型の検索順位チェックツールの「GMO順位チェッカー」や「BULL」、過去から最新のものまですべての検索キーワードの順位をチェックすることが可能な「GRC」などが使い勝手が良いでしょう。
おすすめのツール
Web広告ツール
Web広告ツールは、Web広告運用の一部または全てを自動化し、運用の精度を高めることが可能なツールです。ツールによって、使い方や期待できる効果は異なりますが、総じて作業時間の短縮しつつ、広告効果を高めることに役立ちます。
Web広告ツールは、主に以下の種類に分けられます。
- 広告運用ツール
- 広告効果測定ツール
- 広告レポート作成ツール
- サイト改善ツール
どのツールも「Web広告の出稿を考えている」もしくは「すでにWeb広告を出稿しているが成果が出ていない」のであれば、導入の余地があるでしょう。
こんな方におすすめ
- 小規模~大規模企業
- リスティング広告を運用している
- 広告運用に時間を割けない
- 複数の広告媒体の運用を同時に行っている
- ランディングページを改善したい
広告出稿キーワード選定ツール
広告出稿キーワード選定ツールを利用すれば、自社商品に関する一般キーワードの関連キーワードを調査できます。出稿したいキーワードの想定クリック単価といった、実際に運用した際の指標を予測する機能もついているため、効率よく広告出稿キーワードを選定できるでしょう。
Googleが提供している「キーワードプランナー」は、使い勝手がよく、代表的な広告出稿キーワード選定ツールです。特にリスティング広告を運用しているに方におすすめといえます。
おすすめのツール
広告運用ツール
広告運用ツールを導入すれば、広告運用の自動化が可能で、運用データや分析結果を通して運用効果を高めるためのヒントを得られます。
代表的なツールとしては、導入実績No.1の広告運用アルゴリズムを搭載した「Shirofune(シロフネ)」があげられます。
特に広告運用に時間を割けない方や、広告運用経験の少ない方にとって、心強い味方になるはずです。
おすすめのツール
広告効果測定ツール
広告効果測定ツールを利用することで、広告のさまざまな指標を正確に測定できるようになります。複数の広告の効果測定に加え、広告媒体ごとの比較が可能なツールもあります。
高精度なトラッキング、広告媒体情報の自動取得、豊富な広告分析機能を有し、国内導入実績No.1の「AD EBiS(アドエビス)」は、代表的な広告効果測定ツールです。
特に複数の広告媒体の運用を同時に行っている場合は、導入を検討する価値があるでしょう。
おすすめのツール
広告レポート作成ツール
広告レポート作成ツールを利用すれば、広告レポート作成の自動化が可能になります。
データの集計から表やグラフの作成に至るまで、まるっと時間短縮できるため、クライアント企業の広告レポートを効率的に作成したい場合や、複数の広告媒体を運用している方、レポート作成に時間を割けない方にとって、非常に助かるツールといえます。
代表的な広告レポート作成ツールとして、初期費用0円から始められる「Databeat Explore(データビート エクスプロア)」があげられます。
おすすめのツール
サイト改善ツール
サイト改善ツールは、ランディングページを改善してコンバージョン率を向上させるのに役立ちます。
具体的に改善が必要な箇所を特定し、改善の結果を可視化できるため、特にランディングページを改善したい方やコンバージョン率を向上させたい方にはうってつけのツールでしょう。
代表的なサイト改善ツールとして、Googleが提供する「Googleオプティマイズ」があげられます。Google アナリティクスとネイティブに連携して機能するため、Webサイト全体の改善方法を短時間で把握できます。
おすすめのツール
アフィリエイト広告管理ツール
アフィリエイト広告の多くが成果報酬型です。言葉のとおり成果が発生するまで費用が発生しないため、一般的なWeb広告に比べて、無駄な広告コストを抑えやすく、費用対効果の高い広告手法といえます。
しかし、アフィリエイト広告を出稿し、成果につなげていくためには、アフィリエイト広告を掲載してくれるメディアを選定し、広告掲載のリクルーティングを行っていく必要があります。
また、メディア運営者がアフィリエイト広告を掲載したサイトをリスティング広告に出稿する際、商標ワードで出稿してしまうような不正出稿(リスティング違反)に対する監視を行う必要もあり、運用に手間がかかるという側面もあります。
そういった運用管理を効率化してくれるツールが「アフィリエイト広告管理ツール」です。
おすすめのツール
・ADXIA(アドシア)
ADXIA(アドシア)は、アフィリエイトに特化した広告代理店として18年以上の実績を誇る株式会社シードが提供するアフィリエイト広告管理ツールです。
アフィリエイトサイトのリストアップ管理とリスティング違反の監視に強く、単純作業や属人化しやすい業務領域をツールに任せることができ、アフィリエイト広告運用の効率化を図ることができます。
ADXIA(アドシア)の主な機能
- 指定キーワードでSEO上位ページのURLを自動でリスト化
- ページ内のアフィリエイトリンク有無、どのASPのリンクがあるかを自動判別
- アフィリエイトメディアのリスト管理の効率化
- 掲載打診の連絡をするためのメールフォームURLなど、連絡先を自動取得
- リスティング広告の不正出稿を監視し、該当する場合はスクリーンショットを取得
アクセス解析ツール
アクセス解析ツールは、Webマーケティングを行う上で非常に重要なツールです。ツールを導入することで、施策によるコンバージョン数やアクセス数など、詳細なデータを把握できるようになり、PDCAサイクルを効果的に回すことにつながります。
アクセス解析ツールでは、主に以下のようなデータを計測・収集できます。
- ユーザーの使用デバイス
- サイト訪問者の性別や年齢
- 流入経路(検索経由なのか、広告広告経由なのか、など)
- どのページが多く閲覧されていて、どのページで多く離脱しているか
- どのぐらい成約したのか
使用方法や見方に慣れるまで、多少の時間は要することが多いですが、ユーザーの環境や属性、行動など、さまざまな観点から計測・分析することが可能です。
Googleから無料で提供されている「Google Analytics(グーグルアナリティクス)」は代表的なアクセス解析ツールです。高性能かつ多機能、信頼のGoogle製のため、企業のWeb担当者なら、最初に導入すべきツールといえるでしょう。
こんな方におすすめ
- 個人事業主~大規模企業
- サイト内のユーザー行動を分析したい
- Webマーケティングに注力している
- PDCAサイクルを効果的、効率的に回したい
おすすめのツール
ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)
ABMとは「Account Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティング)」の略で、企業が「優良な顧客となりえる企業」を選別して、ターゲット企業(アカウント)に合わせた最適なマーケティングを行うことをいいます。
また、MA(マーケティングオートメーション)が主に個人を対象としているのに対し、ABMは企業などの組織を対象として展開していく、BtoBマーケティング手法です。
ABMツールを利用すれば、あらかじめツールに蓄積された企業データベースから、対象となる企業を分析し選定することが可能です。今まで商品やサービスごとに顧客管理されていたデータを、企業単位で管理できるため、自社の商品やサービスをターゲットとなる企業に対して適切なタイミングで提供することができます。
ターゲットを絞り込むために専門的な知識がなくても、優良顧客となりえる企業をターゲティングできるのは、大変魅力的でしょう。特に商材柄、商談1件当たりの取引高が大きく、ターゲット選定に苦戦している企業におすすめのツールといえます。
なかでも、「Marketo(マルケト)」は全世界で5,000社以上の導入実績があり、MA機能やチャネル別マーケティング機能を搭載した万能ABMツールといえます。
こんな企業におすすめ
- 中堅規模~大規模企業
- 営業担当者が複数いる
- 各部署・部門ごとに顧客データを管理している
- 商談1件当たりの取引高が大きい
おすすめのツール
MA(マーケティング・オートメーション)
MAは「Marketing Automation(マーケティング・オートメーション)」のことで、マーケティング活動の自動化・効率化を実現するための機能を搭載しています。
MAツールを導入することで、見込み顧客情報の獲得~商談化までのフェーズを効率化し、商談獲得数を最大化することが可能です。
メールマーケティングを展開しつつ、「リード獲得から育成・抽出まで一貫して効率化させたい」そんな企業におすすめです。
MAの主な効果をまとめると以下の通りです。
- 見込み顧客リストの一元管理
- メールでの見込み顧客との継続的なコミュニケーション
- サービスを検討している顧客の抽出
BtoB企業は、主に展示会への出展や広告出稿、セミナーの開催など、様々な方法で見込み顧客のリストを取得することができます。しかしながら、取得した顧客情報を人の手で管理するのは至難の業です。
また、見込み顧客といえども、自社サービスや商品に対する関心度や購入意欲は千差万別です。人の手で属性を細分化することは非常に難しいといえます。
そこで、活躍するのがMAです。見込み顧客リストを自動で一元管理するだけでなく、リードを獲得した方法や見込み顧客ごとの検討度合い、これまでのコミュニケーション履歴などに合わせて、効率的に管理することができます。加えて、購入意欲や購入する可能性に応じたスコアリング、行動による分類分けなど、属性を細分化した管理が容易にできるのです。
一元管理した見込み顧客リストに対して、効率的なメールマーケティングを展開することが可能なのもMAツールの強みです。単なる一斉メールだけではなく、セグメント(顧客の属性)に応じたターゲティングメールやステップメールで、見込み顧客の購入意欲を育成していけます。
一人一人の顧客に合わせた適切なアプローチ、スコアリングを用いた入確度の高い見込み顧客に対してのスムーズな営業活動を加速させてくれる味方こそが、MAなのです。
名前のわかる見込み顧客だけでなく、匿名の見込み顧客にも接点を創出することができる国産ツール「SATORI(サトリ)」、全世界で5,000以上導入され、BtoB BtoCや企業規模を問わず、あらゆる規模、業種の企業で幅広く採用されている「Adobe Marketo Engage(マルケト)」などが代表的なMAです。
こんな企業におすすめ
- 中小~大規模企業
- 顧客リストが膨大で管理に困っている
- リードの数はある程度獲得できたとしても、商談につながらない
- 顧客の属性、興味・関心度に応じて最適なアプローチを行いたい
- 営業一人あたりの生産性の向上を目指している
- 獲得した見込み顧客を「資産」にしたい
- 今まで受注できなかった案件・商談を獲得につなげたい
おすすめのツール
SFA (セールス・フォース・オートメーション)
SFAとは、「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」のことで、案件管理や顧客管理などを効率化・自動化する機能を搭載しています。
営業活動に欠かせない作業全般を支援するツールため「営業支援ツール」と呼ばれることも多く、「とにかく営業活動を効率化させたい」という企業におすすめです。
SFAの主な効果をまとめると以下の通りです。
- 営業活動の可視化
- 営業活動の標準化
- 営業活動の効率化
SFAツールを導入すれば、取引先、アプローチした時期、提案内容、商談フェーズ、予想受注金額など、営業にまつわる様々な情報を一元的に管理し、組織として共有することで、社内の営業活動を“見える化”できます。
商談のスケジュールや営業活動のToDoの管理がグッと楽になるのはさることながら、情報の「抜けや漏れ」を防げるのがSFAツールの魅力です。
ツール内に資料や活動履歴が蓄積されることで、営業メンバー全員がさまざまな営業データを参照することができるようになります。それにより、ナレッジやスキルの属人化を防ぎ、メンバー一人ひとりの営業力を底上げが可能になるのです。
営業活動が見える化されていないことに悩む営業マネージャーや管理職の方にとっても、営業情報が可視化されることは、案件レビュー・報告・営業会議をより効率的に進めることにつながるでしょう。
CRMアプリケーション市場において世界トップシェアを誇るSalesforceが提供するSFA/CRMシステム「Sales Cloud(セールスクラウド)」は、顧客管理、商談管理、売上予測など営業活動に欠かせない機能のほか、AI(人工知能)が組み込まれており、受注角度の高い顧客や案件も予測してくれるため、商談成約率の向上も期待できます。
こんな企業におすすめ
- 中小~大規模企業
- 営業ノウハウが属人的になっている
- ベストな状況での提案機会を逃してしまう
- 商談しても成約につながらない
- 効率と成長スピードを重視した営業組織を作りたい
おすすめツール
CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)
CRMは「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の略で、「顧客関係管理システム」と呼ばれることがあります。
適切な管理で各顧客と良好な関係を構築することを目指し、マーケティング活動を展開していくうえで有効な機能を搭載しているため、「とにかく顧客満足度を高めたい」という企業におすすめできます。
CRMの主な効果をまとめると以下の通りです。
- 顧客情報の一元管理
- 既存顧客への最適なフォロー
- 優良顧客を生み出す
- 顧客満足度の上昇
CRMツールには、クラウドサービスが多く、中小企業であれば安ければ数百円程度で導入可能なものがあるのも魅力的です。
「どの顧客から問い合わせが来たのか?」「どの顧客の購買意欲が高まりつつあるのか?」などの顧客情報をCRMツール上では、すぐに確認できます。
たとえば、ある顧客から「商品の使い方が分からない」と問い合わせが来たとしたら、「商品をより使いやすくするツールや付属品」をおすすめすることができますし、購買履歴などを見て、リピート購入しそうな顧客がいれば的確なタイミングでアプローチすることも可能になります。
CRMツールで顧客情報を社内で共有すれば、問い合わせ対応・カスタマー対応が圧倒的に円滑に進むでしょう。社内でありがちな「営業担当しか知りえない顧客情報」がなくなり、社内全体で情報共有できるため、顧客の悩みや要望にチーム全体で寄り添うことができます。コールセンターに問い合わせがあった際の対応が、スムーズになるのは間違いありません。
一人ひとりに合った提案や顧客対応、成約後のフォローが、顧客満足度の向上につながるのです。CRMツールはそのうえで大きな効果を放ちます。顧客満足度が上がれば、リピーター率の向上も期待できるでしょう。
医療、製造、小売、金融サービスなど各業界に特化した「Microsoft Dynamics 365(マイクロソフト ダイナミクス)」、非常に使いやすい管理画面で、CRMを初めて使う方でも迷わずに使える「kintone(キントーン)」などが代表的なCRMツールです。
こんな企業におすすめ
- 中小~大規模企業
- 顧客の囲い込みがうまくできない
- リピート率が上がらない
- ロイヤルカスタマー、優良顧客が少ない
おすすめのツール
最適なマーケティングツールを選択するには?
さまざまな種類のマーケティングツールについて理解を深めたところで、いよいよ個々のニーズに合ったツールを選択することになります。自社のビジネスに最もマッチするものを選ぶためのポイントについて紹介しましょう。
各ツールで「解決できる課題」に着目する
マーケティングツールは、ものによって多種多様な機能を搭載しています。それぞれの特徴を把握し、自社の課題に適したツールを選ぶことが肝心です。
以下にツールごとに、解決できる課題をまとめましたので、参考にしてみてください。
ABM | 自社の優良顧客になりえるターゲット企業の選定、アプローチ |
CMS | コーポレートサイトやサービスサイトの作成、コンテンツの新規作成・更新作業、複数の担当者でWebサイトの管理、コンテンツマーケティングの展開 |
SEOツール | 広告費をかけずにWeb上における長期的な見込み顧客の開拓 |
Web広告ツール | Web広告運用の自動化、Web上における中期的な見込み顧客の開拓 |
アクセス解析ツール | マーケティング施策のPDCAサイクル効率化、見込み顧客の獲得強化 |
MA | 見込み顧客獲得~育成・抽出におけるマーケティング活動の自動化、最適化、メールマーケティングの展開 |
SFA | 見込み顧客の育成・抽出、営業活動の可視化・標準化・効率化、商談成約率の向上 |
CRM | 見込み顧客の育成・抽出、営業活動の効率化、顧客のサービス向上、ロイヤル顧客化 |
プロセスに応じたツールの選定
特にBtoBビジネスにおいて成功したいのであれば、マーケティングプロセスに応じたツールの選定が重要といえます。
一般的なBtoBマーケティング活動には、「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」の3つのプロセスが存在します。
リードジェネレーション | 見込み顧客情報を獲得することです。見込み顧客情報が多ければ多いほど、リードナーチャリングを行える対象数も増え、多くの人々へアプローチできます。 |
リードナーチャリング | 獲得した見込み顧客を育成する段階です。リードジェネレーションで獲得した見込み顧客ごとの検討度合いに合った施策で、購買意欲を高めていきます。 |
リードクオリフィケーション | リードナーチャリングの施策で育成されたリードのなかから、確度の高い見込み顧客=成約する確率の高い見込み顧客を抽出・絞り込みます。 |
「自社の課題はこれらプロセスのどこに属しているのか?」が明確にしておくことは、課題にマッチしたツール選定において大切です。
リードジェネレーションに役立つツール
自社の製品・サービスに関心を示す個人や企業の個人情報を獲得することを指すリードジェネレーション。一般的には、展示会やイベントでの名刺交換、Webサイトでのキャンペーン、資料請求フォームなどを使って見込み顧客を獲得することが多いでしょう。
見込み顧客の獲得においては、ABMやWeb広告ツールを使用することで、効果的にターゲット層にアプローチすることが可能です。CMSを用いてオウンドメディアを構築し、SEOツールを活用すれば、Webからの集客力を高められます。施策を効率化・評価するツールとして 、アクセス解析ツールの導入もおすすめです。
リードナーチャリング・リードクオリフィケーションに役立つツール
近年では、インターネットやSNSの普及により、人々が能動的に情報収集できる環境が整ったことで、リードの購買プロセスの長期化や休眠顧客の増加が目立ちます。そこで中長期的な施策であるリードナーチャリング(見込み顧客の育成)の重要性が高まっているのです。
MA、CRM、SFAは、見込み客の育成や成約する確率の高い見込み顧客を絞り込みにおいて、非常に役立つツールです。
専門性を必要としないツールの検討
マーケティングツールを実際に導入する際は、「社内の誰でも扱えるツールなのか?」を確認しておくと安心です。特に、営業に関わるツールは「営業担当が使いやすいもの」であることは前提です。
専門性が必要なツールの場合、導入の際にコンサルタントの力を借りたり、社内教育のコストが発生したりするということを念頭に、ツールを選択しましょう。
複数連携可能なツールで相乗効果を狙う
マーケティングツールは、他システムと連携することで、単独で利用するよりも高い効果を発揮させることが可能です。
例えば、CMSでオウンドメディアを構築して、SEOツールで検索順位をあげ、Web集客力を高めつつ、MAを導入してメールマーケティングで見込み客を育成し、購買へつなげていくといったマーケティング展開も考えられます。
いずれにせよ、マーケティングツールを単一で捉えるのではなく、横断的にマーケティングプロセスの改善を図れるかどうかといった視点も大切にしましょう。とはいえ、初めてツールを導入する場合に関しては、費用や管理の面も無視できないため、「自社に必要な機能を網羅的に搭載しているもの」から候補にあげるのが得策です。
ランニングコストを見落とさない
マーケティングツールは基本的に、中長期的な運用が成功のカギを握ります。導入してすぐに成果が出ることは稀です。
マーケティングツールの料金プランは、月額性もしくは期間に応じた料金を支払う形が多く、買い切り型のサービスは少ない傾向にあります。「運用し続けることが可能なランニングコストか」という観点も忘れずに、中長期的な運用を視野に入れたツール選定を行いましょう。
押さえておきたい「MA・SFA・CRM」の強み
代表的なマーケティングツールに挙げられるMA、SFA、CRMをうまく扱うことができれば、Web集客において飛躍的に効果を生むことが期待できます。
しかし、実際はこれらのツールの運用方法について理解されていないマーケターの方々も少なくありません。そこでここでは、MA、SFA、CRMにフォーカス。マーケティングツールとしての有用性をお伝えします。
「MA」で期待できる効果
インターネットが普及したことにより、消費者の購買行動は大きく変わってきました。必要な情報があれば、すぐにネットで探すことが可能です。
そのため、BtoCはもちろん、BtoBビジネスであっても、売り手側からの一方的なセールスは敬遠される傾向が強くなっています。だからこそ注目されているのがMAです。
成果につなげるためには、リード(見込み客)の獲得、リードの育成、商談、成約、アフターフォローなど、さまざまなプロセスを経ていかなければなりません。なかでも、特に重要視されるのがリードの獲得と育成でしょう。
リードの購買意欲を高めることができれば、その後の商談や成約もスムーズに進行していく期待が持てます。そして、まさにこのミッションを自動的に対応してくれるすぐれもの、すなわち“リードの獲得と育成”に一役、二役、否それ以上も買ってくれるマーケティングツールがMAなのです。
「MA」を導入する理由
たとえば、リードを獲得してもユーザーによってタイプはまったく異なってきます。
「資料を請求してみただけ」「他社製品と比較検討している段階」「明日にでも購入したい」……等々、興味の度合いはさまざまです。それゆえ、これらのリードに対して、一律的に同じアプローチをしてしまうのは失策といえます。
したがって、マーケティングの効果を高めるべく、顧客の属性、興味・関心度、いうなればマーケティングファネルのフェーズを把握して最適なアプローチを行うことが必要でしょう。
しかし、リード一人ひとりがどのような状況下にあるのか、打ち手なしで把握するのはほぼ不可能です。そこで、MAをおすすめします。この実に便利なマーケティングツールを導入すれば、Webサイトでの閲覧履歴、資料請求や問い合わせ、展示会やセミナーへの参加など多くの情報がデータとして可視化され、リードの見込み度を容易に判断できるようになるのです。
「いつ、どのようなアプローチが効果的に作用するのか」を積年、悩み続けられていた方はぜひ、現状を打開してください。リードの育成やセグメントを自動化することができるMAは、まさしく救世主のような存在なのです。
「SFA」で期待できる効果
従来の営業手法では、ノウハウは属人的になりがちでした。どの顧客にどの段階でどの施策を講じるかは、各担当者への一任が一般的だったといえるでしょう。
そのため、場合によってはアプローチするタイミングや方法を誤って、せっかくの販売機会を逃してしまうようなこともあったのです。そこで大活躍するのがSFAです。
「SFA」を導入する理由
SFAは、社内の営業活動を“見える化”します。そして、顧客への販促の最適化に寄与します。つまり、SFAを導入すれば、誰がどの顧客に対してどのようにアプローチしているのかを一目で把握することができるため、改善点の抽出につながるのです。
SFAには顧客管理機能と営業活動管理機能があります。前者は、取引先の担当者、見込み度合い、提案内容、現時点でのステータス・フェーズなどの管理が可能です。この機能によって、営業部門全体で顧客情報は共有されるため、タスクの失念や二重アプローチなどを防ぐことができます。
一方で後者。過去にどのような営業活動を行ったのかを把握できるだけでなく、タスク管理との連動も可能なため、提案の場がより効率化されます。当然、売り上げにもつながる期待が持てることでしょう。
「CRM」で期待できる効果
CRMは、効果的なマーケティングを行うためにまさしく便利なシステムツールだといえます。
IT技術が進化したことにより、膨大な量の顧客データも、簡単に管理・分析ができるようになった昨今、CRMはその象徴かもしれません。顧客の氏名や属性、電話番号などの基本的な情報に加え、購買履歴などのデータを洗い出すことも可能です。
「CRM」を導入する理由
そもそも、売り上げにつながるマーケティングを行うためには、リードの育成や既存客の囲い込みが欠かせません。CRMを導入すれば、顧客情報を一元的に管理することができます。
潜在、顕在問わず顧客が今どのような状況にあるのか、そして、どのような戦略で攻めれば、購入に限らずコンバージョンに達することができるのか。容易に判断できるのがCRMの魅力であり、導入のメリットです。
たとえば、フェーズごとにメールを一斉配信することができる点はリード育成に大いに効果的だと考えます。仮に資料請求に至ったフェーズでは初回購入特典を案内するなどし、購入して間もない方に対しては商品の感想などを聞きつつ関連商品を販促すると、たちまち注文率が高まる期待が持てるでしょう。
また、前回購入から期間のあいてしまったお客様にはキャンペーン情報を伝えるなどすれば、休眠化を防ぐことができます。いずれにせよ、CRMの活用で顧客との関係性は高められるはずです。
押さえておきたい「MA・SFA・CRM」それぞれの活用ケース
先述した通り、MA、SFA、CRMにはそれぞれ違った特徴があります。したがって、効率よく運用する方法はそれらを踏まえて活用することです。
「MA」の活用
まず、リードの数が少ない場合にはMAの導入を検討するのがおすすめです。また、リードの数はある程度獲得できたとしても、商談につながらないなら、同じくMAの採用が適切だと考えます。
具体的なリード獲得には、資料請求や無料サンプル、無料お試し期間などを設定するとよいでしょう。潜在顧客のメールアドレスや属性が判別できれば育成にもつながります。それぞれのセグメントごとに、有益な情報を提供することが可能になるからです。結果、エンゲージメントの向上が期待できます。
「SFA」の活用
「商談しても成約につながらない」「ベストな状況での提案機会を逃してしまう」「営業ノウハウが属人的になっている」といった場合は、SFAの導入がおすすめです。SFAによって、営業管理者は各営業担当者の活動を的確に管理できるようになります。
他のメンバーの活動内容や進捗状況の共有にとどまらず、各営業担当者のスキルアップにも貢献するのがこのツール。効率と成長スピードを重視した組織を目指すのにうってつけです。
「CRM」の活用
顧客の囲い込みがうまくできない、リピート率が上がらないような場合は、CRMの導入を検討するのがよいでしょう。
各顧客の状況を把握し、最適なアプローチを可能とするメリットは、中長期的にも収益アップが見込めます。その代わりに、顧客にとって有益な情報を提供するのは絶対条件です。これがうまくいけば、いわゆるロイヤルカスタマーが増え、他社との差別化にもつながります。
収益性を高める「MA・SFA・CRM」の運用方法とは?
マーケティングツールにはそれぞれ特徴があり、上手く活かすことができてはじめて効果が発揮されます。拙稿にて取り上げたMA、SFA、CRMも同様です。
「ただ使うだけで飛躍的な業務改善、収益アップにつながる」といった過度な期待はご法度といっても過言ではありません。
あらゆるケースに対応できるよう、自社の課題をしっかりと分析し、仮説を立て、導入目的に沿った運用方法を確立できるかどうか。そのなかで試行錯誤はどうしても必要です。
ここでは、収益性を高める「MA・SFA・CRM」の運用方法のヒントについて重要ポイントを2つお伝えします。
顧客データベースの構築
MA・SFA・CRMを活用するにあたっては、顧客データベースの構築が重要です。とりわけ、リード獲得はマーケティング部門、リード育成はコールセンター部門、商談・成約は営業部門といったように、複数の部門で同じ顧客データベースを利用するような場合は、各部門から情報を集めて一元管理できるようにする必要があります。
当然、その手順は大事です。顧客データベースを構築する際には、まずどのような情報を登録するのかをしっかりと検討しましょう。
リードの氏名や年齢などの属性情報に関する項目はもちろんですが、リードの見込み度合いや営業フェーズまで判断できるように設定するのがポイントです。誰が見ても、一目で成約可能性をわかるのが理想だと思ってください。
ただし、設定する項目の数が多ければよいというわけではありません。情報量が多いほど成果につながると思われがちですが、めったに使用しない項目まで設定してしまうと、データが重くなるだけでなく、メンテナンスや管理の手間も面倒になります。
また、アップロードも大切です。顧客データベースが更新されずに古い状態のままだと、せっかくの販促機会を失いかねません。また、重複に気付かず、同じ内容を提案する羽目になるなどして信用を損ねる可能性もあります。
顧客データベースは、更新に及ぶまで社内ルールの徹底管理が肝要です。些細なことのように思えるかもしれませんが、侮ってはいけません。
リードを可視化する方法
MAではリードの見込み度合いや購買意欲を判断するのに指標が必要です。ここで重宝されるのが、俗にいうスコアリング。スコアリングとは、リードの行動に対して点数をつけていく方法です。
たとえば、資料請求は10点、問い合わせは20点、無料会員登録で30点、セミナーへの参加で40点といった具合に顧客のアクションに点数をつけていきます。この方式に従えば、リードの購買意欲が点数で把握でき、誰もが客観的に状況を判断できるはずです。
BtoBの場合には、誰の行動なのかによって点数を変えるとよいでしょう。決裁権のある役員だったら10点、キーマンと予想される部門長だったら5点、窓口の担当者だったら3点のように配点したうえで、基準点に一定のラインを設けることをおすすめします。つまるところ、合計点数によって購入もしくは成約の可能性を図るイメージです。
具体的な活用法としては、リード育成をマーケティング部門が行い、100点を超えたら営業部門に引き継ぐといった連携を取れると効果的にビジネス商談に臨めるでしょう。
ただし、スコアリングに頼りすぎないことも大事です。点数が高いからといって成約につながらない場合もあれば、その逆、点数が低くても即購入に至ることも出てきます。
点数だけにとらわれずにリードを的確に把握するためには、やはり対面営業などで定期的にコミュニケーションをとることは欠かせません。見込み度合いはどれぐらいなのか、成約するにあたって予算などネックになっていることはないかなどの確認は必須といえます。これらの情報とスコアリングによる数値をあわせて判断できれば、より現実味のあるリードの成約率が測れるでしょう。
まとめ
マーケティングツールは、自社の課題や直面しているマーケティングプロセスに応じて、最適なものを選ぶことで、最大の効果を期待できます。
見込み顧客の獲得や新規顧客の開拓にお悩みなら、まずはABM、Web広告ツール、アクセス解析ツールがおすすめです。オウンドメディアを構築して、コンテンツマーケティングの展開を視野に入れているなら、CMSやSEOツールの導入も検討しましょう。
見込み客の育成・抽出、リピーターの獲得に注力したい場合は、MA、SFA、CRMがおすすめです。メールマーケティングを展開するならMA、とにかく営業活動を効率化させたいならSFA、顧客満足度の向上が最大の目的ならCRMといったように、それぞれの特徴に応じた導入を検討してみてください。
どのようなビジネスだとしても市場の変化を認識し、それに応じて戦略を調整することが企業の成長には重要です。例えば、お客様の嗜好の変化や新たな競合他社の出現は、自社の戦術に影響を与える可能性があります。競争に勝ち残り、利益を上げ続けるためには、市場に目を配り、必要なときに変化を起こせるようにしておくことが肝心です。
マーケティングツールは、あなたの会社に“良い変化”を与える可能性を存分に秘めています。選び方ひとつで、今後のビジネスの成長度合いが変わってくるかもしれないのです。
これからの企業の行く末や今ある予算を鑑みつつ、自社の課題に最適なツールを慎重に比較検討する。その先に最高のマーケティングの味方と巡り合えることでしょう。
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